パーティを組まない自由時間を、熟練した探索者ならば有効に使う術を心得ている。そして――
 
 「恵まれない子供達のために、貴方からの少しの優しさを、お願いします!」

 城塞都市の歓楽街の前で、喜捨を募る声が響く。声に含まれる純粋な善意が、邪な心を抱いて
集(つど)う者達に罪悪感を抱かせ、目を逸らしながらもつい喜捨に応じてしまう。使用用途は
貧民街に群れ成す子供達の集団のためなのだと声の持主は言い、その後に溢れんばかりの感謝と、
微笑みを向けられる。貧民街の子供達の集団が窃盗や強盗を主な生業としているのを知らないのか、
と意地の悪い者に言われても、満ち足りていないからだ、とめげずに彼女は喜捨を勧めるのだ。
そんな彼女に、ついに一件の娼館からゴロツキ染みた人相の悪い「若い衆」が声を掛ける。

 「ん〜と、お嬢ちゃん? ここでそんな事されると、ウチは商売上がったりなんだよねぇ?」
 「商売って、貴方のお店ではどのような品物を商(あきな)っているんですか? 」
 「どんな事って言われても…まぁナンだ…そのぉ…品物っちゃあ品物なんだがな……」

 肩の辺りで切り揃えられた直毛質の金髪、ピンと立った長い耳先に、くりくりっ、とよく動く、
芽吹いたばかりの若芽を思わせる緑色をした済んだ大きな目が男の姿を写していた。「若い衆」から
見れば「磨かなくても光る玉」なエルフ女の逸材だ。ただ、外見的に少しばかり幼く見えるのが難点だ。
どう見ても「色気」よりも「可愛さ」が勝っている。体型的には同年代のエルフ女性の平均よりも
「胸がやや不良」。彼女の善意に満ち溢れた笑顔の前に、男は自分が急に疚しく、そして醜い存在に
思えてくるのを体感していた。

 「とにかく、だ。他所(よそ)へ行ってくれないか? ここだと悪い奴らに捕まって……」
 「どきなよ兄さん、後は俺らの仕事だ。『任せて』貰おうかね?」
 「? この方達はお知り合い、ですか? 」
 「ああそうさ。貧民街の餓鬼への寄付の話なら俺達がゆっくり聞いてやるよ。ゆっくり、な? 」

 折り悪く、歓楽街の様子を見回る『盗賊互助組合(ギルド)』の地回りに見咎められてしまった。
「若い衆」は見回りが来る前に、出来ればこのエルフの少女に一刻も早く立ち去って貰いたかったのだ。
彼等の詰所に連れ帰られれば、輪姦どころでは済まない事は、『店』の女達から嫌と言うほど愚痴られた。
 その後に、容赦無く叩き売られた女は星の数より多いらしい。こんな純粋な善意に満ち満ちた、
可愛いエルフの少女が儚くそして手荒く汚されるのは酷いことだが、もうここは諦めるしかない。
逆らえば娼館が左前にされる。

 「ありがとうございます! じゃあ、また来ますねお兄さん! わたし、ディルマです! 」
 「あ、ああ…。元気でな、ディルマちゃん……」

 盗賊互助組合の男達にガッチリと囲まれながら、爽やかに手を振ってくるエルフの少女のディルマに、
今度ここに来るときは森の妖精を思わせる、清純さと瑞々しさを失った淫売の顔をして来るに違いない、と
「若い衆」は溜息とともに力なく手を振り返しながら見送った。



 一方その頃、貴重な自由時間さえも惜しみ無く、ただ己のために迷宮に費やす猛者達もいた――。

 「やぁっと成功! 司教様、感謝いたしますぅっ!」
 「これでミオさんは……やっと善の戒律になったのですね……」

 迷宮B1F。エレベータへと繋がるダークゾーンの手前で、人間族のクノイチことニンジャの元気
溌剌なミオと、息も絶え絶えな、司教を名乗らせるには途轍もなく艶然かつ淫靡な雰囲気を漂わせた
エルフ族のルミアンの二人が休憩していた。ルミアンはしきりに太腿を擦り合わせ、胸の辺りに腕を
ぐりぐりと押し付けている。放って置けば自慰に発展するので、ミオは適度に声を掛け、我に還らせて
いた。延々とマーフィーズゴーストを呼び出し、友好的なら戦闘中止、好戦的なら戦うを繰り返したが、
戒律は変わらずじまい。結局もう帰って自慰がしたくてしたくてたまらない風情のルミアンの剣幕に
押され、帰還する最中に出会ったオークの集団を「めんどくさい」と見逃したらふっ、と憑き物が
落ちたが如く簡単に戒律が善に変わってしまったのだ。『神様はやはり見ていらっしゃるのですよ』
とルミアンは切なげに悶え、一刻も早く自慰の快楽を求める吐息の合間を縫ってミオに笑いかけた。

