温泉での一件の後も、フィルリスはレリスタと組んで迷宮探索を続けていた。最初のころは
少し気まずかったが、あれからキスを迫ってくるようなことはなかったので、今ではすっかり
自然体で接することができるようになっていた。もっとも、仲良くなればなるほど、その気持
ち単に仲間に対する好意ではないということのでは……という疑問が胸のうちを占め始め、別
の意味で緊張してしまっていたが。
「外し終わったよ……あれ、どうしたの?」
 金貨の入った皮袋と、装飾の施された小さな盾を手に持ったレリスタがフィルリスの思索を
途切れさせる。どうやら罠の解除が終わったようだった。
「ああ、何でもない……そろそろ食事にしようかと思って」
「そうだね、俺もお腹すいてきたし」
 穴の開いた大きめの石を置いて、そこにたいまつを刺して固定したまま、フィルリスは
「……えっと、今日は、私が作ってきたんだが……」
「え、作ってきたんだ……フィルリスって料理もできるんだね」
 受け取るとき水晶のように固く美しい爪がたいまつの明かりを反射してきらめいた。傷を作
りがちな自分の指とは違う、繊細な美しさに思わず見入ってしまう。
「…………店が開いてなかったからな、やむをえずだ」
 表情を戻すと、レリスタの隣に座って包み紙を開ける。簡単なサンドイッチだったが、レリ
スタは喜んでくれたようで、おいしそうに頬張っていた。
「うん…………お店のパンよりずっとおいしいかも」
「……一人でいるときは、よく自分で作っていたからな」
 あっという間に食べ終わってしまったレリスタ、その顔を見ていると、今度もまた作ってみ
ようかな……という気分にさせられる。考えてみれば、今まで誰かのために料理を作るなんて
ことはなかった。にもかかわらず、レリスタのために作ってあげるのはあまり嫌ではなかった。
 むしろ、彼のためならいろいろしてあげたい……そんな気持ちが芽生え、咲きほころぶまで
になっていた。

「そういえばさ、さっき見つけた鎧……付けてみない? 胸当てより丈夫そうだし」
「鎧か……そういえばあったな」
 レリスタの話を聞きながら道具袋を覗き、身体をすっぽりと覆ってくれそうな厚手の鎧を取
り出した。作り自体は安っぽく、凡庸なものだがったが、腹や肩、首まで守れる構造になって
いたので、胸当てよりは信頼できそうだった。
「こんな重たいの、持って歩きたくないからな……装備してみるか」
 立ち上がると、フィルリスは胸当てを外し、鎧下一枚という姿になったまま、重量感ある鎧
を手に取った。
――――――――――――――――――――――――
 目の前でいきなり着替え始めたフィルリス、胸当ての下はごく普通の布服を身につけていた
ので、それを突き破らんばかりに前に出た豊かな膨らみを見せ付けられてしまった。普段は、
胸当てに隠されており、見ることができなかった爆乳……わずかな動きでもゆさゆさっと鈍く
揺れるそれは、汗でシャツが貼り付いているということもあり、服の下の肌色が透け、双球の
大きさまであからさまになっている。
「………………」
「あれ、どうやって外すんだ……?」
 さらに、都合がいいのか悪いのか、フィルリスは鎧の装着に手間取っているようだった。取
り外しできる腕の部分を身につけた後、胴体部分を眺めながら途方にくれていた。レリスタも
身につけ方を知らないため、持ち上げられたり垂れ下がったりとせわしなく弾む乳房を存分に
堪能することができた。
「あ、こうか…………よし、できた」
 そんなレリスタの目には気づかないまま、フィルリスは鎧との格闘を終える。分厚い鉄板が
胸の膨らみを完全に隠してしまったが、胸当てのときよりも目のやり場は多くなり、逆に安心
した。
「どう、だ…………?」
「いいよ、似合ってる。そっちのほうが強そうに見える」
 鎧で覆っているのは上半身だけであり、下のほうは相変わらずスカートとスパッツだけだっ
た。後ろのほうを見せようとフィルリスがくるっと回転したところで浮かび上がるお尻のライ
ンが見えてしまい、前を歩かれればお尻に目が行ってしまうのには変わらないのか……と複雑
な気持ちになる。

 何度かの探索を経たことで、レリスタも少しずつ戦闘に慣れ、装備品も充実してきた。浅い
階層であればかなり奥まで行動範囲を広げられるようになっていた。
「ただな、これ以上奥に行くには……2人じゃ足りないかもしれない」
 フィルリスがこのすぐ先にある階段のほうに目をやった。ここを降りると敵が格段に強くな
り、倒すどころか逃げるのに精一杯になってしまう。さらなる戦力増強は避けられなかった。
二人の表情も静まり返ったものに変わっていく。
「いったん戻る? 新しい人見つかるかもしれないし」
「そうだな……そのほうがいいか」
 急遽予定を変更し、二人は出口へと向かった。帰り道ではどんな人をスカウトしようか、今
度は魔術師か僧侶、司教なんかもいいと二人で話し合っていたのだが……
 実際に酒場に行ってもタイミングの悪いことに新規の冒険者はみんな他とパーティーを組ん
でしまっており、仲間になってくれそうな人はいなかった。高レベル冒険者を雇うだけの持ち
合わせもあるはずがなく、やかましい酒場で途方にくれてしまった。
「……出直すか?」
「それしかないみたいだね……レベルの低い中立の盗賊なんて、やっぱり役に立たないのかな
……」
 隅のテーブルに座り、二人して安い葡萄酒を飲んでいた。フィルリスだけなら自分のところ
に来てほしいという人もいたのだがそれは全部断ってくれた。分け前が減るし、自由にやれな
いからと言っていたが少しだけうれしかった。
「そんなことはないと思うが、つぶしが利きにくいのは確かだな」
「やっぱり、もう少し二人だけでがんばって、下まで行けるように……」

 ここまで言ったところで空いている席にビールのジョッキを持った大男が座る。鋭い眼光で
二人を見据えたかと思うと、ジョッキを勢いよくあおり、ビールを一気に飲み干した。
「お前ら……仲間探してんだってな?」
「ああ、そうだが…………」
 髪を短く刈った筋肉質の男、頬やむき出しの腕には大小さまざまな傷があり、それだけで歴
戦の勇士だということがわかる。さらに、男の全身から発散される野卑た威圧感にレリスタは
押されてしまい、何も言うことができなかった。
「俺を雇え、分け前は半分でいい……いい話だろ?」
「……名前は?」
「ジェイクバレットだ、よろしくな」
 ジェイクバレットの識別用の指輪を見ると、どうやら君主のようだった。君主といえば、聖
職者に近い存在ということもあり、どこか潔癖なイメージを抱いていたが、一歩間違えれば野
盗と勘違いしてしまいそうな容姿のジェイクバレットは、そこからかけ離れていた。さらに、
どうにも嫌な予感がした……言葉では言い表せないのだが、奴と一緒にいると何かよくないこ
とが起こりそうな気がした。
 疑いを抱いてしまったきっかけは、ジェイクバレットの、フィルリスに対する視線だった。
まるで裸を見ているような卑猥な、ねめつける目つき……何を考えているのか、レリスタにも
わかってしまう露骨なものだった。
「私はフィルリス、こっちはレリスタだ…………喜んで、と言いたいところだがその前に実力
を見てからにしたい、それでもいいか?」
「ふん……疑い深いんだな、まあいいか……じゃあ、入り口で待ってるからな」
 話は終わったといわんばかりに、小銭を置いて出て行こうとするジェイクバレット、これで
払っておけということなのだろう。しばらくの間二人で顔を見合わせていたが、最初に口を開
いたのはフィルリスだった。
「どうする……チャンスだと思うのだが」
「それは、そうかもしれないけど…………」
 フィルリスの言う通り、こんなチャンスはめったにないだろう。ジェイクバレットはかなり
の実力者である可能性が高く、より深い探索を可能にしてくれるだろう。
「……でも、よくわからないけど不安なんだ……あいつとは一緒に行かないほうが……」
 レリスタの心配に、ややうつむき加減になるフィルリス。唇をきゅっと閉じて葡萄酒が残っ
たグラスを睨む、美しさすら感じられるその表情を窺っていると、彼女も迷っているみたい
だった。

