ちょっと、なんなんですか。いいとこなんですから、邪魔しないでください。え、なにしてんのかって? 見り
ゃわかるでしょ。覗きですよ、の・ぞ・き。わかったら、あっち行っててくれませんか。
 ん? 見りゃわかるって言われても見えない?……ああ、あたしとしたことが、そういえば、ここダークゾー
ンでしたっけ。つい自分の基準で話をしてました。こりゃあ失礼。おお、改めて見てみると、こりゃまた結構な
別嬪さんだ。
 ええ、見えてますよ。まあぶっちゃけた話をしますとね、あたし、ナイトストーカーなんです。あたしらはダー
クゾーンの中でも目が利くんですよ。だから、姿が見えないと思ってこんなとこで楽しんでるあちらさんみたい
なのもね、全部見えちまうわけですな。ええ、そりゃもうなにからなにまで全部。ぜーんぶ見えてます。
 しかし、あなたもよくあたしを見つけましたね。玄室で出くわすならともかく、覗きの最中にダークゾーンで
あっさり見つけられちまったら、あたしらダークストーカーの商売上がったりです。あたしもよくよく注意して潜
んでたつもりなんですけどね。
 え、匂った? そりゃ、いわゆる第六感的に「臭う」ってやつで……違う。あたし、臭いですかね。これでも結
構綺麗好きで、清潔にしてるつもりなんですけど。ああ、大丈夫? 本当に臭くないですか? それなら良か
った。……へぇ、そんなに鼻が利くんですか。なんだか生々しい匂いがするから、それを辿ってきたら、たまた
まあたしを見つけた? まさか。本当に? いや、そりゃ凄い。ええ、ええ。信じますよ。現にあたしはこうして
見つかっちまったわけですし。

 え、今どんな感じかって? どんなって……ああ、覗かれてる連中のことですか。冒険者の男と女が一人ず
ついますね。男の方は革鎧で、盗賊にしては結構いい体格してますよ。女は小柄なローブ姿。彼女は魔術師
でしょうな。ん、そういうことじゃなくて、今の状況? えっとね、女が立ったまま捲り上げたローブの裾を口に
咥えて、男が……あれはへそを舐めてんですかね。ずっと口を付けたまま……あー、いや、あなたみたいな若
い娘さんにはちょっと言いにくいことをしてますな。
 構わないから先を続けろ? よござんすか? 後でいやらしいとか怒ったりしません? じゃ、続けましょ。そ
う、男が女のへそにキスをしながら、自分のナニをしごいてます。ええ、ナニを。あーあー。女の方はくすぐった
いんでしょう。全身を振るわせちまって……ありゃ、彼女も立ったまま自分で始めちまいましたね。単に興奮し
てただけですか。
 へ? 見てるだけで襲わないのかって? なに言ってんです。わかっちゃいませんね。覗きには覗きなりのプ
ライドってもんがあるんです。あくまで見るだけ。手は出しちゃいけません。まあ、娘さんにこんなこと言っても
わからないと思いますが――え、そうじゃない? 魔物だろって、そりゃあたしは魔物ですが?……ああ、なる
ほど! そういうことですか。
 いや、あたしは今日、迷宮守護の仕事は休みですから、冒険者を襲ったりしませんよ。それに、あたしの持ち
場は地下五階から十階です。管轄外で仕事なんかしちゃ、お偉いさんに怒られちまいます。まあ、本当はこの
階にいちゃいけないんですけど、見つかりさえしなきゃ、問題無いでしょ。……ありゃま! こりゃまずい。考え
たらあたし、もうあなたに見つかっちまってますね。こりゃ参ったな。どうか、ここであたしと会ったことは内緒に
しといてくださいませんかね。
 ……そりゃあ、ありがたい。いや、上役がうるさいもんでしてね。本当に内緒にしといてくださいよ。あたしゃ
怒られちまいます。そう? なら、あたしも一安心です。……え? 内緒にする代わりに話を聞かせてくれ?
いやぁ、あたしも話好きな方ですけど、あたしなんかの話を聞いても、そんな面白い話なんて出てきやしません
よ。……いいんですか? まあ、あなたみたいな若い娘さんがそうまで言うんなら。あ、声のトーンは落としてく
ださいね。あたしらがここにいるってばれちまいますから。

