目下、私の状況は悲惨だった。パーティの四人が倒れ、残っているのは私と気弱な彼の二人だけだ。
 そして目の前にいるコインの山。
 どこでどう選択を間違ったのか魔法使いの私は魔力切れで何も出来ない。これも脳が足りてないドワーフのリーダーのせいだ。
 唯一頼るべき相手の彼は既にコインの山を前にして諦めている。武器があるんだから戦え盗賊!
「もうだめだ、もうお終いだ…」
「ちょ、ちょっとあんたが頑張らないとどうしようもないんだから変な事言わないでよ!」
 飛びかかってきたコインの山、クリーピングコインをギリギリで避けて相方を叱咤する。誇り高きラウルフの盗賊かと思いきや、気弱な子犬だったとは。
 彼は顔を覆うように両手で頭を抱え込んで座り込んでしまう。待て、男なら敵に向かっていけ。
 戦意喪失の彼を物か何かと勘違いしたのかコインの動きは軽やかに私だけを襲ってくる。
「っつ! あ、きゃあ!」
 後衛でまともに戦う事の無い私ではクリーピングコイン相手ですらまともに戦えない。あえなく膝をつきぶち当たる金属の衝撃に耐える。
 成す術なく倒れ込む私を見ても彼は動きもしない。あー、パーティ選ぶの間違えたかな。このまま死ぬのか。出来れば生き返りたいな。ロストは嫌だな。
「って、ひゃ。んっなんてトコに入ってんだ」
 数枚のクリーピングコインが服の裾から侵入し服を引きちぎりながら下着の中へと入っていく。
 人型の魔物というのは女性冒険者を性的に陵辱するらしい。そんな言葉が頭をよぎる。
「あぎひぃぃっ」
 無遠慮な硬質の何かが私の胸の先に食らいつく。快感なんてない。痛覚を刺激された。
 両胸に食らいつくソレを引き剥がそうと服の中に手を差し入れるが指が触れる前に体に無数の打撃が入る。
「あっぐぅ、がはぁっ!」
 殺すならさっさと殺してくれ!
 そう嘆願したくなるようになぶり殺してくる。
 私はクリーピングコインのオモチャじゃないのに。
「だっ、大丈夫?」
「ひっ、いああああっ! ごふっ、がぁっ!」
 聞くなら顔を隠さずに助けろバカ犬!
 声を出す事すら出来ずにただただ金属の衝撃を受け続ける。私の服は、侵入して布を引きちぎり離れる無数の金属により既にボロボロになっていた。
「あぐぅ、はぁっ。離っれて」
 纏っているのは下着だった物だけという私にクリーピングコイン達は責め方を変えた。
 二枚貝のようにくっついたコインが力任せに胸の先に食らいつくのではなく、まるで愛撫するように強弱をつけて胸の先を挟むのだ。
 引き剥がそうにもダメージを受けた体は言うことを聞かず、例え言うことを聞いても剥がそうとすれば力強く咬まれるのがオチだろう。
「んっ、ひっ。やぁあ。あ、はぁ。離れてっ、んふぁ」
 ヤバいかもしれない。私の吐息には苦痛以外の何かが混ざり始めていた。
 キュルキュルと音を立てるようにクリーピングコイン達が回転を始める。その動きは私の体をこする為にしているようだ。胸の先が擦られ、思わず甘い吐息をしてしまう。
 こんなの反則だ。
 ぶるぶると敏感な部分に伝わる振動、金属に擦りあげられる胸の先、優しく愛撫するように摘まれる身体。
「あっ、あん。んっ! だめっ、ひぃ!」
 湿り気を帯びはじめたパンツに潜り込んだクリーピングコインが食い破るみたいにパンツをボロボロにしていく。
 いつの間にか私は彼に濡れた秘唇を晒すように股を開いていた。
「うわ、ぐちょぐちょ……」
「あっひやぁ、なんで見てんの! あ、助けろっ、ああん」
 一人喘ぐ私は最も敏感な部分にクリーピングコインをくっつけた裸身を、弱気なバカ犬に見せていた。
 本来ならお金を貰ったって見せたくも無い、のに。
「ごめん、俺我慢が……」
「ひぁ?」
 切羽詰まった声をあげる彼を見てびっくりした。
 さっきまで顔を覆っていた手は、ズボンから出された欲棒を握っていた。私の両拳を合わせた位の長さを誇るソレに目を奪われる。
 気弱な男は巨根だとか誰かが言ってたけど本当かもしれない。
「な、何して、んぅ、のよ!?」
「はぁ、はぁ、だって。エロいから」
 彼が重たい腰を上げてのしのしと近づいてくる。しかもその手は武器ではなくて、欲棒を握りしめて上下に揺り動かしていた。
 あと一歩。彼の欲棒が眼前に突き出された。舌を突き出せばソレに触れそうだ。
「あっく、ごめん」
 謝罪とともに欲棒が膨らみ弾け、私の顔に身体に牡臭い白濁液をぶちまける。
 鼻をつく牡の匂いにクラクラしおうだ。
「あっ、や、粘着いて、んはぁっ。濃いよぉっ。あ! クリぃ、ピんぅ、グコイん! 取って、あふぅ、取ってぇん」
「あ、ごめん。今助ける」
 弱気なバカ犬は一度出してすっきりしたせいか、冷静に武器を取りクリーピングコインを倒していった。
 最初からその動きを見せてれば可愛いものを。
「大丈夫だった?」
「はぁ、はぁ、大丈夫なわけないじゃない! 私の服ボロボロで着れないし、身体のあちこちが痛いし。これもそれもあんたが真面目やらないからよ!」
「ごっ、ごめん」
 うなだれるバカ犬を見ていたら、助かった安堵感からかついつい許してしまう。
「あら? クリーピングコインのやつ宝箱を落としたみたいね」
 彼も足下に落ちた宝箱に気づいたみたいだった。
 注意深く宝箱を確認して罠の有無を調べている。
「この罠、どくばりか」
 ガチャガチャ、ガチャリ。
*おおっと*
 メイジブラスター。



Fin