「ねんがんの バタフライナイフを てにいれたぞ!」
「 メ几
木又してでも うばいとる」
「ハッハッハッ、既に装備しちゃったから外せないもんねー」
「うぜぇ…」
明らかに浮かれまくってる忍者(元盗賊)と、半眼のダークエルフ2名。
ドラウエルフとも呼ばれる彼女達は、例に漏れず非常に肉感的なスタイルを持ち、また扇情的な格好を好む。
「これで『人間の盗賊とか某乾物を彷彿とさせるからNG』とか言われずに済むぜ!」
「今後は罠解除が乾物並になる癖に」
「マジだっての。FFFPTMで忍者になるとか意味わかんねーし」
レアアイテム手に入れたら後先考えずに転職するのはマーフィー(ズゴースト)の法則である。
「明日から俺が前衛やればいいもーん。ドワーフのオッサン1人リストラして美少女司教ちゃんでも入れよっかな」
「何が美少女司教ちゃんだよ。悪のビショップなんざウチらと同じドラウだっての」
「どう見てもガングロビッチです。本当にありがとうございました」
「おお、こわいこわい。BBA共の嫉妬は醜いねえ」
「んだとこのクソガキ!」
「待てやコラ逃げんな!」
しかし既に忍者の姿は見えなくなっていた。
「あんのガキゃあ、いつか殺ったる」
「無理だっての。バタフライナイフの威力知ってんでしょ」
2D10+15である。ちなみにハンドミキサーの威力は1D3+9。
「加えて呪文抵抗あんだっけ?んじゃウチらじゃ無理ゲか」
彼女達の職業は僧侶と魔術師。マスターレベルの猛者だが呪文抵抗の前には為す術が無い。
「くっそ、何かいい手無い?」
「いい手ねえ。殺るのが無理なら犯っちゃう?」
「逆レイプって奴? あんま気乗りしないけど」
「いやさ、男って出した直後に弄ると弱いじゃん」
「そだね。潮吹いたりとか…ってそれだ!」
「そゆこと。文字通り一滴残さず絞りとってやろうよ」
ドラウらしい悪巧みである。
その日の夜。
「うーん、右手が使えない生活って不自由だな」
右手にピッタリとくっついたままのバタフライナイフを眺めながら独り言。
「飯も風呂もトイレも苦労するなあ。世話係とか雇った方がいいかな。金ならあるし」
ここはロイヤルスイートの一室。HP満タンで泊まれば加齢しないので馬小屋の次に人気の部屋だ。
「となると当然その世話係は女の子だな。男に世話なんてされたくないし、それに」
チラッと視線を下げる。
「できればこっちの世話もして貰いたいし♪」
まだ少年の歳にとって、右手が使えなくなって一番困るのがこれである。
「明日から早速探すか。今日のところは仕方ないから浮気相手の左手を本妻に格上げって事で」
そう言いながら左手で股間をモゾモゾ。いつもと違った感覚がある意味新鮮。
と、
「おい、盗賊。じゃなかった忍者。入るぞ」
「え? あ、ちょっと待って」
慌てて左手でバスローズの帯を締め直し、股間の勃起が目立たないのを確認してから扉を開ける。
声の主は見知った顔だった。
「なんだ、僧侶と魔術師か。まだ昼間の怒ってるの?」
「違うっつーの。つーかさっき一緒に飯食ってたろうが」
「入るよ」
返事は聞かずにズカズカと入る。
参ったなあ、と胸内で呟く忍者。今から一発抜こうとしてただけに中途半端に昂ぶっているのだ。
その状態でエロい体と格好の美女が2名。しかも個室に3人きり。
昼間はババア扱いしたものの2人は今が旬の19歳。一方自分はやりたい盛りの15歳。
仲間内でエロエロ、もとい色々あると面倒になったり気まずくなったりするので極力避けたいが果たして。
「で、用件は何?」
興奮しないよう極力2人から視線を外して来訪の目的を訊ねる。
「ん、たまには同僚とファックするのも悪くないかなって」
初っ端から配慮をぶち壊された。
「何だかんだで今後はお前がパーティの中心だし、色んな意味で仲良くなっといて損ないし」
