柔らかく暖かい日差し。
舞い散る桜の花びら。
狂いし王の都、災いの街リルガミンにも明るい季節が訪れる。
一人の女が町を見下ろしていた。
背の高く、誰が見ても尋常でないと解る鍛え抜かれた四肢を持つその女は、
リルガミンを見下ろす丘の上から、静かに桃に色付く街を見つめていた。
穏やかな風が、優しく陰毛を揺らして吹き抜ける。
「すっかり春だねぇ〜」
「そりゃお前の頭だ」
パァンッと小気味良い音を立て、全裸の女の頭部にハリセンが繰り出される。
後ろに立っていた男――ヒノモトの甲冑に身を包んだサムライ――の容赦の
ないツッコミを受けて全裸の女ニンジャは不機嫌な顔をして振り向いた。
男は意に介さず言った。
「街に入る時くらい服を着ろ」
驚くほど至極まっとうな意見だった。
「あるいは処理をしろ、ただし腋は残せ」
続いた言葉に女ニンジャはドン引きした。