どこまでも濃密な闇が全てを塗りつぶしていた。
ここは魔力の光でさえもその力を失う、絶対の闇が支配する空間、ダークゾーン。

そこに突然鎧をがちゃつかせながら、何やら騒々しい一団が通り過ぎた。
やがて大きな扉が開く音がした直後、しわがれた男の声が響いた。
『MAPIRO MAHAMA DILOMATO…』
怪しい呪文のこだまが消えるや、荒々しく扉は閉じられ、後には耳が痛くなるような静寂だけが残った。

どれだけの時間が経ったことだろうか。
もう誰も居ないことを確認すると「彼」は静かに身じろぎをした。
当然ながら「彼」もこの場所では何も見ることはできない。
暗闇の中、鋭い聴覚と嗅覚だけで周囲を探り続けた。


「チーン」
遠くで昇降機の止まる音がして、またも騒々しい一団が近づいてくる。
それは「彼」にとっては、間違いなく憎むべき敵の集団だった。
しかし「彼」はその音から逃げるように壁際へと貼り付き、再びその一団をやり過ごした。
そんなことを更に4,5回繰り返したが、「彼」は一度として攻撃を仕掛けようとはしなかった。
敵と言うだけで見境もなく仕掛けるのは、愚か者のすることだ。
「彼」は望みの獲物が来るのを息を潜めて待ち続けた。

「チーン」
またしても扉の開く音がした…が、先ほどまでとは違い、いつまで経っても集団が通り過ぎない。
「…ずるる…ずるる…」
何か重たい物を引きずる音がした。
しかも一度に運びきれないせいか、何度も行ったり来たりを繰り返し、移動がかなり遅い。
その音を聞いて「彼」はニタリとほくそ笑むと、静かに静かに近づいていった。



「彼女」は何とか一階に辿りついた。
ここまで来れば、街はもうすぐだ。
出口まではまだ距離はあるが、あの偏屈な小男の力を借りれば、街まで安全に飛ばしてもらえる。

数刻前、慣れない地下4階で前衛3人が倒れた時には、目の前が真っ暗になった。
更に僧侶の首が切り落とされた時には、全滅を覚悟した。
しかしギリギリのところで、盗賊が最後の敵にとどめを刺した。

犠牲は大きかったが、手に入れた宝物を売ればカントの強欲な僧侶達も愛想良く助けてくれるはずだ。
いつも顰め面の盗賊が、このときばかりは安堵の表情で宝箱を開けた。
だが気の弛みからか、単純な毒針の罠に引っ掛かってしまった。
僧侶は倒れ、ポーションも既になく、修行中の司教である彼女にはまだ解毒の手段がなかった。

司教という職業はそう誰もがなれるものではない。
普通は僧侶なり魔術師なりを経験し、充分な経験を積んだ上で初めて転職できる職業だ。
しかし彼女はエルフという魔法職向きの種族であることと、天性の適正のおかげでいきなり司教となった。
上級職である以上は普通の職業よりも覚えるべきことは多く、修行は中々はかどらない。
大器晩成といえば聞こえはいいが、今のところ彼女の実力は同じ経験を積んだ下級職よりもかなり低いものであった。

それでも僧侶が倒れた以上、彼女が回復役をこなさなければならない。
ジワジワと体力を削られていく盗賊にDIOSの呪文を掛けながら、仲間の死体を引きずって進んだ。
しかし途中で呪文を使い尽くし、昇降機を目前に盗賊も倒れた。
こうして頼るべき最後の仲間が消え、物言わぬ荷物が一つ増えた。

死体の山を昇降機に積み込み、一階に着いたところで引きずり出す。
力仕事の不得手な彼女には、これだけでもかなりきつい作業だった。
このままここでキャンプを張り、他のパーティが通り掛かるのを待つというのも一つの手ではあった。
しかしそんなことをしては、彼女だけでなく仲間の面子までが丸潰れだ。
それに街はもう目の前だった。
だから彼女は少し無理をした。


嫌な予感がした。
この暗闇の中では何も見えないが、未熟ながらも冒険者としての経験と勘が迫り来る危険を告げていた。
そう思った時には、半ば条件反射的に彼女は呪文を唱え始めた。
なけなしの呪文ではあったが、出し惜しみをしている場合ではない。
後手に回れば勝機は逃げる。