――――――――――――――――――――――――
「正直言えば、不安がないわけじゃない。だが、私も冒険者だ。このチャンスは逃したくない
……心配するな、善の戒律だろうが悪の戒律だろうが冒険者には冒険者の掟がある。悪いよう
にはならないさ」
 言い終えて、これは説得力がないな……と感じてしまう。レリスタは掟に外れた行為の被害
者だからだ。
「まあ、私もついてる……だから心配するな」
 この一言が効いたか、本人の迷いを表すようにきょろきょろと動いていたレリスタの目が止
まった。そして小さくうなずく、心は決まったみたいだ。
「…………確か、入口で待ってるって言ってたよね」
「ああ、向こうの気が変わらないうちに急ごう」
 地下迷宮の入口前でしばらく待っていると、荷物を抱えたジェイクバレットがやってきた。
君主にもかかわらず悪に染まっているのか、装備しているのはいわゆる悪シリーズと呼ばれる
まがまがしいデザインのサーベルと防具一式だった。
「お、もう来てたのか、これはお前らへのプレゼントだ。」
「これは…………」
 大振りの袋から取り出したのは鎖帷子だった。それも店売りの粗悪品ではなく、希少な鉱石
である緑蝋を使った、いわゆる氷の鎖帷子だった。鎖状の金属が幾重にも編まれているが、通
常のそれと大きく違うのは、半透明の素材ゆえに日にかざすと向こうが透けて見えてしまうと
いうことだった。
「下にこいつを着てくれ」
 もう一つ、同じ素材で作ったのか透明な鎧下と、さらにその下に身につけるのだろう、ビキ
ニタイプの胸当てだった。合わせて身につけたとしても、身体の線はくっきりと浮かび上がる
だろうし肌の大部分を実質的に晒してしまうことにもなる。
「…………わ、わかった、向こうで着替えてくる」
「鎧は捨ててきていいからな、邪魔でしょうがないだろ?」

――――――――――――――――――――――――
「ど、どうだ…………」
 着替えの終わったフィルリスが戻ってきた、半透明の鎖帷子と鎧下は抜けるような白い肌を
透かし、その奥にある赤いビキニの胸当てをくっきりと見せている。匂やかな爆乳のふくらみ
と深く切れ込んだ谷間……舌なめずりをしながらその部分に熱い視線を送ってしまう。
「に、似合ってるんじゃないかな……」
 もっとよく見ようとジェイクバレットが近づこうとしたところで、レリスタが前に立ちはだ
かった。視線の意味にいち早く気づいたようで、その身体でフィルリスを隠してしまう。いい
物が見れなくなり、とっさに睨みつけて舌打ちしてしまう。
「しかし、これは結構恥ずかしいな……」
「こっちのほうが頑丈だ、死んでも魔法で何とかなるが……死なないに越したことはないから
な」
「わかっている、じゃあ……行こうか」
 どこか恥ずかしそうなフィルリスと視線を反らし平静を装おうとするレリスタ、なかなかの
初々しさだった。二人の妙なぎこちなさからして、互いに意識しているのだろうが、一線は踏
み越えていない……ジェイクバレットはこう当たりをつけた。
「隊列はフィルリスが先頭、俺が次、レリスタが一番後ろ、これでいいな?」
 本来なら自分が先頭になるべきだが、自分のスケベ心を満たすためにあえて定石とは異なる
提案をする。前を覗き込めば歩いているだけでゆさゆさと揺れるであろう乳房と、プリーツス
カートから形を大きく浮かばせている丸尻を舐めるように見たかった。
「……フィルリス、あんたの剣の使い方も見ておきたいからな」
「そうだな、そのほうがいいかもしれん、レリスタも大丈夫だな?」
「ああ、フィルリスがそれでいいなら……」
 レリスタは若干だが疑いの目を向けている。ジェイクバレットの意図に気がついている可能
性が高い。しかし、力関係ではこっちがずっと上だからか、何か言ってきたりはしなかった。
「……決まりだな、早速だが、一気に下まで降りるぞ、腕を磨くにしても、効率は大事だから
な」

 階段近くで転移の魔法を使う、これで実力の半分は証明したも同然だ。事実、二人の見る目
は高レベル冒険者の力量を目の当たりにしたことで少し変わってきている。
 まだ新人のレリスタはともかく、ある程度経験を積んでいるフィルリスは自分と同じ位置ま
で来るのにどれだけの時間がかかるかわかっているはずだ。その視線には尊敬の気持ちも込め
られている気がした。
「レリスタ……一応保護の魔法をかけておくがたぶん気休めにしかならない、絶対に無理はす
るなよ」
「あ、ああ…………」
 正直レリスタのことはどうでもいいが、悪の戒律の冒険者とはいえ、仲間を見殺しにしたと
あれば自分の評判も下がる、あくまで最低限の紳士的な振る舞いをしつつフィルリスを促し、
探索を開始した。
「…………たまんねーよな」
 前を歩くフィルリスの左右に揺れるお尻に、視線が集中してしまっていた。プレートアー
マーでは隠れてしまいそうな部分も、彼女が氷の鎖帷子の裾を腰の位置で留めておいてくれた
ため、足を一歩踏み出すごとに振動でぷるんっと揺れて、持ち上がる尻たぶやスカートにしわ
ができたり、丸さが浮かび上がったりと、押し込められた巨尻の動きにジェイクバレットは何
とかそれを目に焼き付けようと自然とフィルリスとの距離を縮めてしまっていた。

 そして、前から見下ろせば質感たっぷりの乳房のふくらみが……片手では到底つかみきれな
いほどの大きな胸のせいで、おそらく足元は見えないだろう。こちらも歩くたびに上下に波
打っており、動きは手に取るようにわかってしまっていた。乳の揺れは布製のビキニで固定さ
れているものの、たっぷりとした凝脂でできており、より柔らかそうに、ダイナミックに揺れ
ている。
「………………?」
 手を伸ばせば触れそうな位置まで、気がつけば近づいてしまっていた。フィルリスが疑わし
そうな目つきで振り向く。慌てて距離をとると内心で苦笑いを浮かべる……いい大人が一回り
以上年下の少女に興奮してしまった。幼女じみた背丈の少女に発情してしまうなど恥ずべきこ
とだが、フィルリスは普通の少女とはまったく異なる。豊満を通り越し、巨大ともいえる左右
の双球に、胸には劣るがそれでも十分立派な肉付きの桃尻……手を出さずにはいられなかった。
「……ジェイクバレット、俺が真ん中のほうがよくないか? 後ろから狙われたら……」
「はあ? 大丈夫だって……お前はそんなこと…………」
 歩きながら振り向けばレリスタが前に割り込もうとする。その目には、フィルリスへの視線
の意味を察したかのような軽蔑の色が込められている。
「そうだな、そのほうがいいかもしれない……」

