それはまだゾーヤとの蜜月の日々が始まる前の事だ。
 当時の俺は色々あってパーティを解散していた。
 俺がリーダーをしていたそのパーティは、ずぼらな奴が多くて酒場で集まる事はしていなかった。
 だからだろうな。戒律が変わっていた事にも気付かずに最後は破綻していた。
 酒場で顔をつき交わす事も無い、戦いもバラバラ。パーティの意味を感じられなくなってしまった。
 仲が良かった同じ中立の忍者と二人で新たなパーティを作ろうかとも思ったが、忍者のやつはしばらく休むとか何とかで俺は一人になった。
 侍が一人では、最後は野垂れ死ぬだけだ。早急に新たなパーティを探し始めた。

 酒場に溢れかえった冒険者達。
 壁に貼られた依頼や、パーティの募集を眺めていると、目に付いたのは前衛の募集と書かれた物。ラウルフが五人という色物と取れそうなパーティ構成をしている物だった。
 一度会ってみるか。
「前衛を募集してるパーティはあんたらか?」
「そうですが……、僕らとはレベルが全然違うみたいですね」
 俺の問いに答えたのはラウルフの戦士だった。真っ黒な短い毛を持つ、狼のような顔つきをした男。ゾゥフという名前だと教えられる。
 彼らの力量はどう見積もっても俺一人よりも弱そうだった。
「あなたさえ良ければ仲間になって貰いたいのですが」
「とりあえず、一度潜ってから仲間になるか決めさせて貰えるとありがたい」
「勿論です。お願いします」
 彼が頷くと他の三人も頷いた、彼の意見に従う様を見て、一瞬彼がリーダーなのかと思ったが違うらしい。
「僕たちは全員同郷なんです。リーダーは僕の姉なんですが……少し遅刻を」
「ゾゥフ、やっと見つけたぞ!」
 彼の言葉を遮って現れたのは女のラウルフだった。
 輝くような長い銀の毛。人懐っこい顔をしてはいるが、獣としての厳しさの残った顔つき。
 黒く澄んだ瞳が俺を睨むように見つめる。
 眉間には異種への嫌悪が現れていた。
「何だ、ニンゲン。我々に何か用か」
 凛とした透き通る声。きつい口調ではあるが、獣人特有の人間嫌いだろう。人間を好む種族なんて、ホビットとフェアリーくらいだろうが。
「侍にご入り用は無いかと思ってね」
 目の前のラウルフは犬歯をむき出しにして俺を威嚇する。が、ちっとも怖くない。
 見たところ君主だろうが、こいつも俺とのレベルの差は逆立ちしても埋まらないだろう。
「姉上、彼のがレベルが高いのですよ? そういう事はやめた方がいいかと思います」
 その言葉に激怒したのか彼女はゾゥフの首を掴むと椅子から引きずり下ろし正座をさせる。説教が始まったが、ゾゥフは上手く姉を丸め込み俺を仲間に入れる事に成功していた。
 とはいっても一度迷宮に入り、女君主様が俺を気に入れば正式に仲間にとの話だ。
「おい! 気をつけろ!」
「うるさい! ニンゲンにそんな事を言われる筋合いなどないわ!」
 迷宮に入って感じたのはこの君主様はとても危なっかしいという事だ。世間知らずな上に、敵の力量を推し量れていない。弟のゾゥフの方が余程リーダーに向いているだろう。

「避けろ君主!」
「え?」
 少しでも眼を離すと迷宮の魔物に殺されかけている。攻撃を受けるように彼女の前に躍り出て敵を切り落とす。
 俺は弱い君主を守る盾になっていた。
「かっ、庇う必要など無いと、言ったはずだぞニンゲン……」
