「ん…? どうしたのだ? ジョウ? 」

 カシナートに血振りを呉れるロードのシミアに言われるまで、俺はソイツの手際に見入っていた。
宝箱、チェストの隙間を覗き、懐から罠解除用のピックを取り出す手付きも、全く迷いが無かった。

 「…気に為るか。奴は本職のシーフでは無い。…何しろ『ニンジャ』だからな」

ホビットのシーフのマッケイが『俺、故郷に帰って幼馴染と結婚して鍵屋をやるんだ』と、パーティを
抜けてリルガミンを潔く離れてしまえば、この『狂王の訓練場』こと迷宮の探索で生計を立てていた
俺達『善』のパーティは成り立たなくなる。善のロードのシミア、中立で侍の俺、善の僧侶のディルマ
善の魔道士のカイ、善の司教のルミアン。…中立でシーフ、それも腕のいい奴なんぞは今時居なかった。
だからギルガメッシュの酒場で中立であるこの俺自身が悪の連中に片っ端から声を掛けたり、張り紙で
参加を募っていたのだが…

 「俺が加入を決めた人間だからな。気にもなるさ」
 「善の人間とは口も聞けないらしいぞ、奴は」
 「よせよ、そう言う言い方は。…同じさ。中立の俺とも一言も喋らん」

 案の定、善の性格でエルフばかりのパーティに来る酔狂な奴は居なかった。この俺と抜けたマッケイを除けば
何しろ全員若い女のパーティだ。逆に村正持ちの人間の俺を誘う悪の連中も居たが、かなり離れたテーブルにて
ジト目で睨むウチの純正スペルユーザー連中や、血の気が多い前衛のシミアが常に俺の傍を離れず腕を組んで
監視していれば、話もろくに出来なかった。そもそも地下十階に出入り出来るようなパーティの数は少ないし、
俺達の善のパーティが迷宮探索のトップを独走していた。さらに善悪問わず後発の奴等のやっかみが凄かった。
『もう、ズブの素人を見つけて育て上げるしか手の無い状況かも知れんぞ』と帰り道に寂しげに笑うリミアを
ロイヤルスイートまで送り、その後の毎度のお誘いを丁重にお断り申し上げて、ちょうど通りかかった所の
廊下にいた女給に遇い、珍しく空いていると言う宿のエコノミールームで勧められるまま眠った次の日…

                          奇蹟が起こった。

 仕方無く迷宮に降りた俺達5人の前に、黒装束に身を包んだ人間が立っていた。足音も無く近寄り、
懐から俺の書いた張り紙を突き付けて来た。俺が素性を聞こうとすると、張り紙の裏に必要事項だけ
書かれてあった。なんと悪の、それも珍しい「ニンジャ」だと言う。一も二も無く頷き、いぶかしむ仲間に
用件のみ伝え、パーティの先頭を歩いてもらう事にした。2番目は通常はシミアだが、今回からは俺が
担当することにした。いくらニンジャでも、腕前を見なければどのくらいに「使える」か解らなかったのだ。
…しかしそいつは躊躇う事無く1階から4階、4階から9階、シュートまでの最短ルートを歩いて見せた。

 「マッケイよりも手際が良いな。もう開いたぞ? 」
 「カルフォが使い放題だからな、ウチは。安心して解除に専念出来るんだろう」
 「ん? 誰も使って無いぞ? 第一、奴から頼まれても無いしな」
 「使ってやれよ誰か!? ニンジャだぞニンジャ! 慣れてる本職のシーフじゃないんだぞ! 」

 今まで地下十階に出入りする悪のパーティに、このニンジャの背格好に該当する奴は居なかった。
だとすると、ずっと一人で潜ってきたのだろうか? 謎は深まるばかりだ。だが常に無く頭は冴えている。
きっとエコノミールームで眠った御蔭だろう。…贅沢な寝台は人間を惰弱にする。常在戦場の心得だ。