 自分が真ん中を歩くというのは、決して理にかなった行動ではない。だからこうして反論さ
れると弱い。幸いにもフィルリスはジェイクバレットの企みに気づいていないようだったので、
しぶしぶだが隊列を変えることにした。すぐ前にあった絶景はレリスタにほとんど隠されてし
まい、自分の機嫌が悪くなっていくのがわかった。
「ちっ……」
 いっそ今すぐ実力行使に出ようかとも考えたが、それだけは……と必死に自分をコントロー
ルしようとする。冒険者の数を確保するためか、冒険者同士のトラブル……それも善悪のいさ
かいについては城のほうでも厳しく目を光らせており、フィルリスに出るところに出られると、
これまでの冒険者としての功績には関係なく首をはねられてそのまま埋葬、何てことになるか
もしれない。
 フィルリスをものにするためには、少しでも彼女にいい印象を抱いてもらい、その上で口説
き落とすか、やらざるを得ない状況を作るか……どちらかしかなかった。
「あいつを何とか……いや、利用するか……」
 思索をめぐらせつつも、先ほどのあまりに官能的な光景が妄想を作り出し、その邪魔をする。
目に焼き付けられた実り豊かな胸部と臀部のふくらみ、どこをとってもフェチズムをくすぐる
ものだった。
 まずはあの胸、時折市場で売られる大きな南国の果実ほどの大きさのそれは、きっとこの上
ない、指が食べられてしまうような柔らかさだろう。傷つきやすい素肌は指を飲み込んだかと
思えば程よい弾力を返してくれる。
「あそこに挟んだら気持ちいいだろうな……」
 深い谷間に竿肉を根元まで挟みこみ、フィルリスが動けば、先走りと流れる甘い汗でねっと
りと照り光る左右の山が程よく圧迫してくれる、動けば動くほどに汗がにじみ、滑りはよくな
り、波間で揺れる小船のように翻弄されてペニスが溶けてしまうのでは、という極上の感触を
与えてくれるはずだ。
 とどめに、上乳から顔を覗かせた亀頭を舐め回して貰えば言うことはない、肉茎上部におず
おずと当たる小さな舌、わずかなざらつきと少女の粘膜特有の柔らかさ、特に傷一つない内頬
は頬の丸さにふさわしい厚みで、きゅっと口を窄めてくれれば上下左右から押し寄せる肉が押
し沈めた切っ先を擦り立ててくれ、下手をしたら一気に射精してしまうかもしれない。
「…………ああ、早く触りてぇ」
 あの肉のついた手のひらもきっと気持ちいいだろう、あどけないフィルリスが戸惑いと恐怖、
羞恥の色浮かべた上目遣いで見ながら、軽く指先で扱くだけでジェイクバレットの屹立もたち
まち天を突いてしまう可能性が高かった。口とは違う、押しつぶすような圧力と、細やかかつ
的確な動き……薄絹をかぶせたような指肌の気持ちよさ、温かさ、緊張でうっすらと浮かぶ汗
……フィルリスが小さな指で輪を作ればカリ首が締め付けられ、残りの指頭は裏筋を強くなぞ
り、しかも、鈴口からにじみ出る我慢汁がローションの役割を果たすこととなり、上下に扱く
手の動きはますます速くなる。
 その間フィルリスはずっとペニスとジェイクバレットの顔を交互に、不安そうに見つめてい
る。とどめに射精、白味が強く、わずかに黄ばんだ精液は液体というよりはゼリーのように濃
く、顔にびっしりと付着したそれは、ゆっくりと頬や顎を伝って流れ、乳房や腕、下腹にも注
がれてしまう。
 最後に、ボリュームたっぷりの尻と太ももを思い出す。真ん丸で肉付きのいいお尻は叩けば
ぶるんぶるんと激しく揺れて大波を打つに違いない。感触は乳房よりも少し硬いだろうが、吸
い付くようなきめの細かい肌は撫でる手をエスカレートさせるだろうし、指でつつけば、どこ
までも指先が沈んでしまうだろう。
 深い尻の谷間にペニスを挟み込んでも気持ちいいかもしれない。ふんわりとした大きな尻山
を揉みくちゃにしながら、押し付けたペニスを巨桃の割れ目に沈ませて、ピストン運動さなが
らに腰を荒々しく振る。乳房とは違って多少鈍感だろうから乱暴にしても大丈夫なはずだ。ゆ
さゆさっと重たげに揺れるお尻は、フィルリスが腰を艶かしくくねらせることで、刺激が加わ
る、このまま尻で果てるもよし、ペニスをスライドさせてみっちりと肉の詰まった太ももに挟
ませるもよし……妄想に浸っていると、当然にペニスも起き上がってしまっていた。

「…………ジェイクバレット、何か来るぞ」
 鈴の音色、ではなかった。幼さの中にも凛としたものが見えるフィルリスの声で我に返った。
夢想に費やされていた五感を集中させると、遠くから押し殺した息遣いと忍ばせた足音が聞こ
えてくる。
「あれは、魔物かもしれないな……レリスタ、戦いが始まったらこれを使え、気休めくらいに
はなるだろ」
――――――――――――――――――――――――
「…………」
 手渡されたのは杖だった、握っているとなぜか少しだけ暖かい。いつでも使えるように短剣
と杖を持ち替える、2人もそれぞれ剣を抜き、やってくる何かを待ち構えていた。
 近づく足音、静まり返った迷宮の中で聞こえるのはその音と、3人の呼吸音だけだった。
いったいどんな敵が来るのか、ある程度深くまで潜った今では、フィルリスはともかく、レリ
スタは刃の一振りで殺されてしまう可能性もある、ここまでの緊張感は久しぶりだった。
 たいまつのぼんやりとした明かりの中、現れた敵の姿がうっすらと見えた。自分たちと同じ
姿で、2本の足で立って歩いていたので、思わず同業者かと思ってしまった。
「……あいつらはもう人間じゃない、ただの魔物だ」
 フィルリスが言うように、奴らは見た目こそ同じだが、雰囲気がまったく異なる。迷宮の暗
さやかび臭さの奥に見え隠れするぎらついた悪意、間違いなく魔物だった。