 「ご迷惑お掛けしましたぁ〜。で、お話はまだたっくさん、あるんですよぉ? ルミアン司教様?」
 「そ、それは……」
 「!!…と、それはまたの機会に取っておくという事にして……。たった今、ちと所用が出来ました」
 「ミオさん、あの人達がどうかしたのですか? 」

 休憩中の二人の前を、冒険者の隊列が横切って行った。先頭を歩くのは、陰部の繁みもあらわな赤裸の
人間族の若い女だった。間違い無くニンジャだろう、とルミアンは思った。ニンジャは何も装備しない事で
最大の戦闘能力を発揮するのは常識だ。しかし、女としての羞恥心はどうなのかとルミアンは思っていた。
ルミアンの方向からはミオが現在、どんな表情をしているかは見えなかった。しかしミオの黒一色の忍者
装束の後姿から受ける印象はこれまでの親しみ易さとは打って変わった、酷(ひど)く酷薄で、かつ危険な
雰囲気を漂わせていた。

 「ああ言う何か勘違いした、忍(しのび)の端くれのつもりの愚か者に、天誅を食らわせねばなりませぬ」
 「は、はぁ…。て、天誅…ですか? あの、天にましますカドルト神様に替わって罰して誰かを誅する……」
 「然(しか)れどもまずは大恩ある司教様をキッチリ地上へとお送り致してからの話。……急ぎましょう」

 有無を言わさずミオはルミアンに近寄り、その荷ごと横抱きにすると、疾風の如く駆け出す。足音も立てず、
一言も漏らさず、そして呼吸音すらも立てない徹底したその静寂振りは、大変面白可笑しくジョウとシミアの
探索模様を語っていた人間と、同一の人物とはとても見えなかった。

 「ありがとうございます……。ミオさん…その…お気を付けて。犯した罪の告白ならば…お任せ下さいね?」
 「かたじけのうございます、ルミアン司教。また宿か酒場でお会いいたしましょう。…これにて御免!」

 地上へと繋がる迷宮への入口までルミアンを送り届けた後に、ミオは迷宮の闇に溶けるが如く消えていった。


 
 「動くな、ここな不心得者め」

 迷宮B4Fの闇の中、小用に出かけた悪のニンジャのサァヤは、突然背後から喉を鷲掴みにされ、余りの
痛みに絶句した。男女の区別もつかぬ押し殺された低い声が耳に吹き込まれる。キリキリと締められる中、
声は余程の怒りに満ちた様子でサァヤを責め続ける。

 「悪の戒律の時は気に為らなんだが、善になると兎角、許せぬようになったわ! 主のような赤裸で出歩く
  忍など真正の忍では無い! 忍びもせずにふしだらにも怪しからぬ大きな乳をブラブラと振り乱し…」

 サァヤの右乳が捏(こ)ねるように揉み込まれた。あと少しで痛みに変化する具合だが、その加減が不思議と
心地良い、絶妙な力の入れ具合だった。サァヤがもっと揉んで欲しい、と思った途端に即座に中断され、陰裂に
指を衝き込まれた。かはっ、と声にならない声を上げるサァヤに、背後の者は指を引き抜き、サァヤの目の前で
拡げて見せる。…白っぽい淫蜜が、まるでスライムの吐く粘液のように糸を引いていた。

 「……このように、はしたない涎を垂らし、雌の臭いを撒き散らす。髪もそうよ。余りの臭さで鼻が曲がるわ」
 「嘘…! 私っ…臭くなんかっ…! 」
 
 苦しい息の中、サァヤは首にありったけの力を込めて声を出す。仮にもニンジャとして鍛えた意地がある。しかし
抵抗はそこまでだった。動悸が激しくなり、頭に靄(もや)が掛かったように意識が混濁してくる。呼吸は問題なく
出来ているにも関わらず、だ。女陰から胎の辺りにかけてズン、と重くなり、無償に堅い男根で責めて欲しくなる。