「ならもう少し注意深くしてくれ、いつ首が飛ぶんじゃないかと心配で仕方がない」
 俺の傷を心配そうに見つめる彼女へ揶揄するように言えば、俺を睨みつけ憤慨する。
 なんてからかいがいのある奴だろうか。
「なっ、心配……だと。わっ、私はニンゲンに心配される云われはない!」
「はいはい分かりましたよ君主様」
 その後も幾度となく庇い続ける。その度に彼女はプライドが許さないのか悪態をつくのだった。

「さぁ、先へ行くぞ」
「待てよ、女君主様。リーダーなら皆の疲弊ぐらい把握しろ。これ以上行くと全滅するぞ」
 階段を降りようとする彼女を押しとどめる。俺が居るから全滅は無いだろうが、死体を五つ持って帰るのは面倒だった。
 ただでさえ今の階層は彼らには無理をしているのが分かった。恐らく、この階層にくるのは初めてなのだろう。
「ウルサイ!! ニンゲンの命令など聞かぬわ!」
「姉上! 彼の言う通りです。帰りましょう」
「私もキツいですよ、リーダー」
 ゾゥフや後衛の三人も不満を口に出し始めた。まずいな。俺の存在がこのパーティを崩し始めている。
「むぐぅ……帰るなら好きにしろ!」
 そう叫ぶと、女君主様は一人で走って階段を降りてしまった。

「どうしましょうか」
「ゾゥフ達は先に帰ってくれ。俺は君主様を連れて戻るから」
 それだけ言うと俺も階段を駆け下りる。
 君主様は一人ではこの階層どころか、上の階層すら一人で歩けないだろう。俺だって一人はゴメンだ。
「きゃあああ!」
「言わんこっちゃ無い!」
 魔物に襲われ悲鳴をあげる彼女の元へ駆けつける。
 予想通り複数の魔物達が女君主様を襲っていた。
「ニンゲ、つぅ! たすけ、いや、痛っきゃううう!」
「テイルトウェイト」
 魔物達の輪の中に割り込み女君主様を抱きしめた俺は核撃を打ち放つ。複数が相手では一匹ずつなんてやっていられないからだ。
「わぅうううううう、怖かった。こわっ、ひぐぅ怖かった。きゃうぅ、ぐずっはぁ」
「よしよし、もう大丈夫だ。落ち着いたら帰ろう」
 サラサラとした毛触りの彼女の頭をあやす様に優しく撫でつける。
 瞳から大粒の涙を流しながら嗚咽する彼女を胸に押しつけるように抱きしめた。
 どれくらいそうしていただろうか。
 すっかり泣きやんだ女君主様の頭をくしゃくしゃと触り、撫で終えて立ち上がる。
 彼女も大分落ち着いたようだ。軽口を叩く余裕が出てきている。
「ニンゲンめ、どさくさに紛れて抱きしめて。この変態が」
 変態呼ばわりする彼女を茶化す。すると面白い程簡単に乗ってくるのが楽しくて堪らない。
「おいおい? そりゃ無いだろ。泣きわめく子供にはああするのが一番じゃないか」
「こっ、子供だと!? 私は子供も作れる立派な大人だ! これだから、貴様みたいな野蛮なニンゲンは嫌なんだ」
 ふんっと、そっぽを向いた彼女の気を引くように弱々しく言葉を吐く。
「そんなこと……言うなよ」
 嘘だと見抜けない彼女は困った表情で俺を慰めようと必死になった。
 その一挙一動が子犬を見るようで実に愛らしい。
「え、あっ。いや、その……べっ、別に貴様が嫌いというわけじゃ。いや、ニンゲンが好きなわけじゃなくて。だから、その……笑うな!」
「くくくっ、悪い悪い。あまりに可愛くてな」
 可愛いという言葉に毒気を抜かれたのか、牙の抜けた狼のようにしおらしくなる。
 さぁ、早く迷宮から出なくてはな。