 ええ、ええ。休みの時はよくここに来てますよ。奴さんたちね。この時間には大抵あそこで楽しんでるんです。
ここ、昇降機のすぐ近くでしょ。そう、冒険者風に座標で言うんなら、E9-N6、B1Fですか。中級以上のパーティ
ーなら毎日みんなこの通路を通ります。でも手慣れた連中はみんな東側の壁沿いを歩きますし、通路のこっち
側を通る人なんて滅多にいやしません。奴さん方、そこに目を付けたんでしょうな。

 自分たちが楽しんでるすぐ隣のブロックを、なにも知らない他の冒険者たちが大挙して通り過ぎていく。時に
は結構な人数が昇降機の前で順番待ちしてますし、もしかしたらその中の誰かに気付かれるかも知れない。
でも、もし気付かれたとしても、なにせダークゾーンですから、自分たちの顔を見られる心配はない、と。ちょっ
と冒険はしてみたいけど、露出するのには抵抗があるってとこでしょうかね。まあ、あたしにはそんなのお構い
なしに一部始終が丸見えなんですけど。
 いや、実際には気付いてる人も結構いるみたいですよ。熟練の冒険者なら気配ぐらいは感じるもんですから。
そうそう。前に一度、物好きな連中がちょっかいを出しに行ったんですが、その時は奴さん方、すぐに呪文で転
移して逃げちまいましたね。でもまあ、大抵は気付いてもわざわざ確かめに行きませんから。なにをやってるか
まで察してる勘のいい連中ならなおさらです。
 しかしねえ。あたしが冒険者だった頃も、迷宮の中でおっ始める連中ってのはいましたけど、一応は気を遣っ
て、人の来ないところでこっそりとするもんでしたよ。いくらダークゾーンだからって、こんな人通りの多いところ
でなんて、考えもしませんでしたけどね。いや、あたしが知らないだけでそんなこともあったのかなぁ。

 冒険者だったのかって? ええ、実はあたしも元は人間でしてね。こう見えて、なかなかに信仰心に厚い僧
侶だったんです。でもね。迷宮に潜ってるうちに、魅せられたってんでしょうか。すっかりこの空間の虜になっち
まったわけでして。ええ、ええ。最初はあたし自身も、自分にそんな面があるなんて、思ってもみませんでした。
 でも、こう、なんて言うか、重い石組みに囲まれた閉塞感。この息の詰まるような、なんとも鬱陶しい感じが、
やけに性に合ってたんですな。そのうちに冒険者は天職だとさえ思うようになってましたよ。そりゃあもう迷宮
に潜るのが待ちきれなくて、毎朝、早くから目が覚めて仕方なかったもんです。
 で、そんなある日のことでした。仲間の盗賊が地下四階でテレポーターを発動させちまいまして。これがまた、
飛ばされた先が同じ階の南西部。えーっと座標だと……あ、知ってます? あそこにある有名な回廊。そう。出
口が無いんですよ。魔術師はまだマダルトをおぼえたばかりでしたし、当然、あたしもロクトフェイトなんてもん
は使えやしない。
 それで、助けもこないまま、どこからか湧いてくる魔物を狩っては、その肉を食べて飢えを凌いだりしてたんで
すが、それにも限界があります。なにせ迷宮の中じゃ満足に休息もとれませんし、呪文が切れた後は、もうじり
貧。それに、明かりのほとんどない迷宮の中で、何日も太陽を拝むこともなく過ごしてたわけですから、地上より
も迷宮の方が好きなあたしはともかく、仲間たちは次第にどこかしら壊れていくわけですよ。
 まあ、それから色々とありまして、仲間が一人減り、二人減りしていき、最後に私だけが生き残っちまったん
です。で、どれぐらいの時間が経ったのか、私ももう駄目かな、まあ大好きな迷宮の中で朽ちていくなら本望か、
とか思ってたんですが、一向にお迎えが来る様子がない。