「ヒタヒタヒタ…」
周囲に漂う粘りつくような獣臭とかすかな裸足の足音。
…コボルドが一匹…彼女はそう推測した。
そして間近に気配を感じた瞬間、残った最後の呪文を解き放った。
『KATINO』

眠りを誘う魔法が敵を包みこんだが、効果は現れなかった。
己の不運を嘆く間もおかず、彼女は手にした武器を振り上げる。
一瞬逃げることも考えたが、コボルドならば自分でも倒せると判断し、攻撃を選択したのだった。
ただしその武器が振り下ろされることはなかった。

「ガツッ!」
敵の攻撃に彼女の身体は吹き飛ばされ、地面を転がった。
胸甲の上からの打撃だというのに、その衝撃で一瞬息が止まった。
思わず取り落とした武器を手探りで拾おうと、屈んだままに腕を伸ばしたところで2発目が来た。
そこで彼女の意識も闇に沈んだ。



彼女が目を覚ますと、苔むした天井とそれに続く石の壁が目に入った。
その苔が放つ幽かな光が、ここでは唯一の光源だった。
ひどい頭痛と吐き気がするが、からっぽの胃からは戻るものはない。
ようやく吐き気が落ち着いたと思うと、目覚めた胃袋が意外と大きな音を立てて自己主張を始めた。
仲間の戦士などは、力が出ないと困るとかで大量の食事を取ってから迷宮に潜っていた。
しかし彼女は、少し空腹の方が頭が冴えて呪文に集中できるような気がしていた。
それに探索途中で用を足したくなっても困るので、今回も食事を控えていたのだった。

…キュルキュルキュル…
その音に少し顔を赤らめながら彼女が身体を起こすと、ジャラリと何か重たい物が揺れた。
それで自分の両手に枷が嵌められ、鎖で壁に繋がれているのが分かった。
当然ながら武器も胸甲も奪われて、薄い肌着しか残されてはいない。
空腹も相まって心細い事この上ないが、とにかく現状を把握しようと彼女は周囲に目を走らせた。
ここが迷宮の中なのは間違いないが、見慣れた地下1階から3階までとはかなり違った。
数回しか探索していない4階とも、雰囲気からして違った。
おそらくはもっと深い場所なのだろう。

冷たい床の上に座り込んだまま、誰にというわけでもないが、彼女は小さく呟いた。
「ここはどこかしら?」
「ココカ?ココハ俺サマノねぐらダ」
背後から響くかすれた声は、どこか発音がおかしくて聞き取りづらい。
まさか返事があるとは思いもしなかった彼女は驚いて振り返った。
すると犬のような頭と人型の身体を持った魔物が、石壁の陰から現れた。
先ほどの声は、間違いなくこの魔物が発したものだった。

「コボルドっ!…にしては大きい?」
「オイオイ、俺サマヲアンナちび助ドモト一緒ニスルンジャネェヨ。
俺サマハオマエラノ言ウわーうるふッテヤツダ」
「地下一階にそんな怪物が居るなんて聞いたこともないわ」
「…ソリャソウダロウナ。俺サマノ持チ場ハココ…地下五階ダ。
我ラガ召喚主タルわーどな様ハ、勤務時間ヤ持チ場ニウルサイ御方ダ。
ダカラ勝手ニ上マデ上ガルトタダジャ済マナインダガ…マァばれナキャイイダケノ事ダ」
舌なめずりをしながら、その魔物は彼女にゆっくりと近づいて来た。

「近寄らないで、化け物っ!」
体力までは無理だが、しばらく眠ったおかげで魔力の方は回復している。
たとえ両手が繋がれていても、魔法でなら攻撃は出来るはずだった。
『MAHALITO』
絶叫とともに彼女は呪文を唱えた…が、しかし何も起こらなかった。

長い牙をぎらつかせて魔物が嘲笑した。
「残念ダッタナ。ココジャドンナ魔法モ使エナイゾ。
魔法シカ能ガナイ司教様ニハ厳シイ場所ダナ。
他ノ冒険者モココニハ滅多ニ来ナイ。
皆、えれべーたーヲ使ッテコノふろあハ素通リスルカラナ。
回復魔法ガ使エナイカラ修練ニ来ル奴モ居ナイ。
月ニ2,3回、物好キナ奴ラガ迷イ込ム程度ダ。
マァ、来タトシテモソコラ中ニイル犬ドモガ騒グカラ、スグニ分カルコトダケドナ」

