メイルシュトローム地下5階。この単語を耳にするだけでうんざりする冒険者は多いだろう。娯楽の
殿堂と名付けられたこの階層は実に悪趣味極まりない娯楽に満ちている。
髭面のドワーフの戦士が普段全く無縁なダンスのステップを無理やりに踏まされてエルフの魔術師に
笑われたかと思えば、普段は自信家で高慢ちきなくせに意外と臆病なその魔術師が空想の世界の
産物をそのまま具現化したような狼男や吸血鬼・フランケンシュタインといった怪人たちに怯えて
逃げ回る。ここの娯楽は訪れる者を愉しませるためにあるのではなく、足を踏み入れた冒険者たちを
観察する者が愉しむために存在しているのではないかと思わせる。
とはいえ、全く人気のない場所かと言えばそうでもない。極一部の金は余っているが女に困っている
冒険者たちが、ロイヤルレディたちに決して安くはない貢物をしては束の間の気分を味わうときも
ある。陽気なホビットたちが大勢で押し寄せてきてダンスホールで一晩中、馬鹿みたいに踊り狂う
こともある。
あるいは、こんな現場を見たいがためにやってくる冒険者も少なくはない……。
「いやぁん……もぉ、おイタはダメ……めっ♪」
その美女は、立っていても床に届かんまでに長い金色の髪の持ち主であった。そして、まるで彼女には
服を着るという習慣がないかのように、ごくごく自然に裸身を晒していた。
「……あらっ、きゃっ……見ていらしたのっ……お人が悪い、恥ずかしいですわぁ……」
かと思えば、こんなに堂々と迷宮の中で裸身を晒しているというのに恥じらい、頬を赤く染め上げながら
床にぺたんと腰を落としてその豊かな髪を使って乳房と腰の周りを覆って隠す。そう、明らかに彼女は
故意に誘っているのである。
「ああぁん、もぉ……お客様の前なのにっ、こんなにしちゃって……おイタはダメよっ♪」
美女はそう言いながら、床に腰を落としたことで自分の顔の目の前に来た『それ』の先端を指先で
ツンと突いて、「めっ!」と、小さく叱り付けるのである。朱の口紅を引いた艶かしい唇から漏れる吐息は
しかし、むしろその野獣には逆効果だった。勿論、美女は逆効果になると知っていながらそれをした。
『フウゥゥゥゥウッッ!!!ウウゥウッゥゥッッ!!!!!!!』
「もぉ……お客様の前なのにっ……貴方は本当に可愛くて醜い野獣なのねっ……んっ」
それは正しく、野獣であった。2本足で立ってはいるがそのシルエットは人のものでは有り得なかった。
筋骨隆々な胸元と腹筋に対して、病的なまでに細い手足。くすんだ蒼い色の毛皮で全身が覆われていて
尻には細く長い尾が生えていた。
その野獣は荒々しい吐息を吐き散らしながら、醜く硬く節くれ立った肉棒を美女に押し付ける。ぺたんと
床に腰を落とした美女の顔の前に野獣の腰が位置しているために、獣臭いその凶器じみた肉棒は、
美女の美しく繊細な顔に押し付けられる形になる。
「きゃっ……お客様が見ていらっしゃるのに……本当に、もぉ……ダメよぉ♪」
この美女と野獣のコンビは普段は『アトラクション』として冒険者を見るなり襲い掛かってくるのだが、
時折、このようにして野獣が発情期に入ると状況は一変する。今や美女と野獣は大勢の男性冒険者に
取り囲まれて……完全に違う種類の『見世物』になっていた。そして、美女はと言えばこの状況を非常に
好意的に受け止めていて愉しんでいるのである。
「んっ……ダメよっ、そんなものっ、わたしのお口に入れようとしちゃ……ぁぁん、あつぅういっ♪」