 そこでね、ふと疑問に思ったわけですよ。仲間もとっくに骨だけになって、あたしももう何日も飲み食いしてな
いのに、腹も空かないのはちょいと変じゃないかって。なんていうか飢えみたいなのは感じるんですが、空腹っ
てのとはちょっと違う。それどころか、なんだか目も以前よりよく見えるし、患っていた痔も痛くない。
 なによりね、魔物に襲われないんですよ。部屋に連中が入ってきて、いよいよあたしも仲間のところに行く日
が来たかと覚悟しても、奴さんがた、むしろ私を避けるようにして去っていくんです。
それでね、ある日とうとう、通りがかった魔物にこちらから声をかけてみたんです。いや、これがまたもの凄くあ
たし好みの女の魔物でしてね。なんて言うか、ビビッときたんですな。もし声をかけて襲われるにしても、この
相手にだったら悔いはない。なんてことを思ったりしまして。
 でもね、彼女はそれがさも当然のように、普通に私と会話をするんですよ。「たまの休みを利用して、モンス
ター待機所の跡地を散策に来たの」とか、「あなたもここに興味があるの?」とか、そんな感じに。それで、あ
たしは彼女に聞いたんです。なんであんたはあたしを襲わないのかって。そしたらね、彼女、なんて言ったと
思います? 怪訝そうな表情を浮かべて「あら? あなた……同族かと思ったけど、まだ堕ち切れてないのね」
って、こう言うんですよ。

 そう、あたしは闇の中で暮らしてるうちに、いつの間にか、そちら側からこちら側に足を踏み入れちまってた
んですな。それで、あたしは彼女に最後に残った精気を……いや、性器じゃないです精気。精の気。そう、その
精気をズッキュゥゥゥンっと吸われて、晴れて迷宮の住人、ナイトストーカーの仲間入りをしたってわけです。
 人間やめてからも、まあそれなりに楽しくやってましたよ。大好きな迷宮のあちこちを、その彼女と冷たい手
と手を取り合って彷徨っては、時々、冒険者から精気を頂戴したりしてね。そのうち、彼女ともいい関係になっ
て、迷宮の暗がりでアレしたりして。そう、アレですよアレ。男と女のエンカウント。で、気付けばいつのまに
かカミさん持ちです。ええ、その時のナイトストーカーがうちのカミさん。いやぁ、あたしがいうのもなんですが、
うちのカミさんがまた――。
 え? アンデッドにカミさんもなにもないだろうって? 馬鹿言っちゃいけません。不死族なんて一括りにされ
ちまってますが、ゾンビやライフスティーラーなんて死体に毛の生えた連中はいざ知らず、高等なアンデッドに
はそれなりの生活ってもんがあるんです。まあ、あたしは生きてないから生活というか死活っていうんでしょう
かね。
 娘さん、あなた結婚は? ああ、結婚はしてないけど、男はいる。上手くいってます? えっ、そんなに? 本
当ですか。かーっ、そりゃ凄い。いや、こりゃあんたの彼氏が羨ましい。いやね、連れ合いは大事にしないとい
けませんよ。

 おっと、ちょっと待ってください。奴さん方、いよいよ本番かな。あなたも聞きたい? そんな顔して、意外に好
きなんですね。まあ、いいでしょ。
 今はね、女が壁に片手を付いて尻を突き出して、もう一方の手で後ろ手にローブの裾を摘んで持ち上げ……
うーん、割れ目ちゃんは見えそうで見えない。その後ろに男がしゃがんで膝裏を舐めて……ほら、もうちょっと
上……よし、太腿に舌を這わせて……また膝裏。よし、よしよし。ああ! ほらいけって。そう、もーうちょっと上!
そうそう、そのまま顔を埋めて……え、なに? 声が大きくないか? 大丈夫。ダークゾーンは音の通りも悪い
ですから。あたしはプロなんです。その辺は心得てます、大丈夫。
 よし、そう。腰をぐっと抱き寄せて、ちろちろと焦らして焦らして……いかない。ん? ああ、そっちに。そのま
まつーっとスジを伝って、尻肉を両手でぐっと広げて……いった! そうそう、もっと奥まで舌をねじ込んで、差
し込んで、ほじくり返して――。