 「フン、衣服を付けておれば姫穴に薬を摺り込まれる事態は避けられたであろうに、愚かな奴。覆面で顔面を
  覆って居れば、香の罠にも引っ掛からずに済んだと言うに。……誰に技を学んだかはついぞ知らぬが、後悔は
  常に先には立たぬものよ。……クノイチとニンジャの評判を落とす輩には心より思い知って貰わねばな? 」
 「はぅぅん! はグッ……! ……っ! 」

 サァヤは布で猿轡をきつく噛まされ、さらに細引で手首と足首を一緒くたにされ、大きく開脚されたまま縛られた。
鍛えに鍛えた筈の体術が何ら発揮されぬまま、拘束者の成すがままにされる屈辱と、時折全身を走る、快楽を求める
劣情が入り混じり、サァヤに止め処無い涙を流させる。拘束者はせせら笑うと、縛られたサァヤを軽々と持ち上げ、
置いて来たサァヤの仲間の方向へと歩き出した。

 「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ! 」
 「このまま拙者に首を刎ねらるるか、それとも放置さるるかとでも思うたか? 生憎拙者はそれほど優しくは無い。
  仲間の前で己の『恥』を思う存分知るが良いわ! 」
 
 涙ながらに首と髪を振り乱しサァヤは拒否するが、拘束者は無慈悲にもこのままサァヤの仲間が待つキャンプへと
歩みを進めて行く。サァヤは鍛えに鍛えた筈のニンジャの自分が成す術も無く無抵抗のまま、女陰を曝(さら)け出した
情けない恰好をしている事に『初めて』絶望感―――羞恥心の萌芽―――を覚えていた。

 「遅かったな、サァヤ? ……! 何者だ!」
 「怪しい者では無い。それに害意もな。怪しいと言えばこの貴君等の仲間の、毎回全裸なこやつの方が余程怪しいわ。
  それに相違無かろう?」
 「し、然り……」

 壁に凭れ休憩していた人間族の戦士らしい男が、仲間のニンジャの気配を感じて目を向けた先に、黒装束の何者かに
縛られたまま抱えられたサァヤの哀れな姿が曝け出されていた。今までどんなに凝視されても怯みもしなかった全裸の
サァヤが、涙を流して体全体で恥じ入っている様に、男は目を見開いた。自分は歴戦のニンジャなのだ、と仲間を見下す
態度をあからさまに取っていたサァヤが、成す術も無くまるで赤子の女児に小用を足させる様な恰好で拘束されている。
この目で見てもまだ信じられなかった。恐らくは他の仲間も思いは同じだろう。

 「フム…。主は仲間にも怪しまれておったのだぞ? 忍ぶ事、目立たぬ事を旨とするニンジャがその体たらくとはな」
 「ふグゥ、ムヴ〜〜〜〜〜〜〜! 」
 「今更恥じ入るな痴れ者め。ひい、ふう、みぃ、よぉ、いつ…何と、全員男(おのこ)か。戦士が2、盗賊が1、
  司祭が1、魔術師が1……。上級職が己が一人、と悦に入って慢心していたか? さてもさても呆れ果てた奴よ」
 「今すぐサァヤの縛(いまし)めを解いて貰おうか!」

 戦士の一人が黒装束に剣を振り上げて突っ込んだ。が、振り下ろした豪剣の斬撃は黒装束の右手の指2本で挟まれ
止められてしまい、そのままいなされて思わず踏鞴(たたら)を踏んだ戦士の首筋に右の手刀をぴたりと当てられる。
……なんと黒装束はサァヤを抱きかかえたままでそれを行なっていた。不自然で巨大な威圧感が、黒装束の全身から
発せられるのをもう一人の戦士はひしひしと感じていた。このままでは奴、バルドは首を刎ねられる。しかし、今、
声を出せばそれが良き契機となってしまう。それは何としても避けたい。その時、ふぃ、と黒装束から威圧感が消えた。
ふらふらとへたり込んだ戦士、バルドの鎧を引っ掴んだもう一人の戦士、シグンドは安全圏と思われる間合いまで
バルドを引き摺って行く。途中で盗賊のフッドも加わり、多少は楽になる。……黒装束は何故か追撃して来なかった。