 敵の数は全部で4体、杖を構えた魔術師が1体と、メイスと盾を構えた僧侶が1体、それらを
かばうように前をふさぐ長槍を持った胴鎧の男が2体、おそらくこれは侍だろう。
「レリスタ! 杖を使え!」
 ジェイクバレットの怒号が飛んだ、かざした杖からは火炎が巻き起こり、炎の蛇が後ろにい
る僧侶と魔術師を舐めるように取り巻いた。魔術師がひるんだところで、今度はジェイクバ
レットが冷気の魔法を唱える。魔力によって作り出された氷柱は、炎にひるんだ僧侶と魔術師
に直撃し、奴らを絶命させた。
「フィルリス、左の侍を狙え!」
 二度の魔撃からは免れた無傷の侍が槍を構えて飛び掛る、一方はジェイクバレットに切りか
かり、そして他方はフィルリスに突きを仕掛けた。
「こいつっ!」
 金属のぶつかり合う音、レリスタは後ろで様子を窺っているもののフィルリスと侍の間に
割って入るだけの余裕はなかった。侍が繰り出す突きは、浅い階層の敵とは比べようがないほ
どに強く、速く、正確で、受け流し、切り払うフィルリスの方にも次第に余裕がなくなりつつ
あった。
「下がって!」
 何とかして彼女の助けになりたいと、レリスタは後ろから杖をかざし舞い上がる炎の渦で侍
を吹き飛ばした。これが功を奏したか、火に巻かれた侍は槍を落とす。その一瞬の隙を縫って
フィルリスが甲冑の隙間から侍の左胸を長剣で突き刺す。赤黒い血を吐いた侍はそのまま動か
なくなった。
「終わったか?」
 声がした方を向くと、ジェイクバレットはすでに片をつけていた。驚いたのはその力で、悪
のサーベルという細身の剣にもかかわらず、敵の侍が左右に真っ二つになっていたところだっ
た。
「すごいな……」
 聞こえたのは、汗に弾んだフィルリスの賞賛の声、嫉妬を覚えないわけではなかったが、こ
こまでの実力差があれば仕方がないと自分を納得させた。
「まあ、このくらいはな……レリスタもやるじゃないか」
 レリスタの背中を大きくバシッと叩くと、ジェイクバレットはさっさと歩き出す。宝箱もな
いようなので、フィルリスと二人でのしのしと進む大きな背中を追った。

 それからしばらくの間探索を続けたが、ジェイクバレットのおかげで安全な道中だった。集
団で襲われれば爆発の魔法で全てを灰に変え、少数の精鋭であればサーベルで1体1体急所を狙
い、一撃でしとめていく。あまりの強さにレリスタとフィルリスはただ脱帽するばかりだった。
「この先に回復の泉がある、少し休んでくか」
 ずっと歩いていたおかげで、ダメージはないものの疲労はすっかり蓄積してしまっていた。
「順番は……」
「……俺は最後でいいよ、二人とも結構やられてるだろ?」
 たいまつを地面に置き、少し離れたところにある扉を見ながらレリスタはその場にしゃがみ
こむ。皮鎧の下でべっとりとにじむ汗がだんだんと冷えていくのが気持ち悪かった。
「私からで、いいか?」
 フィルリスが立ち上がろうとしたところでジェイクバレットがうなずく。扉へと向かう後ろ
姿を見送りつつ、彼女の姿が消えたところでたいまつに目を移した。
「…………こんなところまで来ちゃうなんてな……」
「金も、アイテムも普段とは比べ物にならないだろ…………俺に感謝しろよ」
「わかってる、ありがとう」
 感謝の気持ちを口にしたものの、当初感じたジェイクバレットへの胡散臭さはほとんど拭い
去れていなかった。フィルリスに絶えず注がれていた卑猥な目線、妙になれなれしい口調……
実力差から何も言えない自分がもどかしかった。
 また、変な目で見られていることに気がついていないのか、フィルリスはジェイクバレット
のベテランとしての強さに、尊敬の念すら抱いているような気さえした。もしかしたら、その
うちにとんでもないことが起きるかもしれない、フィルリスにも警戒してほしいのだが、言い
方を間違えれば自分の器の小ささが露呈することにもなりかねない……

「さてと…………」
 ジェイクバレットが立ち上がろうと地面を蹴った音が悶々とした思いを霧散させる。その足
は扉の方を向いており、先に進もうとしているのがあからさまだった。
「おい、どこに行くんだ?」
「ちょっとな……覗きに、お前も行くか?」
 覗き……その言葉に一瞬思考が中断した、フィルリスの成熟した艶かしい柔肌を想像してし
まうが、それ以上にジェイクバレットへの怒りが胸の内にこみ上げてくる。
「そんな、何考えてるんだよ!」
「いいじゃねーか、裸見るくらい。あんなエロい身体してるんだ、レリスタだって見ただろ…
…あのでかい胸に尻、ガキみたいな顔してるくせによ……」
 フィルリスへの露骨な感情を示すかのような舌なめずり、彼女が喜んで肌を晒すとは思えな
い……止めなければと考えるが、力で勝てるはずもない。

「だめだっ、そんなこと……」
「別にやっちまおうってわけじゃないんだ、ちょっと見るくらいならいいだろ、減るもんじゃ
ないし」
 フィルリスが何かされたら、衛兵か迷宮を巡回している自警団に申し出ればいい、ただ……
覗き程度ではどちらも動いてくれないだろう、だから自分で何とかするしかない。道具袋を漁
りながら、ジェイクバレットを足止めできないか……知恵を総動員し、次の一手を思索する。
「それとも何か? お前……あいつのこと好きとか言うんじゃないだろうな?」
「…………そ、それは……」
 馬鹿にした笑いを浮かべるジェイクバレット、なんと言われようが否定なんてできるはずも
ない。最初に会ってから、毎日顔を合わせて一緒に探索するたびに彼女に恋愛感情じみたもの
を抱いたことは事実だったから。だからこそ、目の前にいる男がしようとしていることを許す
わけにはいかなかった。
「へっ、まあ好きだろうが嫌いだろうがどうでもいいけどな。邪魔するようなら…………」
「待てっ!」
 道具袋に入っていた眠り薬の小瓶と指がぶつかる。ジェイクバレットが振り返ったところで、
レリスタはそれを顔面めがけて投げつけた。
「くっ……お前、何を…………」
 蓋の開いた瓶から液体が漏れ、ジェイクバレットの顔面に降り注ぐ。よろめいたかと思うと
そのまま倒れ込み高いびきをかき始めた。

「……もしかして、とんでもないことを…………」
 とっさに眠り薬を投げつけてしまった……後で何をされるかわからなかったが、フィルリス
を守ることが出来たので後悔はなかった。
「どうしよう……」
 よほど深い眠りなのか、ジェイクバレットは起きようとしない。途方にくれていると扉の開
く音が、フィルリスが戻ってきたようだ。
「フィルリス…………」
 束ねていた髪を解いた彼女はいつもよりどこか大人びて見える、目が合った瞬間、にこやか
な微笑が返ってきたが…………
「きゃああっ!」
 駆け寄った瞬間、足元がぐらりと揺れた。どうやら落とし穴に引っかかったようで、助けよ
うと駆け寄ったレリスタもろとも下の階層まで落ちてしまう。
「いててて……大丈夫?」
「ああ、なんとかな。しかしついてないな……落とし穴があったなんて、上まで行けるか?」
「……あいつから、転移の兜を預かってたから大丈夫」
 頭に身につけていたのは一度だけ転移の魔法を使える兜、これがあれば一気に出口まで行く
ことも可能だった。一緒に落ちてきたたいまつに改めて火をつける。頼りない明かりの中に
フィルリスの不安そうな顔と濡れた髪が浮かんだ。