「帰りましょうか? 君主様」
「ふ、ふんっ。ニンゲンがそこまで言うなら帰ってやる!」
 本当は心細いくせに。
 俺は態とらしく笑いを堪えるフリをして帰り道を進んでいく。
「わっ、笑うなぁぁあ!」



 迷宮から出て酒場へ戻ると先に帰っていた四人が食事を取っていた。俺たちも空いている席に座り食事を取り始める。
「頑固な姉上をよく説得できましたねぇ」
「ニンゲンが泣いて縋るからだ。それよりもゾゥフ、誰が頑固だって?」
 口は災いの元ってね。俺はその事には一切触れずに食べ物をつつく。
 君主様は黙っていられないのかゾゥフを椅子から蹴落として土下座させている。しかし泣いていたのは俺じゃないと思うんだが。
 他の三人はいつもの光景だからか特に気にも止めていない。
「そういえば、どうでしたか?」
「ん?」
 騒ぐ二人を横目にパーティの仲間が話しかけてくる。どうでしたか、か。
「はっきり言って、探索地点は今までのパーティよりもかなり簡単だな。だが、君らの強さを考慮すると、難度が上がってそれなりに面白かったよ」
 そうそう自分が死ぬ事は無いが、仲間を守りながらでは死ぬかもしれない。そこを考えたら十分だろう。
「ニンゲン! あとで私の部屋へ来い。話がある」
「分かったよ君主様」
 ゾゥフを叱り終えたのか、少し機嫌が良さそうな君主様は勝ち誇った目で俺を見下ろしていた。
 まぁ、小柄な彼女が立っていて俺が座っているから見下ろせるわけだが。
「ご愁傷様です。あの状態の姉上はかなり……我が儘ですよ」
「なるほど」
 ゾゥフが俺の耳元で聞こえるか聞こえないかの音量で囁く。上機嫌な彼女の耳には届いてないようだった。
 仕方ないな。
「そうなのかゾゥフ! あの君主様は我が儘なのか!」
「がうっ!?」
 大きな声でゾゥフの発言を復唱する俺に、ラウルフらしい狼のような驚きの声をあげるゾゥフ。
 あまり身内を悪く言うものじゃないぞ。
「ほほーう。ゾゥフ。さっきのでは分からないようだな!」
「いえ、姉上の恐ろしさは十分身に染みています」
「黙れ! 軟弱者!」
 ふぅ。また姉弟漫才のように二人の会話が始まった。
 さて、一風呂浴びてから君主様の部屋に行くかな。
 その頃には君主様の機嫌も良いだろう。



 汗を流してから君主様の部屋へと向かう。
「開いているぞ」
 部屋の中には待ちかまえていたかのようにベッドへ腰掛け、足を組んだ君主が俺を見据えていた。
 彼女の前に立つと彼女の手から何かが投げられ床へと落ちる。
 散らばるように落ちたそれは、金だった。
「今回の分け前だ。拾ったら帰れ」
「おいおい。俺が居たから稼げたとは言わないが、もう少しマシな渡し方があるだろ」
 ツンとそっぽを向いた君主の横顔へと問いかける。dが返ってきた答えは。
「ニンゲンに何で媚びなければならない!」
 どうやら彼女の中では強さとかは関係無しに、自分の下に仲間、更にその下に俺を位置づけているらしい。
 狼や犬とかによくある群れでの位置づけか。新参者である俺は強くても格下という事だ。
「おまえがリーダーってのは認めるが」
「ゾーヤだ」
 俺の言葉を遮り彼女が唸る。聞かなければいいのに俺も間抜けに返事を返した。
「ん?」
「お前だの君主だのと呼ばれるのは不愉快だ! 私の名はゾーヤだ!」
 噛みつくような顔で目の前のラウルフが吠える。