美女はイヤイヤをして首を振る。それを無視して野獣は本能のままにぐいぐいと美女の顔に肉棒を
擦り付ける。獣の臭いを発しながら先走りの汁で濡れるその醜悪な肉棒が、柔らかく官能的で、しかし
どこか繊細さもある美女の頬を嬲るように突き、唇を擦り上げる。形だけの拒否なのだが、美女の
様子は男たちの欲求を的確に揺さぶっていく。
ある者にはその様子が正しく、か弱い絶世の美女を薄汚い野獣が一方的に蹂躙し、汚し、辱めている
光景に見えた。また別の者には絶世の美女が肉欲に溺れて醜い野獣相手に挑発を繰り返し、淫らな
欲求を満たそうとしているように見えた。
それが美女の持つ『力』であった。
「ふぁ……めっっ、ダメっ♪見てる、お客様がぁ……もぉ、おイタしちゃっっ……ひゃぅうう♪」
美女が野獣を宥めようと手を伸ばしたその時、野獣が全身を震わせたかと思うと……人間では到底
考えられないほどに大量の、黄色く澱んだ精液を野獣は撒き散らした。美女の頬が、髪が、顎が、
胸元が、その手が……卑猥で穢れた化粧で染め上げられる。
「仕方のない、可愛い可愛い下品な野獣……お客様の前でこんなにいっぱ……んぐぅっ!!!」
美女の言葉は途中で遮られた。野獣は長い爪の伸びた指で美女の頭を掴むと、一方の手はそのまま
美女の頭を抑え、もう一方の手で髪の毛を引っ張ると……まだ収まりのつかない肉棒を美女の咥内に
捻じ込んだ。そしてそのまま、獣の野蛮な腰つきで美女の咥内を蹂躙し始める。
「あぁぁあ、もう我慢できねぇ……ビューティの髪、いい……うおおおおっっ!!!!」
その頃には、美女の『力』に勝てない実力の低い冒険者の何人かが完全に魅了されていた。彼らは
我先に美女の長い髪を掴むとそれを自らの肉棒に巻きつけて、手で肉棒を扱き出す。そんな意思の
弱い冒険者たちを先輩冒険者たちが野獣に向けるのと同じような嘲りの視線で見るのだが、彼らは
お構いなしだ。次々に男のくせに『ああぁっっ!!』とか『うううっぅうぅっっっ!!』とか……恥ずかしい
声を上げて、美女の髪に射精して美女を一層汚すのである。
『グゥゥゥッゥゥゥウッ!!!!アォォォォォォオォオオンンッッッ!!!!』
そうやって、意志力の弱い冒険者たちが美女の髪の毛を使っての自慰で満足する頃、美女の咥内を
弄んでいた野獣はようやく2度目の射精を迎えるのである。咆哮を上げて美女の咥内に、食道にその
精液を注ぎ込んで歓喜に震える野獣は暫く、余韻を愉しむかのように腰を美女の顔に強く押し付けて
ようやく、美女の顔を解放する。
「はっっ……うっっ……ぁっっん♪どうして、貴方は躾しても……ダメなのかしら……」
普通の人間であれば確実に胃の中のモノを逆流させて失神してしまっただろう。しかし、美女は息を
乱す『演技』をする余裕さえ見せながら……言葉とは裏腹に、恍惚の様子を見せるのである。
そうしていよいよ、本番の時間がやってくる。
『ウグゥゥゥゥゥゥウッッ!!!!!!!!アゥッゥウゥウゥゥッッッ!!!!!!』
野獣が美女を、四つん這い、獣のように組み伏せる。組み伏せて、犯す。こうなるともう、野獣が
満足するまで止まらない……最低でも2時間は。一度、興味本位で美女を犯している最中の野獣を
背中から斬り付けた冒険者がいたが、斬られても野獣は腰を振るのを止めなかったほどだ。
「おらっ、野獣の汚いち○ぽよりも、人間のモノの方が美味いだろ!!」
幸運を勝ち得た冒険者が美女の髪の毛を無理やりに引っ張って顔を上げさせると、その咥内に
肉棒を捻じ込んだ。美女は苦痛に顔を歪ませるようなこともなく、むしろ恍惚の表情で男の肉棒を
