夕刻、待ち合わせの場所で俺は動悸を押さえつつ、ある人物の訪問を待っていた。
入り口の扉が開き、息を弾ませ一人のエルフが俺に駆け寄る。
俺のレベルを軽く数十倍を上回るパーティリーダーのくノ一だ。
「待った?」
「・・・・い、いえ、全然」
駆け寄りざま彼女の発した言葉に、俺は目を伏せながら答えた。
大嘘だ。2時間前から待機していた。
そんな俺の反応には無頓着に彼女は次々と装備をテーブルに置いてゆく。
装備が一つ置かれるごとにちらりちらりと彼女に視線を走らせる。
無造作に掻き揚げた銀髪から覗く美しい顔、腕の動きに合わせ豊かに揺れる形の良い胸、
折れそうな腰の動き、そこから伸びるスラリとた、しかし肉付きの良い太もも。
このボディが普段迷宮のモンスターどもに惜しげもなくさらけ出されているとは許しがたい。
腰布の下を覗けるのならば地面に這い蹲りバブリースライムになっても構わない。
そんな彼女の体が今や目の前にあるのだ。
装備はもう残りわずか、俺は我慢の限界だった。
最後の装備を置き終わった彼女が俺を見つめ笑顔で言い放った。
「三日後に取りにくるからよろしくね。」
彼女が扉から出て行くが早いか俺は速攻で簡易寝台に突っ伏した。三回抜いた。
――――――『列伝:城下人のくらし』より『鑑定士』