 ゾーヤか。可愛らしい名前だ。
「そうか、ならゾーヤ。リーダーってのは認めるが」
「呼び捨てにするな!」
 再び話し始める俺を叫び声が止めた。
 呼び方一つで話しも進まないとは。
 ふと、先ほどゾゥフが言っていた言葉を思い出す。我が儘か。なら相応しい敬称があるじゃないか。
「ゾーヤ姫。俺は仲間なんだから、もう少し扱いを良くしてくれてもいいだろう」
「っは! 何故ニンゲンのような、か弱い種族を優遇しなくてはならない。貴様は強いかもしれないが、私たちの下僕で十分だ!」
 話し合っても無駄。そう言いたげに彼女の射抜くような視線が俺を貫いた。
 人を蔑む目。そして下僕という扱いに俺の中で何かが沸き起こる。
 気づけば俺の身体は柳のように、ゆらりと揺れ腰の刀を抜いていた。

 さくっ。
 軽い音ともに刀の切っ先が刺さる。
「なっ、何をする!」
「少しばかり……調子に乗りすぎてるんだよな」
 ベッドの縁に刺さった刀の刃はゾーヤの首を掠めていた。彼女にとっては一瞬の出来事だったろう。殺気も何も感じないまま、俺の移動も見えぬままだったはずだ。
 それが俺と彼女とのレベルの差だ。
「なっなにを……」
「躾ってやつかな」
 俺は空いた手でゾーヤの両腕を捻り上げる。彼女の銀色の毛がふわりと舞った。
「くぁっ、痛っ、何をするニンゲン」
「俺が格下だって言うなら、振り解いてみろよ」
 無理だけどな。
 彼女の背中へ掴んだ彼女の両腕を回して、ベッドへと彼女の身体を押しつけた。ぼふっと布が鳴り二人の身体が重なる。
「やめっ、痛い、きゃううう!」
「あまり可愛い声で鳴くなよ?」
 俺はお前みたいな可愛い女が好きなんだから。例え獣でもな。
 襲いたくなる衝動を抑えて、掴んだ腕に更に力を加える。
「ぐるるるるっ、きさまぁ! 痛っ! やめっ、わう! ぅお……」
 俺の腕が解けないと知るや、彼女は喉を反らしてよく通る声を出そうとする。誰かを呼ぶ為の遠吠えを。
 寸前で気づいた俺は刀の刃を返し首に押し当てる。少しでも揺らせば刃は容赦なく首を裂くだろう。
「あんまり騒ぐなよ」
「くぅっ、ん。だったら跪いて、あや、謝れニンゲンめ」
 鼻を鳴らすような甘い声で彼女が命令する。こんな状況でどうして強気でいられるのだろうか。
 あぁ、それよりも甘い声を出すなよ。
「俺の強さを理解するまでやめないさ」
「っくうん。っは。ニンゲンが、きゅうっん! 痛いっ、あっくぅうん」
 俺を見下すような目。その目で見られる度に掴む腕に力を込める。その度に苦痛に歪む甘い鳴き声が俺の頭を痺れさせる。
「この下、なにを、履いてる?」
「っは? なっ、やめろ! いやあああああ!」
 俺の手は彼女のズボンを脱がしていた。その下には毛に覆われた小振りの尻と柔らかな尻尾。
「悪いな、我慢できない」
「やめっ、叫ぶぞ!?」
 自分がこんなにも鬼畜だったと初めて知る。抑えつけていた両腕をそのままに、彼女を後ろから襲える位置へと回った。
「死体とやりたくは無いんだ。嫌がるのはいいが、叫ぶなよ?」
 刀をチラツかせて俺も自分の下履きを下ろした。
 外気に俺の肉棒がさらけ出される。
「初めは痛いが。我慢しろよ。あとで悦ばせてやる」
「へ? あっ! がぅ、うがぁ、あぐるるるるるる!」
 一気に押し貫くとと肉棒を伝うように赤い痕が散る。処女だったか?