 少し歩き回ったがどうやら玄室に落ちたみたいで、左右に一つずつ扉があった。冒険者も頻
繁に訪れるようなところではないのか、物音一つ無く、周囲からは何の気配も感じられない。
「ジェイクバレットは?」
「あ、そのことなんだけど…………」
 かび臭い部屋の中で、小さな敷布を二人分用意すると、フィルリスの向かい側に腰を下ろし
て、彼女が水浴びをしている間の騒動について語る。次第に彼女の顔が引きつり、紅潮し、怒
りを露にしていくところがひどく印象に残った。負の感情を見せていても、そこには子供が頬
を膨らませて怒るようなあどけなさが見える。
「そんなことを……何か、嫌な予感はしてたんだ。ずっと私のことばかり見てきて、レリスタ
がいなければ今頃……」
 この一言でフィルリスが、レリスタと同様にジェイクバレットのことを何とも思っていない、
むしろ嫌悪していることを知って安心し、改めて彼女を助けることができてよかったと安心し
た。
 しかし、うつむき加減で返事をするフィルリスを見ていると、自分もジェイクバレットと同
じなのではないか……と自己嫌悪に陥ってしまっていた。レリスタの視線は、両脚の膝を立て
て踵を揃え、両腕で両膝を抱え込んで座っているフィルリスの、膝の上に乗っかった大きな乳
房やスカートがめくれて顔を覗かせている白い太ももとその奥のスパッツに隠された豊満なお
尻にどうしても固定されていく。
「……ありがとう、レリスタがいなかったら、私…………」
「い、いや……フィルリスには、いつも助けられてばかりだから……」
「私だって、レリスタのおかげで……」
 立ち上がったフィルリスがレリスタの隣に座る。あまりに魅力的な身体を見ずにすむのはあ
りがたいが、今度はすぐ近くで吐息、温もり、甘い匂いを感じてしまい、否応無く股間が高
ぶってしまう。
「前に、私のこと……助けてくれたときも…………」
 振り向くと視線がぶつかる。大きな黒い瞳はうっすらと潤んでいた、いつもより力の感じら
れない目元、桃色に染まる頬、わずかに開いた濡れた唇、顎に当てられたり、肩や二の腕を落
ち着き無く動く指……何もかもが興奮を煽るスイッチになりつつあった。しかし、こみ上げる
思いは性欲ばかりではなかった。身を寄せる彼女がひたすらに愛おしかった。
――――――――――――――――――――――――
 もう一度レリスタに助けられたことで、彼への思いはますます強くなった。周りの冒険者と
は違う繊細で心優しい、しかし男性としての強さも持っているレリスタに、フィルリスは惹か
れる一方だった。肩をあずけると、皮鎧越しにほのかに感じるぬくもりが伝わってきた。その
まま眠ってしまいそうな穏やかな気持ちと、すぐ側にレリスタがいることで感じてしまうふわ
ふわとした落ち着かなさ……その二つで心の中がいっぱいになっていた。
「………………」
 指先までがぼんやりと熱い、お風呂に浸かった時を思わせる上気感がまとわりつくのを心地
よくも、気まずくも感じていると、前に温泉でキスしてしまったことを思い出した。あれから
後は、キスもしていないし、手すら握っていない。レリスタが迫ってこなかったことについて
は安心した反面、物足りなさも覚えていた。だが、自分から思いを打ち明ける勇気もなかった。
「フィルリス……」
 声を追えばレリスタの、高揚に彩られた声が……そして手のひらを包み込む肌の感触。嫌で
はない、むしろもっと近くでレリスタを感じたい。キスは結婚してからなんて言ったが、本当
は今すぐにでもしたい……急激に訪れた気持ちの盛り上がり、落ち着いているときの自分とは
もはや別人だった。
「な、何だ…………?」
 いつもより密やかで湿やかなレリスタの声、気の聞いたことを一つも言えない自分の不器用
さが嫌だった。ただ、手を強く握り返すだけだった。好きなら言うべきだ、相手は自分より年
下で、冒険者としてのキャリアも少ない。男が女がとか言う前に、自分から動くべきではない
か、でももし断られたら……好きだという感情が一方通行だったら……いろいろな考えが頭の
中で煮立ってしまう。
「………………」
 聞き返したところでレリスタが押し黙る、浮かんだ汗で互いの手のひらが滑りそうになった。
二人の間を漂う重たい沈黙……その間ずっと、レリスタの目は、フィルリスを見つめていた。
「お、おいっ……!」
 レリスタの顔が近づく、何かを思う間もなく唇に温かみが触れた。最初にキスしたときのこ
とが脳裏をよぎった。あの時と同じ……いや、それ以上に神聖さすら感じさせる気持ちよさが
フィルリスの全身を溶かしていった。

――――――――――――――――――――――――
 やってしまった……以前、二度目の口づけを拒まれたときのことを、レリスタは思い出して
いた。触れ合う唇からもたらされる、クリームをふんだんに使ったケーキのような甘さに酔い
つつも、また嫌がられるのではないか……懸念はためらいを生み、舌をこじ入れることがどう
してもできなかった。
「あ……ごめん、でも、俺……フィルリスのことが………………最初に会ったときから、好き
だから……でも、いきなりキスしたのは、やっぱり……」
 フィルリスは頬を赤く染めながらも上目遣いでレリスタを睨みつけていた。やはり怒ってい
るのだろうか、だが鼻の奥に残る甘やかな芳香は、容赦なく理性を奪っていく。
「………………馬鹿、順番が逆だろ」
 瞳から放たれる鋭い光は、だんだんと妖しさを帯び始める。それとともに目尻も下がり、ど
こかとろんとしたものへと変化した。
「わ、私も……お前のこと、嫌いじゃない…………違う、好き、だ…………」
「……フィルリス…………」
 もうためらう必要はないと再び唇を寄せる、押し入れた舌でフィルリスの口内をかき回し、
舌の柔らかさ、味、匂い……全てを自分のものにしようと、絡み付いてきた舌にしゃぶりつく。
「んっ、んぅ…………っ」
 頬から首筋に指を歩かせる、フィルリスの頬は柔らかく、生命の温もりそのものを感じ取る
ことができた。
――――――――――――――――――――――――
 レリスタも自分と同じ思いだった……心配して思いを打ち明けるのをためらっていた自分が
馬鹿みたいだった。レリスタの身体にしがみついたまま、フィルリスはこれ以上は無理だとい
うほどに身体を伸ばして、小さな舌で口の中をなぞり続けた。
「はうっ、う……ぅ、ん、ふあっ……」
 息苦しくなっても、構わずに舌を貪る。いくら相手のことが好きでも自分から積極的にキス
をすれば、消え入りたくなるほどの羞恥が全身を駆け巡るが、それは全て彼を愛したい、ほし
いという気持ちに上書きされていった。いつ誰が来るかもわからない玄室というシチュエー
ションでさえも、今のフィルリスにとっては何の意味もなしていない。
「んっ…………!」
 お互いの思いがわかった今、キスだけで終わるはずはないということくらいわかっていた。
すべすべした細い手が、首筋から腰へと動き、お尻に触れてくる。身体がこわばる……小さな
身体にたっぷりと乗っかった二つの膨らみ。物珍しそうにじろじろ見てくる人もいれば、露骨
に猥雑な視線を送り込む男もいた。レリスタはそのどちらでもなく、恥ずかしそうな様子で遠
慮がちにちらちらと見てくるだけだった。不思議なことに、これは不快ではなく、彼が望むな
らもっと見せてあげたいという気持ちにさせられることまであった。
「あぅっ、さ、触る……のか?」
 だが、見ると触るでは話が別だった。心の準備ができないまま、お尻に指がずぷっと沈み込
むのを感じると、手を振り払いたい衝動に駆られた。

