扉の看板には、
*** コントロールセンター ***
この領域は、立ち入り禁止!
<<< 入るべからず >>>
その看板に書かれたメッセージを前に冒険者の一団がキャンプを張っている。魔法使いがマカニトを修得したのを機に 、いよいよアロ
ケーションセンターに挑もうと意気込む中堅どころの冒険者達であった。
「ここでブルーリボンを手に入れれば、明日からはとうとう地下九階だな」
「ああ、下層に行けば高値で売れるお宝も多い。これで俺らもいい暮らしができるってもんだ」
彼らは言ってみれば、冒険で得た宝を日々の糧とする職業冒険者。強くなるのは金のため、野心や求道など糞食らえ。迷宮の探索は生
き様ではなく、あくまで生業。狂王もワードナもはるか昔に無き現在、この迷宮に集う冒険者の大半はそういった者達である。
「よし、準備はいいな。そろそろ行くぞ」
彼らは扉を蹴り開けてセンターの通路に進入した。
突然、警報の大きな音が聞こえてくる。警報が鳴り止み静かになると、ガチャガチャと警備の魔物の来る音がする。
冒険者は、 " 面倒な事になった " と思い始めた。
(面倒な事になった)
(面倒な事になった)
(同上)以下略
東に一ブロック移動したところで、警報を聞いて駆けつけた警備の魔物の一団に遭遇する。幸運なことに敵はプリーステス四人のみ。
さっさと蹴散らして先に進もう――と考えた彼らを手で制して、プリーステスの一人が口を開いた。
「ちょっと待ってよ。私達は戦う気はないわ」
「なんだ、友好的なプリーステスかよ。でも残念だったな、俺らは悪の属性だ。見逃してやることは出来ねえな」
「それを期待してあなた達に声を掛けたの。ね、これからブルーリボンを取りに行くんでしょ?その前に私達といいことしてかない?
センターに配備されてる一団は強いわよ。全滅しちゃってからじゃいいことも出来ないんだから」
「縁起でもねえこと言いやがって。しかしいいこと、ねえ――」
リーダーの戦士はそう言ってプリーステス達を舐めるように睨め付けた。この迷宮でプリーステスと言えば、なぜだか美形揃いの聖職
者として有名である。ご多分に漏れず、彼女達も大層な美女ばかりであった。長く艶やかな髪に、整った顔立ち。全身は手の指から足
先まで金色の鎧で隠されており、腰には青緑がかった巻きスカートを身に着けている。肌が露出しているのは顔だけなのだが、全身か
ら何とも言えない色気が漂っていた。
「うーん、それも悪くねえ。どうだお前ら、戦闘前の景気付けに一発やっていくか?」
「え、お、俺はいいよ」
「なに言ってんだ。お前はそれだから、面はいい癖にまだ女を知らねえんだ。せっかくだからやっとけって」
一人渋った僧侶を無理矢理納得させ、冒険者達はもうすでにやる気満々である。
「話は決まりだな。ま、これもある意味戦いだ。見逃したことにゃならねえだろ。で、どこでいいことしてくれるってんだ?」
「あ、でも私達も魔物扱いされてるとはいえ聖職者の端くれだし、本番は無しよ。その代わり、お口とお尻にはいくらでも出していい
わ。それと、また着るのが面倒だし、鎧は着けたままで。でも、これを捲れば後ろからぶっ刺すのには問題ないでしょ」
そう言ってプリーステスは後ろを向き腰布を捲ってみせる。太腿まで覆う長い脚鎧の上には、わずかに覗く白い太腿と薄紫の下穿き。
下穿きは後ろに大きな穴が開いており、ほとんど尻を縁取る紐の様になっている。穿いているにも関わらず、白く柔らかそうな双臀は
ほとんど丸見えになっていた。
「なんだよ、後ろだけかよ。まあなんでもいい。さっさとやっちまおうぜ」
「じゃあ、そこの警報の北側の玄室が空いてるわ。誰か来ても警報でわかるし、警報に引っかからないような連中は、九階へのエレベ
ーターに直行だから、こっちには来ないしね」
* * *
四人のプリーステスは横に並んで壁に手を突き、冒険者達に向かってその尻を突きだしている。その姿勢のため、揃いの下穿きに開い
た穴からは、尻の割れ目以上のものがはっきりと見えてしまっていた。
「こりゃあいい眺めだな。どいつもこいつもいい尻をしてやがる」
「もうちょっと。もうちょっとで割れ目まで見えそうなんだけどな。あの絶妙なカットの布きれが憎いぜ」
「どうだ?お前もやる気になってきただろ。まじまじと穴ばかり見つめやがって」
「う、うん。後ろの穴ならいけそうだ」
「ちゃんと中まで綺麗にして薬液を塗り込んであるから私達はいつでもいいわよ」