 気にする事はない。今は俺を覚えさせるのが先だから。殺されないように恐怖を押し殺すようなくぐもった唸り声をあげる彼女の中を容赦なく蹂躙していく。
 ラウルフと人間との体格さか、狭いその中はきつく俺をくわえて離さない。
「ん、なかなか。お前の中はきつくて飽きそうに無いな」
「がっ、はぅ、ぐるるっ。ぎゃう、きゅうん。ぐるるるるっ、がるるっ、きゃうっ」
 押せば鳴き、引けば鳴く。
 とても可愛いペットをあやすように彼女の頭を撫でた。とても柔らかな銀色が指の間をすり抜ける。
「とりあえず一回な」
「うがぁ? あっ! いやあああああ! あぐ、ぐぁるる! あっ、熱い、やぁあ!」
 どくどくと奥深くに突き入れたまま子種をそそぎ込む。熱い液体で身体の中を汚される苦痛に彼女の顔が歪んだ。
 だけど俺の耳には甘い彼女の声しか残らない。
 もっと彼女を聞いていたい。
「悪いな」
「うぅあ、くっ悪いと思うなら離れ、え? や! また膨らんで!」
「そのうち気持ちよくさせてやるから、今は我慢しろよ」
 一度出して半萎えになった肉棒は彼女の肉壁に圧迫され堅さを取り戻す。二度目の行為を始める前に彼女の体位を入れ替える。
 肉棒突き入れたまま彼女の身体を回転させ、仰向けにし俺に身体を向けさせる。
 言うなれば後背位から正常位への転換だ。
「うはぅ、があああ!」
「そんなに怒るなよ。可愛い顔が台無しじゃないか」
 腰を掴み強く彼女の中へ突き入れる。
 ぐじゅり。卑猥な肉の音共に俺達の身体は深く繋がる。
「んぁあっ。この変態、め! きゃうん! やめ、ろ!」
「まだ二回目だからなぁ。俺の事も認められないんだろ?」
 これは俺の快楽を得る為じゃない。俺が雄で偉いんだと教えているんだ。
「なにを、がう。はぁ、言っている?」
「俺に逆らうなよ?」
 有無を言わせずに腰の律動を再開する。肉が捲れるように肉棒を捕らえて離さない。
 このまま突き入れるだけじゃやはり物足りないか。
 出し入れの度に苦痛の声を上げる彼女を見下ろしながら考える。
「きゃう! あぁ、くん! はぁ、わう! くぅ、きゃん!」
 やはりここかな。
 肉棒が突き刺さる少し上、肉と毛に隠れた小さな突起を探り当て指で軽く撫でてやる。
「きゃううううううう!?」
「おおっと?」
 いきなり刺激が強すぎたのか彼女の身体が震え、苦痛に顔が歪む。
「悪かった、いきなり強すぎたな」
「ぁっ、何だ今のは! 身体を電気が走ったみたっ、きゃうん!?」
「ふふ、ここに敏感な場所があるんだよ」
 俺はゆっくりと解すように肉芽を撫でる。強すぎる刺激は痛みにしかならない。
「くぅ、ん。くうん。きゅうっん! くぅん。いい、んくぅ。きゃうぅぅ」
「いいだろ? ん、ちょっとは濡れてきたな。自己防衛本能だろうけど……」
 なんだろうと滑りが良くなるのはやりやすくていい。
 俺は休めていた腰の動きを再開する。もちろん指で肉芽を弄くるのはやめない。
 穴の奥深く、子宮に打ち付けられる肉棒と指で弄られる肉芽に、ゾーヤの口からは少なからずも肉の悦びの混じる声があがる。
「くうん。きゃう、わふっ。きゅうっん! わふぅ、きゃん。くぅ、きゃん!」
「ん、ふふ。もっと良くなれよ。無理矢理犯されて気分は良くないだろうけどな。優しくしてやるから」
 なんて言ってる傍から俺は我慢出来ずに腰の動きを早めてしまうわけだけど。
 なのに彼女は苦痛に歪みながらも俺の顔を見て気持ちいいと告げる。
 嘘つけ。顔が痛いって言ってるつうの。
「ん、出すわ」
「くぅん、はい。きゃうう。あっわふぅ、あっくぅうん。入って、熱いの来てる、わふぅ!」
 二回目だというのに、きつくて気持ちのいい彼女の中に出された子種の量ははっきり言って多くなっていた。
 彼女の方は虚ろな目ながらも、中に出された余韻に浸るように努めていた。
 無理に苦痛を押さえ込む必要は無いんだが。
「はぁ、もう満足……え、や、まだ?」
「あー、悪いな。可愛い女が相手だから、まだ足りないんだ」