「それにほら、今日から満足にオナニーもできないだろ?」
ニヤニヤといやらしい笑み。
「今日のところはウチらで抜いてやるよ。感謝しろよ」
「いや、い、いいよ。別にそこまでしなくても」
展開自体は嬉しいが慌てる忍者。というのも。
「遠慮すんなって。それともアレか?チンコ小っさいから見られたくないか?」
ギクッ
「包茎だとか?」
ギクギクッ
「気にすんなって。そんなんで笑ったりしねーよ(表向きはな)」
「皮被りなんて腐るほど見てきたっつーの(大半は剥けてたけどな)」
ニヤニヤしながら言われても説得力が無い上に本音が見え隠れしている。
一番知られたくない相手に知られてしまい(しかも見られる前に)、衝動的に右手のナイフで喉元掻っ切りたくなってくる。
「どれどれっと。おっ、準備万端じゃんか」
「おっほっほっほ〜元気だあ( ^ω^)」
自殺衝動を押さえ込んでる間にバスローブが捲られ、雁首が包皮に隠れた勃起が露になる。
「真性…じゃないな、ちゃんと剥ける。こんなの気にすんなって(女に見せる時は普通剥いとくけどな)」
「それに硬いじゃん。これだけガチガチならオッケオッケー(つーか短小の上にフニャチンじゃ救えねえけどな)」
「うぅ…」
(表向きは)優しい言葉をかけられ、と同時に軽く扱かれ、少年の硬度は益々増す。
「んーっと、ほんじゃ早速」
パクッ
「ふあっ!」
滑り気のある暖かい空間が茎全体を優しく包み込む。短めなのが幸いしたか、根元まで気持ちよさで満たされる。
じゅぶ、じゅぶぶ、じゅるるっ!
「おー激しい( ^ω^)」
窄めた口を激しく前後したかと思えば今度は亀頭だけ咥え、口内で舌が縦横無尽に動き回る。
魔術師による激しい口撃にルーキー忍者はただただ悶えるばかり。
「出したくなったらいつでもいいぞ。ウチらのテクじゃどの道持たねーだろし」
背後に回りこんだ僧侶が忍者の両乳首をまさぐる。刹那、忍者の体にスタナーの罠を引いた時のような電流が奔る。
その様子に満足しながら更に耳の穴をねっとりと舐り、射精を促すアシストをする。
「そろそろだろ? 遠慮なくクチん中ぶちまけちまえよ」
「うん、早く飲ませてぇ」
耳元と股ぐらからの甘い誘惑に飲まれそうになる。
しかし、
「その、ゴメン、実はまだ…」
「ん? まだイキそうにないか?」
宛が外れた顔の2人。大抵の男は自分ら2人掛かりの責めに耐え切れずに放出してきたのだが…
「意外と持つんだな。ちょっと見直したぜ」
面白いとばかりにニヤリと笑うと、忍者の顔を横に向けさせ、僧侶は舌をねじ込んだ。
気に入った男以外とはキスしない彼女からの、初撃に耐えた彼への褒美であり、また次こそ確実に仕留める為の愛撫でもあった。
「んんっ、んっ、んんんっ!」
まるで久方ぶりに再開した恋人同士のような激しさ。
ある意味これ自体が本当の意味でのオーラルセックスなのでは、と思えてくる程情熱的なディープキス。
間近すぎて直接は見えないが、忍者の目が軽く蕩けているのを感覚で読み取り、内心勝ち誇りながらも更に相手の口腔を責め抜く。
一方の魔術師も舌の位置が下がり、丹念に睾丸を嘗め回していた。また、陰茎への絶妙な握力による激しい摩擦も忘れていない。
更には止めとばかりに僧侶の右手が背中を伝い、中指が尻間の蕾を捉える。
「!?」
今まで全く受けた事の無い種類の刺激に、戸惑いと新種の快感が全身に響き渡る。
ぷはぁと僧侶は顔を離すと、案の定少年の表情は快楽に完全に飲まれていた。
その成果に満足すると、仕上げに耳元でそっと囁く。
「ねぇ、そろそろ見せて、キミがいっぱい精子出すところ」
「早くちょおだい。あたしの顔にいっぱいかけてぇ」
魔術師も呼応し、顔を鈴口に寄せながらも手淫の速度を早める。
だが、