 「そういえばジョウ、いつもの馬の臭いが無いな? 昨日私と別れてから何処で眠ったのだ? 」
 「ん? エコノミールームだが? な、なんだその顔!? 俺が何か悪い事言ったのか?! 」
 「…き、き、貴様ァァァッ! 誰の部屋で寝た!? 女の部屋か?! 女か?! 女だろう!? 吐け! 吐くのだァ! 」  
 「何でそうなるッ?! 待て、俺はレイバーロードと遣り合う気は無いぞ! うわっとぉ! 本気かシミアっ!? 」
 「今の妾(わたし)はレイ「パ」ーロードに為りたい気分だッ! 脱げ! 妾がその女の臭いを消してやるぅぅう! 」

 慌ててシミアを停めてくれた善の他の仲間達に聞くと、事前契約か予約が無い限り、深夜に部屋に泊まる事は
出来ない仕様だと言う。深夜は絶対に馬小屋に回される筈だと力説するスペルユーザーの仲良し三姉妹の言葉に
俺は背中に脂汗が浮き出て来るのを感じた。それならばあの女給はいったい誰で、何者だったんだ? 

 「ぅわああああっ! …なんだ、貴殿か」
 
 ふと肩を叩かれ、思考を中断する。マスターレベルをニ倍した技量を誇る俺に、気配も無く近寄るなど
並みの腕では無い。相当の手練だ。ニンジャはシーフに比べ、罠の解除が「出来る」程度に過ぎないが、
その代わり戦闘に特化した職業だ。こんな黒覆面黒装束、ニンジャ装束だけで歩けるのも、装備に依存しない
職業だからだ、と、ここに流れて来る前の戦士の時代、国元の師匠から叩き込まれた。だから決してゆめゆめ
ニンジャを侮るでないぞと言われていた理由がやっと解った気がする。この迷宮の最強のニンジャであった
「ハイマスター」でさえ、目の前のニンジャに比べれば可愛い雑魚に等しいだろう。

 「と…終わった? これが…中身? 識別しろ? …わかった。ルミアン、ルミアン! これを頼む!」

 これまで一言も喋らないが、戦闘の連携は不思議に取れていた。シミアのカシナート、俺の村正、そして
ニンジャの必殺の「手刀」。呪文の効果範囲を知り尽くしたポジション取り。シミア以外に俺の背中を預けても
いい前衛職に久々に逢えた気がした。その後、呪文回数が尽きるまで、大休止を挟みながら戦い続け、テレポーターを
使い城に戻るまで、何事も無く無事に今回の探索を終えた。

 「最初に決めた約束を守るのが善のパーティさ。…俺は中立だけどな? 今回の貴殿の取り分だ。助かったよ」

 戦果はなんと聖なる鎧、村正、手裏剣、カシナートの剣、悪の鎧、守りの盾、悪の盾、忍耐の兜、悪の兜、銀の小手、
破邪の指輪の大盤振る舞いだった。そのうちリーダー権限で、悪の装備と銀の小手、手裏剣、破邪の指輪と今日稼いだ
ゴールドを「ニンジャ」に譲渡する。指輪を渡すと決めた時、やけにシミアに睨まれたのが気になるが、後で二人っきりで
シミアの部屋で「聖なる鎧」の着付けを手伝う事で全て「帳消し」にしてくれるらしい。…何が帳消しなんだかサッパリ
解らんが、三姉妹にも睨まれた。何故だ? あいつら全員に回復の指輪をやったろうが! 喜んで受け取ってたろうに?!
 次回の話があるので、俺は「ニンジャ」に残って貰っている。シミアも残ると言ったが、彼女が居たのではまとまる話も
まとまらない。

 「いいのかって? 構わんよ。ボルタック商店に売って倍の値段で店に並ぶのを見るのも癪(しゃく)だしな?
  使わなければ売っても…何だ? ブツを抱きしめたりなんかして…? そんなことしない? 好きにしてくれ。
  それで、貴殿さえ良ければ次も頼みたいから名前を…って…」

 コクン、と「ニンジャ」が頷き、そして迷宮の闇に消えた。気配は既に無い。結局、女なのか男なのかも解からず終いだった。
だが信頼出来て、腕の立つ奴だ。性格上パーティとは馴染めないだろうが、それはそれでいい。生命を預けるに足りる人間だと
いう事はいくらあのガチガチな善の娘連中にも理解出来た筈だ。…俺が緩衝役を果たし続ければ、問題ないだろう。

