「戦場を、裸体でうろつくなと何回何回何回、貴様らのような不心得者に仕置をすれば解るのだっ! 」
 「ぬふぅっ! 」

 黒装束の姿をした者から鋭い手刀が繰り出され、対峙した男性の「裸」忍者の覆面をした首と、魔羅の雁首の両方を
刎ねられてしまう。クリティカル・ヒット。致命傷を与えるのはいいがここまで律儀にやられると怖いモノがある。忍者の
仲間だろう、女戦士と僧侶が急いで首と亀頭を確保するのを見て、黒装束は舌打ちをする。忌々しい。頭を踏み砕けば
復活は不可能になるし、亀頭でも踏み潰せば「男」として復活出来なくなるのだ。だから……

 「その汚いモノどもを寄越せ。このようなふざけたニンジャは、到底、某(それがし)と同じ忍とは認められぬわ」
 「いやだね。コイツは、オレ達の仲間だからな」
 「……これはわたしのです! わたしだけのものなんですぅ! 」
 「おいコラ、てめえ、云うに事欠いて自分のモノにすんじゃねぇ! パーティみんなのものだろうが! 」

 その女戦士の言を聞き、黒装束の者が後衛に目をやると……うんうんと頷くホビットの女盗賊、人間の女魔道士、
エルフの女魔道士が居た。なんと、この死んだ「裸」忍者は律儀にもパーティ全員を「平等」に満足させていたらしい。
全員が全員泣いているのだから、黒装束の者の胸がチクリ、と痛んでしまう。つい最近「善」に戒律が変わったため、
仏心が生まれてしまって困るのだ。……無論、戦闘中はそんな事をすっかり忘れて戦闘機械となってしまうのだが。

 「……そ奴は、貴様らに優しかったのか? 」
 「う〜〜〜〜ん……それはなぁ〜」
 「そこで悩まないでくださいっ! 」
 「ケツに無理にぶち込まれた恨みがあるんだけど……」
 「エセル、貴女だって生理中は嫌って言ってたのに無理矢理…・・・」
 「おっきいの咥えさせられたけど、大丈夫かって言ってくれたしねっ」
 「で、どうなのだ? 」

 黒装束の者が談義を始めたパーティに再度声を掛けると、パーティは即座に臨戦態勢を取った。前衛の戦士と僧侶、
盗賊はすっかり脅え切っているが、なけなしの闘志を奮い立たせて武器を向けている。見れば膝が恐怖に震えている。
敵わないと解っていて、敢えて、男を守るために戦う虚勢を張って見せる女たち。答えずとも解る。

 「よかろう。汝らに免じて、消失の刑は取りやめる。……もし蘇生したならば、そ奴に言っておけ。下帯ぐらい締めぬと、
 このように、女たちが泣き喚く憂き目に遭うのだぞ、ゆめゆめ忘るる無かれ、とな」

 それだけ言うと、黒装束の者は迷宮の闇へ溶けていった。その後、へたり込むパーティを離れた所で観察すると、
即刻地上へと戻るルートに急ごう、と全員の意見が一致するのを耳にする。黒装束の者は覆面を乱暴に取ると、
大きな溜息を吐いた。長い黒髪を後で纏め、馬の尾の様に垂らした房が揺れ、紅を引いたように紅く、形の良い唇、
やや目尻の吊り上がった大きな、猫を思わせる目を備えた雪白の肌をした顔が、迷宮の闇の中にぽつんと生まれる。

 「我がお屋形様も、あれくらいサバけていたならば、御仕えする某(それがし)としても、とても楽なのだがな……」

 恐らくそうは行くまい、と黒装束の善の戒律の忍者、ミオは言い様の無い嫉妬に唇を噛み締めてしまう。どんなに
慕ったとしても、心はきっと……お屋形様が喜んで仕える憎きあの外道君主のものなのだ。だが、まだ勝機はある。
起死回生の策と、今回の事で閃いた『情に訴える』策だ。鬱屈した心を晴らすには、指や張り型では最早足りずに
迷宮へと足を運んだが、とても完全解消とは行かなかった。その挙句の『凶行』、つまり『不心得者:裸忍者狩り』だ。
だが、そのニンジャ達が裸に為るのが主流、と教育されていれば、従うのが自明の理だろう。何が正統で、何が邪道か
など、当の本人が決めるべきことだ。悪の戒律の時は迷いさえしなかった。だが、善になってからは……!

 「お屋形……さまぁ……ミオは……ミオの蜜穴は……さみしゅう……ございますぅ……」

 あの熱さ、堅さ、大きさ、持続力……恥穴で思い切り締めても、萎えずに奥を突く逞しさ。……アレを知ってしまえば、
他の男のモノなどもう、受け入れる気にもなれなかった。さらにミオは子壷に大量に放たれる精汁の衝撃を思い出す。
ふらふらと足取りが怪しくなり、その場に崩折れてしまう。切ない。切な過ぎる。ミオは五感を周囲の警戒にあてつつも、
自ら右手で胸を捏ね繰り回し、左手で股の間を擦る淫靡な行為に没入していった。

 「褒めて……褒めて下さりませぇ……お屋形さまぁ…・・・ああ……嬉しいっ……」

 受刑地に贈った貢物を、笑顔で喜んでくれるジョウの様を想像しながら、ミオは知らず知らずのうちにうつ伏せになり、
足を大股で開き尻を突き出し蠢かせながら、習い覚えた性技による絶妙な刺激を自らに与え、自慰で達しつつあった。