「ごめん、凄く気持ちいいのに、何故か出ない」
申し訳無さそうな言葉が部屋に響く。
完全に肩透かしを喰らい、若干不機嫌な顔になる僧侶と魔術師。
「あれ〜? これでも駄目?」
「キミってもしかして遅漏?」
それでも手は止めずに魔術師。
「いや、どちかというと自分でする時は早いんだけど…」
「皮オナしすぎなんじゃね?」
グサッ
「もしくは緊張しすぎてイケなくなってる」
グサグサッ
「ああ、ドーテーそーしつでいきなり3Pだとキンチョーするなって無理か」
「Fau Fau Fau Fau Faulty Tower!」
「それ元ネタの方だって」
「んー、しゃあないなあ」
そこでようやくピタッと手を止めると、優しくベッドに押し倒す。
唾液でぬらぬらと光る怒張に跨り、先端を入り口に合わせる。
「本当はこっち使うつもりなかったけど、特別ね」
「まーちゃんそれでいいの?」
僧侶が問う。魔術師だからまーちゃんらしい。
「だってしゃあないじゃん。こうなったら抜かずの三発で搾り取るしかないもん」
そのままずぶずぶと沈め、
「ひいいいいっ!?」
魔術師が奇妙な悲鳴をあげた。
「ど、どしたん?」
「いや、その、なんか凄いキタ」
「は?」
「入れた瞬間、凄くキタのよ」
「あの粗チンで?」
「うん」
本人を前に粗チン呼ばわりは如何な物か。
「ふぁ…あ…ぁ」
一方侮辱された当人は、初めて味わう女の感触にそれどころではなかった。
「あ、やば、これ、マジヤバ。動くだけで、ヤバいこれ」
軽く結合部が擦れただけで、魔術師の全身に甘美な信号が大容量で伝わる。
「あー、だめ、これ。いい、悔しいけど、気持ちよすぎこれ」
腰の動きが早まる。それは相手から搾り取る目的を忘れ、自分が気持ちよくなる為の動きだった。
「前後じゃ駄目じゃね? 上下じゃないと」
僧侶の指摘は、男性にとっては前後より上下の抽送の方が気持ちいい事を指してるのだが、
「だから、だめなんだって、これ。もう、どうでもいい。チンポ、このチンポ凄いの」
魔術師の耳には届いていなかった。完全に目的を見失っている。
「だめ、もう、あた、いっちゃ」
腰の動きが早まり、
「やぁっ、イッ!!!」
大きく一度痙攣し、そのまま少年の胸元へ倒れこむ。
「おいおい、マジかよ」
本気で達した魔術師を信じられないといった顔で見る僧侶。
「えっと、何か申し訳ないんだけど、俺まだ…」
射精に至る前に相手に達され、悶々とした表情の忍者。
「ああ、続けていいんじゃね? 下からも突けるっしょ」
「え、いいの?」
「えっ、やぁ、だめぇ。いま、されたら」
ずんっ
「ひゃあっ!!」
相手の同意を得ずに少年を腰を突き上げた。
「いった、ばかりぃぃぃぃ」
魔術師の懇願は、昂ぶってる忍者に届かない。
「やぁ、やだぁ、やだあ! へんに、へんになるからあ!」
既に変だっつーの。完全に善がりきってる友人を冷めた目で見つめる僧侶。
しかし何かがおかしい。自分も彼女もセックス好きなのは事実だが、反応がおかしすぎる。
そもそも緊張してたとはいえ、自分達2人がかりの愛撫で達しなかった男も初めてだ。
「だめっ、またイクッッッッッ!!」
ブルブルと小刻みに震え、ぐたりとする魔術師。
それでも尚射精に至らなかった忍者は、繋がったまま上下を入れ替え、今度は自分のペースで激しく突く。
極限まで敏感になった膣を擦られ、あられもない悲鳴がロイヤルスイートに否応無く響く。
これじゃ抜かずの三発が『抜かずに』三発じゃねーか、と僧侶は胸中で独りごちた。
「やぁ、もぉ、らめぇ。すきになっちゃう、ほんきになっちゃうからあ」
演技の時しか見せないような甘えた表情と声。染まりきる寸前だ。
少年が一突きする毎にビクンと大げさに痙攣する。まるで感度が普段から倍増してるかのように。
ん? 倍増?