* * *

 ふぅ。……しかし、娘さん。あんたもかなりに大胆というか……もうなんか通り越してますね。あたしもさすがに
初対面の人の前でってのは我慢してたんです。でも、そのあたしの前であんたの方が先に自分で始めちまうん
ですから。いやあ、こんな別嬪さんが自分でねえ。ホント、あたしも自分の目を疑いましたよ。
 え? あたしから同類の匂いがした? って、同じ性癖の持ち主ってことですか。いやいや、あたしは人前で
抜くなんて経験初めてですよ。……でも、まあ、あたしもずっと一人で覗きをやってきましたけど、こう、新しい
方向性が見えてきた気がします。いやぁ、趣味を同じくする覗き仲間がいるってのはいいもんですな。
 本当にこう言っちゃあなんですが、若いのに相当な好き者ですね、あんたも。そんなに褒めるな? うーん。
これを褒め言葉として受け取れる方はなかなかいやしませんよ。いえいえ、勿論褒め言葉です。
 ところで、大丈夫? あたしのかかりませんでした? ああ、かかっても害は無いですよ。あたしらが出すの
はエナジードレインした精気の塊みたいなもんですから。むしろあんた方の体にはいいぐらいです。

 さて、奴さん方も一休みみたいですし、その間に話の続きといきましょうか。えーっとなんでしたっけ。……あ
あ、そうそう、うちのカミさんの話。ありゃあいい女でしたよ。正直、胸はちょっと慎ましやかで控えめでしたけど、
これがまたいい尻をしてまして。それをこうグッと持ち上げて後ろからあ……え? なんです? あんまり人の
話の腰を折るもんじゃありませんよ。なに、よくよく考えてみたらアンデッドに性器は必要なのかって? そりゃ
まあ、アンデッドにだって夜の営みぐらいはありますよ。
 勿論、あたしたちは子供こそ作りはしませんけど、それはそれ、これはこれです。あんたたちだって子作りの
ためだけに、アレしてるわけじゃないでしょ。それと一緒です。どうするのかって? そりゃ人もアンデッドもお
んなじです。ただ、あたしらの場合は、吸い取った精気を交換するわけです。男のココから女のアソコへ、女の
アソコから男のココへってね。こう、循環させるわけですな。
 いや、みなさんきっと勘違いしてますけどね、アンデッドの暮らしってのは決して無味乾燥なもんじゃないん
です。ほら、バンパイア。知ってます? 彼らだって、むさ苦しい男の血よりも、生娘の血を好むっていうでしょ。
あたしらだって欲もあるし嗜好もある。味覚や嗅覚ってもんもあるんです。
 アンデッドになって困ったこと? まあ、最初こそは戸惑いましたけど、おおむね楽しくやってますよ。ああ、
残念なことといったら、お気に入りだった豆料理を食べても、旨いと思えなくなったことですかね。人間だった
時とは、好みが変わっちまったんでしょうな。好きだった葉巻も……葉巻ですよ葉巻。ご存じない? 南方の
風習だからかな。そう、水煙管や嗅ぎ煙草みたいなもんです。その葉巻もめっきり吸わなくなりましたし。まあ、
そもそも普段は息もしてませんからね。さっき言った嗅覚の方も、意識して臭いを嗅いでんですよ。