 「さてと、宿に帰ってシミアの着付けでも手伝うとするかね…!?」

 首の後ろに鋭い衝撃を感じた瞬間に俺の意識は何者かに狩られようとしていた。視界に床が近づくのを理解したが、支えられる。
徐々に闇に落ちていこうとする仰向けに横たえられただろう俺の顔に、何故か熱い液体がポツポツと落ちるのが不思議だった。 
俺が最後に見たものは、黒覆…



 「ああンっ…! ジョウさんっ、ジョウさんっ、ジョウさァンっ…! 」

 意識を取り戻した俺が観た光景は、不条理過ぎるものだった。迷宮に居たはずの俺が、何故宿に居るのか? そして情けなくも
装備を剥ぎとられ、さらには俺の魂とも思っていた村正がこの地方で珍しい正規の刀掛けに乗っていて、手足はしっかりと国元の
製品、東洋産の細引きでベッドの四隅に縛り付けられ、長い翠の黒髪を後ろで纏めた人間の女が、馬の尻尾の如く黒髪を振り乱し
ながら、俺の上で柳腰を振って悶えていた。俺が目を覚ました事など知る由も無く、羽化登仙の忘我の境地に至りながらひたすら
俺を貪り続けている。女の顔に見覚えがあった。…あの時の女給だ。部屋の隅には俺の渡した装備の入った布袋もあり、さらには
黒覆面に黒装束、足袋、草履が無造作に脱ぎ散らかして有る。俺はキュンキュンと締め付けてくる女の蜜壷が伝えてくる快感は、
悪いがこれまで味わった事の無い程の特上品だ。しかし何故だ…? 俺は無言で女の律動のタイミングを見計らい、腰を突き上げた。

 「…?! っあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

 予期せぬ俺の最奥への攻撃に悶絶し、豊か過ぎる胸を自ら揉み潰すようにして、女は果ててしまう。のけぞるようにして倒れたため、
俺から女陰が丸見えになってしまう。芳香を放つ白い本気汁に加え、俺自身の出した精が溢れている。覚醒するまで相当搾り取られたに
違いない。と言うより…あの凄腕「ニンジャ」がこんな女すぎる「女」だった事に驚いている。国元では女「ニンジャ」は「クノイチ」
とも呼ばれ、決して性欲に溺れる事の無い人外の化生だと教え込まれたのだ。俺は唯一許された動作を行う。即ち、腰を動かし律動を
再開する事だ。夢心地に浸っていた女が身を起こし、俺の腹に手を付いて体を支え、俺の動きに合わせてまた激しく腰を動かし始めた。
俺は女が快楽に浸り始めた所で動きを停める。俺と目の遇った女が、真っ赤になって顔を背ける。…俺を貪る腰の律動は止まないままだ。

 「貴殿は、あのニンジャだな? で、ここは俺が前に泊まったエコノミールーム…」
 「あのエルフのロードにジョウさんを奪られてしまうと思って…。それならば…奪ってしまえばよいのだ、と…」

 いつからだ、と訊こうとして、俺は呻いてしまう。…射精衝動が止められなかった。あれから何時間経ったのだろうか? 外を見ると、
帰って来たのが朝日が昇る頃で、窓の外はもう日が沈む頃だった。その間、ニンジャは俺をひたすら貪り続けたのだろう。唇を押し付け、
吸った後が俺の見える範囲の胸板に所狭しと並んでいた。冒険者を現役でやっていなければ、腎虚で死んでいたところだろう。

 「ずっと見てました…。ずっと…ずっと…! 迷宮の、闇の中で、ジョウさんだけを…! ずっと…! 」
 「お、怒らないから…解いてくれ…ないか? どの道こんな格好では、とてもニンジャには敵わんのだ…」
 「嫌ですっ…! 解いたら、ジョウさんは…誇り高く死を撰ぶか…あの高慢なエルフのロードの餌食にんッ?! 」

