リルガミンがタイロッサムの迷宮。かつて数多の冒険者を惹き寄せ、その知恵と力でもって困難を切り抜けてきた王国にまたも現れた
困難の一つであり、過去においてはダバルプスが威を振るった場所でもある。かつての忠臣タイロッサムを討伐せよとのお触れに集っ
た冒険者達は、表向きこそ女王の為に命を賭して戦う英雄でありながら、彼らは望む望まざるに関わらず迷宮へと下り、死闘の末に幾
許かの金銀を得、夜ごと酒に酔い歌を歌っては女に溺れ、ふとした拍子に賢者のような言葉を交わしながらも、いつの間にか灰となり
消え行く儚い存在であった。
「全く……あなたがさっさとモンティノを唱えないからこうして死にかけたんじゃない。」
「それは結果論ですよ。僕だって最善を尽くした、ただ相手のほうが一瞬だけ早かっただけです。」
迷宮の第三階層、玄室から三人の麻痺者を引き連れたパーティーが現れ、その中の人間とエルフの険悪な声が木霊する。人間のほうは
田舎の良いとこ住まいの末男か何かだろうか。引き締まった身体に温厚そうな顔つきをしているが、実直であるが故の頑迷さが未だ抜
け切っていないようだ。一方のエルフ、帳簿上ではこちらのほうが年上である筈なのだが、人間を頭一つ〜二つぶん見上げるほどに小
さく、特に巨躯なドワーフであれば追い越せてしまいそうな程だ。年齢詐称も疑わしいほどだが、胸のほうはゆったりしたローブも大
きく盛り上がる程あり、なびく金髪はまさしくエルフの縮小形。そのアンバランスさが攻撃的な性格を作っているのだろうか。
「ふん、これだから人間ってトロ臭いのよ。魔法使いが魔法を封じられたら何も出来ないじゃない。
今回は何とか逃げる事が出来たけど、行き当たりばったりで生きていけるほど迷宮は甘くないわよ」
「それを言うならあなただって、先にゾンビを始末しておくべきだったんです。
それなら戦いが長引いても麻痺する事はなかった筈、エルフならそれくらい考えてくださいよ。」
本来ならパーティーは結束して事態に対処出来なければ良くてチームの瓦解、悪くて迷宮の灰となる。この二人は僧侶のほうが善で、
魔法使いの方は悪の戒律を持っているようだ。戦いにおいて熟達した者同士ならまだしも、互いに経験を積みきっていない為に大小の
言い争いが絶えないのだが、その二人の仲を取り持つのが同じ後衛で二人の間に立つ中立の盗賊の役目である。しかし冒険者生活初の
麻痺攻撃――四肢の一切、言葉すら交わす事の出来ない死へと繋がる一撃――を受け、今は初体験の恐怖に身を竦ませていた。見かね
た戦士の一人が二人を諌めて口論こそ終わったが、パーティーの雰囲気は不穏なままであった。
「大丈夫だった?怪我は無い?もう平気よ、玄室の扉は締め切ってあるわ。
キャンプも張ってあるし、この中なら魔物も気付く事は無い筈よ」
「……うん。」
心配そうに声を掛ける魔法使いの言葉に盗賊が小さく頷く。雰囲気と仕草、小さな魔法使いより更に一回り小柄な体躯。普段は温厚で
臆病だが、窮地の機転と勇敢さにおいては誰にも負けないホビットの女性である。僧侶のほうも心配して声をかけようとしていたが、
喧嘩したばかりの魔法使いがいては声も掛け辛く、戦士の治療を終えると呪文を唱えきった際の精神の消耗から深く息を吐いた。
「……ディアルコの回数が切れました。これ以上麻痺を受けるとあの寺院にお金払わなきゃならなくなるので、
今日はここら辺で切り上げましょう。」
「そう、それなら仕方が無いわね。明日はあなたが迷宮で待つ番よ、せいぜい時間まで遅れないようにする事ね。」
本来ならば水と油のように混じり合う事の無い二人だが、どういう訳かこの魔法使い自らパーティーに入りたいと申し出て来た経緯が
ある。僧侶も良い顔をしていなかったが、残りのメンバーが戦戦戦盗と皆中立であったし、その時はドワーフの冒険者が増えていて後
衛職が不足していた事もあり、それに押されて妥協を余儀なくされていた事もあった。
「はぁ……」
その晩、先の盗賊はこの街で一番大きな酒場、ギルガメッシュ・タバーンにて一人呆けたような表情で辺りを見つめていた。やかましく
飲み騒ぐ男達の声。陽気に歌う同属たち。今日は魔物を何匹倒したか、どんな宝物を手に入れたかと嬉しそうに語る冒険者のグループ。
重たそうな袋を小脇に抱える酔い潰れた集団。その中で彼女――アミンは強い疎外感を感じていた。自分の居場所は本当はここではな
いような、ぼんやりとした不安。或いはホームシックにでもなったのだろうか。
「アミン……アミン」
自分を呼ぶ声がする。それは酒場で、宿で、迷宮で、自分を示す呪文のような言葉。敵にかました不意打ちを褒められる事があれば、
宝箱をしくじって茶化されたり窘められたり……
「アミン!」
「ふわっ!?」
唐突に現実へと引き戻される。振り返ってみればそこには同パーティーのエルフ――オルガが居た。