 ああ、また話がそれちまいました。で、うちのカミさん。あれとはずっと上手くやってきたんです。……でもね、
あれも二年前にとうとうディスペルされちまいまして。そう、ディスペル。ありゃあ、いけない。いけませんよ。あ
たしらぐらいのアンデッドだと、剣や魔法でやられる分には、まだ手の施しようってのもあるんです。
 死体さえあればいくらでも作れる連中は別として、そうそうどこにでもいるわけじゃないアンデッドには、それ
相応の待遇ってもんがありましてね。この迷宮には、あの、瘴気ってんですか。なんかそういうのが澱んでる
の気付きません? ああ、なんとなくでいいんです。分かりますよね。あれってのはただ迷宮に溜まってるん
じゃなく、ちゃんとそういうのが集まりやすいように、考えた上でこの迷宮が作られてるんです。
 だから、あたしらは冒険者に倒されても、この迷宮に濃縮されたそういうのを吸って……まあ、結構な時間は
かかるんですけどね……えっと、そう、時間をかけて肉体を作り直して、また元気にお勤めに戻るんです。まあ、
元気にって言っても、あたしらそもそも生きちゃいないんですが。
 しかし、あのディスペル。さっきも言いましたけど、ありゃあいけません。あたしらアンデッドは、あんたがたに
言わせりゃ呪いってやつで体を動かしてるわけですが、ディスペルされるとそこの部分の繋がりがプツッと切
られちまう。そうすると、この世にいるための依代が無くなって、強制的にあの世に送られちまうんです。
 そうなったらもう駄目です。もし体だけ元に戻っても、中身が無いんですから。終わり。そう、終わりなんです。
ディスペルされても平気で黄泉返るのは、ヴァンパイアロードかマイルフィックぐらいなもんですよ。

 いえ、いいんですよ。あたしらはこんな稼業ですし、もう気持ちの整理もついてます。でもね、やっぱり寂しい
んでしょうね。カミさんがいなくなってからですよ、あたしが覗きをはじめたのは。まあ、こんなところでコトに励
む方もどうかと思いますし、お互い様ってやつですか。
こう、ヒトがね、頑張ってアレしてる時に辺りに満ちる空気。ありゃあ生命力そのものです。あの迸る命の滾り
を間近で浴びてると、こう、漲ってくるんです。え? そりゃヒトでも一緒だって? あー。いや、そういう意味じ
ゃなくてね、いや、もちろんあたしのナニも漲りますから、そういう意味もあるんですけど。あのね、あたしらは
ドレインで直接的に生者の精気を吸うでしょ? そう、エナジードレイン。だから、ことさら命の匂いってやつに
は敏感なんです。
 それで、あたしは休み毎に、こうして覗きで命の洗濯をしてるわけです。まあ、あたしアンデッドなんで洗濯
する命は無いんですけど。

 お。奴さん方。今度こそ本当におっ始めるつもりだ。ローブも脱ぎ捨てて準備万端。じゃあ、ちょっとあたしは
近くまで忍び寄って、汁かぶりで見てきます。大丈夫、あたしも伊達にナイトストーカーやってるわけじゃありま
せん。じゃ、あたしはこれで。娘さんと話ができて楽しかったですよ。

 え、一緒に行く? でも、あんたには見えないでしょ。匂いと音だけで充分? いや、でもねえ。素人さんを
連れてって気付かれたら……忍者は伊達じゃない? ああ、娘さんは忍者ですか。んーーー。まあ、邪魔しな
いならいいでしょ。でも、ここからは喋っちゃいけませんよ。
 おっと、もう始まっちまってます。んー、立ったまま片脚を抱え上げての挿入ですか。この体位はちょっと見辛
いんですよね。持ち上げた脚の下に潜り込んで、と。でも、やっぱり男の脚が邪魔ですね。こんなところでする
んなら、見る側のことも考えてもらわないと。って、ダークゾーンじゃ普通の覗きには見えませんか。
 おおっと。急に体位を変えると危ないじゃないですか。危うくあたしの鼻先が大事なお豆さんにかするとこで
した。あたしぐらいの覗き巧者じゃなけりゃ当たってましたよ。お、両膝を後ろから抱えて小柄な体を持ち上げ
て……こりゃあ見やすい。いやあ、この恥ずかしい体勢はいい。いいですよ。ぱっくり開いた割れ目からケツの
穴まで、もう丸見えです。
 先をあてがってくわえたところで一気に落とす。そしてそのまま体重を利用してゆっさゆっさと。んー、自身の
重みで自然と食い込んでいく様がもうなんとも言えませんな。これはあたしも楽しませてもらわないと。こんな
風に、舌を伸ばせば届きそうなぐらいに股間に顔を近づけても、このお二人さんは気付かないんですよねえ。
ダークストーカー様々です。いや、ホント。
 おっと、飛沫が目に入っちまいました。もうあたしの顔なんて、愛液やらなんやら、よくわからない汁がかかっ
てベトベトです。でも、まだまだ、やめられませんよ。もうちょい、もうちょいやらせてもらいます。いやあ、いい
ですな。これはまさに生命の迸りって感じです。命の波動ってんですか、なんかそういうのに癒されますねえ。