 「ほう……殺気が解る戦士とは珍しい。もっとも、解り易くしたのも有るがの」

 サァヤは今度はガクガクと震えていた。強い尿の臭いと、迷宮の床に水溜りが出来ていた。いつもサァヤの沈着冷静、
無感情ぶりを見せ付けられていた仲間にとって、そのサァヤの粗相は信じられない出来事の一つだった。……一人で迷宮に
潜り鍛えるサァヤでさえこうなのだから、自分たちでは土台の格が違う。黒装束は何が目的かは知らないが、殺すつもりは
無いらしい。シグンドはサァヤを除くほかの仲間達からの視線と肘打ちを受け、しぶしぶ交渉に臨むことにした。

 「貴君が纏(まと)め役か。ほう……名はシグンド、か」

 目を剥くシグルドを無視して、黒装束はさらりとシグルドの背後を右手指で一人一人指して行く。しかし隙が見事に無い。

 「内緒話はも少し小さな声でな? バルド、フッド、ナルド、ガルド」
 「……リーダーはアンタが抱えてるサァヤだ。いったい、アンタは何の目的でサァヤを……」
 
 シグンドはサァヤに目を遣った。鮮紅色の女陰をさらけだしたままのサァヤが目を伏せ頬を染め、モジモジと動いて見せた。
シグンドは思わず生唾を飲み込んでしまう。全裸のニンジャである自分を女だと思うな、と日頃言われていたが、こうなると
女以外の何者でも無い。シグンドは己の持つもう一つの『剣』がそそり立つのを自覚していた。
 
 「同じニンジャ、クノイチとして裸のままのこ奴にちと、我慢ならんのでキツい仕置きを施すことにした。それだけよ」
 「仕置き……だと?」
 「装束も付けずに戦場(いくさば)をうろうろされては迷惑千万。皮膚毒、切創、擦過創、己(おの)が臭気等等…。
  防がねばならぬものを放置し、忍びもせずに赤裸でいて敵に己の存在を誇示する不心得者が一人で死ぬのは良いが」

 一人で死ぬのは良いが、でまた黒装束から威圧感が膨れ上がった。クノイチ、と名乗るからには黒装束も女性なのだろう。
またサァヤが戦慄し、黄色味がかった雫を女陰の辺りから滴らせる。……同じニンジャとして完全に敗北を認めているのだ。

 「――小水までは良いが、糞を漏らすと殺すぞ? ……話が逸れたな? 裸で居たい我欲がために、大切な仲間まで
  危機に晒し、死の一歩手前まで巻き添えにするその卑しい性根が気に入らぬ。そこで貴君等の出番と相成ったのだ」
 「……出番、だと? 」
 「男が欲しくなる薬をこ奴の姫穴に塗り込み、性交を促す香を焚き、嗅がせてやった。そろそろ貴殿等にも効果が顕わる」
 「ぬぅ…!?」

 くぐもった笑い声が黒装束から漏れたと同時に、慌ててラツモフィスを唱えようとするナルド――人間族の少年司祭――の
呻きがシグンドに聞こえた。振り向くと、いつの間に移動したのか、黒装束が片手でナルドの首を発声出来ぬように掴み上げ、
足を宙に浮かせていた。力の限りに手足をばたつかせてナルドは抵抗するが、無情にも黒装束の手はギリギリと締められていく。

 「案ずるな。死に至るものでは無い。……見たところ貴君等、兄弟だな? ひとつ、こ奴の姫穴で、真の『兄弟』になって
  見る気は無いか? 」

 もう少しで首の骨が高い音を立てて折れる、と言った絶妙な所で黒装束はナルドを降ろし、手を離した。相変わらずサァヤを
左手一本で抱えたままで、だ。何かメイジスペルを唱えようとした、ガルドの口を二人で塞いでいるバルドとフッドがポカン、と
口を開けた。切なげに喘ぎ、身悶えするサァヤの呼吸音と声だけが辺りを支配する。

 「こやつは誇り高いニンジャの心算でいる阿呆よ。自分より劣ると思う者にいいように抱かれる屈辱は、さぞかし応えること
  だろうて。思い出しても見ぃ、シグンドよ? 恥知らずのこの全裸女に見下された事は一度や二度では利かんだろう? 」