「どうしたのよ、さっきから呼んでたのに返事もしないで」
「え、えーっと……うん、そう、ちょっと疲れちゃってて」
そのままオルガはごく自然にアミンの座っている長椅子に腰を下ろした。そうだった、いつもこうしてオルガと一緒に飲みながら疲れ
を吐き出すのが迷宮帰りの日課となっていたのだ。ドワーフ達は同種でまとまって騒いでいるし、先の僧侶――ロイスは男だし、酒を
あまり飲まないので酒場ではチーム編成をする時以外に出会う事は殆ど無かった。
「分かってるわよ。ゾンビにやられた時の事でしょ。」
「うへ、見透かされてたかー。うん、そう……私、冒険者向いてるのかなぁって」
「無理も無いわよ。私だって怖いものは怖いもの。いくら鎧を着てるからって、あんな化け物相手に
正面切って立ち向かう人の神経が分からないわ。でも、もう過ぎた事。くよくよしないでさっさと忘れちゃいなさいよ。」
そう言って木製のカップに注がれたエールを飲み、疲れからくる溜め息をほぅっと吐くオルガ。今日はだいぶ溜まっているらしく、肉
一切れで一杯とかなりのハイペースでアルコールを流し込んでいく。
エルフと言うとその威圧的な風貌や物腰からアミンにとっては近寄り難いイメージがあるが、だいぶ背の低い(それでもホビットに比べ
れば高いが)オルガは比較的親近感のある相手だった。先の不安も語らいの数だけ崩れていくようで、刹那的な迷宮暮らしの中で確かな
繋がりを感じさせてくれる。
「私たちは明日生きているのかも分からないんだから、一々昔の事なんか思い出さないで
今日出来る事、今日やりたい事をやって生きていけば良いのよ。灰になってから後悔しても遅いのよ」
「今日やりたい事かぁ……うーん、じゃあオルガはやりたい事とかあるの?」
「わ、私?私は……その、えっと……」
急に話題を振られて困惑するオルガ。アルコールの入った頭で何か繕う言葉を捜しているようだ。
「私はオルガにはもう少し優しくしてほしいなあ。」
「あら、あなたにはそんなにきつく当たってるつもりは無いけど……」
「違うよ、ロイスにだよ。戦闘が終わるといつも色々言ってるじゃん。今日なんか特にさ。
ロイスだって頑張ってるんだし、戒律が違っても仲良くしたほうが良いよ。」
「あれはロイスがニブいからアドバイスしているだけよ。ロイスだって一々言い返してくるし、今日なんかあなたが
怪我しちゃったじゃない。パーティーの命に関わる事なんだからあれくらい言って当たり前よ。むしろ感謝してほしい位ね。」
彼の話になると途端に語気を強めて反論する。素直にお互い分かり合えていたら戒律の違いなど必要ないだろう。だいぶ酔っ払ってき
た事もあるのだろうか、赤ら顔でじっとアミンを見つめている。
「それはもうしょうがないよ。どっが悪いとかじゃなくて運が悪かっただけだってば。
私だって狙われないと思って慌ててたのかもしれない。だからもうちょっと認めてあげて、ね?」
「……アミンがそこまで言うなら考えておこうかしら。それと私……私は、また明日もアミンと一緒に……」
「わ、ちょっとオルガ目が据わってるよ、今日ちょっと飲みすぎじゃないの。」
「酔ってない酔ってないわよぉ〜、ほんとに今日は心配したんだからねぇ〜。」
「もー、引っ付いてこないでってば。宿まで送るから一緒に帰ろ、帰ろ。」
「陽が昇るまで飲み明かすのよぉ〜〜!」
幸せそうに叫ぶオルガを介抱しながら宿へと戻り、部屋へと連れていって寝かしつける頃にはすっかり夜の帳が降りきっていた。出る
際に拝借した合鍵で鍵をかけておき、再び一人になると先程まで語らいの中で忘れていた漠然とした不安が頭の中をよぎる。
「今日やりたい事……出来る事、か」
同宿、エコノミールームの小窓から街を眺めるロイス。部屋にはベッドと小さな机、クローゼットがある程度の質素な部屋だ。パーテ
ィーで等分されたゴールドでより豪遊したければ馬小屋で寝泊りする選択も良いのだが、とりたて必要としない者、防犯等を意識する
ならば鍵付きの部屋が自然と選ばれる。
「一雨来る……かな」
迷宮と同じ暗闇の世界、火を絶やさず灯し続けるリルガミンという街。ニルダの杖の光衰えてなお、その輝きは少しも薄れているよう
な実感を見せなかった。肌寒い空気を感じて小窓を閉め、椅子に腰掛けて一時の瞑想に耽る。この街に来るまでの事、初めて訓練所で
訓練を受けた事、パーティーを組んだ事、迷宮での出来事……
今日の事と言えばオルガとかなりの口論をした事だ。自分にも過失が無かった訳ではないが、逃げるしかない状況に冷静さを欠いてし
まっていたのかもしれない。アミンは果たして大丈夫だっただろうか。気を持ち直していてくれればいいが。
「よし、もう寝……ん?」
「アミンだよ、開けてほしいな」
扉を叩く音、そして先程思っていた仲間の声が聞こえて思わずぎょっとする。こんな夜中に何事かと思ったが、盗賊相手に居留守を使