更に近づいた魔物が、床に座った彼女の脚を跨ぐように仁王立ちした。
軽く胸を張って両腕を組み、侮蔑を含んだ視線で彼女を見下ろす。
しかし逆に彼女の方は正面から睨み返すことが出来なかった。
見上げれば魔物の股間が嫌でも目に入るからだった。
長く柔らかな腹毛の隙間から、硬く短い毛皮に覆われた陰嚢が垂れ下がっている。
その上端部では唐突に毛が途切れ、生々しい真っ赤な肉茎が顔をのぞかせていた。
それが何を意味しているかは、疑問の余地がなかった。

「来ないでっ!もし私に指一本でも触れたら、舌を噛んで死にますっ!」
「…ソイツハ面白イナ。ヤッテミルガイイ」
「私は本気ですっ!化け物に汚されるくらいなら、ここで命を…」
「ダカラ俺ハ、自殺シタイナラ好キニシロッテ言ッテルンダ。
タダシオマエガココデ舌ヲ噛ミ切ッテクタバロウガ、俺ハオマエヲ犯ルゾ。
犯ッテ犯ッテ犯リマクッテ、ま○こガ擦リ切レルマデ犯リ尽クシテヤル。
ソレニ飽キタラ破戒僧ドモニ蘇生サセレバイイダケダ」

魔物は彼女の上にのし掛かると、片手で彼女の首を締め上げた。
「ぐっ…」
「ドウシタ?死ヌンジャナカッタノカ?」
仰向けに倒れて歯噛みする彼女の頬を、魔物が平手で張った。
見る見る赤く腫れ上がる頬をつねりながら、腹に響く声で魔物が凄んだ。
「出来モシナイ事ヲホザクナ。今度クダランコトヲ言ッタラ、首ノ骨ヘシ折ルゾ」
彼女は殺意のこもった目で、無言の返事をした。

「イイ目ヲシテイル。俺ハ気ノ強イ女ヲ捻ジ伏セテ調教スルノガ好キデナ。
ツイデニ言エバ胸ハモットデカイ方ガ好ミナンダガ、えるふジャコンナモノカネェ…」
肌着の上から胸をまさぐる指が、かすかな突起を探り当てると輪を描くようになぞり始めた。
彼女の嫌悪に満ちた視線を気にもせず、魔物は二つの突起を交互についばみ、前歯でしごくように引っ張っては何度も弄んだ。
じわじわと滲みていく唾液に濡れて、桃色の乳首が布越しに透けるが、それはいつの間にか硬く尖っていた。

「へへ…勃ッテキタゾ。一丁前ニ感ジテヤガルノカネェ」
「何を馬鹿な…きゃぁっ!」
今度は魔物は、彼女の下腹部へと腕を伸ばした。
彼女の下帯が荒らしく解かれると、秘所を縁取る薄い陰毛が熱い鼻息になびいた。
そして魔物の毛深い指がいきなり彼女の秘所を、大きく抉じ開けた。
「ぐふふ…ヨォク見エルゾ…ま○こハ中マデ桃色…アンマリ遊ンジャイナイヨウダナ…ッテ膜付キカ」
魔物のねっとりとした視線が、彼女の最も恥ずかしい場所を這い回る。
どうやらこの薄暗い中でも、魔物の目にはハッキリと見えているようだ。
当然彼女は脚を閉じようとしてはいたのだが、魔物の毛深い腕を跳ね除けるにはあまりに非力だった。

…バクンっ…
魔物はその大きな口を目一杯開くと、彼女の股間にかぶりついた。
「ひぃっ!」
鋭い犬歯が彼女の滑らかな肌にめりこんだ。
突き刺さりはしなかったものの、少しでも彼女が暴れた瞬間に、それは柔らかな下腹部を易々と噛み裂いたことだろう。
「は、離しなさいっ…うくっ…」
生温かい舌先が秘所に触れた瞬間、彼女の全身が強張った。
その反応に魔物はにんまりと目を細めると、舌を鳴らして蹂躙を始めた。

