――ガシャン、ガシャン、ガシャン
武装した複数人の足音に心臓が飛び跳ねる。
僕は慌てて階段の影に身を潜めた。そして顔だけを出してそっと暗闇をうかがう。
音の主は上質の甲冑に身を包んだ探索者たちだった。
前衛の三人は満身創痍、後衛の者たちの表情にも疲労の色が濃い。
探索を終えて街に引き上げるところなのだろう。
僕は現れたのがモンスターでなかったことにほっとしながらも、彼らの目を避けていっそう身を縮こまらせる。
心に浮かぶのは罪悪感。迷宮の入り口で人を待っているだけなのに、なんだかとても後ろめたい。
こんなところを他の探索者に見られたくなかった。息を潜めてじっと彼らが通り過ぎていくのを待つ。
物音に怯え、同業者の目すら憚る自分がなんとも情けなかった。
……どうしてこんなことになっちゃんたんだろ……

僕の名前はリー。人間の司教で、善の戒律を奉じている。
リルガミンにやってきたのは、もちろん、探索者として名を上げるためだ。
マルグダ女王は、呪いの穴に挑み騎士の証を立てる勇者を募っており、
達成したものには莫大な恩賞が約束されている。
その栄誉と、地下に眠るという財宝を目当てにリルガミンを目指す若者は絶えない。
僕もそうしたなかの一人だった。
ところが、意気揚々と登録を終え、仲間を募るため酒場に行ったところで、
非情な現実をつきつけられてしまったのだ。
誰も仲間に入れてくれないのである。
「レベルの低い司教なんていらない」。それが現実だった。
ひょっとすると、僕の華奢で頼りない外見も影響しているのかもしれない。
一度だけ、下心丸出しの男が誘いをかけてきたけど、
僕が男だとわかると掌を返したように悪態をついて去っていった。
他には……「鑑定役」としてなら、という誘いであれば、なかったわけではない。
酒場で毎日、ひたすら待機し続け、パーティーが帰ってきたら鑑定だけをやらされる。
呪われた場合の解呪代の分担はどう、鑑定成功一回あたりの報酬はこう、
地下を探索したいという僕の要望を全く無視して提示される条件の数々は、僕を暗澹とした気持ちにさせた。
結局パーティーを組むこともできず、僕は酒場の片隅で途方に暮れていたのだ。
そんなときである。
僕は、ウィラさんたちに出会った。



「ちょっといいかしら?」
一人俯いていた僕に、とても優しい声がかけられた。
びっくりして顔を上げると、信じられないくらい奇麗な女の人が三人、僕の顔をのぞきこんでいた。
声をかけてきたのは、中でも一番落ち着いた印象を受ける金髪のエルフの女性だった。
荒くれ者の集う酒場に相応しからぬ三人の女の人の姿を見て、僕は思わずぽかんと口を開けてしまった。
それを肯定の返事と受け取ったのか、三人は僕を囲むように席につく。
「なあ、君。さっきからしきりに声をかけていたようだが、仲間を探しているのかな?」
そう切り出してきたのは、黒髪をポニーテールにした小柄な女の人だ。
どう見ても年上なのに、同世代では飛び切り背の低い僕と同じくらいの身長。
だけど体つきはすらりとして完成されている。
加えて耳の先が少し尖っているのを見て、ホビットだとわかった。
ホビットというとくりくりした子供のイメージがあったけど、
その女の人は美人とさえ呼べるようなシャープな顔立ちをしていた。
次いで身を乗り出してきた三人目は、栗毛のショートの女の人だ。
他の二人と違って「活発な女の子」という印象を受ける。
それでも人間で、僕よりずっと背が高いから、年は上なんだろうか。
短い栗毛を弾ませながら、僕の目をじっと見て口を開く。
その言葉はとても意外なものだった。
「ね、ね、だったらさ、ボクたちのパーティーに入らない?」

エルフの柔和な感じの女性がウィラさん。
ポニーテールのホビットの女性がアンバーさん。
そしてボーイッシュなショートの女性がローズさん。
僕たちはお互いに自己紹介をし合ってから、改めて本題に入った。
なんでも、三人はちょうど司教の仲間を探しているところだったらしい。
熟練の程度は問わず、むしろ登録したてで他のパーティーの色に染まっていない仲間がいいという。
自分たちのやりかたに早く馴染んで欲しいからだそうだ。
そこで明らかに初心者で独り者の僕を見て、声をかけたというわけだ。
まさに拾う神ありといったところで、僕は、やっとパーティーが組めるかもしれないという期待と、
三人もの美女に声をかけられた喜びですっかり舞い上がってしまっていた。
こんなに奇麗な人たちとパーティーが組める!しかも、話を聞くと三人とも大変な実力者のようだった。
なんだかうますぎる話のようにも思えた。でも、ここまで都合の良いことずくめだと、
疑う気持ちよりも、このチャンスを逃すものかという焦りの方が大きくなってしまう。
僕は一も二もなく仲間の誘いを受けることにした。
話はとんとん拍子で進み、早速翌日の探索の予定が決まった。
「それでは迷宮の入り口を下りたところで待ち合わせね」
そう決まったところで、僕はふと疑問に思った。
パーティーは酒場で組むもの。訓練場ではそう教えられたからだ。
なにか練達の探索者なりの理由があるのだろうか。
席を立つウィラさんの背に向けて、僕は本当に軽い気持ちでその疑問を口にした。
「酒場で待ち合わせるんじゃないんですか?」
「あら、それはダメよ」
ウィラさんは変わらず優しい声音で、ただ少しだけ諭すような感じで答えた。
「だってリー君は《善》でしょう?私たちは三人とも《悪》だもの」