っても無駄だと思い、扉を開けて出迎える。予想に違わずそこではアミンが両手を後ろに回してこちらを見上げていた。普段見慣れた
短剣と革鎧という出で立ちではなく、胸元の少し開いたワンピースにアラン模様のカーディガンを羽織り、太腿をすらりと見せるスパ
ッツを着けている。ホビットの常として靴は履いておらず、代わりに持つ丈夫な足と甲に生えた毛は怪我を負う事無く俊敏な動きをこ
なす原動力となっている。普段は両端で留めている栗色の髪も下ろしているので、識別するのに一瞬の間を要した。おそらく飲んでき
たのであろう酒の匂いが漂っているが、普段飲みに行く時はわざわざこんな格好はしない。こんな格好を見かけたのは陽の明るい時間、
周辺国や東方の地から交易商がやってきて市を開く時くらいだ。あの時偶然出会った時は雰囲気の違いで一瞬誰だか分からなかったも
のだが。
「ありがと。もし開けてくれなかったらムリヤリこじ開けて入ろうかと思っちゃった。」
「それ泥棒ですよ。何か連絡でもあったんですか?」
「ううん、そうじゃないけど……ちょっと入らせてもらうよ。」
「あっ、ちょっと!」
扉との間に立っていたロイスの脇をすり抜け、強引に部屋の中へと入っていくアミン。突然の出来事にロイスは対応が遅れ、そのまま
進入を許してしまう事になった。
「へぇ、ちゃんと整理されてるじゃん。ベッドの下とかお宝ありそうかな〜。」
「もう……別に隠す物なんかありませんよ。それで何の用ですか?」
「えーと……ねえ、その前にちょっと話さない?まだ夜も長いんだしさ」
返事も聞かないままに木製のベッドに腰掛けるアミン。サイズはリルガミンに集まる5種族で一番大きなエルフを基準にしているので、
ホビットならセミダブル位のサイズがある。妙に馴れ馴れしい態度を取る彼女をロイスは訝しみながら、机の椅子に腰掛けた。
「今日はごめんね。うっかりしてて攻撃食らっちゃって。ロイスが前衛に出される所たまに
見てたけどこんな怖いなんて知らなかったよ。」
「別に良いですよ。命に別状は無かったんですから。順番だって皆で決めた事です。宝箱優先って事になってますけど、
正直なところオルガさんはちょっと苦手ですから。ポジションとしてはむしろ助かってますよ。」
「あんな風に言ってたけど悪く思わないであげてね。多分心配してただけだと思うからさ。
ロイスだって、私たちいつも酒場にいるからたまには飲みに来れば良いのに。仲直りのチャンスあるかもよ。」
「そうですね。今度機嫌が良さそうな時を狙って行くとしますよ。お酒はやっぱり苦手ですけど。」
「人間ってお酒飲める人と飲めない人いるよね。酒場のおっちゃんは顔見たれば分かるっていうけど
本当なのかな。そういえばオルガは今日べろべろに酔っちゃってさ……」
そうして暫くの間語らう二人。他愛の無い陳腐な会話だが、そうする事で仲間としての繋がりを確認する事が出来る。蝋燭の明かりは
次第に低くなっていき、立てておいた水時計の水位は知らない間にだいぶ下がっていた。
「あはは……っと、もうだいぶ長く話しちゃいましたね。明日もあるので早く寝ないと……
そういえば、結局何の用があったんですか?」
「あ……えと、うん。それなんだけどさ……うぅ、どうしよう……」
急にそわそわと辺りに視線を移しながら、小声で何かを呟くアミン。その姿にロイスは奇妙なくすぐったさを覚えた。
「出来る事なら力になりますよ。お金の話ならちょっと考えますけど。」
「えぇと……その…………な事を……」
「……?」
「……エッチな事したいの!」
「な、ちょっと大声で何言ってるんですか!」
突然の告白に戸惑いうろたえるロイス。アミンの顔は少しの間に赤く染まっていたが、語気は時間と共に確かな物になっていく。
「オルガが言ってたの。私たちは冒険者なんだから、今日やりたい事をやって生きていったほうがいいって。だからお願い!」
「そういう理念は否定しないですけど、でも何でまた突然に!?」
「えぇっと……前から興味はあったんだけど、今までそういう事した事ないし何かそういうふうに思ってたら変なのかなぁって。」
「いや……そういうのはもっと大事な時の為に取っておくべきだと思いますよ。」
「私がいいって言ってるの!それに冒険者だよ、いつ酷い目に遭って嫌な思いするかも分からないじゃん。
怖くて進めない訳じゃないよ、でもいつか……って考えるとやっぱり不安になるの。」
語らいの中で気を紛らわせる事はあっても、やはり心のどこかでは引っかかり続けていたのだろう。あまり冒険者に向いているタイプ
ではないような気がするが、この街でそれを諭した所で野暮なだけだ。
「……でも、どうして僕に?」
「いつも一緒だし、秘密にしてくれると思ったの。ロイスなら秘密にしてくれるでしょ?