僧侶の胸中に何かが引っかかった。
「あ、俺も、もう限界。イッてもいい?」
「うん、まってた。ずっとまってた。おくにいっぱいだして!」
おいおい中出しかよと突っ込みつつも、倍増の二文字は胸に引っかかったまま。
…もしや!?
「あ、あ、いくいくいくイクッ!」
「あたしも、またイッちゃううううううっ!!」
びくんっ!!
びくんびくん!
びくびくっ
最後に一層痙攣し、2人は同時に達した。
忍者はそのまま被さる様に倒れこむ。
「凄い、良かった…」
「あた、しも…」
ボーっとした表情の魔術師。うつ伏せの忍者の方は分からないが、こちらはだらしのないアヘ顔だ。
その刹那、体から離していた右手のナイフが光り、少年の体を淡い光が包み込む。
僧侶にとってはあまりにも見慣れた光。ディオスの光そのものだ。
そして、その光は全ての疑問を一つの回答に結びつけた。
そう、バタフライナイフには呪文抵抗以外にも数多くの特殊効果がある。
まず1つは防御効果。僧侶系及び魔術師系からの打撃攻撃に対しての低減効果だ。
つまり僧侶及び魔術師である自分らがどんなに快楽を与えても、彼自身は弱化された上で受け取ってしまう。
数多くの男を翻弄したテクニックも騎乗位も、弱体化されてしまえば効果が薄いのも当然だ。
2つめは倍撃効果。これも僧侶系及び魔術師系に対してダメージが2倍になる。
こちらが与える快感は薄くなるのに、向こうから伝わる快感は倍増されるのだ。魔術師がアヘる訳である。
最後にヒーリング効果。持ってるだけで少しづつだが体力が回復する。
それはやっとの思いで射精させても、その傍から回復されてしまう事を意味する。
つまり連続射精による快楽拷問は計画の時点で破綻してた訳である。
「んだよそれ、やってらんねえ」
はあ、と溜息。視線を相棒に移すと、未だ蕩けた表情のまま。
「倍撃ってそんなに凄いのかな」
それなりに男を知ってる魔術師がこうなるのだ。相当なのだろうが未だ半疑は拭えない。
「う〜ん、ちょっと左手貸して」
そう言うと忍者の体を無理矢理起こし、左手を取って自分の巨乳に押し付ける。
「んんっ!」
刹那、モリトに匹敵する電流に襲われる。
ちょっとおっぱい揉ませただけでこれである。もし本格的にまぐわえば…
僧侶は葛藤する。下手すりゃ短小包茎相手に骨抜きにされる。そんなのプライドが許さない。
しかし、こうして胸を触らせてるだけで体の疼きが止まらない。秘溝から催促の潤滑液が止まらない。
「………」
「そーりょん、どしたん?」
ようやく余韻が引いた魔術師が怪訝な顔をしている。
「…あたしも欲しい」
ぽつりと呟く。
「まーちゃんばっかずるい。あたしも倍撃チンポでアクメりたい。そこ代わって」
そう、彼女はドラウエルフ。本能に忠実で男より性欲が旺盛な種族。
「さて、今日も迷宮に潜る作業が始まるお…」
「後衛トリオはまだか。って来た来た」
「ったく遅え…ぞ…?」
ドワーフ三連星が目にした光景。それは、
「ねぇ、今日は後衛のままでいいでしょう? 離れたくないの」
「傍にいてくれるだけでいいからあ」
「うんうん、分かった。分かったから右腕には絡まないで。危ないから」
忍者に体を絡ませる僧侶と魔術師の姿だった。バタフライナイフ、恐るべしである。
その後暫く、この光景を目の当たりにした盗賊と司教の間でナイフの奪い合いが多発したとかしなかったとか。