くわえ込んだように男には見えた。この男が美女が男に媚びて傅く方が興奮する性癖の持ち主で
あったからそう見えただけで、たとえば別の冒険者には美女が泣きながら首を左右にイヤイヤと
振るのに男が無理やりに肉棒を咥内に捻じ込んだように見えたかもしれない。
熟練の冒険者たちは自ら進んで美女の『力』に掛かる。何故ならば、野獣が発情期に入っている
間は『美女と野獣のアトラクション(という名目の襲撃)』は正常に機能しないために、自分たちを
襲ってくることはなく美女の魔力に囚われても何の問題もないのである。そして美女の魔力に
抵抗できないような冒険者たちは早々と欲望をぶちまけてリタイアさせられてしまうのだ。
「ううっっ、たまんねぇ……こんなに綺麗な女だってのによぉ……腋毛すげぇなぁ、おい」
「うへへへへっ……やっぱりだぁぁ、ビューティたんの腋はつるつるすべすべで気持ちいいぃぃ」
2人の異なる性癖の持ち主の冒険者が、美女の左右の腋で己の肉棒を扱いていた。美女の
魔力が視覚のみならず触覚さえも支配して片方には腋毛のざりざりした感触を擦る肉棒に与え、
一方の冒険者には全く逆の刺激を与えていく。
「すごいな……やはり化け物の射精は違う……もう、腹が妊婦みたいだ」
四つん這いになった美女の腹の下に潜り込むというよい位置を見事に確保した男はそう言って、
膨らんだ美女のお腹をぎゅぅっと強く押してみる。すると美女と野獣の結合部分から勢いよく、
精液がごぶごぶと噴出していく。
「やはりビューティはいいな……ブレスも吐かないし、何よりサッキュバスと違ってレベル
ドレインもないしな……ヤっても安心というわけだ」
美女の腹の下に潜り込んだ男はそう言いながら、美女の乳房の先端を両手でぎゅっと掴むと
そのままぐにぃいっと、捻り上げる。すると美女は別の男の肉棒を口に咥えたまま、男に淫らな
笑みを浮かべて悦んでみせる。男が、甚振られても泣き叫ぶことなくヨガリ狂うような女が好み
だったから。他の男たちには一体、この美女がどんなリアクションをしたように見えたのか……
男はふと、そんなことを思うのである。
「はっっくっっ……ぁっ……ふふふっ、本当に自分勝手な子……満足すれば寝ちゃうなんて……」
2時間もすれば、野獣と冒険者たちの放った精液で床の一面は汚れ、美女は精液の海の中に
溺れてしまう。野獣は出すだけ出すと、満足していびきをかいて床にごろんと転がってしまう。
「まったく、これでは『美女と野獣』のアトラクションが出来ませんわぁ……ごめんなさい、お客様」
そうして美女は、最後の最後まで残った冒険者たちに一言お詫びの言葉を吐いて、妖しく笑う。
先ほどまで美女の腹の下に潜り込んでいた冒険者が精液塗れの美女の身体を起こして抱き上げ、
唇に噛み付きキスをする。
「野獣が起きるまでせめて、美女のみ、愉しませてもらうからOKだ。野獣が起きたら……あんたら、
1人と1匹、まとめて殺すぜ……?」
凶暴な目つきをした男に言われて、美女が微笑む。
「怖ろしいことを仰るのですね……けれど、わたくしたちはそういうアトラクションですもの、負けると
判っていても襲い掛からなくてはいけないのがその役目……。そしてまた、何度でも、この娯楽の
殿堂に足を踏み入れる度に、冒険者の皆様のお相手をいたしますわぁ……いいぃぃぃんんっ♪」
再び乳房の先端を捻り上げられて、美女が嬌声を漏らす。
「難儀だな、アトラクション担当モンスターって奴は……じゃ、また、頼むぜ、いつもの奴……」