それに私よく考えたら街にいる他の男の人とかよく知らないし……ダメ?」
アミンの声に悲愴が混じってくるのがロイスにもはっきり伝わってくる。かなり思いつめているという事は分かるが、例えアミンの頼
みを受け入れても、それによってアミンを傷つけてしまうかも分からない。迷宮での経験は多少積んでいても、彼自身も残念ながらそ
ういった経験はゼロに等しい。
そして何より、自らの戒律に従うならアミンの求めに応じる事が正しい行いなのかも分からない。出来る限り力になるとは言ったもの
の、本当にこれが正しい行いなのだろうか。ロイスが思いを巡らせていると、ふとアミンと目が合った――途端、自分の中に今まで感
じた事の無いような思いが強烈に出現する。鎧と短剣に身を包んだ彼女は紛れも無く大切な仲間だが、今は――
「……分かりました。でもやっぱり……こういう事って互いに好きな人同士でやるべき事です。」
「好きなら良いの?」
「それはまあ、極端に言えばそういう事に……」
「私、ロイスの事好きだよ?それだったら別に――ひゃっ!?」
言い終わらない内に立ち上がり、そのままアミンを組み伏せるロイス。呆気に取られたアミンが見上げる顔は、彼女の告白の時と同じ
ように赤く染まっていた。
「ロ、ロイス……?」
「いいですか?僕の言う好きっていうのは――」
アミンが何かを言いかけるが、その言葉をロイスの唇が塞いだ。実際にこうして組み伏せてみると驚くほど小さく軽いアミンの身体、
そして薄い唇。感情の昂ぶりは衝動を抑えきる事が出来ず、アミンの口腔まで貪るようなキスが暫く続いた。普段は大人しいと思って
いた仲間の突飛な行動にアミンは為す術無く、ロイスが唇を離すまで身動き一つ取ろうとしなかった。
「んん〜〜……ぷはっ、はぁ、はぁ、はぁ……」
「僕の言う好きっていうのは……つまりこういう事です。言葉じゃなくて、気持ちで理解する事なんです
自分でも驚いているんですけど……すみません、嫌……でしたよね。」
「…………わりと、嫌じゃないかも。」
「えっ……?」
言葉を詰まらせるロイスの頬に、軽いキスのお返しをするアミン。
「ロイスの言う好きっていうのがちょっと分かった気がする。ごめんね、無理矢理エッチしようなんて言って。
それに、ロイスも私にこういう事したかったっていうのが分かったし。」
「いや、あの、それは、その……!」
頭から湯気が出る勢いで顔を真っ赤に染めるロイス。小さくなった蝋燭の明かりで出来た影が大きく揺れる。自分もアミンの事が好き
であるという事は彼女に言われるまで気付かなかったようだ。あるいは気付いていながら無意識に抑え込んでいたのかもしれない。
「だから……もし、ホビットの私で良かったら……好きになってくれますか?」
「……はい」
自然と、どちらからともなく唇が触れ合った。
「おお、これが人間のおちんちん。」
「やっぱりやる事はやるんですね……」
ベッドに腰掛けたままローブを脱がされ下衣を剥がされ、無防備に晒されたロイスの股間から一物がぬるりと顔を出す。アミンはそれ
を宝箱の中身でも見つけたかのような期待と興奮の表情で観察し、時折指でつついたり摘んでみたりする。
「ふにふにしてて意外と弾力が……おっ、硬くなってきた?すごいすごい、どんどん大きくなってく。
……それじゃ、いただきまーす、でいいかな?」
「わっ、ちょっと何処でそんな事を!?」
暫く弄繰り回して遊んでいたアミンだが、不意に一物を口に咥え込み、それによりロイスは悲鳴じみた声を上げた。とはいえホビット
にとって不釣合いな大きさのそれは竿の先までしかアミンの口に入らず、ぎこちなく舐める動きがロイスに緩慢な刺激を与えていく。
「ちゅぷ、ちゅぱ、んっ……」
一旦口を離し、アミンの唾液で塗れた亀頭を持ち上げ竿の部分を甘噛みするように刺激を与える。
「んくっ、はむっ、はむっ……ニオイ、クセになりそ……」
「くぅ……」
アミンは再び口を亀頭のほうに持っていき、両手を竿に添えながら出来る限り咥え込もうと一物を口内に飲み込んでいく。一生懸命に
してもらっているという事は分かるが頑張っても中々奥まで入れられず、そのじれったさが耐えるロイスを追い詰めていく。やがて息
が続かなくなったのだろうか、アミンが辛そうに息を吐きながら口を離す。
「…………ぷはっ。おかしいなぁ、こうやってやれば男の人は気持ちよくなるみたいに本に書いてあったのに。」
「いや、わりともうギリギリで……でもいきなり出す訳にはいかないです。」
「そうなの?……ふふ、頑張ってるロイス可愛い。それじゃ遠慮なく出させてもらおっと。」
「うわっ!」
今度は竿の根元を持ち先端を咥えて吸い付く。ちゅうちゅうと音が出る程の強い刺激にロイスはとうとう耐え切れず精を迸らせる。
「んむっ!?」
口内に精が放たれると突然の刺激に口を離すが、射精は止まらずアミンの顔や手を汚していき、止まった頃にはアミンはすっかり白濁