……なんで戒律なんて一番大事なことを確認しなかったんだろう。
何度目かの深い溜息を吐きながら考える。
僕は、《悪》といえば、たとえ友好的なモンスターでも切り殺し、横断歩道でおばあさんを見ても助けない、
そんな極悪非道、傍若無人のならず者の連中を想像していた。
だから、一人俯く僕に優しい声をかけてくれたウィラさんたちが《悪》だとは思いもしなかったのだ。
正直、こうしている今も信じられない。
でも戒律が違う者同士でパーティーを組むなんてとても不道徳でいけないことだ。
パーティーを組めば、必ずどちらかの考えを犠牲にしなければならない局面が出てくる。
それを知りながら仲間になるということは、つまり自分の善を貫くことを放棄するに等しい。
未熟とはいえ聖職者である僕が、そんなことに加担するわけにはいかないんだ。
確認せずに仲間入りを承諾してしまったのは本当に申し訳ないけど、
ウィラさんたちが来たらそのことをちゃんと謝って白紙に戻してもらおう。
階段の影でこそこそする罪悪感に耐えかねて、僕はそう決心していた。
「リー君?」
そこに突然声がかかる。ウィラさんたちだった。
人目を憚って、かなり周囲に注意をしていたはずなのに、声をかけられるまで気付かなかった。
三人ともゆったりとした薄手のローブを纏っている。
とてもこれから迷宮に潜るとは思えない装いだった。
「待たせちゃったかしら?ごめんなさい。すぐ準備するわね」
ここで鎧を着るのだろうか?そんな疑問が一瞬脳裏をかすめる。
でもそんなことよりも、僕には彼女たちに伝えなければならないことがある。
僕はぎゅっと目をつぶった。非は自分にある。ここは勇気を出してはっきりと謝罪し、断らなくては。
ところが、意を決して開いた僕の目に飛び込んできたのは信じられない光景だった。
――するするする
三人の美女たちは、おもむろに帯を解き、ローブを脱ぎ始めたではないか!
しかも薄布一枚はだけたその下は、一糸纏わぬ裸だった!
「えっ?えっ?えっ?」
当惑する僕をよそに、美女たちは惜しみなく裸体を晒す。
それは本当に裸体だった。下着すら身に着けていない。
金色、黒、栗色……それぞれの多彩な繁みが目に飛び込んでくる。
「な、な、なにしてるんですかっ!は、は、早くふ、服を!」
あわあわとそれだけを口にした僕に、ウィラさんは艶然と微笑んでいった。
「あら、この姿で探索するのよ」
「えっ!?」
「言ってなかったかしら?私たちは三人とも忍者だもの」
……な、なんで職業なんて大事なことを確認しなかったんだ!僕は!?



うっすらと、目を覆った指の隙間から前方を見る。
――ふるるんっ、ふるるんっ
迷宮の闇にロミルワで浮かび上がるのは、三人の美女のあられもない後姿だ。
ウィラさんの真っ白な、垂れることなくボリュームを誇示するお尻がふるふると震える。
思わず目線を逸らすと、そこにはアンバーさんのきゅっと引き締まった、未成熟な少女を思わせるお尻。
かといって反対を見ると、健康的に日に焼けたローズさんのぷりぷりとした張りのあるお尻が飛び込んでくる。
どこを見てもおしり、おしり、おしり。なんだか頭がくらくらする……
後衛にいる僕の位置からは、どうしたって前衛三人の裸体が見えてしまう。
その幻惑的な光景に魅入られて、すっかりタイミングを逸してしまった僕は、
ふらふらと、まるでウィルオウィスプに魅入られた迷い人のように、三人の後をついていく。
……ああ、ダメだ。ちゃんと話さなきゃ。でも、あと、ちょっとだけ見ていたいかも……
すっかり正常でなくなった思考で、そんなことを繰り返し考えていたときである。