「やめなさいっ!この…汚らわしいっ!ああぁっ…!」
しなやかな栗色の茂みをザリザリと踏み分けながら、魔物の舌が恥丘をくすぐる。
縦横無尽に舞い踊る舌は、谷間に隠れた陰核を素早く見つけ出した。
鮮やかな朱色の小粒を嬲るたびに、彼女の白いふとももがピクンと震えた。

「き、気持ち悪いまねは止めなさいっ!」
彼女の怒声に魔物は怯むどころか、益々嬉しそうに口中で彼女をまさぐり続けた。
ふっくらと肉厚の大陰唇を押し広げ、震える小陰唇をめくるように舐め上げた。
その柔らかな肉襞を散々に弄っただけでは飽き足らず、更にその内奥にまで潜り込んでいく。
やがて人外の舌はそれ以上の侵入を拒む膜にまで辿り付くと、テロリテロリと意地悪く撫で回し始めた。
生温かいものが股間でのたくる感触に、彼女は歯を食いしばって耐え続けるしかなかった。


「…プハァッ…イイ味出シテルジャネーカ。
ドウニモ反応ガ鈍イガ、未通女ジャ仕方ナイカネェ」
「気が済んだなら、早く離れなさいっ、化け物っ!」
「オヤオヤ、強ガッテ健気ナコッタ。
ダガ諦メロ。ドンナニオマエガ気張ロウガ、助ケハ来ナイカラナ」

しかし彼女は、あられもない姿を晒しながらも毅然と言い返した。
「いいえ、私達は一度仲間になった者を、決して見捨てたりはしません。
今は倒れている仲間達も、あの場所ならば近いうちにきっと誰かに助けられて蘇ります。
そして私達には、親しい相手の居場所を探る呪文というものがあるのです。
私のことを憶えている仲間が居る限り、私が助かる可能性は消えません。
たとえその間に私が死のうと、たとえ一握りの灰になろうと、いつの日かきっと探し出してくれることでしょう。
ですから何があろうと、私は諦めません」

すると彼女の肌着を捲くり上げながら、魔物は言った。
「…ぐふふ…ソリャ無理ダ。何セアノ死体ダッタ連中ハ、犬ドモニ食ワセチマッタカラナ。
今頃ハ骨モ残ッチャイネェ。
ソノ便利ナ呪文ヲ一体誰ガ唱エテクレルンダ?誰ガ助ケニ来テクレルンダ?
誰モ居ナイ。オ前ヲ憶エテイルヤツナンテ、モウ何処ニモ居ナインダゾ。
…ぐははははは…」

「そんな…そんなことって…」
彼女は呻いた。
冒険者である彼女にとって死とは常に身近な存在だった。
それは残酷なまでに公正な、思慮の足りない者に下る裁きだった。
それは優しいほどに速やかな、未熟者を弾く試練だった。

ただそれは大きな苦痛をもたらすが、絶対的なものではない。
慈悲深い神は、常に過ちを正す機会を残してくれる。
死とは決して永の別れではない…はずだった。
しかしそれが思い込みにすぎないことを、彼女はここにきて思い知らされた。

三馬鹿とか脳みそまで筋肉とまで呼ばれていた戦士達。
口も頭も酒癖も悪いが、ひとたび戦闘となれば自らを盾として皆を守ってくれた。
皮肉屋で人間嫌いで守銭奴の盗賊。
偏執的とまで思える彼の観察眼が、迷宮に仕掛けられた罠や敵の奇襲を何度防いだことだろう。

そして何より回復魔法の使い手であった僧侶。
彼の神秘の技と微笑みが、仲間達の身体と心の傷を癒してきてくれたのだ。
男ばかりのパーティの中で、何かと彼が庇ってくれたからこそ彼女は頑張れた。
先輩である彼の知識と技は彼女の目標であり、その優しさは彼女の思慕の対象であった。
口に出したことはないが、一途な想いはいつか届くと信じていた。
しかしあっけなく、ここにその願いは潰えた。
そのあまりにも大きな喪失感に泣くことさえできず、彼女はただ宙を見つめるばかりだった。