 俺は三度大きくなった肉棒をどうするか考えた挙げ句、彼女の中で果てる方向で決定した。
「というわけで、もっとヤらせて貰うからな」
「っひ! あ、ニンゲン!」
 ゾーヤは一度、更なる交わりに恐怖におののいた声をあげるが、俺を呼び止める声を出す。
「ん?」
 呼び止められたくらいで行為を止めるつもりは無いが、一応話だけは聞いておく。腰の動きは止めずに。
「わっ、私を好きだからこんな事をするのか!?」
「あぁ、そうだな。好きだよゾーヤ」
 狂いそうな程にな。その後は声にせずに行為で答えた。



 朝日が眩しい。
「くぅうん、わふわふ。きゃうう」
「うくっ、出すぞ」
 どくどくと、何回目かも分からない子種を注ぎ込む。一晩で二桁にまで達したのだが、十回目以降は数えていない。
 誤解の無いように位って奥が絶倫ではない。体力が無くなってきたら彼女に回復して貰っていたんだ。
 便利だな回復の呪文は。
「わふぅう。熱いのきたぁ、くぅうん」
「そろそろ朝だからやめるかな」
 本当はもっと犯していたい。それくらい彼女は魅力的だった。
 俺の腰であやしく蠢く姿態、パタパタと揺れる銀の尻尾。快楽に溺れる度に揺れ動く彼女の頭と、銀の体毛。俺の声を聞く為だけに動く耳。
 どれもが素敵な女、牝のラウルフだった。
「はいっあ、わふ。や、ご主人様、まだおっきくなるんですか」
「あと一回で最後だな。ゾーヤの事を考えたら小さくなんてならない」
 あと一回、あと一回。何度もそう繰り返して彼女を犯していた。何回目からかは彼女も意見を改めて、俺をご主人様と呼ぶ程に好いていた。
 呼ぶように躾たのは俺だが嬉々として呼んでいるからいいだろ?
「はい、ご主人様」
 俺はまた彼女の身体を貪り始めた。
 しなやかな彼女の身体は求めれば求めるだけ新たな快楽をくれる。銀の毛に覆われた身体の全てが欲しくてたまらない。
「わふぅ、きゃん! きゃうん! わううう!」
 未だに苦痛があるのだろう。歪めた顔から感じ取れる苦痛を申し訳なく思う。
 俺が求めるから股を開き、濡らして俺に答える。破瓜を迎えたばかりの乙女にはきつい事を俺はさせているんだ。
「好きだよゾーヤ」
 彼女の耳を口にしながら囁く。好きという単語に彼女の身体がよじれ歓喜に中がきつく纏わりつく。
「ご主っわふぅ、きゃん! じん、あふ、わおん! さまっきゅうん。くぅうん!」
「そんな、くっ、蠢いたら! ゾーヤ、悪い」
 些か早漏気味じゃないか?
 どくどくと再び注げば、ゾーヤのお腹がまた少し膨らんだ。注がれた子種で子宮はいっぱいだろう。あんなに注いだというのに一滴も漏れてきてないのだから。
「くぅぅぅぅん?」
「ゾーヤの中は最高だ」
「ご主人様ぁ!」
 目を細めた彼女が顔を俺の胸にすり寄せ甘えてくる。全く愛しすぎて困る。こんな風に甘えられたら、またやりたくなるだろ。
 俺は必死に我慢して後片付けに入るのだった。



 二人で風呂に入り汗を流してからパーティが待つ食堂へ行く。
 風呂でムラムラきて一回やったけど気にしない。何故か彼女は正確な回数を覚えていて、彼女が言うには十八回だそうだ。腹上死しそうな回数だよ。
「おはようございます姉上」
「おはよう」
 俺は軽く挨拶をして席へとついた。横には当然のように座るゾーヤ。尻尾を揺らして上機嫌だ。
「どうしたんですか姉上。彼の隣に座るなんて」
「あぁ、実は」
「ニンゲンは信用出来ないからな! 私がしっかりと見張れるように隣に座る事にした」
 俺の発言を遮りいつもの調子でゾーヤの言葉が続く。仄かに紅潮した顔、揺れる尻尾。でも生意気な我が儘お姫様の発言。
「はぁ……?」
 不思議そうに頭を傾げるゾゥフをよそにゾーヤは楽しげに食事を始めるのだった。
「何を見ているニンゲン! 早く食べろ!」
「何でもないよゾーヤ姫」
 今はつき合おう。夜になれば、二人きりになれば俺の、俺だけの牝犬になり変わりさえすれば。
 今日も躾るからな? 覚悟しろよ。愛しい愛しいゾーヤ姫。