夜。

聖戦学府も寝静まり、静寂が世界を支配する刻。
そんな戦いのための学府の寄宿舎で、互いに生肌を晒して絡み合うふたつの影がある。
片方は銀色の髪を持った、人族の青年。
そしてもう片方もまた、銀の髪を持つ少女で、羽のような耳を持つことから、種族はセレスティアとわかる。
そしてふたつの影は互いを求め、口付けを交わす。
だがそれは年相応の恋人たちが行う“口づけ”ではなかった。
時には片方の舌がもう片方の口に侵入し、侵略し、またある時は互いの舌を交わらせ、愛しあう。
そして互いの睡液とめどなく溢れる。
その様子はあまりに彼らには不釣り合いな程、情熱的で、そして淫らであった。
「んっ…ふ……くぅ…はぁ…はぁ」
長い口付けが終わり、天族の血を引く少女が喘ぐ。
人族の少年は暫しそれを眺めた後、唇以外の場所の愛撫に取りかかる。
少年がまずその侵略の対象としたのは、雪のように白い肌に小振りだが、しっかりとその存在を主張している乳房であった。
「ふぁっ……あぁ…」
少年の愛撫に少女はビクリと体を震わせ、快楽を享受する。
少年は少女の反応を楽しむかのように愛撫を続ける。
そしてもっとその痴態を見たいと言わんばかりに、少年の愛撫は乳房と同時に首筋や耳を攻めるものへとエスカレートしていく。
迫り来る快楽を少女は顔を真っ赤にしながら小刻みに躯を震わせ、か細い嬌声をあげることで答える。
だが少女が喘いでいる間にもさらに少年の愛撫は激しさを増し、口を使って乳首を激しく攻め立てる。
少年が乳首を一噛み、或いは一度吸い付く毎に、少女は高い喘ぎ声を発する。
「くぅっ、は…ひゃぁっっ!! そ、そこ…ばっかりっ…攻めないでぇ…」
「却下。 やらないと後で痛いだけだし」
少女の願いを即答で取り下げ、少年は胸への愛撫を止めずに、少女特有のみずみずしく艶やかな躯を攻めあげる。
「ふ、あ、ぁぁっっ!! そ、そん…な」
「どうして欲しいのか、口で言えばしてやってもいいよ」
願いを打ち砕かれ、絶望する少女に、さらなる悦楽へ導く魔性の言葉を、満面の微笑で、一旦愛撫を止めて唱える。
「そ、そんなこと…言える…訳…」
「ふ〜ん。 別にそれでも良いけど…本当はしてもらいたいんじゃないの?」
戸惑う少女に追い詰めるかのように話す少年に、
「ふぇ……うっ…ひぐっ…」
と、少女はついには泣き始めててしまった。
しまった。と少年は思ったが、時既に遅し。
いよいよ少女は本格的に嗚咽を漏らし始める。
「わ、わかったよ。 やってやるから、泣くなって…」
「ぐすっ……いじわる…しないで」
「はいはい、いじわるもしませんって」
やれやれといった感じで少年は少女を宥める。
そして少女が落ち着くのを確認した後、そのうっすらと恥毛の生えた秘部に手を伸ばした。
「あっ…あぁ、ん…ふぁっ」
少年はまず陰唇の周りを撫で回す。
だが陰唇への愛撫だけで少年が、もちろん少女も、満足する筈もなく、やがて中指をゆっくりと膣内へと挿入し始める。
「ひうぅっ!! く、あ、あぁぁん!!」
敏感な部分を攻められ、少女は惜しげもなく嬌声をあげる。
だが少年の攻めが弛むことはなく、突き入れる指の数は三本に増え、そのひとつひとつが独立して蠢く。
そして少女の秘部からはとめどなく愛液が溢れ、淫らな水音が響きわたる。
「ほら、指が三つも入ったよ」
「す、すごいよぉぉ。 あたしの膣内で…ぐるぐる、ふぅぁんっ…動いてるぅぅ」