「ひゃっはー!見ろよ!裸の女だぜえ!?」
三人の、更に先から下卑た歓声があがった。
慌てて見やると、ちょうど反対側からやってきた探索者の一団が三人の姿を見て駆け寄ってくるところだった。
「おいおい、モンスターじゃねえぜ!」
「裸忍者ってやつか?」
「うわエロっ!?エロエロっ!」
むくつけき男たちの一団はウィラさんたちのあられもない姿を見て口々に囃し立てた。
三人は体を隠そうともせずに、男たちを冷ややかに見返す。
それにますます増長したのか、先頭の一人がウィラさんに近づくと、じろじろと全身を舐めるように見出した。
「ひゅー、本当に裸になるヤツなんているんだな!
 いい体してやがるぜ、くのいちさんよう!痴女か?痴女なのかあ?んんん?」
その無遠慮な物言いに僕は思わずかっとなった。
確かにウィラさんたちの恰好は……アレ、だけど、正直僕も少しは……そう、思ったけど、
それでも忍者として理由があってしていることなのに、そんなふうに下世話に言うのは侮辱だ。
通りすがりの探索者同士で言っていいことじゃないんじゃないのか。
だがそんな僕の怒りをよそに、アンバーさんがつまらなそうに呟いた。
「馬鹿なやつらだ。私たちのことを知らんのか?」
「かわいそうにねー。新参者なんじゃないの?」と答えたのはローズさん。
まるで男たちを見下し、哀れむような二人の様子に僕は少しだけとまどう。
三人ほどの練達者だったら、実力の差を見せ付けて男たちを黙らせることも容易い……ということだろうか?
ふと前を見ると、ウィラさんがなおも侮辱を続ける男に向けて、右手を大きく振り上げたところだった。
後ろからで表情は見えないけど、きっと毅然とした態度で平手打ちの一つでも見舞ってやるのだろう。
ウィラさんの右手が振り下ろされる。
――ざばしゅっ
「え?」
ぱーん、という音を予測していた僕は、しばらく何が起こったのか理解できなかった。
ウィラさんの前にいた男は、首から何か血……のようなものを吹き上げている。
というか、よく見ると首から上がない……ようにも見える。
そして迷宮の側壁を見れば、叩きつけられ、ぐちょぐちょに潰れた人の頭大の何かが張り付いていた。
――ざばしゅっ、ずさっ、ぶしゅうっ
「え?え?え?」
事態を把握する間もあればこそ。ウィラさんはゆらりと残り五人に向かい、それにアンバーさんが加勢する。
手刀が首を刎ね、拳が胸部を貫通し、蹴られた胴から破裂した内臓が飛び出る。
僕が目の前の惨劇の意味を理解した頃には、もう男たちは残らず物言わぬ屍となっていた。
「……ひ、ひ、人、殺しっ」
絞り出すように呻く僕に、涼しげに答えたのはローズさんだった。
「え?人?人なんていないよ?
 ボクらは今遭遇したモンスターをやっつけたとこ。
 んー……マンアットアームズ(3)に
 ハイウェイマン(1)はかいそう(1)マジシャン(1)って感じかな?」
そして曇りなき満面の笑顔を僕に向ける。
僕は凍りついた笑いでそれに答えた。
……あ、《悪》だ。この人たち、文句なしに、疑問の余地なく、極《悪》だよ……



幸いに、その後、彼女たちにちょっかいをかけてくる探索者とは遭遇しなかった。
帰還途中のパーティーと二度ほどすれ違ったが、どちらも顔を背け、
目線を合わせないように、こそこそと通り過ぎるばかりで、揉め事には発展しなかったのである。
とはいえ、そんな彼らの様子から、僕は今やはっきりと悟るに至った。
この三人には危険だ。極めつけにタチの悪い《悪》なんだ、と。
……やっぱり僕にはついていけないよ……
僕は改めて、はっきりと脱退の決意を固めた。
とはいえ、それを今口にするのは……身の危険を感じるような気がしないでもない。
もともとは僕の確認ミスなのだから、とにかく今回の探索だけは付き合おう、
話を切り出すのは街に帰ってからだ、そう自分に言い聞かせる。

そんな内心の葛藤とは無縁に、探索の方は順調だった。
僕を迷宮に慣れさせるため、浅い階でほんの肩慣らし、という話だったけど、
大した危険に出遭うこともなく、気が付けば僕らの背負い袋は戦利品で満杯になっていた。

何度目かの戦闘を終えて、僕らはその場でキャンプを張り、めいめいにくつろいでいた。
くつろいでいた、といっても、僕は視線を俯けて正座だ。正直、生きた心地がしない。
アンバーさんが一人で宝箱の罠を解除している。これを開けたら、今日はもう帰還するそうだ。
街に帰ったら、ちゃんと言わなきゃ……そんなことを考えていたときである。
「ねー、まだー?」
ローズさんがしびれを切らして声をあげた。
どきっとして見ると、ローズさんは床で胡坐をかいた状態でごろごろと体を揺らしていた。
退屈だ、というアピールなんだろうか。不満そうに頬をふくらませている。
そしてそんな子供染みた態度にそぐわず、たわわな胸がぷるぷると震えて成熟した肢体を強調する。
……ダメだ。一瞬脱退するのがもったいない、とか考えちゃったじゃないか。
「急かすな。すぐ終わる」
一人、宝箱の罠と格闘するアンバーさんが答える。そちらを見て、僕は思わず噴き出しそうになった。
宝箱に向かっているアンバーさんは僕たちにお尻を向けることになる。それは、まだいい。
だけど、立ち上がって、お尻を突き出したまま上半身だけかがめて作業するアンバーさんは、
なんというか、お尻だけでなく、女の子の大事なところまで僕に晒していたのである。
毛の薄いそこに真一本の筋が走っている様子を、まじまじと見つめそうになる。
……いけない。エッチな気持ちになっちゃだめだ。
「?どうしたの?リー君。具合でも悪いの?」
すると、必死に頭を振って雑念を払おうとする僕に、ウィラさんが心配そうに声をかけてきた。
……ああ、僕にはこんなに優しくしてくれるのに。でも、《悪》なんだよなあ。
僕は近寄るウィラさんに、「なんでもない」と伝えようと顔を上げる。
……ファズボール?
ふわふわとした二つの大きな塊が、鼻の先に飛び込んでくる。
にじり寄るウィラさんの、両腕に寄せられた巨乳が目の前にあった。
僕はとっさに後ずさろうとしたが、ウィラさんに押えつけられてしまった。
そしてウィラさんの整った顔立ちが近づき、額と額がコツンとぶつかる。
「駄目よ。ん……熱はないみたいだけど……何か回復呪文をかけて欲しい?」
「いえ!だ、だいじょうぶです」
固まる僕の顔の下で、大きな胸がむにむにと形を変える。
……おっぱい、いや、そうじゃなくて。心を許しちゃダメだ。この人たちは《悪》なんだから。
ああ、でも、もうどうにかなりそう……