 手のひらを宛がい、まさぐり始める手を止めようと、レリスタの手に自分の手を添えた。
「…………ごめん、また調子乗っちゃった」
「いや、その……も、もっと…………触っても、いいぞ」
 いつもの自分では決して言わないような一言だった、だがレリスタになら触ってほしい、も
ちろん触れる指にもいやらしい気持ちはこもっているのかもしれないが、それ以上に何か高価
なものに触れているような、おそるおそると愛でる手つきがその気持ちを覆い隠していた。
「あぁっ…………」
 手が肉を掻き分けつつ這い回る。お尻だけではなく、太ももからその奥にまで……思わず脚
を閉じてレリスタの手をむっちりとした太ももの肉で挟み込んでしまった。反射的な行動だっ
たが、レリスタは拒否されたと思ったのだろう、手を引き抜いて脚の外側を線にそってなぞり
始めた。
「ん、はあぁ……大胆、なんだな…………こんなところで」
「でも、フィルリスの身体、すごく気持ちよくていい匂いがして……我慢できないんだ」
 気持ちよくていい匂いがする……レリスタに言われると、なんだか褒められている気がして
自分が内に秘めたコンプレックスが少しだけ氷解したような気がした。そもそも、フィルリス
はドワーフと人間のハーフとしての、あまりに肉付きのいい胸やお尻が嫌いだった。動く時は
邪魔だし、男からはじろじろ見られる。外套や鎧で隠してもその奥まで視線が入り込んできて
いるのでは、と疑心暗鬼に陥ることもあった。
 
 もし、自分に触れているのがジェイクバレットだったら、ひたすら不愉快なだけだろう。
「……そうか……でも、くすぐったいから、あまり変な風に触るなよ」
「わ、わかってる……ねえ、もう一度…………キスしても、いい?」
「い、いいぞ」
 肯定の返事をした刹那、レリスタの唇が自分の唇を封じる。侵入を始めた舌から感じる彼の
体温と唾液のぬめり、熱い息遣いがフィルリスの高まった気持ちをくすぐる。舌は強ばったり
丸まったり尖ったりしながら、知らないところで自分の居場所を探すように遠慮しつつ動いて
いた。もっと落ち着いていいよと、フィルリスは舌で捕まえて、ちゅうぅっと音を立てて表面
をしゃぶりたてた。
「ん、ぅ、はあ、うっ……んん、ああぁ…………」
 もっと動いてほしいと思いつつも、意中の彼と熱い口付けを交わしたことで、眉間のあたり
も晴れやかになる。だんだんと身体に力が入らなくなっていく、手足がもつれ、レリスタに寄
りかかってしまう。重たくないかと心配したが、そっと受け止めて笑いかけてくれた。
「フィルリス、気持ちいいよ……」
 押し付けられた胸が鎖帷子の中でむにゅりとつぶれる。脱ぎたい……レリスタにも脱いでほ
しい。生まれたままの姿になって、一つになりたい。その思いを伝えるようにレリスタの唇を
啄ばみ、唾液を送り込むように舌を彼の口内で泳がせた。

「脱がすね……」
「………………」
 恥ずかしそうに小さくうなずいたが、むしろ向こうから言ってもらえて助かった。留め金を
外す音が頭の中で妙に響く、地下迷宮の中で行為に及ぼうとしているから、周りに見つかりた
くないという思いが感覚を鋭敏にしているのかもしれなかった。
 思考がそれた間に、フィルリスは鎧下もスカートも脱がされてしまっていた。今身につけて
いるのは、ブラの代わりに身につけているビキニアーマーとスパッツだけだった。露出するに
したがって肌寒さが襲い掛かってきたが、たいまつの炎、レリスタの呼吸と指の熱が冷えよう
としている身体を温めていく。
「……あんまり、じろじろ見るな」
「だって、すごくきれいだから」
 薄布の上から乳房に触られる、指は容易に飲み込まれ、むず痒さを与える。男と女の営みに
ついては本で読んだだけだが、指が擦り動くだけで雷が全身を走るように痺れてしまう……と
書いてあった。
 だから、くすぐったいだけの愛撫にフィルリスは拍子抜けしたものを覚えていた。それでも、
レリスタが触っているという事実だけで、身体の奥からじわじわと何かが溶けて漏れ出すよう
な……不思議な気持ちよさを感じつつあった。
「ん、はうっ……そっちは……っ!」
 人差し指が乳房の頂点へと這い進む。レリスタが指頭でそこをゆっくりとつつくと、重たい
肉弾がふるふると揺れる。そのまま指は乳首の位置を探ろうとしているのか、円を描き始めた。
「柔らかくて、ぷにぷにしてる……」
「い、いちいち言わなくていい」
 妖しい雰囲気が二人を包んでいた、キスをして、身体に触れるだけでは終わらない……この
後されることを想像すると、小さく背中が震えた。

――――――――――――――――――――――――
 フィルリスの乳房、夢にまで見た、手のひらで包んでもこぼれてしまう豊かな脂肪の塊……
痛がらせないように、穏やかに指を押し沈める。もっとも、人肌に温めたお湯を詰めた氷嚢を
思わせる、暖かくも、指が溶けてしまいそうな柔らかさに手つきは自然と激しくなってしまう。
「ぅ……あ、あっ…………」
 彼女の顔色、言葉の調子を窺いながらふよふよと弾む胸肉を優しく揉み立て始める。レリス
タの手の動きよりも大きな力で揺れが返ってきて、まるで波間に漂う小船のように翻弄されて
しまった。それでいて、ふにゃふにゃと頼りない柔らかさの奥には、むっちりと肉の張り詰め
た弾力があった。さらに、中心部分は柔らかすぎる乳肌とは異なり固くなった部分が……そこ
に指を引っ掛けると、フィルリスは大きく目を見開いて、腰を捩り始めた。
「はあ、っ……だ、め……」
 拒絶の言葉は弱弱しく、内側には受容の意思も見え隠れしていた。レリスタはだめという2
文字を軽く受け流し、ぷっくりと膨らんだ円周と、中心の円柱をくの字に曲げた指で擦り始め
た。

