ダンジョンにおける最大の敵は何か分かるだろうか。
 強大な魔物でも、仲間でも、まして空腹でもない。
 そう、それは……生理現象だ。
「というわけでゾーヤ姫、俺は少し離れるが気にするなよ」
 我がパーティのリーダー、ラウルフ君主のゾーヤに告げて立ち上がる。
 ちょうどキャンプを張っているから離れても問題ないだろう。
「な、この馬鹿ニンゲンめ。一人で離れたら危険だろうが!」
 暗がりでよく分からないがゾーヤの顔は俺を罵る顔には見えない。どちらかと言えば、雨の日に捨てられた子犬みたいだ。
 俺という存在が離れる事が不安なのだろう。しっかり躾た甲斐がある。
 やはりラウルフには牝犬扱いが似合うようだ。
「一人じゃ確かにそうか、ゾゥフ来てくれ」
「あぁ、はい。いいですよ」
 ゾゥフ、ラウルフの戦士でゾーヤの弟だ。ゾーヤなんかと違ってしっかりしている。まさに狼といった感じか。
 若干、腹黒い気がするが俺に害が無い限り気にしない。
「この馬鹿共!」
「えー」
 二人連れだって行こうとすれば再びゾーヤの叱責。何がいけない、お前の言う条件は満たしたぞ。
 なんて今は言えない。今は。
「男手は二人しかいないんだから分かれて行動しろ!」
「ならゾゥフじゃなくて……、誰か俺と」
 ゾーヤの後ろで呆れている三人娘、もとい三犬娘に視線を送る。全員が嫌そうだ。当たり前だろう、誰が好き好んで男の排泄などみたいだろうか。
「そうやって暗がりで襲うつもりか!」
「えー」
 今日のゾーヤ姫は虫の居所が悪いようです。
 おかしい、昨日は三回、今朝にも一回してやったんだから虫の居所が悪くなるはずは無いんだが。
「いや、姉上。さすがにそれは……」
「仕方がないから私がついて行ってやろう。いくらニンゲンが馬鹿とはいえ、君主である私に襲ってくる事はないからな!」
 腰に手をあててえばってるが、尻尾が揺れまくりだ。ニンゲン様を馬鹿にするのが楽しくて揺れているのか、俺と二人きりになれるから嬉しくて揺れているのか。
 恐らく後者だろう。
「それじゃ、同行お願いしますゾーヤ姫」
「そうだな、仕方がない。うん、仕方がない」
 何を納得させようとしているんだ?
 正直な話、俺とゾーヤの関係なんて全員薄々気付いてる。隠せてると思ってるのはゾーヤだけだ。
 勿論優しい皆は黙っているけど。態度とか匂いでモロバレだと思う。



 少し離れて周りの視線を感じない場所にくる。この辺ならば大丈夫だろう。
 ズボンを下ろし壁に向かう。以下省略……とはならない。
「ゾーヤ姫よ、ドコを触っているんだ」
 彼女の手は俺のを支えるようにあり、まるで手を動かせない男性が介護される時のようだ。
 俺はそんな事をされずとも漏らすような真似はしない。
「ニンゲ……ご、ご主人様に少しでもお仕えしたいのです」
「さんざん罵ったのは二人きりになりたいからか」
 呆れて溜息がでてくる。
「ごめんなさい」
 シュンとなり耳を垂れさせる彼女の頭を撫でてやる。ここまで調教したのは俺だ、俺が責任もってコイツを仕えさせてやらないといけない。
「まぁ、話はあとな。いいかげん漏れる」
 じょろじょろじょろ。小気味良い水音をたて壁を濡らしていく。勿論噴出口を支えるのは俺の手じゃなくて彼女の柔らかな手だ。
 さらさらとした銀の毛を持つ彼女の頭を優しく撫でてやると、目を細めて本当に嬉しそうにする。俺の、俺にだけの表情だ。
「終わったから手離していいぞ」
「はい、ご主人様」
 にこにこと笑顔で返事をするとお座りの姿勢で俺の次の指示を待つ。俺が躾た夜の態度だ。
 さっきまでの苛々が消え失せたみたいだった。
「おい、なんで苛々してたんだよ」
 ピクリと彼女の身体が震え、耳が明後日の方向に向く。
 それはあからさますぎるだろう。
「隠し事する悪いペットはいらないんだけどな」
「きゅうぅん……」
 う、そんな可愛く鳴いたって駄目だからな!
 もう少し冷たい態度を取れば、俺が一番のコイツなら白状するだろう。
「なら素直な新しいペットを探すか」
「きゃうぅ……ごめんなさい」
 よし、落ちた。
「わ、私なんかよりやっぱり、あ、ああいう女の子がいいですよね」
「は?」
 はて、コイツの前で他の女とイチャついた覚えは無いんだが。というか、コイツ以外の女なんて今は興味無いしな。
 今にも泣き出しそうな彼女の頭を撫でて続きを促す。飼い主の俺はこんなに溺愛しているのに分からないものか。
「だってご主人様、途中で戦った、女の魔法使いに、すごく、えっ、エッチな事してたから。やっぱり人間の可愛い女の子がいいんだなと思ってそれで、それで」
 瞳にうっすらと涙を浮かべながら彼女の言葉が続く。あぁ、あの時からか。