「む、いかんな」
アンバーさんの一声に皆が振り返る。た、助かった。
「どうしたの?罠ひいちゃった?」
「馬鹿、解除したに決まっているだろう。そうじゃなくて、思ったより大漁のようだぞ」
アンバーさんが宝箱から取り出したのは、篭手、剣、盾の三つだった。
前衛三人の背負い袋は満杯でもう何も入りそうにない。
僕は自分の背負い袋を探った。詰めればあと三つくらいは入りそうではある。
ただ、入れたところで持ち運べるかどうかは別だ。
確かにウィラさんたちは満杯の背負い袋を造作もなく持ち上げている。
それは体力的なものもあるだろうけど、彼女たちがはだ……装備をつけていないというのが大きい。
僕は一応新品の革鎧と小型盾で武装しているから、持ててあと一品が限界だった。
「困ったわね」
その辺の事情は練達の探索者たる彼女たちはとうに把握していた。
とすると、戦利品を全部持ち替えることはできない、ということになる。
もったいないけど、諦めるしかない……
「リーが鎧と盾を捨ててしまえばいいんじゃないか?」
「え?」
アンバーさんがとんでもない提案を出してきた。
「……そうねえ。もともと後衛に防具はいらないわけだし」
「身軽になればあと三つくらい持てるだろ。鎧と盾くらい帰ったらまた新調してやる」
「そうだそうだ。いいぞー!リーくん、脱げっ!」
「や、ちょっと待ってくださいよ!」
僕のか細い反対の声はあっけなく却下されてしまった。
アンバーさんがぽんと僕の肩に手を置いて言う。
「なに、私たちと同じ恰好になるだけだ」
「ごめんなさい、リー君」
「それっ!剥いちゃえ!」
三人の美女は、僕をもみくちゃにしながら、妙に手際良く僕の武装を剥がして行く。
……もちろん、なりたての司教が練達の忍者に反抗できるわけもなかった。
必死の抵抗も空しく、僕はあっという間に素っ裸にされてしまう。
さんざん三人の裸を見ておいてなんだけど、死ぬほど恥ずかしい。でもそんなことより問題は……
「あら」
「勃っているな」
「おー元気元気」
僕は両手で真っ赤になった顔を隠す。羞恥に身が震えた。
そう、先ほどの三人の痴態を見て、僕はすっかり興奮してしまっていたのだ。



そのとき僕は死を覚悟した。三人の裸に欲情していたのがバレてしまったからだ。
脳裏に浮かぶのは惨劇の光景。ウィラさんたちを侮辱したあの男たちの悲惨な末路。
にもかかわらず、僕の下半身は萎えるどころかギンギンにそびえ立っていた。
刺激の強い光景を見せられ続けたせいで、もはや僕の意思とは無縁に、おさまりがつかなくなっていたのだ。
「すっご……大っきいよ、コレ」
「私はそうじゃないかと睨んでいたんだ」
「掘り出し物だったわね」
三人の美女たちが、僕のそこを取り囲みながら囁き交わす。
「うっ……うっ……ごめんなさい……ごめんなさい」
「あら、どうして泣いているの?」
うわ言のように謝り続ける僕の頭をウィラさんがそっと抱き寄せる。
むにぃ。柔らかくて温かい幸せなかたまりが僕の顔を包んだ。
「さっきの男たちみたいに殺されちゃうとでも思ったの?」
ウィラさんは子供をあやすように優しく僕に問いかける。
僕は顔面を覆う柔らかな乳房に溺れ、窒息しそうになりながらもこくこくと頷いた。
「大丈夫よ……あなたみたいな可愛らしい男の子になら、いくらでも見せてあげる」
「そうそう、リーくんは特別」
ローズさんの声がしたかと思うと、僕の右手が取られて柔らかい何かに押し付けられた。
反射的に手を握りそうになると、「あんっ」という艶めいた声と共に、
むにっとした弾力のある手応えがかえってきた。
……こ、これはローズさんのおっぱい?
「ふっふっふ、見られるの自体はキライじゃないんだけどさー。
 でも、あいつらみたいに勘違いしてちょっかいかけてくるのもいるからね。
 そういうヤツらにだけ、ちょーっと、静かになってもらってるんだ」
「ま、そのせいでまともな男も私たちに近づかなくなってしまったがな」
アンバーさんの声と共に、今度は僕の左手が取られる。
――ぴとっ
手の甲に何か生ぬるくてヌルっとした未知の感触。
「ほら、濡れてるだろう?
 フフフ、さっきおまえが食い入るように見つめていたものだ。
 ……気付いていたんだぞ。リーがあんまり見るから、こんなになってしまった」
アンバーさんのあ、あそこ!?
驚きに固まった僕の手を、とろりとした粘度の高い液体がつうっと伝う。
僕の左手が、あそこに擦りつける様に前後に動かされる。
すると、粘液が絶え間なく溢れてきた。

「んー、んー、んー!!」
僕はウィラさんの大きなおっぱいに挟まれながら軽いパニックに陥っていた。
なにがどうしてこんなことになってしまったのか。
でも一つだけわかっているのは、
僕が三人の体を見せ付けられてすっかりエッチな気分になってしまったのも、
色々理由をつけられて裸にされて、今こんなことをされているのも、
どうやら三人の美女の企み通りらしい、ということだった。