 ……シグンドは脳味噌が屈辱に燃えるのを感じた。5兄弟の長兄として威厳を見せねばならぬのに、サァヤと来たら一々一々
選(よ)りにも選ってわざわざ弟達の前でシグンドをからかって見せたり、道化同然に扱った。リーダーに逆らえぬ事をいい事に。
これだから戦士は、とあからさまに侮蔑されたこともある。……飽くまで剣技を、戦士として極めたいと言うシグンドの思いを
知っても、だ。……転職条件は中立で無ければニンジャを既に満たしている。弟のバルドも、だ。今転職すれば戦力が下がるのに
無理に悪の戒律のバルドに戒律変更を指示し君主を勧め、危うく承知させかけたサァヤと一触即発になったこともある。

 「そこの少年二人! ナルドとガルドも、もっと近う寄り、しかと見よ。これが女の恥部、こ奴の姫穴ぞ? 」

 少年二人、スペルユーザーである双子のナルドとガルドが声を掛けられ、おずおずと近寄って来る。シグンドが回想から我に
還ると、次弟バルド、三弟フッドが鼻息を荒げ、鼻の下を延ばしてサァヤの胸を仲良く片方ずつ揉んでいるところだった。
 
 「うほぉ、柔らけェ、ニンジャつっても、普通の女じゃねーか」
 「おほ、乳首立って来たぜバルドの兄貴ぃ? いい気味だぜ。罠もろくに外せネェくせに威張りやがって! オら!」
 「ひグぅ〜〜〜〜〜〜〜っ! 」

 フッドが刺激によってそそり立ったサァヤの乳首をひねり上げた。猿轡を噛まされているサァヤのくぐもった叫び声には、
甘い響きが混じっていた。シグントがサァヤの秘所に目を移せば、白っぽい蜜がしどどに秘唇から止め処無く湧き出ている。

 「ここ、硬いねナルド兄さん? つまんじゃお! 」
 「ガルド、そこ皮剥けるからな! 僕は本で読んだんだ。そこが女の弱点なんだってさ」
 「ひや、ひゃめへ、ひゃめぇ、ひゃめえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!! 」

 スペルユーザーの弟達と来たら、興味津々の様子で、嬉嬉としてサァヤの女陰を弄っている。……この頭の良い弟達が、日頃から
サァヤに女の腐った奴呼ばわりされていたのをシグンドは思い出す。いい気味だ。そして、俺も参加しなくてはならん。シグンドは
歯止めが徐々に効かなくなる自分の獣欲に、心地良く浸ることにした。……この女、サァヤを手懐けるのは今しか無い、と思いながら。

 「……誰だか知らんが、感謝する。後は任せてくれ」
 「薬の効いている間も後も、思う存分に快楽を刷り込んでやれ。足腰が立たぬぐらいに五人で掛かれば、もうこ奴も貴君等の
  可愛い雌奴隷よ。ほれ、受け取れ」
 「んぐ! んぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜! 」

 ついに下半身の防具を外し、下穿きを脱いで勃起した男根を丸出しにしたシグンドの肉杭に、黒装束はサァヤの女陰を押し付ける。
ズブズブと苦も無く肉杭は埋没し、サァヤの膣内の奥底を小突く。小突かれた拍子に膣内がくい、くいと締める動きを始めてしまい、
シグンドの巌(いわお)そのもの、謹厳実直を絵に書いた真面目な表情を蕩けさせる。そのまま迷宮の床に寝そべり、サァヤを突き
上げてやる。黒装束の姿は何時の間にか消えていたが、もうそんなことはどうでもいい。この全裸で悶えるニンジャを肉欲の雌奴隷に
しない限り、後で正気に戻ったサァヤに自分達兄弟は首を刎ねられてしまうかもしれないのだ。 

 「何をしているバルド、フッド! 手伝え! 胸を揉んだり耳を舐めたり! 魔羅を使って乳首を弾(はじ)け! 」
 「わ、わかったよ兄貴! 」
 「兄ぃ! いいんだね! 俺達もしても! 俺、ケツの穴使うからな! 」
 「ああ、いいぞバルド、俺達は兄弟だからな! みんな一緒だ! ナルド、ガルドもだ!」

 指を咥えて見ている双子の兄弟にも声をシグンドは声を掛ける。長兄たるもの、弟達の面倒は全て見ないとその長兄たる資格は無い。
シグンドはサァヤに突き立てたまま立ち上がり、バルドがサァヤの後ろの穴に突っ込むのを助けてから、また座り込む。フッドが魔羅を
出すのを見たバルドがニヤリと笑う。絶え間ないサァヤの艶やかな喘ぎ声と善がり声が兄弟の嗜虐欲を加速させて行く。全裸ニンジャ、
サァヤはもう理性のカケラもなく本気で感じているのだ。