 おやおや、お嬢さん。耐えきれずに声を上げ始めましたか。もうイっちゃいます? でも、いいんですか? あ
まり大きい声をだすと通りすがりの冒険者に聞こえちまいますよ。……ん、胸が気持ちいい? この体勢で胸を
責めるなんて器用な彼氏さんですね。
 って、忍者の娘さん。あんたなにしてんです。そいつぁー、いけない、いけません。お触りは禁止ですよ。お嬢
さんもお嬢さんで「ああっ、いつもより上手! まるで手が四本あるみたい!」じゃないですよ。そりゃそうです。
実際に四本あるんですから。そりゃ彼氏さんの手じゃないですよ。ちょっ、駄目ですって。なんで乳首を吸ってん
ですか。あたしらはあくまで覗き、見るだけがマナーですよ。参加しちゃいけませんって!
 うひゃっ、生暖かい!? あんたがあんまり責めるから、お嬢さん漏らしちゃったじゃないですか。お漏らしは癖に
なりますよ。あたしの顔にかけないでください。あたしは体液はどんと来いですけど、排泄物を浴びて喜ぶ趣味
は無いんですがね。
 え? 彼氏さんもイクんですか。中は駄目? ちょおっと待って下さい。この体勢だとあたしの顔にぶっかけち
まいます。これは一旦離れて体勢を立て直さないと――おおっと。あたしとしたことが脱ぎ捨てたローブに足を
取られて――ちょっと、それをこっちに向けないでください。あたしゃぁ今、濡れたローブが絡んで……駄目です
って、やめ、やめてくださーーーーーーい!!

* * *

 娘さん……あんた反省してます? 全く、酷い目に遭いましたよ。ええ、そりゃあ、精液なんてのは生命の源
そのものですけど、それはそれ。さすがにそんなもんかけられちゃ、あたしも堪ったもんじゃない。気持ちの問
題です。本当に反省してる?……本当に?
 まあ、いいでしょ。あたしも本気で怒ってるわけじゃない。じゃあ、あたしはこれで失礼しますよ。早く帰って洗
い流さないと。あたしはこう見えて綺麗好きなんです。あんたも早くお帰んなさいね。
 ……なんです? 一つだけいいかって、まあ手短にお願いしますよ。……ふん……ええ、ええ。またここに来
ても構わないかって? んーーー、まあ、よござんしょ。奴さん方、あの状況で気付きもしませんでしたし、あん
たにゃ素質がありそうだ。なんだかんだ言って、あたしもあんたと話ができて楽しかったですしね。

 これさっきも言いましたっけ? そうでした。ああ、アタシからも一ついいですか。その、あんたと彼との濡れ
場ってのは、どこに行けば覗けますかね?今度はそっちの方もお願いしたいもんですな。じゃ、次がいつと約
束はできませんが、縁があればまた迷宮でお会いしましょ。

 では、皆さん。くれぐれも、迷宮でコトに及ぶ時には、見てる目があるってことをお忘れなく。


〜 了 〜