「んっ……んむ……んむ……」
ウィラさんのぽってりとした唇が僕の口を塞ぐ。
緩やかに波打つ金髪がふあさっと僕の顔にかかる。繊細な毛先にくすぐられてこそばゆい。
同時に、女の人の髪のいい匂いと……それに混じるかすかな血臭が鼻腔をくすぐった。
「ぷはっ」
初めて経験する口づけの感触に陶然となった僕は、ぼんやりとウィラさんを見上げる。
直立した状態で両頬をウィラさんの掌に挟まれ、僕はなされるがままだ。
「んふふ……女の子みたいな顔。かわいいわよ、リー君」
ウィラさんがすっと目を細めた。
そうすると、優しげな顔立ちが一変して、人を惑わす妖婦のような表情になる。
「かわいらしすぎて……お姉さん感じてきちゃう」
言うやいなや、再びウィラさんの淫蕩な唇が重ねられた。
――れろっ
「!!」
たっぷりと唾液をまとわせた舌が割り入ってくる。
じゅるっ、じゅるっ。流し込まれる大量の唾液。
うごめくウィラさんの舌が僕の口蓋をねぶり、あるいは僕の舌を裏側からくすぐる。
まるで口の中を犯されるような感覚に陶然となる。
気がつけば、僕は必死で舌を突き出していた。
僕のぎこちない動きに、ウィラさんがねっとりと絡みついて応える。
まるで口の中で二体の軟体動物が交歓しているよう。
「んむっ……んっ……じゅるっ……ちゅっ……んんむっ」

ウィラさんの巧みな舌技に、僕は痛いくらいに股間に血が集まるのを感じた。
すると腹の下から嬉しそうな声が上がる。
「あはっ、キミのおちんちん、もうギンギンだね」
ローズさんだった。
同時に僕の陰茎がぎゅっと握り締められる。
痛いような、気持ちがいいような締め付けに、僕自身の先端がうっ血気味に張り詰めていく。
――ぬらあっ
犬のようにだらしなく垂らされたローズさんの舌が、鈴口にそってゆっくりと先端をなぶりあげる。
生まれて初めて味わう感触に電流のような快楽が走った。
腰が抜けそうな官能に、僕のそこはもどかしげにびくびくと跳ね回る。
「探索の間中、こっそりボクらのおしりを見てたよね。
 ずっとこんなにおちんちんを勃起させてたの?
 いやらしい。いやらしいよ。……顔に似合わず変態だねえ。リーくんは」
嬲るような、蔑むようなローズさんの口調。
ウィラさんに口を塞がれている僕は、それを否定する言葉一つ発することができない。
「……はああ、キミの変態おちんちん。
 固くて、ぶっとくて、本当にいやらしいよう」
ローズさんの容赦のない言葉が、徐々にうっとりとした音色を帯びてゆく。
少年のようなあどけなさを残したその瞳の奥で、淫らな情欲の炎が燃えているのがわかるようだ。
焼け付くような熱い吐息が僕自身の先端に吐きかけられたかと思うと、瞬間。
――かぽっ
陰茎の半ばまでが、熱を帯びたぬるぬるの粘膜に覆われた。
「ちゅっ……じゅぱっ……じゅっ……ふあ、おっきくて咥えきんないよう……ちゅぱっ」
のけぞるような快美が背筋を駆け上がる。
健康的に日焼けした美少女が、口をすぼめ、なりふり構わずに僕の陰茎にむしゃぶりついている。
それだけで脳が蕩けるような淫靡さを感じているのに、
ローズさんの口淫は激しく、情熱的で、容赦のない快感を僕に叩きつける。
――じゅる、じゅぽっ、じゅる、じゅぽっ
長い舌を絡みつかせたまま、淫らな水音を鳴り響かせて吸い上げる。
たちまちに僕は官能の渦に巻き込まれてしまった。



口はウィラさんに犯され、股間をローズさんに弄ばれる。
上と下からの激しい同時の責めに、僕はもう一人の存在をすっかり失念していた。
――むにっ
「んむっ!」
突如、二つの手が伸びて僕のお尻が鷲掴みにされる。僕は思わず悲鳴を上げそうになった。
「鍛錬が足りないな。柔らかくて、まるで女みたいな尻だ。
 ……ふっふっふ、だがそれがいい」
まるで僕の尻を揉みほぐすように、アンバーさんの両掌がわしわしとうごめく。
尻たぶが引っ張られ、不浄の場所が外気に晒されると、僕は羞恥の余り軽いパニックに陥る。
「んんー!んんむー!」
だがそんなのはほんの序の口だった。
――ちろっ
排泄の場所にぬらぬらとした何かが押し当てられた時、僕はすぐには事態を把握できなかった。
――ちろっ、ちろっ、れろっ
アンバーさんの舌が小刻みにすぼまりを責め立て始めて、ようやく理解した。
……舐められてるっ!?
ディープキスやフェラチオは、それはもちろん初めての経験だったけど、
知識として知らなかったわけではない。
でも不浄のそこを口で愛撫するなどということは、僕の乏しい性知識の範囲を超えていた。
「んんんっ!?んんんんっ!」
必死で抵抗しようとするが、頭をウィラさんに、腰をローズさんにがっちり掴まれ、身動きがとれない。
「フフフ、初々しい、いい反応だ。
 司教だというから、坊主どもにここを開発されてしまっているんじゃないかと心配してたんだ」
アンバーさんはとても楽しそうにそう呟くと、再びそこを責め始める。
驚きと嫌悪感ですっかりそれまでの官能は吹き飛んでいた。
ところが、
――にゅるりっ
唾液まみれになったそこに、ついにアンバーさんの舌先が捻じ込まれた時である。
快感、と呼んでいいものか。とにかく体の芯が砕けるような未知の感覚が僕を襲った。
入り口の部分を押し広げ、すぼめる力を骨抜きにしてしまうような巧みな動き。
僕はそこがそんなに敏感な感覚器官だとは思っていなかった。
未知の快楽の奔流は、ウィラさんのキスや、ローズさんのフェラチオの刺激とあいまって、
僕を一気に絶頂へと引き上げる。股間が射精への期待に小刻みに脈打つ。