一方、心の支えを根元からへし折った魔物が彼女に告げた。
「サテト…今カラおまえノ記念スベキ除幕式ノ始マリダ」
冷え切った白い彼女の下腹部に、灼けるように熱い魔物の逸物と陰嚢がどさりと乗せられた。
その腹上の重みで現実に引き戻された彼女が、いびつな肉塊を目にして絶叫を上げた。
しかし魔物はニヤニヤと笑いながら、己自身の穂先を唾液まみれの陰裂に押し当てた。
「ドウダ?中々ノモンダロ?
今カラコイツデおまえヲひぃひぃ言ワセテヤルカラナ」
「いやぁっ!やめてっ!それだけは…それだけはイヤァ!」
「ソウカ?ソコマデ言ウナラ、今ココデおまえノ処女ヲ頂クノハ考エ直シテヤッテモイイゾ」
「え?」

魔物の意外な言葉に、彼女は目を丸くした。
「本当に?本当に止めてもらえるの?」
「俺サマハ人間ト違ッテ嘘ハツカン。タダシ条件ガアル」
いやらしく笑う獣は四つん這いで前へ進むと、彼女の顔を跨いで膝立ちになった。
そして彼女の鼻先に脈打つ凶器が突き出される。

「コイツヲ舐メロ」
「ええっ?」
「俺サマノち○ぽこヲ舐メルンダ。
ソレデ俺サマヲ満足サセラレタラ、おまえノばーじんハ奪ワナイデオイテヤル」

全く男性経験のない彼女ではあったが、迷宮内での着替えや治療の際に、仲間の性器を何度か目にしている。
しかし間近に迫った魔物のソレは、長さも太さもあまりにもケタ違いだった。
形もヒトの物とは違って先端は角のように先細り、カリと呼ばれるくびれはない。
ツルリとした表面はわずかに湿っていて、幽かな光の中でテラテラと妖しくぬめっている。
木の根のように走る太い血管が不気味に脈打つ度に、ヒクリヒクリと身じろぎを繰り返していた。

「こ、これを…!?」
「ソウダ。コイツヲおまえノ可愛イお口デ咥エテ、舌デぺろぺろスルンダ。
嫌ナラ、下ノ口デ咥エテ貰ウゾ。ホーラ、早クシロ」
鼓動に合わせて揺れる度に、熱い剛直がピタピタと彼女の頬を叩く。
立ち昇る生ぐさい臭いは、魚の干物を連想させた。
「イイニオイダロ?モウ長イコト水浴ビナンゾシテナイカラナ」

意を決した彼女は固く目をつぶり、おずおずと舌を伸ばしたが、舌先で触れる寸前に耐え切れず顔を背けてしまった。
すると魔物は己の逸物を彼女のふくよかな唇に押し込み、食いしばる歯茎と頬の間をぐりぐりと抉った。
「ホレ、チャント口ヲ開ケロ」
鼻をつままれた彼女が喘ぐように口を大きく開けると、生臭い肉塊が舌の上に飛び乗ってきた。
そこでやっと魔物はつまんでいた鼻をはなすと、彼女の頭をがっしりと抱え込んだ。
「歯ァ立テルンジャネェゾ。ンナコトシタラ、一本残ラズヘシ折ルカラナ」

魔物がゆっくり腰を前後させると、剛毛が彼女の鼻にチクチクと刺さる。
込み上げる吐き気と戦いながら、しばらくの間は彼女も耐え続けた。
しかし竿の先端が彼女の喉の奥を突いた拍子に、彼女は込み上げる胃液とともに吐き出してしまった。
すぐに魔物の手の平が彼女の頬を張り飛ばす。
「コノ下手糞ガッ!」

魔物は一旦後ろに下がると彼女の両膝を開き、有無を言わせず逸物の先端を震える秘肉の間に挿し込んだ。
「ヨッコラセ…ホーレ、先ッチョガ入ッタゾ。ナニカニ当タッテルミタイダガ、モシヤコレハ処女膜カネェ?」
「いやぁっ!やめてっ!」
魔物は腰を軽く浮かせながらも身体を重ねると、彼女の頭をしっかりと掻き抱いた。
そして打って変った優しい声で、生臭い息とともに彼女の耳に囁いた。
「ソンナニ嫌カ?デモおまえハ俺サマヲ満足サセラレナカッタカラナァ」
「ちゃんとします。今度はちゃんとします。だからお願い…やめて…」
「可哀想ダガ、約束ハ約束。俺サマハ人間ミタイニ嘘ツキジャナイカラナ」
にこやかに笑う魔物は、そのまま腰を深く押し込んだ。