まみれになっていた。精液のついた人差し指を口に咥えて渋い顔をする
「べたべただ……それに変な味。もう、出しすぎだよ。」
「すみません……」
「ぺっぺっ。うぅ、顔じゅうヌルヌル……こんなんなら離さず咥えておけば良かった。」
ロイスの部屋にある備え付けの水でタオルを濡らし精液を拭き取り、動くのがめんどくさいのか汚いという感覚が無いのか残った水で
口内の精液を飲み込んでしまうアミン。出す物出して放心状態のロイスは申し訳なさそうにしながらベッドの上に佇んでいた。
「それにしたって何故いきなり……」
「だって私が見た本ではちゃんとそうしてたよ。」
「その本、多分かなり下品な物だと思いますよ。」
「なにさ、ロイスだって知ってるクチだったしほんとはそういうの見てるんじゃないの?」
「確かに見てますけど……って何言わせるんですか。少なくとも自分の中ではちゃんとした作法との区別は付けてるつもりです。」
「ロイスのスケベー。それじゃ、今度はスケベなロイスにエッチな事してもらおうかな。」
そうしてロイスの隣に腰掛け、擦り付くようにしながら不適な笑みを浮かべて彼を見上げるアミン。ワンピースの胸元をはだけさせ、
ちらちらとロイスの様子を伺っている。ロイスのほうは先程抜かれたせいもあって気力が若干衰えているが、された以上はやり返さな
ければ何を言われるのか分かったものではない。自分の中の性的な知識をフル動因しながら、小さなアミンを抱き寄せる。
「……分かりました。止めろって言っても止めませんからね。」
「ふっふっふ、さあかかって来なさい!…………んっ」
ロイスとアミンの唇が再び触れ合う。少ししてロイスはそれを離し、今度はアミンの舌と絡ませ合うようにして口内を愛撫する。それ
と同時に彼女をすっと抱き寄せ、(彼女からすれば)大きな手で背中から脇腹、尻の近くまでゆっくりと撫でてやる。次第にアミンの息
から熱が漏れ、もじもじと腰を揺すり割れ目をロイスの足に擦り付け始めた。
「ちゅぱ、ちゅぷ……ぷは。エッチなキス……」
口を離すと二人の繋がりであるかのように互いの口から銀糸が引き合い、それがお互いの心を切なく締め付ける。
「んっ……ひゃう。わ、そこおっぱいだよっ……」
ワンピースを下からまくり上げてアミンをベッドの上に押し倒し、今度は彼女の胸や乳首を愛撫するロイス。薄い胸の片方を撫でるよ
うに揉みながら、もう片方の乳首を舌で舐め、吸い上げ、時折甘噛みをするとアミンから心地良い悲鳴が聞こえてくる。
「あっ、ふぁ、んっ、く……えへへ、赤ちゃんみたいだよロイス……
ひゃっ、お腹くすぐったいよ。」
アミンの身体を丁寧に愛撫していくロイス。後々の事を考えるとこの調子でアミンが満足してくれればじゃれ合いで済んで良いのだが、
彼女の甘い反応に今度は自分の気持ちが昂ぶってしまう。煩悩と理性の狭間で殆ど無心にアミンへの愛撫を続けていたが、彼女の小さ
な身体のスパッツに覆われた秘所の部分に辿り着くまでさほど時間はかからなかった。
「…………えーと、これ脱がせますよ……?」
「……いいよ。優しくしてね。」
落ち着いた素振りこそ見せているものの、アミンの秘所から漂う雌の匂いの誘惑の前に殆ど返事も聞かないままスパッツをずり下ろす
ロイス。そこには小ぢんまりとした割れ目が一つ、既にしっとり濡れた状態で彼を待ち構えていた。上のほうには充血したクリトリス
が皮から顔を出しており、ぷっくりと膨らんだ恥丘の辺りには彼女の髪の色と同じ栗色の産毛がごく僅かに生えているばかりだった。
そのままロイスが両の親指で恥丘を割り開く。艶やかで血の巡りの良いぷるんとした小陰唇と、ごく小さな尿道と膣口が上下に確認出
来る。匂いは然程強くはなく、ひょっとすると着替えてきた時に綺麗にしたのかもしれない。
「これは……」
「ど、どう?変じゃない?……ひゃうっ!?やだちょっと、汚いってば!ひゃあん!」
ロイスの表情が一瞬陰り躊躇するような様子を見せたが、すぐに愛蜜滴る割れ目を貪るように舐め始めた。熱を持った愛蜜を舌で掬い
取り、クリトリスに絡めるようにしながら舌で舐め回す。先程の仕返しとでも言わんばかりに執拗に吸い付く度にアミンは快感で身体
を震えさせ、熱を持った愛蜜を滴らせ続ける。
「あっ、ふ、駄目っ、そこ気持ちいいっ……ん、あっ、あ、だめぇ……」
腰を揺すって更なる快感を引き出そうとするアミンにロイスの興奮も高まり、膣口を舌で撫でるように舐め上げる。
「やあン、舌、すご……ぃ、はっ、いぃ、っ〜〜〜〜!!!!!!」
アミンが達して潮を噴いてもロイスは止めようとせず、顔中ベタベタで息苦しくなってようやく秘裂から顔を離した。
「はふっ、っ、ぁ、ふ、はぁ、はぁ……イク所見られちゃった……」
「さっきのお返しです……」
「うぅ、ロイスの意地悪ぅ。」
大きな快感に身体を震わせるアミンに、ちゅっと軽い口付けをするロイス。それだけの刺激でアミンの膣口から愛蜜がこぽり、こぽり
と音を立てて滴り落ち、彼女の身体とベッドを濡らし続けた。