――ぎゅっ
しかし、脈打つ僕自身が精液を吐き出すことはなかった。
ローズさんが陰茎の根元を指先で強く圧迫してしまったからだ。
絶頂に押し上げられる寸前でそれを無理矢理押さえ込まれた僕は、
がくがくと身を震わせ、哀れなくらいに狼狽していた。
――ちゅぽんっ
ウィラさんが舌を抜き、唇を離す。
「ど、どうして?」
口の端から涎を垂らしたまま、ウィラさんは僕の問いには答えずににっこりと微笑んだ。
「射精したい?」
僕はこくこくと顔を上下させる。
いつのまにかローズさんもアンバーさんも愛撫を止めていた。
じっとりと脂汗が浮かぶ。下腹部で何かが荒れ狂っているのがわかる。頭がおかしくなりそうだった。
「でも、ダメよ」
ウィラさんは愉快でたまらないという様子で、しかしきっぱりと拒絶を口にした。
なんで?どうして?僕は訳がわからずに哀願するようにエルフの美女を見上げる。
「ふふふ、そんな顔をしてもダメ。だってこれはお仕置きだもの」
「え?」
お仕置き?なぜ?わからない。
一体なんの咎で僕はこんな目にあわされているのか。
やっぱり三人の裸を見て興奮していたことを怒っているのだろうか?



「リー君。あなた、ずっと何かを言いたそうにしてたわね?」
びくっ。
言葉は優しかったけど、ウィラさんの口調にはどこか、詰問する拷問吏のような冷酷さがあった。
「ひょっとして、このパーティーを抜けたい、とか、思っていたんじゃないかしら?」
見透かすような冷たい響きに、僕は一瞬だけ身の内に荒れ狂う官能の渦を忘れた。
「あ、あの……」
ウィラさんは僕の本心を見抜いた上で聞いている。否定するのは無意味だった。
「ぼ、僕は、《善》だから……」
絞り出すようにそれだけ口にする。
だからあなたたちのような《悪》のパーティーにはついていけません。
続きは言葉にならなかった。
「そんなの関係ないわ」
「……でも、」
「もうわかってると思うけど、私たちはあなたをおちんちんとして仲間にしたの。
 男たちの無遠慮な視線に晒されて昂ぶってしまった私たちの性欲を処理すること。
 それがこのパーティーでのあなたの唯一の役目よ。
 いい?あなたはここでは司教ではなくておちんちんなの。
 おちんちんに戒律なんてないでしょう?
 これはあなたに自分の役割をわからせて、
 あなたが二度と、そんなつまらないことを考えないようにするためのお仕置きなのよ」
ウィラさんの表情は、まるでやんちゃな弟を諭す姉のように優しげだ。
でも今ならわかる。この柔和な表情の裏には、加虐に喜びを見出す悪魔が潜んでいるのだ。

……屈しちゃダメだ!
そう思った瞬間、僕の肩に、とん、とアンバーさんの顎が乗せられた。
背中から、その引き締まった肢体を密着させるようにして、僕の耳元に囁きかける。
「私たちの仲間になることを、おまえは一度承諾したではないか。
 まさか《善》の者が約束を違えるのか?」
詰るような言葉とは裏腹に、アンバーさんの口調もウィラさん同様どこか楽しげだ。
つうっとアンバーさんの細い指先が伸ばされる。
僕の脇を通って、胸を這い登り、ついに固く勃起した乳首に辿り着くと、そこを痛いくらいに捻り上げた。
「ああっ!!」
射精寸前で止められ、体全体が過敏になっていた。
爪を立て、摘み潰すような指の動きも、今の僕には刺すような快感をもたらす。
「認めてしまえよ。リー。
 私たちのおちんちんになると誓うなら、すぐに、思う存分吐き出させてやる」
それは悪魔の誘惑だった。

……ダメだ。快楽に負けちゃ、ダメだ。
なけなしの理性を総動員して必死で抗う。
けれども僕の股間のものはそんな理性に異議を唱えるように、苦しげに脈打つ。
狂おしいような射精の欲求が爆発しそうだ。
「素直じゃないなー。かわいそうに、キミのココは早く出させてくれって言ってるよ」
右手で根元を握ったままでローズさんが可笑しそうに言った。
僕を見上げるその表情は悪戯な少女のようで、
こんな状況でなければ胸をときめかせてしまいそうなほど愛らしかった。
でも、そんな爛漫な笑みの中にも、確かに悪魔は宿っていた。
「とっととボクらのおちんちんになっちゃえ!」
――ぬぷっ
「……っ!!!」
僕のお尻に回されたローズさんの左手の指が、アンバーさんによって唾液塗れにされたそこに突き立てられる。
ほぐれきったそこはあっさりと指を迎え入れ、思いもよらぬ深みへの挿入を許してしまう。
――くいっ、くいっ
体内で、ローズさんの指が曲げられた刹那。
目の前で花火が散った。
信じられないような快感が電流のように駆け抜ける。
目がちかちかする。体はがくがくと震え続け、意識が飛びそうだ。
それでも、射精はできない。僕の頭はもう真っ白になっていた。