 クノイチ相手には分が悪いが、侍たるもの挑まれた「勝負」に遅れを取るわけには行かない。絶望的な気分で俺は女を責める事にした。
快楽の熾き火(残り火)に火が点いたのか、悩ましげに眉をひそめ、悶える。女の奥を突く感触が俺の唯一残された武器、肉槍を通じて
伝わる。彼女に比べて閨(ねや)の経験値は浅いが、出来る限りの事はしなくてはならん。漢の道、武士道とは死ぬことと見つけたり!
ひたすら耐え、合わせようとする相手の腰の律動を狂わせ、突く。嫋々(じょうじょう)と啼き、喘ぎ続ける女の反応は演技では無い。
気をやり、俺の名を呼びながら胸に顔を伏せ、復活すれば本能のままに、また俺の精を搾り取ろうとする。伝説に聞く魔物の夢魔よりも
淫靡で、妖艶でありながら、どこか清純さと恥らいを感じさせる彼女の媚態が俺の性欲を刺激する。



「…目の前でこんなに美味そうに揺れている果実を、味あわせて貰えんのは興醒めだな? 」

 何度目かにクノイチが突っ伏した時、耳に甘く吹き込んでやる。彼女は首まで赤くしながら、俺の肉棒をくわえ込んだままで両手を
拘束した細引きを外してくれた。俺は侍だ。半身を起こし、約束通りに自由になった両手で、豊かな双乳を力を込めて捻り潰すように
荒々しく揉んでやる。手の中で面白いように形を変えていく胸を見ながら、これをどうやって隠していたか不思議に思いつつ、左の
乳首を齧り、左手で右乳首を抓ってやる。

 「痛いのがいいっ…いいんですぅぅ! もっと、もっとしてぇぇぇ!  」
 「凄腕のニンジャだと思っていたら、男狂いのクノイチだったとは…な? 」
 「言わないで…言わないでください…そんなことっ…ああん…」
 「名前は? 呼びたくてもこれでは雌犬としか呼べんなぁ? 」
 
 悦楽の中でも哀しげ風情を見せた女の唇が戦慄(わなな)いた。ニンジャたる者、本名を秘せと教えられていると聞いた覚えがある。
偽名を名乗ろうとしているのだ、と気が付いた俺は、一切の動きを停めて、怪物相手の戦術を頭の中で描いてやる。俺の屹立の昂ぶりが
萎えて行くのが自分でも解かる。これは罰なのだ、と悟ったクノイチが俺の唇を奪い、さんざん舐(ねぶ)った後にそっと、答えた。

 「澪…ミオと申しまする…」
 「そうかミオ、奉仕はもういい。…足の戒めを解け」
 「…はい…ジョウさん…お許しくだぁっぁっぁっぁぁっあっぁ!」

 消沈したミオは俺に言われるままに両足の細引きを解こうと、納めていた蜜壷からビンから栓を抜くような音を立て、俺の肉槍を抜く。
そしてミオが尻を向けた時…俺は逆襲を開始した。互いの出したもので溢れたミオの女陰に、たっぷりとした尻肉を両手で掻き分け、
俺は迷わず口を附けた。硬くそそり立った陰核の皮を唇で剥いて舌で舐め転がしてやると、芳香を放つ透明な汁が飛び俺の顔を濡らす。
また気をやったのだろう。何はともあれ両足首が自由になった。今度はこちらの好き放題にやる番だ。この侍に縄目の恥辱を与えるとは
いい根性をしているでは無いか! 仕置きを覚悟するがいい! 雌犬の如く、存分に突きまくってくれるわ!

 「こん、な、犬、のよう、な格、好…! 恥ず、か、し、いで、すっ…! 」
 「散々、俺の、上で、善がり、声を、上げて、おき、ながら、何を、いま、さら! 」
 「いい、いいのぉ! こんなの、こんなの、はじめてぇぇぇぇぇぇ! 」

 もう腕で自分を支える事が出来ないのか、頬と肩で体を支えているミオの両腕を獲り、思い切り引き起こすようにしながら腰を打ち付ける。
幼き頃に国元で聞いた「餅衝き」のような高らかな音をミオの尻たぶが立てる。こと色事に掛けては百戦練磨のクノイチを身も余もなく泣かせて
いるのだと言う興奮が、俺のそそり立った名刀をさらに熱く、硬くした。この体勢ではミオの顔が見えない。反応を楽しまねばならぬ。