「……あの、やっぱりアミンさん。」
「ん?どしたの。」
愛蜜で濡れた顔を拭くロイスの舌で、アミンが楽しそうにロイスの一物を撫で転がして遊んでいる。
「っていうか弄るの止めてください。……やっぱり、ここで止めにしておきましょう。」
「なしてさ!好きなら良いって言ったじゃん!」
「いや確かにアミンさんの事は好きです!でも、だからこそアミンさんは傷つけたくないんです。
さっきアミンさんのあそこを見た時に分かったんですが……端的に言えば、これ、多分、いや絶対入らないと思うんです!」
「……なるほど。」
アミンに弄ばれ再び屹立したロイスの一物は、先程口で扱かれた時より自己主張が強くなっていた。。ロイスとアミンの体格差は年
こそ近けれど種族差もあってかなりの物で、アミンの膣口も小さく収まっている。種族外れのロイスの一物を無理矢理突き入れてし
まえば、冒険者といえど深刻なダメージを受けてしまうだろう。
「だいじょぶだいじょぶ、入れちゃえば案外なんとかなるって。」
「その入れちゃえばが出来ないんじゃないですか。僕はアミンさんを傷つけたくないし、愛し合うならもっと別の方法だって
あると思うんです。これは気持ちの問題ですからそう簡単には譲れません。」
「ロイスってば強情なんだからもー。じゃあ聞くけど、痛くないし入ったらエッチするの?」
「……そういう事になると思います。あと下品ですからあんまり女性が入ったらとか言わないでください。」
「よし分かった!ちょーっとだけ待ってなさい!」
「やっぱり今の取り消しで!ああ、ちょっと何してるんですか!」
突如ロイスのベッドの下へ潜り込み、間を置いて出てきたアミンの手には細長い薬瓶がそれぞれ握られていた。両方ともボルタックの
薬棚では見かけない色合いで、アミンはそれを見せ付けるようにして不適な笑みを浮かべている。
「その怪しい液体は一体?というより何でそんな物がここに……」
「部屋に来た時隠しておいたの。気付かなかったでしょ?こっちがリープスライムゼリーで、
こっちがプラージフロッグの油。それでこうしてこれをちょこっと混ぜると……」
何やら怪しい実験を開始したアミンの言葉も上の空に、ロイスはそれが何に使うのか思い出そうとしていた。ゼリーの方は分かるが、
あのカエルの油は確か……そうだった、夜毎に自らの尻の限界と闘う孤高の戦士(戦乙女)達の不測を癒す、麻酔効果のある痛み止めだ。
「それお尻の薬じゃないですか。そんな物を一体何故?」
「これを入れるとゆるくなって挿れやすくなるんだって、本のウラワザに載ってたんだ。量が少ないから長く持たないけど。」
「そんな本一体どこから買ってきたんですか!変態も大概にしてください!」
「か、買ってないよ!拾ったの、っていうかそんな変態なの私?」
「拾ったってどこで!?」
「酒場までショートカットしようと思ったら路地裏にぽつーんって、なんか拾ってくださいって感じで……
エッチな事も、そ、それ読んで……ウソじゃないよ!ホントだよ!」
俄かに信じ難い話だが、アミンは恐らく嘘を言っていない。アミンが嘘をつくと直ぐに顔に出る。常に笑っていたり、視線を忙しなく
動かしてみたり。アミンの事に関してはオルガと不思議なほど意見が一致しており、些細な事で反発し合う彼女との数少ない共通認識
でもあった。
アミンの言っている事が本当なら……恐らくそれは忍者の仕業だ。歴史の積み重なったリルガミンには多くの謎が存在しているが、謎
ある所に忍者あり。路地裏から始まる性教育、エロ本を拾う少年少女を影から視姦忍者がいてもおかしくない。全裸ながらに経験を積
めば積むほどACが下がっていくのもよくよく考えれば全くの謎なのだ。
「ほ、ほら、私、エッチな事、出来るよ。ロイスの事だって、受け止められる。だから、だから……」
自らの手で秘裂を割り広げ、切なげな声で呟くアミン、蝋燭の明かりはだいぶ小さくなっているが、小さな膣口が限界近くまで広がり
その中にある膜の存在がおぼろげながら確認出来る。理性を保とうとするロイスも彼女の誘惑の声には勝てず、ふらふらと彼女の元に
近づき亀頭を粘液濡れの膣口に押し当てる。きゅん、と切なく鳴くアミンの声が聞こえた。
「分かりました。……好きです、アミンさん。」
「ロイス……私も。来て……!」
ロイスが背中を丸める格好でキスをすると、アミンは覚悟したようにぎゅっと目を瞑った。
「くっ、やっぱりきつい……アミンさん、大丈夫ですか?」
「へ、平気だよロイス。苦しいけど……なんとか。」
拡がりやすくなったとはいえ構造的に無理がある事には変わらず、リープスライムの潤滑剤を頼りに自らを押し込むようにして挿入を
始めるロイス。アミンも異物の挿入感に苦悶の吐息を漏らす。互いに動きを合わせながら結合を深めていき、途中にある薄膜に一物の
先端が触れた。
「お腹が、広がるっ……ぜ、全部入った?ロイス……」
「まだです。力抜いてください、アミンさん。」