「射精したいでしょう?」
ウィラさんが再び問うた。
「ぼ、僕は、」
「認めてしまいなさい。自分は私たちのおちんちんだって」
「み、認めます。僕はっ、みなさんのおちんちんですっ!
 だから、出させて!出させてくださいっ!おねが……」
「結構。かわいいわよ。リー君」
ウィラさんがそう答えるのと、
ローズさんが右手の指を離すのはほぼ同時だった。
「あああああああっ、あああああああっ!!」
僕の股間の者が狂ったように跳ね回る。
――どぴゅっ、どぴゅっ、どぴゅっ
その先から、溜まりに溜まった精液が途切れなく吐き出された。
粘つく白い液体が、シャワーのようにローズさんの顔に降り注いだ。
同時に激しい快感が身を焦がす。
……堕ちちゃった……でも、キモチイイ……
そんなことを考えたのを最後に、僕の意識は暗転した。

目を開けると、迷宮の煤けた天井が飛び込んでくる。
意識を飛ばしていたのはほんの一瞬だったみたいだ。
身を床に横たえたまま、視線だけを足の方に向ける。
……驚いた。そこには、射精直後だというのに少しも衰えずに屹立し続ける僕自身があった。
僕、おかしくなっちゃったのかな。
呆然とそう考えながら視線を上げる。
そこには僕の腰を跨いで仁王立ちになったアンバーさんがいた。
筋肉質なのに折れそうなほど細いすらりとした体つき。
その上に乗ったクールな美貌が、ふてぶてしい表情で僕を見下ろしていた。
「この恰好の利点の一つは、欲情したときに直ぐにことに及べることだな」
アンバーさんはそのまま腰を下ろし、いきり立つ僕の陰茎に手を添えた。
ぬるりっ、濡れ易いアンバーさんの入り口に、僕の先端が合わされる。
「いいか、これからはリーも迷宮内では常時裸でいるんだぞ。
 なにしろお前はわれわれのおちんちんなのだからな……んっ、は、入った……はあああ」
アンバーさんは僕自身を根元まで咥え込むと、深い吐息を漏らした。
「き、きつい……」
僕は思わず呻きをもらす。初めて味わう女の人のそこは、奥まで入ったのが信じられないくらい狭かった。
だけどその窮屈さは少しも苦痛ではない。
むしろ強い締め付けがすべて快感に置き換えられて感じられるのは、
アンバーさんの中から絶え間なく溢れ出す大量の愛液のせいだろうか。
「ふっふっふ、忍者の膣内をたっぷりと味わわせてやる」
そう言って艶やかに笑うと、アンバーさんはゆっくりと上下運動を開始した。
――じゅっぽっ、じゅっぽっ、じゅっぽっ
亀頭が抜け落ちそうなぎりぎりまで引き上げると、入り口がきゅっと締まる。
そして入り口の筋肉で締め付けたまま陰茎を咥えこんでゆき、
奥まで達したかと思うと今度は膣奥がうねって鍛えられた腹筋に押し出されるように締まる。
「はあっ、んっ、んっ……どうだ?……あんっ、な、なかなかの名器、だろっ?」
鍛え抜かれた筋肉でぎゅうぎゅうと締め付けるアンバーさんの膣内は信じられないほど気持ち良かった。
仰向けでなされるままだった僕の中で、もっとこの女の人を味わい尽くしたいという欲求が燃え上がる。
「ひゃうっ」
僕はおもむろに上体を起こし、アンバーさんのなだらかな胸にむしゃぶりついた。
そこだけ隆起した薄桃色の突起に吸い付き、舐め回し、歯を立てる。
「あぁっ、や、あっ、んんんっ、きゅ、急にどう、した?……あっ、はあっ」
感じている。そう確信すると、僕は夢中になって腰を突き上げた。
「あっ、あっ、ううあっ、はああっ、い、すご、やっ、だめ、だめだっ、あああっ」
――ぬっちゃ、ぬっちゃ、ぬっちゃ
体を密着させながら、僕はひたすらアンバーさんを責め立てる。
「んあああああっ、ああああああっ、はああああああっ」
――どぷっ、どぷっ
いきりたった肉棒を押し込み、小柄なアンバーさんの奥深くに精液をぶちまける。
アンバーさんは一際高い絶叫を上げたところで、くたっと力なく崩れ落ちた。