「いやぁ…こんなのいやぁ…」
「オヤオヤ感激ノ涙カネ。コレデ今日カラおまえモ大人ノ仲間入リダナ」
「痛いっ!痛いから、動かないでっ!」
「ソイツハいかんナ。ソレジャ次カラ痛クナイヨウニ、今ノウチニ膜ヲきれいニコソギトッテオカントナ」
「そんな、いや、やめて。きゃああああぁぁぁぁっ…痛い痛い。やめてぇ…」
「ドウダ?膜ガごりごりト削ギ落トサレテル感触ガ分カルカ?」
「いやぁ…この化物っ!変態っ!サディストっ!」
「ソノ通リ。俺ハ化物デ変態デさでぃすとダ。ダカラソレラシクシナイトナ。ドレモット激シクイッテミルカ、ぐはは…」
「あぁっ、ぃやぁぁぁぁああああ……」

剛毛に覆われた手が、小ぶりの白い乳房を荒々しく揉みしだき、時々思い出したように彼女の頬を打ち据える。
その度に上がる悲鳴や嗚咽を耳にして、魔物は満足気な笑みを深めた。
ポロポロと零れ落ちる涙を、ペチャペチャと音をたてて舐め取りながらも、激しい腰の打ち込みは止まらない。
やがて終わりの見えない責め苦に彼女の涙も涸れ果て、呻き声すら出せなくなった。
すると最後に数回、彼女の華奢な背骨が折れそうなほどに激しく腰を叩きつけると、ようやく魔物の動きは収まった。

魔物は精を放ってもなお些かも萎えを見せない剛直をゆっくりと抜き取った。
しみひとつなかった彼女の股間には赤い飛沫が飛び散り、ふくよかな大陰唇は無残にも腫れ上がっていた。
爛れた膣口は、彼女が呼吸する度に喘ぐように痙攣している。
「ヤァ、デタデタ。久シブリダケニ溜マッテタカラ、タップリト中ニ出シトイテヤッタゾ。
コレデ司教様改メ、可愛イ肉便器ノ一丁上ガリダナ。ドウダ?腹一杯ニナッタカ、ンン?」
魔物が太い指を入れて抉じ開けると、鮮血混じりの白濁液がテロリと流れ出してきた。

陵辱された秘所を覗き込みながら、魔物は笑った。
「初メテノ女ニチョイト無理サセタカネ。トリアエズ明日ニデモDIOSノ薬ヲ手ニ入レテ来ナイトナ。
何ニセヨ、コリャシバラクハ使エンナァ」
そう言いながら丸太でも転がすように、魔物は彼女をうつ伏せにした。
力尽きてもはや動くことも出来ないものの、これで一先ずは楽になれると彼女はその言葉に安堵した。
しかしそれも再び魔物が覆い被さり、耳に囁くまでの間だけであった。

「ナァニ、前ハ使エナクテモ後ロガアルヨナァ」
残酷な一言と共に、彼女の菊門に引き裂くような激痛が走る。
「…かはっ…くはぁっ…」
叫ぶ形に口は開いたものの、力尽きた彼女の唇からは細い息が漏れてきただけだった。

エルフの長い耳を甘噛みしながら、魔物は背後からクイクイと腰を動かした。
「グフフ…ヨシヨシ、イイ感ジダ。ま○こノ締マリモ良カッタガ、尻ノ方ガ格段ニ具合ガイイゾ」
魔物の哄笑を耳にしながらも、彼女の脳裏にはどこか懐かしく頼りがいのある声が響いていた。

(…もう少しだけ頑張ってくれるかい?…よく出来たね…君ならきっと大丈夫だよ…)
「…あぁ…せんぱ…い… …あぁ…いぃ…」
二度と会えないその人、憧れの人の優しい声が、彼女にはハッキリと聞こえていた。
しかし大好きだったその笑顔は、何故か思い出せなくなっていた。


END