窓から柔らかな日差しが入り込んでくる。朝か。
「御主人様ぁ。朝ですよ」
 俺の腰の辺りから声が聞こえた。素っ裸でソコに抱き着くなら朝からフェラチオの一つでもすればいいのに。
 心の中で悪態をつくが言葉には出さない。
 朝から彼女を凹ませたら後が面倒だ。
「おはようゾーヤ」
 足にしがみつくゾーヤの銀の髪を撫でて起き上がる。今日は安息日じゃない。これからダンジョンに挑むのだ。
 ゾーヤも起きると昨晩部屋の入口で脱ぎ捨てた服を着込んでいく。着込む犬、ペットに服を着せる趣味は無いんだがな。
「ゾーヤ待て」
「くぅん?」
 俺のかけ声にゾーヤの動きが止まる。鼻を鳴らして俺の許しを待つ彼女の後ろへ回った。まだ下を履く前の状態だった彼女を四つん這いにさせ、あまり濡れてもいない蜜口へ朝勃ちの牡を突き入れる。
「わふぅん! あっ御主人様! 朝からっあんっ激しいっ、きゃうん!」
「ん、お前は、俺のペットだろ」
 恋人だなんて言葉をかけるつもりは無い。善君主をペット扱いするというのは何ともゾクゾクする。
 まぁ、ラウルフだから見た目からしてペットだよな。
「わぅん! あぉっ、私っ、御主人様の、きゃんきゃん! 物ですっ、んきゃぅぅぅん!」
「悪いな。もう出すわ」
 快楽を貪り、彼女の蜜口へ白濁液を流し込む。
 朝勃ちも収まったので、ささっと準備を済ましてパーティの待つ食堂に移動した。
 彼女はお尻を突き上げた格好で白濁を注がれた余韻を楽しんでいたが気にしない。尻尾は……揺れていた。



「おや、おはようございます」
「おはよう」
 席に着くと隣に座る戦士、ゾゥフが挨拶をした。
 ゾーヤの弟だと言うが、あの跳ねっ返りとは違って礼儀正しく真面目である。
 しかしその腹にどんな黒い物を抱え込んでるかは分からない。コイツは笑顔で毒を吐けるに違いない。
 実際コイツの腹は黒いしな。
 ゾゥフ曰く、私は母似の黒毛で姉上は父似の銀毛、らしい。
「しかし姉上は遅いですね」
「女の朝は準備が長いからな」
 と言ってから目の前には既に仲間の三人が居る事に気づく。三人とも女だが俺より早かった。
 三人の視線はおれの発言を非難するソレだった。
「あー……おはよう」
「おはよう。女なのに準備が早くて悪かったね」
 ツィーナが怒りの表情で一言。
 更にウェルナの一言。此方は棘だらけだ。
「おはようございます。もう少しワタクシ達にも気を使って頂けるとありがたいのですけどね」
「おはよー。ミリシャは女の子じゃないのかな? じゃ、な、い、の、か、な?」
 ミリシャは詰め寄るように顔を近づけてきた。
 笑って誤魔化すが誤魔化しきれない。
「何をしているミリシャ。そんなニンゲンなどに近付くと汚れるぞ」
 いいタイミングでゾーヤが降りてきた。人間に近付くと汚れるのか心のメモに記録しておこう。
 鼻を不自然に動かしながら隣の戦士が給仕を呼んだ。何の匂いを嗅いだんだ?
「ニンゲンの隣しか空いてないのか。汚らわしいが仕方ない」
 ゾーヤは俺の後ろを通り席につく。ふわりと香る彼女の匂い。
 こいつまさか……な。
「随分と起きるのが遅いんだなゾーヤ姫様は」
「ニンゲンには分からないだろうが、リーダーとしての準備をしていただけだ」
 相変わらずのぶっきらぼうな言い方だ。
 というか、こいつやっぱり……仄かに香る彼女とは違う汗の匂い。あれから湯浴みもせずにここに来たのか。
 仲間の視線が一気に俺に集中する。
 当たり前だ。人間の俺ですら彼女から香る彼女以外の匂いに気づくのにラウルフである四人が匂いに気付かないわけがない。
 下手したら俺の白濁液の匂いまで区別しているかもしれない。
「昨夜は暑かったですね姉上。探検に行く前に汗を流してみてはどうですか?」
「ん? そうだな」
 ナイスだゾゥフ。ゾーヤはチラリと俺を見てから頷いた。
「ニンゲン、貴様も風呂に入れ」
「……俺は朝浴びてきたんだがな」
 俺は抱いたままで皆の前に出るような事はしない。身体に纏わりつく彼女の匂いで何があったかばれるだろう。
 ゾーヤはその辺を分からないのか、分かってやっているのか。
 俺としては命の危険とかが無いならバレてもいいのだけど。前に里の両親は五月蝿いと聞いたから内緒にしている。
「ニンゲン臭がする。風呂に入るならしっかりと洗え」
「ハイハイ分かりましたよゾーヤ姫」
 腫れ物に触るような態度のゾーヤを適当にあしらう。
 だがゾーヤの機嫌を損ねるなという全員一致の判断で食後に風呂に入る事になった。



「で、何で一緒に入っている」
「御主人様と……離れたくないんです」
 そんな事を言いながら膝に顔をすり寄せてくる。
 あぁ、尻をこっちに向けるな。濡れてる蜜口とか菊門とか丸見えだから。
「って、精子流れてきてんぞ」
「きゅぅん。勿体無いです」
 彼女の指が蜜口を弄くり、愛蜜と混ざった白濁液を奥へと押し込む。
 洗い流すという選択肢は無いらしい。
「はぁ」
「御主人様ぁ」
 甘えた声を出す彼女を抱き締めて思う。ここまで躾といて何だがもう少し常識を弁えて欲しい。
 いつか罰が下りそうな台詞を思い浮かべながら彼女の身体を綺麗に洗った。



fin.