……キモチイイ、キモチイイ。
悪魔の誘惑に屈して自制心を捨て去ってしまった僕は、すっかり性欲の虜になっていた。
崩れ落ちたアンバーさんを床に横たえ、ふらりと立ち上がると、次の獲物を探す。
「あああ……すごい……すごいよう、リーくん……」
目に留まったのはローズさんだった。
僕とアンバーさんの交わりを見てすっかり欲情したらしく、
自分の胸と股間に手を這わせて自慰に耽りながら身悶えさせている。
ゆらりと近寄る僕に、獣欲に潤んだ瞳を向けた。
「つぎ、ボクに、して……ボクのココにぶちこんでよ……」
迷宮の壁に手をついてよろよろと身を起こしながら、そのぷりっとしたお尻を向けて僕を誘う。
……おしり……ローズさんの、健康的な、張りのあるおしり……
僕は夢遊病者のようにその褐色のお尻に引きつけられる。
そのままわしと尻たぶを掴んだ。
「ああんっ!」
それだけでローズさんは媚びを含んだ嬌声を上げる。
ローズさんの身体はまさに健康的な若い娘のそれだ。
全体に張りがあって、胸も、太腿も、そしてお尻もみっちりと肉付きが良い。
それでいて前衛職として鍛え上げられた身体には、きゅっとすぼまったくびれがあり、メリハリが利いている。
突き出された尻肉の間では、大ぶりな女の人のそこが涎を垂らし、ひくつきながら挿入を待っていた。
――ずぷっ
「あひぃっ!……はあああっ、はああああんっ、お、おっきいようっ!」
濡れそぼったそこに僕自身を突き立てる。ローズさんはあられもない叫びを上げた。
「リーくん!おねがいっ!叩いてっ!ボクのいやらしいおしりを叩いてっ!」
――ぱあああんっ
僕は躊躇なく、力任せに平手を打った。若い、張りのある尻肉がぷるんっと震える。
「あっはあああんっ、くううんっ、もっと!もっとお願いっ!」
――ぱああんっ、じゅぽっ、ぱああんっ、じゅぽっ
ローズさんのつややかなお尻が赤く腫れるのもかまわず、求められるままに叩き、
そして同時にバックから容赦なく突き上げる。
「ふああっ、す、すっごい、ボク、おかしくなる、おかしくなっちゃうよっ!」
――どぷっ
泣き叫ぶローズさんの膣内で、僕は昂ぶる獣欲のままに白濁液を吐き出す。
すると、
「ああああああっ、イク、イク、イっちゃうっ、んあああっ、んああああああっ」
獣のような絶叫とともに、ローズさんの褐色の身体がびくびくっと痙攣した。
尻を抱えられたまま、上半身だけ崩れ落ちるローズさん。
僕は挿入したまましばらく射精の余韻を楽しむと、残らず注ぎきったところで僕自身を抜いた。
――こぷっ
高々と突き出されたローズさんのそこから、大量の精液が泡を立てながら零れる。
……まだ、まだ足りないよう
僕は身体の中で荒れ狂い続ける性欲のまま、最後の獲物へと向かった。



「素敵よ。リー君。
 ……ふふふ、苛められすぎて理性が飛んじゃったのね」
ウィラさんは艶然と微笑んでいた。
床に腰を下ろし、後ろ手に上半身を支える。
巨乳を惜しみもなくさらし、その上でなだらかなM字に伸ばされた両脚の間から女の人をのぞかせる。
ひどく扇情的な恰好で、すっと僕に右手を差し伸べた。
掌を上にした右手の指だけで、くいくいっ、と挑発的に手招きをする。
「いらっしゃい。満足させてあげるわ」
僕はウィラさんに襲い掛かった。
膝立ちになり、前戯も何もなしに股間のモノをウィラさんの中心に突き立てる。
「はああっ……ふふふっ、ケダモノみたい。
 ……いいわ。リー君。それでこそ私たちのおちんちんに相応しいわ……」
ウィラさんの膣内はどこまでも深みがあって柔らかく僕自身を包み込む。
それでいて緩いわけではなく、無数の襞々が絡みつき、間断なく締め付けられる。
しかもそうした動きの一つ一つを自在に操れるかのように、変化をつけて僕を飲み込もうとする。
入れているだけで達してしまいそうだった。
「んっ、あっ、んっ、ふふっ……いいのよ、好きなだけ射精して、味わってちょうだい……」
僕はウィラさんの豊かな胸に手を伸ばす。
「はああっ、んっ、おっぱいが、好きなのね、んっ、んはあっ」
とても戦闘用に鍛え抜かれた忍者のそことは思えないほど、ウィラさんの乳房は柔らかかった。
掌に吸い付くように形を変え、その手触りだけで僕を官能に導く。
僕はウィラさんを見た。その顔には淫蕩な笑みが浮かんでいた。
ウィラさんが濡れた唇を開き、ちろちろと舌先を出す。
僕を挑発していた。
僕はそのいやらしい唇に吸い付く。
舌が絡まりあい、僕がウィラさんの口を犯し、ウィラさんが僕の口を犯す。
「んんっ、んむっ、ふううっ、んっ、んむんっ」
いやらしい舌遣い、柔らかい乳房、しっとりとすべやかな肌、すべてが僕をおかしくさせる。
僕は狂ったように腰を前後に振った。
「んあっ、はああっ、ああああんっ、はんっ、あっはああんっ」
僕の獣のような息遣いに合わせるように、ウィラさんの喘ぎ声が重なる。
「ウィラさんっ、出ちゃう、もう、出ちゃうよっ」
限界だった。
叫ぶ僕に、ウィラさんは優しく笑いかけた。
「いいこと。あなたは私たちの専属おちんちんよ」
僕は無我夢中で頷く。
「パーティーを抜けるなんて考えては駄目。いい?」
「はいっ、もう、二度と、そんなことはっ」
僕がそう誓ったとき、ウィラさんの膣内がぎゅっと収縮した。
張り詰めた僕の肉棒をみっしりと包み込む。
「ああああああっ、はあああああっ」
――どくっ、どくっ、どくっ
僕とウィラさんの叫びが重なる。僕たちは同時に達した。

それは、リルガミンで悪名高い裸忍者三人組に「悪の司教」が加わった瞬間であった。