「では、こちらへどうぞ」

 僧衣を纏った男は重厚な木造りのドアを開くと、ドアの前で待っていた数人の冒険者たちを中へと導いた。
広く薄暗い部屋には大型の棚が整然と並び、そこには布にくるまれた人間くらいの大きさの物体が幾つも収まっている。
僧衣の男は冒険者たちを背後に従えながら部屋の中を進み、やがてある棚の前で止まった。

「ディキンズ=ラウ、24歳、死亡預かり5月5日、これで間違いないでしょうか?」
棚に載っていた物体に付けられていた札を読み上げ、僧衣の男が確認を求めると
冒険者たちは、ああ、間違いないと答えた。

棚に収められていた物体は冒険者の遺体であった。

冒険者たちはさっそくディキンズの遺体を用意した担架に載せると、2人ががりで部屋の外とへ運び出す。
通路を進み、着いた行き止まりのドアを開けて外に出ると、そこは大きな建物の裏であった。

その建物の名はカント寺院。
カドルト神を崇め、カドルト神の名のもとに奇跡と癒やしをもたらす聖なる場所である。

「こいつが世話になったな、ありかとよ」
「いえ、大したことではありません。あなた方にカドルトの御加護があらんことを」
礼を述べ、去りゆく冒険者の一行を僧衣の男は労(ねぎら)いながら笑顔で見送った。

だが……

(ケチな背教者どもめ!全員カドルトに見放されて地獄に落ちろ!)
温厚な表情の裏で、彼は冒険者たちを罵っていた。

近頃、蘇生魔法を使えるようになった冒険者が小遣い稼ぎに他パーティーの死者の蘇生を請け負っているという。
カント寺院より安いとかで口伝てで利用する冒険者が後を絶たず、先ほど仲間の遺体を引き取った冒険者たちも
おそらく安さにつられてその冒険者に頼むつもりなのだろう。
しかし、冒険者の蘇生魔法の成功率はカント寺院に比べて低く不安定である。
蘇生に失敗した者は少なからずいるだろう。そして何より許し難いのはカント寺院の領分を侵したことにある。

神を冒涜する不届き者は裁きを下さねばならない。

踵を返し、寺院に入る僧衣の男の顔に表情は無く、その胸の内は静かな怒りでみなぎっていた。


町から離れたある森の中。

そこには猟師の休息に使われる小屋があり、その中に先ほど仲間の遺体を引き取った
冒険者の一行と、プリーストの法衣を纏った一人の女がいた。

膝を着いた女は、床に横たえた遺体に向かって何やら呟いていたが、やがて遺体に手を当て念を込めて叫んだ。

‐ささやき‐いのり‐えいしょう‐ねんじろ!‐

女が触れた手から遺体に光が流れ込み、見えない力が命無き骸を震わせる。そして……

「ぁ…」

「やった、目を覚ましたぞ!」「おいディキンズ、俺たちがわかるか!」
「すまないな、ずいぶん待たせてよ」「また一緒に冒険しようぜ!」
冒険者たちは蘇った仲間に次々と歓喜の声をかける。
失敗しても責任はとらない、その場合報酬は受け取らないとの条件で
このプリーストの女は仲間の蘇生を引き受け、彼女は見事依頼を果たした。

「ほらよ、約束の金だ」
「どうも」
女は差し出された金袋を受け取ると、中身を確認した。
少なくない額であったが、カント寺院に頼んだら数倍の額の寄付を要求されるのだ。
坊主どもの強欲さには辟易するが、おかげでこんな副業ができるわけで、しばらくは稼げそうだと
女プリーストはほくそ笑んだ。

「なぁ、あんた《マディ》使えるか?できたらかけてほしいんだが…」
「治癒呪文は別料金よ。ツケはきかないからね」
ディキンズの頼みに女プリーストがつれない対応で返した、その時である。


バァーン!!!!