 「猿轡の上から擦り付けてやんな、フッド。臭いだけでもこの女、今はタマんなく感じるはずだぜ? 」
 「ひゃははは、俺の子種汁でねっとねとにしてやるってんだ! おおう、唇もプリプリしてやがる! 」
 「ナルドとガルドはそいつで乳首を虐めてやるんだ。拍子を合わせて、な? 」
 「うんまかせてよ、兄さん! 」
 「ちぇ、ガルドぉ…それは僕に言われたんだからな」

 おのおのの僧衣、貫頭衣を脱いで大人の男顔負けのシロモノを出した四弟・末弟は左右に回り、各々の肉棒を使ってサァヤの双乳を
弄び始めた。片方が激しければ片方が優しく、片方が荒々しければ片方はねっとりと。双子ならではの拍子の取り方は絶妙だった。
サァヤは途切れる事なく善がり声を上げ続け、その顔は情欲に浸りきっている。よくてよくてたまらない。性の悦びに満ちた表情だ。

 「バルド、フッド、ナルド、ガルド! 出す時は兄弟みんな一緒だぞ! サァヤを俺達兄弟の子種汁漬けにしてやるんだ! 」
 「おうよ! シグンド兄ぃ! そら、そら、そらぁ! 」
 「任せときなよ兄貴! ほれほれ、うめぇだろぉおい? 」
 「兄さん、もう、もうだめだよぉ! 」
 「だ、だらしなぃなぁガルドぉ・・・」
 「ひぃは、ひぐ、ひい、ひぃのお、ひっひゃうのお! 」
 
 束ねた鳶色の髪を振り乱し、体全体を揺すらせながら、サァヤは気も狂わんばかりに叫び、体全体で快楽を受け止めていた。
快楽の並が休む間も無く押し寄せ、絶頂感を感じたと思えば、また次の快楽により高みに押し上げられる。クノイチとしての
誇りや自我など、もう既に忘れ、一匹の雌に為り切っていた。もうずっとこれだけしていたい。サァヤは心からそう思った。 

 「じゃあ、行くぞ、そらぁ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおお! 」 
 「ぐお、ぐお、グおオおオおオ! 」 
 「うひゃああああああああああ! 」
 「で、でるよおおおおおおおお! 」
 「だぁぁっぁぁっぁぁぁぁぁあ! 」
 「ヒ、ヒイイイぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃやああああああああああああああああああああああああああ! 」

 そして、サァヤの胎内で、腸内で、口で、右乳で、左乳で、兄弟の男根は子種汁をぶち撒けた。その熱さと量、感触、匂い…
5種5様の子種汁が一斉にサァヤを犯し…そしてサァヤを大きな悦びの極致へと押し上げた。意識が飛び、倒れそうになるサァヤを、
まだ萎えぬシグンドの男根とバルドの男根が前後からガッチリと支え、まだ輪姦を受けている現実へとサァヤの意識を引き戻す。
チュポン、と間抜けな音を立てて姫穴から男根が抜かれ、また別の男根が侵入する。尻穴も同時に抜かれ、また入れ替わる。

 「まだ始まったばかりだぞ? なぁ。サ・ァ・ヤ? まだまだ、楽しもうじゃないか」
 「ン…ぐっ…。はい…シグンドさまぁ…」

 サァヤは猿轡を外され、目の前に己の女蜜と子種汁まみれになったシグンドの肉槍を突き出された。サァヤはそれを喉まで飲み込み、
ゆっくりと舌で愛撫、歯で甘く噛んで楽しんだあと、男根を吐き出し、欲情に蕩けきった表情でシグンドの淫らな提案に同意した。

 「天誅成れり。いい事したなぁ今日は! …灰燼姫の気持ちが解っちゃった。確かにスッキリするなぁコレ。もうヤミツキ! 」

 黒装束の者は覆面を外し、まぐわい続ける5兄弟とクノイチだった者を遠目で見遣りながら、爽やかに微笑んだ。自己の独善を強制的に
押し通す気分は、悪の戒律だったミオには新鮮で、痛快だった。これなら上手くあの糞エルフおん…モトイ、お屋形さまが仕える君主の
シミアとも協調出来るかもしれない、とミオは少しだけ、ルミアン司教の言う『神様』に己の幸運を祈ってみることにした。