 「い、いや、ぬ…」
 「抜かぬ。しばし待たれい」
 
 振り向き哀願しようとしたミオの、羞恥に紅潮した顔に満足する。…やはり国元の女性には恥じらいと言う堪(たま)らん風情がある。
やや肉棒を頭だけ入っている抜き加減にして、ミオを仰向けにする。えも言われぬ悦がり声を上げそうになるミオは足を閉じようとするが、
俺は腰を割り込ませ突き始める。…己の格好を恥じる風情がまた、男の劣情を駆り立てる。足首を俺の背中で絡ませろと耳に吹き込むと、
赤らめて従ってくれた。ミオが本気で嫌ならば、股締めで俺の腰骨を砕いているところだろう。体中の全てが凶器であるニンジャの体術は
それを可能にする。俺の背にもミオの腕が回る。引き切り無しに悦声を上げ続けるミオを上から突きまくるこの体勢は、充分に反応も堪能
出来た。そして…俺はミオにも限界があると知った。

 「もう、もう駄目ぇ、もう、もう…果てまするぅぅぅぅぅっ! 」

 留まる所を知らないミオの蜜壷のもたらす快楽と射精の開放感と同時に、俺は自分の身体の骨が砕ける音を耳の奥で聞いた気がした。

 「…目が醒めたか? …この浮気者め! 」
 「シミア…俺はおまえに手を出した覚えは全く無いが…ここは? 」
 「カント寺院だ。…女が『死んだ』お前を抱いて繋がったまま部屋に来た時は本当に…驚いた」

 シミアが何故かミオを刺すような目付きで睨んでいた。装束を纏ったミオはチラチラとこちらを見ている。何でも無いんだ、とばかりに
ミオに微笑むと、シミアに小手のままでぶん殴られた。…復活直後だぞ? 死んだらどうするんだこのアマ! と言おうとして、俺は黙る。
あの女傑と言われ傍若無人で鳴るシミアが、少女のようにポロポロと涙を零し、世間体も何もかも忘れて身も蓋も無く、泣いていた。

 「…アッシュまで行った。余人に見せる事が出来ぬから、迷宮で妾がカドルトを掛けたら何故か失敗してっ…! 」
 「…最初からカント寺院に行けば…」
 「自分の大事な男を寝取られましたと吹聴しながらか?! 妾はそこまで強い女だと思っているのか?! 」
 「済まぬ。失言した…」
 「まあ良い、どの道この下賎な泥棒猫には妾から罰を食らわせてやらねばならぬ」

 シミアは凄く嫌らしい笑顔を俺に向ける。俺は背筋が戦慄に粟立つのを抑えられなかった。こう言う顔をする時は必ず何か悪巧みをして
いるのだ。虫も殺さぬようなエルフの上品さの影で、他のパーティを出し抜くために悪の連中も真っ青になるような狡猾な計略を立てて
みたりする。カぁーン、と澄んだ金属音が聖堂に響く。カント寺院の中は音が良く響くのだ。見るとシミアが次々と鎧を脱ぎ捨てていた。

 「…これは罰だニンジャ。まっさらな『処女』の妾を抱くジョウを見ていろ」
 「な?! 」
 「…妾の治療呪文が切れるまで、性交を続けるからな? ジョウよ、浮気の罰だ。…覚悟するがいい」 

 全裸になったシミアが、頬を赤らめながら俺の剛直をさすり、舌を這わせる。どちらかの体力が尽きたら呪文で回復させ、延々と性交を
続ける気に違いない。だから深入りするのを避けて来たし、捕まらないよう逃げて来たのだ。ミオが心配そうに両手を胸の前で組み、唇を
噛んで見守る中、シミアは勝利者の笑みを浮かべながら俺の分身をぎこちなく弄ぶ。シミアの気がこれで済めば、ミオと戦う事も失せる
ことだろう。

 「じょ、ジョウっ、こら、何をする! 妾は…! 」
 「おいウサギちゃん? ちと悪戯が過ぎるのでは無いかな? 俺は侍だぞ? 侍? 名誉を重んじる風変わりな剣士だ」
 「そ、そんな不浄なところ…やめ…かはっ?! 」

 シミアを押し倒し、陰唇に歯を立て、甘く噛んでやった。この高慢ちきなエルフのロードを啼かせて、侍の、漢の意地を見せてやる。   

   end