「へ?……痛、っ〜〜〜!!!」
彼にしては珍しく有無を問わない言葉の後、何かが裂けるような感覚と共にロイスの一物が更に奥へと入っていく。互いの性器でぴっ
ちりと密着した結合部から僅かに血が滴り落ち、彼女のスカートに零れて染め上げる。
「痛ったぁ〜、この薬効かないじゃんバカぁ!後で書いた奴に文句つけてやる……」
「す、すみません……」
「……でも、痛くて苦しいけど、ロイスが初めてでよかった……」
痛みを堪える為かロイスに甘えるようにしがみつき、それがロイスの心を更に刺激する。尚も未開拓の膣内を割り開き、小さなアミン
の身体に驚くほどの長さが収まっていく。とうとう最奥の壁に亀頭がこつんと触れた。
「今度こそ本当に入った?ロイスのおちんちんでお腹パンパン……はぁ、はぁ、ロイス、気持ち良い?」
「締め付けが痛いくらいに……でも大丈夫です。アミンさんも痛くなくなったら言ってください、何とか動いてみますから。」
「わかった、もうちょっと待って……ん、大丈夫。ロイスも出したくなったらいつでも出して良いからね。
人間じゃ赤ちゃん出来ないし、ロイスの全部、受け止めたい。」
「わかりました。でも後でラツモフィスだけは掛けさせてくださいね。万一というのもありますし
こういう事自体はあまり褒められた事ではないですけど、同じ冒険者としてアミンさんを愛しているので。」
「ロイスったらほんと理屈っぽいんだから。……でも大好き♪」
お互いに向かい合った姿勢のままロイスが一物を引き抜こうとすると、ぴったりと締め付けるアミンの膣壁が吸い付くように引っ張ら
れる。カリから先端にかけて搾るような圧迫が掛かり、膣襞が腰を引くロイスを離すまいと絡み付いてくる。
「んんんんんっ……!」
再び一物を吸い付いてきた膣壁ごと最奥まで押し込むと、溜まった愛蜜の一部が結合部から零れ落ちる。
「くはっ!」
そして再度引き離し、突き刺す事を幾度も繰り返す。ロイスを窮屈に締め上げるばかりだったアミンの膣壁も腰を振る度に愛蜜が擦り
込まれて馴染んでいき、打ち込まれた一物に甘美な刺激を与え、同時に自らも快楽を享受する雌の生殖器へと変貌を遂げていく。アミ
ンの吐息に艶が混ざり始め、高まる快感に縋り付くようにロイスの上衣を握って離さない。
「ふぁっ、ん、あ、あっ、ロイス、ロイスのおちんちんすごいっ、あっ、やあっ!しゅごいっ!」
「気持ち良すぎてもう出そうで……でももう少し、っ!」
「ほぇ?――あっあ、あっ、おくっ、奥にっ、やっ、っ、当たって、おっきくなってるっ!」
互いの肉体的な繋がりを更に強めるべく、ロイスは片手でアミンの腰を、もう片方の手で肩を抱き寄せ互いに向かい合う座位の姿勢に
なる。今すぐにでもアミンの中に出したい衝動を堪えると、ロイスの一物に掛かる圧力が急激に高まり、更にアミンの膣壁を押し広げ
ていく。そのままグリグリと膣壁を、子宮口を刺激すると、結合部から愛蜜がごぽごぽと泡を立てて滴り落ちシーツを濡らしていく。
「くぅっ、もう出るっ……!」
「ひゃうっ!お腹熱いっ!」
堪え切れずにアミンの膣内へ精を迸らせるロイス。アミンは快感に殆ど自我喪失状態でロイスにしがみ付き、中に出された精液に歓声
を上げながらも、アミンの膣は精液を一滴も零すまいという本能によって一物を締め付ける。
「これで……最後っ!」
射精感もそのままにアミンをしっかり抱き寄せ、深く深くまで自らの一物を突き刺し出せる限りの精液を解き放つ。
「〜〜〜〜っっっぁああああああ!!!!!」
痙攣する腰を目一杯押し付け、ロイスの精液を全て受け止め、繋がったまま達してしまった。声を出し切るとそのまま脱力してしまい、
ロイスに抱っこされるような形になるが、アミンの膣壁だけは精液を飲み込むように尚も蠢動を続けていた。
「っはぁっ、はぁっ、はぁっ……」
「あ、あっ、イッ、ん、ちゃったぁ……はふ、ぁ、ふぁ……」
アミンが真に求めていたもの――自らの中に微かに残り続け、やがて自身を食い尽くしてしまうのではないかという不安、悲しみ――
それを吹き飛ばすような他者との繋がり。ロイスと身体だけではなく、心まで一つになった幸福感に酔いしれ、今まで見せた事の無い
ような緩みきった笑みを見せた。ロイスは彼女のそんな表情に応えるかのように背中をさすってやった。アミンが甘えるように顔を身
体に擦り付けるのでキスする事が出来ないのがもどかしいが、それもまたくすぐったくて心地良い。
「えへへ……ありがとロイス。怖いのとか、不安なのとか、全部吹き飛んでいっちゃったよ」
「お役に立てたのなら嬉しいです。僕も……率直に言えば、とっても気持ち良くて……
ひょっとしたら無意識の内にアミンさんに無理かけたかなって思ってた所です。」
「どーいたしましてっ。そうだ、もう恋人同士なんだからさん付けて呼ばなくて呼び捨てで良いよ。」
「それは……何と言うか、もし他の仲間の人達の前で呼び捨てにしたら変に思われないですか?