その艶っぽいハスキーな声のプリーステスの言葉を切っ掛けに、冒険者は彼女達に襲いかかった。いきなり挿入してその締め付けを存
分に楽しむ者。まずは両手で目一杯尻を拡げて視覚的に楽しむ者。頭を押さえ付けて口を使わせ、まるで性器にするように腰を動かす
者など、玄室の中はたちまち乱交場と化した。
* * *
それから幾度の行為が行われたのだろう。すでに男達は今日の目的も忘れ、その体力も限界に近くなっていた。時折、前の穴に手を伸
ばす男達だったが、上手い具合に体勢を入れ替えたり、時にはメイスで殴ったりと、そのたびに女達は頑なにガードしている。
「しかし、こいつは凄いな。これと比べたら今まで入れた穴なんて木の洞みたいなもんだぜ」
「おお、こんなのは初めてだ。でももう俺、無理」
「もう限界だ。こうなったら約束なんて知るか。せめて最後だけでもこっちでやってやる」
「あら、他の子は駄目だけど。私は構わないわよ。ほら、どうぞ」
そう言うと、プリーステスの一人は紫の布地を引っ張り、隠されていた秘所を外気に晒す。彼女の尻を抱え込んでいた男は喜び勇んで
その濡れそぼった穴に矛先を変える。
「お前ばっかりずるいぞ。俺ももう我慢できねえ」
それを見た他の男は、頑なに前での受け入れを拒んでいたプリーステスの下穿きを破り捨て、その穴に挿入しようとした――のだが、
その竿の先で感じたのは、女のそれとは全く違うむにゅっとした感触だった。
「ん?穴が無い。この感触……こ、これは。おいお前ら、こいつらは――」
「マニフォ」
驚く男の声に答えて他の男達が気を取られた瞬間、その絶妙な隙を狙って四人のプリーステス達は一斉に麻痺の呪文を唱えた。心と体
の隙を突かれた彼らは、ひとたまりもなく一人を残して麻痺してしまう。
「ぴったりのタイミングだったわね。でも、まだ一人残ってるわ」
そう言って、再度マニフォを唱えようとする四人に、一人残された僧侶は武器を放り捨てて懇願した。
「ま、待ってくれ。抵抗はしないから、頼む!」
「どうする?」
「まあ、いいんじゃない?中堅の僧侶一人なら、全員でかかればなんとかなるわよ」
「じゃ、私はもう行くから。後はみんなに任せるわ」
「うん。あとはこっちの方で楽しむから。さ、これからが本番よ」
玄室を出ていくプリーステスに手を振り、ハスキーな声のプリーステスが振り向いた――その美しい顔に満面の笑みを浮かべながら。
そして、腰布の前をはだけた彼女の股間には、女にあるべき割れ目は無く、女にあってはいけないものがそそり立っていた。当然、そ
の下にはこちらもあってはいけない袋がぶら下がっている。残り二人のプリーステス達も同様のモノがある股間を男達に晒した。
そして、冒険者の中で一人残った僧侶はなぜだか嬉しそうに三人に声をかける。
「実は俺、女が苦手なんだ。その……私もそっちの趣味なの」
「あらお仲間だったのね。なら私達といっしょに楽しみましょう」
そして彼女ら――いや、彼らプリーステス?は冒険者に飛び掛かった。
残念!!彼らの冒険はこれで終わってしまった。
* * *
プリーステスが玄室を出て立ち去った後、廊下の天井から一つの影が飛び降りた。鎧姿のまま音も無く降り立ったのは、一人の女忍者
である。そして彼女は扉の隙間から玄室の中を窺う。後を追って南から歩いて来た侍は、巧みに警報を避けて女の背後に立つと、その
背中に声をかけようとした。
「おい、お前――モガッ」
「(しーっ!今いいところなのだ。話すなら小声にしてくれ)」
「(四階に着いた途端に昇降機と反対の方向にダッシュしやがって。なにしてんだよ。部屋の中の気は……九人。戦闘中か?)」
「(ああ、真っ最中だ。ほらリーダーも見てみればいい)」
「(なんなんだ。っと、プリーステスが……冒険者と乱交中?って――おい、あれは)」
「(ああ、男だ。どうだ、プリーステスから男の匂いを嗅ぎ取った私の鼻は。存分に褒めてもいいぞ)」
「(男の臭いがするって……あれ、本当だったのか……。今後、どういう目でプリーステスを見ればいいのかわかんねえよ)」
「(これまでどういう目で見ていたのだ?まあ、これからも、いやらしい目で彼女達を見てあげればいいではないか)」
「(見られねえよ。大体、なんてもん見せんだよ。こんなもん見てたら目が潰れるわ。ほら、さっさと九階に下りるぞ)」
「(ああっ待って。もう少し、もう少しだけぇ。お願いだから――)」
侍は女忍者を担いで、足早にその惨劇?の現場を立ち去っていった。
〜 了 〜