「な、何!?」
「なんだいったい!?」
小屋のドアが突然蹴破られ、そして怪しげな集団が中に入ってきた。
頭をすっぽり覆う白い頭巾は目だけを穴から覗かせ、その身なりは僧侶の法衣。
各々がその手にメイスを握っていた。

「だ、誰だお前ら!」
「《バディアル》」
何者かたずねた冒険者への返答は攻撃呪文、その標的は蘇生したばかりのディキンズだった。

「ギャアアアア!!」

「ディキンズ!!」
「そんな…!」
死から蘇ったばかりのディキンズは再び死体に戻った。
冒険者や女プリーストが狼狽える中、白頭巾集団は更なる攻撃を仕掛けてきた。


「《バディ》」「《バディ》」「《バディ》」
「《バディ》」「《バディ》」「《バディ》」
「《バディ》」「《バディ》」「《バディ》」

「ぐッ!?」「が…ッ」「ッッ…!」「……」「い、ぃゃ…」

一斉に放たれた死の呪文の前に、冒険者たちが、女プリーストが、次々と命を落としていく。
そして呪文が止んだとき、生きているのは白頭巾の集団だけだった。

彼らは冒険者たちと女プリーストの死体を担ぐと、速やかにその場を後にしたのだった。



‐ささやき‐いのり‐えいしょう‐ねんじろ!‐

「ぅぅ……」

「背教者が目を覚ますぞ」
「神を冒涜した報い、存分に味わわせてやる」
「ああ、女に生まれたことを呪うくらいにな」

 地下室と思しき石造りの部屋の中、白頭巾の集団が輪になって何かを取り囲んでいる。
それは先ほど殺した女プリーストだった。
彼女は蘇生呪文によって生き返った。が……

「え……な、なに!? いやぁ!!」

目を覚ました女プリーストは自分が全裸であることに気づいた。
そして白頭巾集団に囲まれてると気づくや、すぐに両手両腕で胸や秘所を隠した。
もっとも、蘇生前に着衣を剥がされ裸身を隈無く視姦されてたので、あまり意味のない行為だったが。

異常な状況に怯え、羞恥に身を竦ませる女プリーストの目前で、白頭巾が次々脱ぎ捨てられる。
正体を現した集団の面々を目の当たりし、女プリーストは驚愕した。

それは冒険者なら誰もが必ず知っている存在。
なんと白頭巾集団の正体はカント寺院に仕える司祭と僧侶たちだったのだ。

「な…!なんで…なんで貴方たちが…なんでこんなことを!」
状況が理解できず戸惑う女プリーストにカント寺院の司祭が告げる。

「オマエは大罪を犯した。これはその報いだ」
「大罪!?いったい何のこと!?」
司祭の発した大罪という言葉に思わず声を荒げる女プリースト。
そこへ僧侶の一人が彼女に告げる

「オマエは金のために人の命を利用した。私欲で命を弄んだ罪は重い」
「そしてヤツらは安いというだけでオマエの罪に加担した。命の値打ちを軽んじるヤツらに生きる価値などない」
感情の無い重く低い声が淡々と告げる。

「さあ始めよう。この罪深い女に相応しい罰を与えるのだ」
「い、いや!!やめ、むぐッ!?」
僧侶たちはにじり寄ると、女プリーストの手足を押さえつけ、その首に首輪を嵌めた。

「?! !! !!」

「それは【沈黙の首輪】。《モンティノ》の魔法が込められている。
オマエはもう呪文はおろか叫ぶことも話すこともできない」
「では掲げよ。一番手は私からだ」
(嫌あああ!!止めてええええ!!)
首輪の魔法で声を封じられた女プリーストの肢体を僧侶たちが持ち上げる。
僧侶たちの手が抵抗する女プリーストの両腕両脚を引き伸ばし、足を開かせた。
そして一番手を名乗った司祭が女プリーストの両脚の間に入り、自分の股間から
勃起したペニスを取り出した。

(!!───)
天を指すように反り立ち、たくましくみなぎった肉の剣を目の当たりにした
女プリーストの目が恐怖に見開き、揺れる。

「覚悟しろ背教者。犯した罪をとくと味わえ」
髪と同じ色合いの柔草に飾られた、女プリーストの恥丘の下にペニスの切っ先が突きつけられる。

(ああ、いや、お願い、やめて、やめてやめてやめてやめてや……───ッッ!!)

ずっぶうううっ!!

女プリーストの膣肉を、肉の剣が割いて貫く。
司祭が打ちつけると、切っ先が最奥の子宮口に突き刺さった。

「カハッッ!!」

衝撃に内臓を押され、女プリーストが息を吐く。
たまらず仰け反った上半身で乳房が跳ね、僧侶たちに掴まれた足の先がビクビク振れた。

女プリーストを貫いた司祭は両手で彼女の太ももを抱えると、激しく腰を使い始めた。

(?!━━━━ッッ!!!!)