 今を遡ること数時間前。
 目の前にいたのはプリーステスだった。
 他にもいたのだが倒した結果、たまたま残ったのがソイツだった。
「ゾーヤ姫、残りも俺が?」
「はっ? ニンゲン、侍なら最後まで倒すのが筋だろう」
 と言われても、俺の仕事量は半端ない。先陣をきって倒し、ゾゥフとゾーヤの打ち漏らしを倒し、最後に残ったやつらも俺が倒す。
 レベルの差が倍以上あるから俺の仕事が増えるのは必然なわけだが、さすがに面倒だ。
「ばか犬のくせに偉そうなやつ……」
 溜息混じりに剣を構え直すと聞こえたのは目の前の女からだった。
 馬鹿犬とはきっとゾーヤの事だろう。この女はゾーヤを馬鹿にしたのだ。俺の大切なゾーヤを。
「言うことはそれだけか?」
「え? うぐぅ!」
 目の前のプリーステスに歩み寄り腹を思い切り踏みつける。命乞いならまだしも、ゾーヤを馬鹿にするようなやつは罰を与えなくてはならない。
 剣を器用に操り女の服の胸の部分だけを切り取る。そうなれば当然、人間らしい豊かな粗乳はさらけ出される。
 ほらな、ゾーヤのが綺麗じゃないか。
 感慨にふけりながらも次の行動に移る。袖と腰から下の布をはぎ取り、捩って長い紐を作っていく。
 故郷で習った簡易の捕縛縄の作り方だ。
 プリーステスを足で転がしうつ伏せにする。次は両手を後ろに回させ後ろ手縛り。更に余った部分を使い、胸を強調するように絞って縛り上げる。
「二、ニンゲンそれはいったい……」
 ゾーヤの怯えにも似た囁くような声に振り返りニッコリと微笑む。
 あとは両膝に縄をかけ、縄を首の後ろに通すように縛れば足を閉じれずに醜く膝を折り曲げる置物の完成だ。
「ひぎぃっ! この変態解きな、むぐぐぐ!?」
 あぁ、五月蝿い置物は無いから口には履いてたパンツとか靴下を突っ込んで轡をしておこう。
 完成だ!
 我ながら見事な出来映えだ。通りがかる冒険者達の癒しになる事間違いなし。
「あの、それは一体なんでしょうか?」
「故郷には縄師という職業があってな? 知り合いがソレで色々習ったうちの一つだ。ちなみに動けなくしたら倒したのと同義だ」
 故に、俺はコイツを殺さずに倒したのだ。不殺の縄師だな。
「は、はぁ?」
 尚も疑問の表情を浮かべる全員の視線を一身に受けながら、その場をあとにした。
 後ろから早速誰かの獲物になったのかくぐもった悲鳴が聞こえたが気にしない。