それにその、やっぱり気恥ずかしいというか何と言うか……」
「……分かった。恋人っていうのは私達だけの秘密ね。ちゅっ♪」
先程の淫らな交わりとは打って変わって、啄ばむような音の軽いキスをロイスの頬にするアミン。彼の顔が赤く染まっていくのが一目
で分かって面白い。
「そうです、さっきも言ったとおり万一の時に備えてラツモフィス掛けておかないと。」
「ねえ、その事なんだけどさ。今のロイスってラツモフィス残り1回しか掛けられないじゃん?だ、か、ら……」
ごぽりと精液が吐き出る音を立てて結合を解くアミン。ロイスの一物は多少硬さを失っており、深くまで挿されたそれを引き抜く時は
一物がぐにゃりと曲がり、ちゅぽんと音を立てて引き離された。ロイスによってアミンの膣はすっかり拡げられてしまったが、混じり
合った液体を中に留めようと呼吸の度に少しずつ収縮していく。そのままベッドに四つんばいになり、ロイスが舌で愛撫した時のよう
に両手で秘裂を割り開いてみせる。
「まだまだ足りない。もっともっと欲しいの。ロイスの全部、ちょうだい……」
「……任せてください!」
アミンのおねだりが功を奏し、ロイスは背後からアミンに圧し掛かる。若さが滾り、快感を覚えたばかりの二人の精力は迷宮の夢魔に
も劣らないだろう。すぐさまアミンの膣内に一物が突き入れられ、二つの歓声が上がった。
――数日後
「あらロイス、ごきげんよう。今日も精が出るわね。」
迷宮の隅で仲間の到着を待つロイスの元に、珍しく魔法使いがやって来て話しかけた。
「オルガさんじゃないですか。いったいどういう風の吹き回しで……他の皆は?」
「今日はちょっと用事があるから先に行くと伝えてあるわ。あなたに一つ、忠告したい事があるのよ。」
「お説教なら勘弁してくださいね。魔物に会う前から体力削られそうですから。」
「……あなた、最近アミンの事が好きなんじゃないかしら。」
「!?」
予想外の指摘に驚きを隠せず、数歩後ずさるロイス。アミンと色々やっている事は仲間に未だ打ち明けていないが、もしかしてバレて
しまったのか。初日の交わりからは音が漏れないよう部屋にモンティノを掛け、それが切れるまでの楽しみとしていたのだが。
「ふん、やっぱり当たりね。最近妙に二人の距離が近いような気がしてたのよ。前より私に対して聞き分けが良くなってきたし
良いトコ見せようとしてるんじゃないかしら?」
「そういう事ですか。多分それは……考えすぎですよ。」
「隠したって無駄よ。アミンの事は騙せても、私に嘘をつこうなんて考えない事ね。」
カマを掛けられていたという事だが、どうやら正解は半分程だったようだ。いつかは隠しきれなくなると思っていたものの、こうも早
くにバレるとなると何と説明して良いかまるで見当がつかず、何とかこの場を打開しなければと頭の中を言葉がぐるぐると駆け巡る。
「そ、それで、忠告ってそれだけですか?そうだとしたらとんだお節介ですよ。」
「……好きなのよ。」
「……へ?」
「私、アミンの事が好きなの!今日にでも想いを伝えるつもりだわ、だからあなたが手に入れようとしても無駄よ!
今までずっと迷ってたけど、あなたがそう目論んでるみたいだから先に言っておくわ!」
「…………」
ロイスは今、眼前にグレーターデーモンの群れがいたなら喜んでその肉体を捧げていただろう。普段は相容れない者同士なのに、何故
こういう時だけこうなってしまうのか。息巻くオルガの前でロイスはただ張り付いたような笑みを浮かべるしかなかった。