女プリーストが、声の無い絶叫を上げた。
 
ドチュッ!ドチュッ!!ドチュッッ!!

 石造りの部屋に膣肉を穿つ音が響く。
女プリーストの秘所を貫いたペニスは膣口を裂き、肉の幹が前後するたびに、赤い滴りが飛び散る。

(ッッ━━!!ッッ━━!!)
僧侶たちに拘束された肢体が苦痛にのたうち、呻吟に振れる頭が髪を振り乱す。
規格外の巨根に貫かれ、いたわりも快楽もない抽送に責められ、女プリーストは今まさに地獄の中にいた。

そんな彼女を眺める僧侶たちの、表情が愉悦に歪む。
神を冒涜し、カント寺院の領分を侵した罪人の苦しみは彼らにとって至上の喜びである。
犯されている女プリーストを眺めながら、自分の順番がきたらどう責めてやろうか、僧侶たちは
おぞましき妄想を脳裏に巡らせるのだった。


ズンズン!!ズンズン!!ズンズン!!

女プリーストを犯しているペニスの、抽送のピッチが早くなる。
それは“その時”が近いという予兆だった。そして───

どくっ!どぷどぷ、どばぁっっ!!


(ッッ〜〜〜!!!!)
膣奥に深く刺さった瞬間、ペニスは脈打ち、大量の精液を女プリーストの中にぶちまけた。

どく…どく…どくっ……

(ぁ…ぁぁ…)
胎内に射精を受ける、女プリーストの表情が悲嘆に歪む。
新たな命が宿るべき聖なる場所を汚され蹂躙される、その残酷な現実が彼女の心を打ちのめしてゆく。

やがて司祭は精を出しきると、女プリーストからペニスを引き抜いた。
開ききった膣口から朱の混じった白濁液が逆流し、床にこぼれ落ちる。
そして女プリーストを犯していた司祭が下がり、僧侶の一人が彼女の前に立った。

「下ろせ」
その僧侶が命じると、女プリーストの手足を持っていた僧侶たちが彼女を床に下ろした。
僧侶は勃起したペニスを取り出し、女プリーストの秘所にあてがうと司祭と同じく彼女を犯し始める。

「ふっ、ふっ、ふっ、」
息を荒げながら腰を使う僧侶。
彼は女プリーストの乳房に手を伸ばすと、それを鷲掴みにしグイグイ揉みしだく。
女プリーストの痛みを訴える叫びは首輪の魔法にかき消され、腰を使う僧侶の荒い息遣いと
肉が擦れる抽送の音だけが石造りの地下室に響くのだった。



(…………)
最初の陵辱からどれくらい経っただろうか。
女プリーストの口を犯していた僧侶はウウッ、と呻くと彼女の顔に精液をぶちまけた。

顔中が白濁に塗れるが、女プリーストは虚ろな眼差しのまま何の反応もしなかった。
僧侶たちに弄ばれた彼女の肢体は、傷とアザと白濁に汚され、だらしなく開いた口と
膣口、肛門からは注がれた精液がタラタラとこぼれていた。

「全員済ませました」
「では清めの儀式を行う。“アレ”を…」
「どうぞ…」

女プリーストのぼやけた視界に僧侶が司祭に杖のようなものを渡している姿が映る。
もし思考が働いていたなら、それは【炎の杖】と呼ばれるアイテムだと気づいていただろう。
だが、僧侶たちによって身も心も蹂躙され、汚された彼女はただ息をしているだけの肉人形と成り果てていた。

僧侶たちが女プリーストの両脚を開く。
さらけ出された秘所の膣口は精液を垂れ流しながら痛々しく開いていた。

司祭は炎の杖を握りしめると、飾りのついた先端を女プリーストの膣口にあてがい、グッと中に押し込んだ。

(ッッ!!)

杖は最奥に当たって止まり、圧迫された子宮からこぼれた精液が杖を汚した。

「生命を欲望で弄び神を冒涜した貴様の罪。聖なる炎で清めてやろう」

司祭は厳かな声で女プリーストにそう告げると、呪文の名を唱えた。


   「《マハリト》」
 
(ッッ━━??!!)