男がそう言うと美女はコクリ、小さく頷いた。野獣の発情期が来る度にここに遊びに来る男の
趣味はもう、美女には判りきっていた。いつの間にか、美女の背後にもう1人、別の冒険者が
立っていた。正面から美女を抱く男に美女は自らしがみ付くと、立ったまま男に犯される。そして
背後に立つ別の冒険者にそのまま、尻穴も犯されるのである。これが男が一番好きな女の
抱き方だから。
(そういえば、こいつは……俺とは趣味が真逆なんだよな……)
美女の秘裂を抉りながら、ふと、彼はそんなことを思う。美女の尻穴を犯している男は泣き叫ぶ
女を無言で不気味に攻め立てるのを好む男だった。男同士の友情を長く保つ秘訣は女の趣味が
被らないことだという言葉を男はふと思い出したが、女の趣味の違う男2人で同じ女を攻めるとは
一体全体どういう状況なのだろうと、一瞬、男は疑問に思った。
「あぁあっんん♪はぁああっ、いいっっ♪いいですわぁああっ、お客様ぁあっ♪」
尻穴を犯す悪友には、この良い声でよがり狂う美女が泣き叫んでいるように見えるのかと思うと、
少し滑稽であるように男には感じられた。それと同時に美女の持つ『力』に少し、ぞっとする。
「……おい、覚えとけ……普段のアトラクションの時とかはともかくとしてな、俺は、女を抱いている
最中にお客様とか、そういう呼ばれ方されるのは好きじゃない……名前で呼べ、名前で」
湧き上がったその感情は、ひょっとしたら独占欲だったのかもしれない。だとしたら、自分はかなり
病んでいる。男はふとそんなことを思う。美女の『力』に相当に、やられたらしい。
「うふふっ、それは失礼を……。けれど、わたくしはこの可愛くも醜い野獣とのツガイ、ですもの。
貴方様の望んでおられるような感情を満たすことはできませんわぁ……」
そんなことは男も重々承知だ。野獣の発情期に合わせてここに集まってくる冒険者たちは皆、
その性欲を満たすためだけにやってくる。何故ならこの美女は確実に男たちの『ツボ』をついて
くれるのだから……サッキュバスと違い『エナジードレイン』という危険な代価なしに、だ。
男は単純に、女が甚振られることによがり狂うような変態女が、喘ぎながら自分の名前を
呼んでくれるのが趣味であるだけなのだ。この美女に、特別名前を呼んで欲しいわけではない。
自分にそう、言い聞かせる。本心はどうなのか、敢えて考えないようにして。
(モンスター女にハマるとロクなことがない……まあ、毎回毎回、野獣の発情期の際は必ずここに
着てる時点でもう、アウトなんだろうがな……)
自嘲気味に笑いながら、男は美女を突き上げる。
「ああぁっっ♪激しいっっ♪はぁああああ……ケツま○ことおま○こ、一緒に穿られて苦しいのに
気持ちいひぃぃっっ♪ぁああ……アロン、アロン、最高ぅうっぅうっっ♪」
教えていない。男は自分の名前を美女には一度も、教えていないはずである。モンスターに自ら
名乗るなど、絶対にしない。しかし、美女は確かに自分の名前を呼んで喘いだ。美女が『力』を
使って理想の声をまた、男に聞かせたのだろう。だが、しかし……。
「いいな、最高に……キクぞ!!!!」
これ以上ないほどに男は興奮して一層、腰の突き上げを激しくするのであった。
娯楽の殿堂、男性冒険者の方は是非、御来店の時期をお間違えにならぬように。
さもなければ、たちどころに美女の虜になってしまうのだから。くれぐれも、野獣の
発情期は避け『美女と野獣』のアトラクションが正しく機能する時期にご来店下さい。