――――――――――――――――――――――――
 乳首に触れた瞬間、下腹から腰、背中にかけて小さな電流が流れた。本で読んだときの感覚
に少し近くなったがまだ違う……指戯を身に浴びるうちに、自分が自分でなくなるほどの快楽
が全身を包み込むと書いてあったのだが、少なくとも今の自分は何かを考える余裕がある。
「っ……こういうの、初めてなんだよな……?」
「あ、うん……どうしたの?」
「んあ、っ…………もっと、強くしてもいいぞ……」
 あまり気持ちよくないのは、レリスタが手加減しているからだろうと、乳首におずおずと触
れている指をもっと堂々とさせるために背中を押した。レリスタが黙ってうなずくと、先端を
なぞっていただけの指が盛り上がりを見せた果肉を摘み、爪を立てて引っかき始める。布越し
の小さな突起は強い刺激を受けることでますます固さを増し、肌の火照りもより強くなり、腋
や首筋にはうっすらと汗をかいている。
 しかし、神経の集まった部分を抓られることで、生痒さは気持ちよさに、そして気持ちよさ
は痛みへと変わってしまった。
「……痛っ…………!」
「ごめん、大丈夫?」
 申し訳なさそうなレリスタの声、指が離れると不快な痛みがあっさりと消えてなくなったが、
弱弱しい指弄は身体の芯についた火を燻らせるだけで燃え上がらせてはくれなかった。初めて
触れる身体を気持ちよくするのは難しいんだろうと自分を納得させる。
「強くしすぎだ、まったく……ふあぅっ……今度は弱すぎだ……」

 レリスタの手は胸を揉みつつも、今度はお尻のほうに向かっていた。腰を滑り降りて、その
すぐ側にある急カーブを上っては下る……彼の手のひらよりもずっと大きなお尻を撫でてはま
さぐり、指を押しもぐらせては揉みしだき、簡単に形を歪ませるそれをおもちゃにしている。
「はあ、っ……んん、ぅ」
 スパッツとショーツを隔てていても、指の動きは手に取るようにわかる。羽でくすぐる動き
は、徐々にエスカレートし、肉が指の隙間からはみ出るまで五指が食い込み、豊満な肉をもみ
くちゃにし始める。乳房よりも皮膚が厚いからか、激しく弄ばれてもほとんど痛みはなかった。
「っ、ああ、ん……ひ、う……」
 お尻を揉みながら、乳首を摘み上げ、指の腹や側面で挟んだ尖りを転がす……正直に言えば、
単純な動きだった。しかし、レリスタと寄り添って、レリスタに愛されて、肉体はともかく、
心は一部の隙間もなく満たされていくのがわかる。心と心が触れ合う快感と興奮で、笑顔を
作ったつもりだったが、しかめ面とも泣き面ともつかない顔をしてしまっていた。
「……どうしたの? やっぱり、痛い……?」
「いや、平気だ。気にするな」
 今から考えれば、初めて出会ったときからこうなる運命だったのかもしれない。当初抱いて
いた彼への頼りなさは何度か探索をするうちに見せた著しい成長で払拭された、お人よしでど
こか優柔不断なところもあるが、何度も自分を助けてくれた。そして、自分なんかを好きでい
てくれる……これ以上望むものは、一つも無かった。

「こっちも、いいよね…………?」
 いちいち許可を得なくてもいい、フィルリスの目はそう語っていた。まずビキニアーマーを
外し、その後で下腹部に運んだ手でスパッツと下着を脱がした。
「………………」
 一糸纏わぬ姿になったフィルリスは胸や股間を手で覆い隠そうとする、今すぐにでも手を引
き剥がして乳首やスリットを見たかったが、そんなことをすれば怒られるだろうなと躊躇して
しまう。
「俺も脱ぐからさ……全部見たいな、フィルリスのこと」
「……………………あ、ああ」
 皮鎧を外し、布服やズボンを全て脱ぐ。フィルリスも躊躇を見せていたが、手をどけて、
真っ白な肌、丸々と実った果実、その頂点で小さく震える、桜色に輝く小指ほどの豆粒、やや
肉のついた腹部、脂の乗った太もも、そして……一本の毛も生えていない割れ目。全てがレリ
スタの目を射抜いた。
「た、たいまつを消してくれ……」
「そんなこと言わないで、すごくきれいだよ」
 赤い炎に照らされたうつむき気味の横顔、首筋から肩にかけてのなだらかなライン……むき
出しのペニスはあっという間に勃起し、斜め上を睨んでいた。
「脚、少し開いてくれる?」
 重めの太ももに触れながら脚を左右に割り開く。フィルリスはまったく抵抗しなかった。く
つろげ広げられた肉の狭間に顔を近づけながら、桜色の割れ目に指をしのばせる。一本の毛も
生えていないということもあってか、ふんわりとした外側の唇が指に心地よかった。
「んふっ、あああっ…………!」
 これまでとは明らかに違う反応、蜜に蕩けそうな肉は、胸やお尻よりもずっと敏感だった。
薄桃色の肉裂はうっすらと潤いを被っており、往復させる指に温かいぬめりが付着した。内側
の唇は折り重なるようにしてぴったりと閉じている。指を第一関節辺りまでくぐらせると柔ら
かかった肉がきゅっと縮こまり、レリスタの指を追い出そうとしてきた。

――――――――――――――――――――――――
 レリスタの指は表面を優しく滑りながらも、少しずつ秘裂をくじり開けて、中に進もうとし
てくる。ソフトな触り方にもかかわらず、未貫通の穴はそれを異物とみなし、強ばった内側が
レリスタの指を遠慮なく締め付ける。
「あう、んっ……っはあっ!」
「どうしよう…………もっと奥まで、進めても……?」
 うろたえるレリスタの手を優しく握る、そして身体の力を抜いて息を深く吐きながら指を膣
奥まで導いた。
「心配ない、と思う。指よりもっと太いのが、んくっ……入るように、あっ、できてるはず、
だから……!」
 自分が勝手に力を入れているだけなのに、彼を困らせてはいけない、理性ではそう思えるの
だが、近いうちに訪れる処女喪失の緊張感からか、身体同様に膣内もこわばりを見せているよ
うだった。
「本当だ、これなら……入るかも」
 露出したペニスをスリットに宛がわれる。経験はなくてもその行為が性急であるということ
はなんとなくわかった。そして、レリスタとの行為が始まってから、ずっと抱き続けていた不
満も少しずつ膨らみ始めていく。気持ちいいことには変わりはない、ただ……何かが違うよう
な気がしていた。穏やかな漣が足を撫でるような……もっと、もっと荒々しい波に身体ごと掬
われたかった。一度は封じ込めた思いだったが、なまじ女としての官能を引き上げられてし
まったことで、かえってその思いは強くなってしまった。