杖の魔法が女プリーストの中で解放される。

《マハリト》は魔術師呪文の一つで、炎によって集団を攻撃する呪文である。
しかし威力はそこそこで、一度くらいではこの女プリーストは殺せない。
ただしそれは普通の状況において、である。

杖から放たれた炎は広がることなく女プリーストの体内に閉じ込められた。
密閉された空間で圧縮された炎は通常を越えた高熱を宿し、周囲を灼いていく。

(あっ、あっ、あああ)

子宮が、膣が、内臓が、灼熱に溶けてゆく。
驚愕する女プリーストの目前で腹がたちまち大きく膨れ上がり、そして───


ボォォ━━ン!!!!


破裂した腹部から炎が広がり、女プリーストの全身を包んだ。
炎の中で、のたうちもがきながら女プリーストが叫び訴える。

どうして、どうして。私はただ少しお金が欲しかっただけなのに。
私は他の冒険者たちに少し良いことをしたかっただけなのに。どうして、どうして───


間もなく女プリーストは息絶え、業火の中でその身体は黒く焼け焦げた骸になっていく。
やがて炎が収まると、そこには真っ黒な炭のような女プリーストの遺体が残った。
女プリーストに嵌められた首輪は焼けて壊れていた。

「首輪の予備はまだあります」
「そうか」
話しかけた僧侶に応えると、司祭は女プリーストの遺体の前に進み、身体を屈めた。そして、、、


‐ささやき − いのり − えいしょう − ねんじろ!‐


司祭の手から、生命の光が女プリーストの遺体に流れ込む。
黒こげの身体が震え、酷く損傷した部分が再生してゆく。
弾けた内臓が納まり、焼けた肉がピンク色に変わり、裂けた皮膚がたちまちふさがり、十秒も経たないうちに
無惨な遺体は命ある元の肉体に戻ったのだった。


「え…いったいどうして…?」
困惑する女プリーストを僧侶たちが押さえつけ、新しい【沈黙の首輪】を嵌めた。

「!? !! !!」

再び声を奪われ怯え戦慄く女プリーストに司祭が言い放つ。

「オマエの償いはまだ終わっていない。我々がその罪を清めてやるのだ、何度でも何度でも」

ガラガラと車輪の音を立てて、様々な道具を載せた脚付きトレイが司祭のそばに置かれる。

司祭はトレイに手を伸ばすと、いくつもの小さな穴の開いた金属製の棒のようなものを取った。
そして棒の端のスイッチを押すと、棒の穴から一斉に針が飛び出してきた。

「さて。今度は違う責めでいこうか」

再びスイッチを押すと棒に生えた針は引っ込んだ。
僧侶たちが女プリーストの股を広げ、秘所を剥き出しにする。

(ま、まさか……い、いやあ…!)
司祭の持っている棒が女プリーストの中にグイグイねじ込まれる。
司祭は更に、膣だけでなく肛門にも同様の棒をねじ込んだ。

「さあ罪深き女よ。その罪の報いを受けるがいい」
司祭の手が、2つの棒のスイッチを押した。


(ッッッ━━━!!!!)


女プリーストの声無き絶叫が上がる。
彼女の地獄はまだ始まったばかりだった────



 数日後、ディキンズとその仲間たちはダンジョンの深層で全滅が確認された。
遺体は徹底的に荒らされ、状態は“ロスト”と判断、彼らは埋葬された。

そしてあるパーティーの女プリーストが姿を消した。
彼女がカント寺院の真似事をしていたことを冒険者たちは知っていた。
請け負った蘇生に失敗して恨みを買ったか、それとも大金を手にして冒険者稼業をやめたか。
真実を知らない冒険者たちは適当な想像を語って、勝手に自分を納得させた。
カント寺院の凶行に思い至る者はなく、女プリーストの凄惨な末路は永遠に知られることはない。
そうして冒険者たちの日常はいつもと変わることなく続いてゆくのだ。



ドンドン!!

荒々しいノックを鳴らしカント寺院に冒険者たちが入ってくる。

それを迎えるのは司祭と僧侶たち。
彼らは温厚な笑みを浮かべ、冒険者たちに話しかけた。


「ようこそカント寺院へ。あなた方にカドルトの癒しと救いがあらんことを!」


(終)