 俺は目の前で泣き声をあげ始めたゾーヤに回想をやめて視線を戻した。
「プリーステスが良かったらあのまま抱いてたよ」
「本当、ですか、ご主人、さまっ」
 本当に決まっている。大体俺が抱きたいのは、あの日からずっと一人だけだ。
 ぐすぐすと唸っている彼女を抱きしめて頬を寄せ合う。本当に愛らしい俺の、俺だけのペットだ。
「ご主人様ぁ!」
 このまま泣きやむまでこうしてやるべきなんだろう。だけどそれは無理な相談だった。
 目の前でこんなにも愛らしいペットが尻尾を振って俺を求めているんだ。男なら違う生理現象が起こるに決まってるだろ。
「ゾーヤ、壁に手をついて尻をつきだせ。やりたくなった」
「ふわっ、はいご主人様!」
 そう言うと素早く下半身だけ脱ぎ去り、壁に手を突いてこちらを振り返る。
 まだ濡れてもいない蜜口を指で思い切り開いて俺の侵入を待っていた。
「この身体はご主人様のものです。ご主人様が求めるならどこだって、いつだってご主人様の牝犬になります」
 なんとも可愛い宣言だ。しっかり躾た甲斐がある。
 頭を撫でれば目を細め本当に幸せそうな顔で俺の手の温もりを感じる。
「だから、捨てないで、ください……」
 寂しくて堪らない、そんな声を出されたら俺はお前を抱きたくなってしまうだろ。
 誰にも渡したくないくらいに美しいお前を。
「んぁっ、ご主人様が入ってくるっ、あっはぁあ」
「頭を撫でたぐらいで濡らす淫乱は俺が抱いてやらないといけないだろ?」
 尻尾を大きく揺らし俺の侵入を喜ぶ彼女の尻を優しく撫でてやる。
 前衛職らしい締まった筋肉と、女性らしい柔らかさの混じった魅惑的な尻。
「んぁふっ、わふぅっ、きゃんっゃん。わぅうん!」
「ゾーヤ、可愛いぞ」
 両手で彼女の腰を支えて勢いよく突く。今朝も出したというのに俺の身体は彼女を求めてやまない。
 深く差し込み子宮口を叩けば嬉しそうに嬌声をあげ身を捩る彼女。
「あっ、きゃんっ、きゃううう! あっわっきゅううん! わんっわふっふぅうん、わぉぅん!」
 ぐちゅぐちゅと音を鳴らし締まる彼女の身体に限界を感じて、彼女の身体を弓なりに反らすように抱きしめた。
「っく、出る」
「わふっ、わぅぅっきゅうううううん! あふぅ、あっはぁあ、はぁ」
 ねっとりとした白濁が彼女の身体犯していく。
 幾度出してもこの身体に飽きはこないだろう。
「戻るか」
「きゅうん」
 ゾーヤが犬のように鳴き頷いた。

 戻れば女性陣の顔が朱く染まり、ゾゥフの顔も困った表情をしていた。
 しまった。離れたとはいえ、あんなに大きな声で喘いだりすれば聞こえるか!
 喘ぎまくった本人は気にも止めずにご機嫌だ。いいよな、そういうのに疎いのって。
 注がれた白濁の処理をしなくても気付かれないとか思ってやがる。
「さぁ、しっかり休んだのだから早く行くぞ!」
 あぁ、ご機嫌すぎて周りが見えてないのか。これはしっかり守ってやらないと危ないな。手間のかかるペットだ。
「分かりました、姉上」
「いえっさ、ゾーヤ姫」

 あぁ、ほら俺の言葉にだけ反応して尻尾が揺れてるぞ。弟のゾゥフならそんな事も無いのにな。
 先陣をきって歩き出すゾーヤの後ろを歩けば魅惑的な尻尾の揺れ。
 夜まで我慢だ俺!
「きびきび歩けニンゲン!」
「はいはい、分かりましたよゾーヤ姫」
 とりあえず苛々が消えたのは良いことだ。今は大人しく冒険を再開しよう。
 夜になるまでは彼女が上なんだから。