――――――――――――――――――――――――
 フィルリスの膣壁とにじむ愛液を指でかき混ぜているだけで、どうにも我慢できなくなり、
彼女の小さな身体を敷布に寝かせると、ペニスを濡れた割れ肉に押し付けたまま、ゆっくりと
腰を沈める。
「っく…………」
 襞の一本一本までがペニスにしっかりと絡みつく。穴の中の感触は口の中に少し似ていたが、
それよりもずっと狭く、形も複雑だった。膣孔はフィルリスが呼吸をするたびに開いたり閉じ
たりを繰り返し、レリスタの肉棒を奥に導こうとしていた。
 今まで感じたことのない至上の快楽に、思わず腰を猛然と動かしそうになるが、フィルリス
の顔を見ると苦痛に歪んでいた。腰を掴む手に爪が立っているのも、痛いからに違いない。
「ごめん、痛いよね……」
「ん、ああぁ……思ってたより、痛くない。続けてくれ」
 二人がつながっている部分を見ても、血は出ていなかった。これなら大丈夫だろうと、腰の
動きをゆっくりにしつつも、亀頭を前に前に進ませる。奥深くを突くごとに粘膜の締め上げは
ますます強くなり、膣壁は亀頭だけではなく、棒にも絡みついてきた。
 この気持ちよさは言葉で例えようがない、できたてのしっとりした蒸し菓子をシロップに浸
したような、ふっくらとしているのだがどこか足を置いたらすぐに滑ってしまいそうなぬたつ
きもあり、穴の収縮で圧迫感を受けているにもかかわらず、比較的スムーズに肉を掻き分ける
ことができた。
「はあ、っ……く、ぅ…………」
「……ううっ、こんなに気持ちいいなんて……」
 肉の筒はつるりとしており、摩擦間はほとんどなかったが、内部は起伏に富んでおり、ぶつ
かる突起や襞のぞよめきがレリスタのペニスをあっという間に射精まで追い込んだ。
「フィルリス……で、出そう……」
 根元と袋の間辺りが疼き始める、射精の合図だった。こみ上げてくる発射したいという衝動
と格闘しながら、レリスタは抽送のスピードを遅くしたり、フィルリスの乳房を揉みしだいた
りして、少しでも長く持たせようとした。
「だめだ……っ、外に……」

 中出しを拒むフィルリスが腰を引こうとする、このとき身を捩ったことで肉棒が挿入される
角度が変わり、同時に襞も縮こまることで濡筒の圧力がますます強くなってしまった。それが
災いし、肉棒は引き戻されるどころかますます奥へと進み、膣穴の咀嚼を竿全体に浴びてしま
う。
「う、ううううっ!!」
 これまで以上の気持ちよさが結合部から全身を一気に走り抜けた。互いの粘膜が圧着し合い、
襞肉は不規則に締め上げてくる……まとわり付いてくる生きた洞窟は、とろみのある液体に浸
した上質なシルクのようであり、さっきまで童貞だったレリスタに耐えられるものではなかっ
た。
 頭の中で起こる小さな白い爆発、直後に先端から精液がほとばしった。フィルリスのたっぷ
りとした少し重い身体を抱きすくめながら、二回、三回と腰を振り脈打つペニスから精液を発
射させた。
「あ、ああっ……出て、る…………」
 頭も身体も弛みきってどろどろになりそうな快感、総身からせり上がったそれはぞくぞくと
鳥肌が立つほどの強烈なものだった。
――――――――――――――――――――――――
 予告もなしに中に射精されてさすがにむっと来たが、出しているときのレリスタの気持ちよ
さそうな表情を見ているとそれも許せそうだった。秘所から這い出してきたペニスは白い液体
にまみれ、湯気を立てている。
「ごめん、我慢できなくて……」
「……まったく、今日は大丈夫だからよかったものの……気をつけてくれ」
 小さくなった男性器に目をやる、体格の割には細く、長さもそれほどではなかった。このお
かげで痛くなかったのだと思うと彼に救われた気分になり、小さな男根にも愛らしさを覚えた。
「…………? もしかして、もう一回か?」
 起こそうとした身体を再び倒される。フィルリスの後頭部に添えられた手のひらの熱と汗に
心地よさを感じていると、再び勃起したペニスが膣内に入り込んできた。
 前に下がって、後ろに戻る……一定の間隔で一定のスピード、中を汚した精液が潤滑油の機
能を果たし、1回目よりも滑りはよく、痛みも軽減されていた。そうなると今度はレリスタの
腰の動きが気になってしまう。
「うっ、くっ……あああっ」
「……んっ、はあ、っふ……」
 前後のストロークが気持ちよさを与えてくれるものの、レリスタが感じているような強烈な
ものではなかった。自分もレリスタと同じく忘我の快楽を味わいたかった。だが、どうすれば
いいのかわからない……愛する彼との営みに満足しながらも、フィルリスは何か引っかかるも
のを感じていた。
「フィルリス……ごめん、気持ちよすぎて……」
 中の小さな穴を埋め尽くす肉茎が、びくっびくっと大きく震えた。顔をゆがめるレリスタ、
あと数回の動きで射精が始まる……それを全て受け止めたい気持ちにさせられ、フィルリスは
巨大な乳房を押し付けるようにレリスタにしがみついた。
「いいぞ……一回も、二回も同じだから」
 勃起ペニスの動きが激しくなり、やがてその動きが止まったかと思うと、亀頭が大きく膨ら
んで精液が発射される。一度目の射精のときも感じた温かさと安らぎ、レリスタのものならい
くらでも受け止めることができる、子供ができたら冒険者としては困るかもしれないが、それ
でも彼の子なら生んでもいい……そんな気分にさせられた。

「もう一回……するか?」
「いや、もう出ないかも……」
 肉の刀が鞘から出て行くと、どろりとした精液が割れ目からこぼれた。お尻のほうを伝い敷
布にしみを作る白濁液を見ていると、レリスタと結ばれたという実感がどんどん湧いてきた。
身体は満たされず、なんとなくもどかしさが残っていたが、それでもうれしかった。
「レリスタ…………」
 肌の火照りが残る中、フィルリスはレリスタにそっとキスをする。結ばれた後の口付けは高
級な砂糖菓子を思わせる甘さで、何度も何度も唇を啄ばんで、頭の中まで痺れそうな悦びに浸
りきった。

――――――――――――――――――――――――
「はあ? 今日で解散だと!?」
 合流したところで突然の一言、言い出したフィルリスの明らかに軽蔑した目線……レリスタ
が何か言ったに違いないが、事を大きくしたくないジェイクバレットとしては何も言い返すこ
とはできなかった。
「いろいろあってな……悪いとは思っている……今日の稼ぎは全部ジェイクバレットのもので
いい」
 まずはこっそりとフィルリスの身体を堪能し、その間にあれこれ策を講じて彼女を自分のも
のにする……その計画が第一段階で躓いてしまった。
「あ、ああ……それならしょうがないよな。ま、せいぜいがんばってくれ」
 平静を装いつつも、内心はレリスタへの怒りで煮えたぎっていた。あいつが余計なことさえ
しなければ、そもそもあの眠り薬は自分がフィルリスに悪戯するために調達してきたものだっ
た、それをあんな形で使われたのは屈辱だった、自分が悪いことも棚に上げて思わず唇を噛ん
でしまう。
 さらに許せなかったのは、二人が行為に及んでいたことだった。フィルリスから感じ取った
精液と愛液の匂いで出し抜かれてしまったことを思い知らされる。
「…………覚えてやがれ、フィルリスは俺のものだ、お前みたいな雑魚に渡すかよ……」
 立ち去る二人を見ながら、極上の獲物を逃す手はないと、何とかフィルリスを奪い取るため
のいいアイデアを思いつこうとする。そして一つの妙案を思いつく。
「そうだ、あれを使うか……」
 脳裏を占めるのは一度も見ることはかなわなかったフィルリスの裸体。それがジェイクバ
レットに組み敷かれ、後ろから貫かれ、蕩けた顔をして自分の身体に脚を絡ませる……想像が
性欲を煽りたて感情に火をつける。
 処女を奪われたは計算外だったが、フィルリスが男を知ったことで逆にやりやすくなったか
もしれない……暴走する性欲と歪んだ復讐心で笑みを浮かべたジェイクバレットは、はやる気
持ちを抑えつつ宿へと向かった。