少年の言葉に恍惚の表情を浮かべ、歓喜の熱を帯びた声で少女は言葉を返す。
その淫らな様子に満足した少年は空いている手で陰核を弄び始めた。
「うあぁ、ああぁぁぁっっ! ら、らめぇぇぇっっ! イッちゃうぅぅぅ!!」
乳房への愛撫だけでも敏感に感じる少女である。
膣と陰核を同時に攻められればあっという間に陥落してしまうのは当然であった。
「無理しないで。 イッてもいいよ」
少年はそう言うと最後のトドメにと少女の陰核を摘み上げた。
少年の最後のトドメが快楽神経を通して脳に電流を流し、少女に絶頂を迎えさせた。
絶頂を迎えている間、少女は目を瞑って少年にしがみつき、その躯を震わせながら陰部から大量の愛液を吹き出した。
少女が絶頂の快楽に耐える様子は、とても淫靡なものであった。
絶頂による負担でしばらくは少年にしがみついていた少女だったが、やがて回復し、その目線はそそり立つ少年の肉棒へと注がれていた。
ゆっくりと少女は肉棒へ手を伸ばし、その陰茎を掴んだ。
「お、おい…何やって…」
「今度は私がするから、座ってて」
少年は少女の行動に驚き、止めようとしたが少女は聞く耳を持たず、肉棒の先端へ顔を近づけ、その亀頭を頬ばり始めた。
「う、うあっ、ぐっ…」
少女の口肉が全方位から少年の肉棒を刺激し、快感を与える。
その甘美な刺激に、少年は小さな呻き声をあげて酔いしれる。
(気持ち良いんだね…もっとしてあげる)
少女は四つん這いに体制を変え、首の前後運動を付加し、さらに口内では、舌で亀頭への奉仕を行う。
「ぐあぁぁっ! ヤ、ヤバい…そろそろ…」
少女の激しい奉仕に少年は悶え、射精感がこみ上げて来るのを感じた。
そのタイミングを知ってか知らずか、少年が絶頂を迎える直前に、少女は尿道を吸い上げた。
「う、がぁぁぁっ…」
放出寸前の状態でさらに快楽を与えられたため、少年の肉棒から大量の白濁の粘液が精嚢を通じて放出され、少女の口内を汚した。
「ご、ごめん…口の中で出して…ほら、これで口の中のもの出して」
「ありがとう。 ちょっとびっくりしたけど大丈夫」
「そう、なら良かった」
口内で射精したことを少年は謝罪し、少女に布を差し出す。
少女はそれを受け取り、口内の白濁を吐き出した。
「ねぇ…今日はまだできる? できるなら…その…」
「わかってる。 して欲しいんでしょ」
少女は恥ずかしそうに首を縦に振る。

「じゃあ横になって足広げて」
「うん…」
少女は短く返事をし、仰向けに横たわった。
だがやはりまだ羞恥心があるのか、なかなか足を開こうとはしなかった。
「やっぱりまだ恥ずかしいの?」
少女の問いかけに黙って少女は頷く。
「じゃあ俺がするから。 じっとしてて」
そう言って少年は少女の太股を掴み、ゆっくりとその足を広げた後、肉棒の先端部を少女の秘唇にあてがった。
「いくよっ…」
少年はあてがった肉棒を慎重に少女の秘唇へうずめていった。
「は、ああぁぁ…」
少年の挿入を難なく受け入れ、少女は大きく喘ぐ。
やがて少年はさらなる快楽を与え、そして得るために腰を前後に降り始めた。
「あ、は、ふあぁぁっ!! い、いいよぉ!! もっとしてぇ!!」
「もち、ろんっ!」
「う゛あ゛ぁぁあっっ!!」
少女の懇願を躊躇なく受け入れ、少年はさらに腰を振る速度を上げた。
それによって結合部からは絶え間なく肉のぶつかり合う音と、粘液が擦れる音が溢れた。
その快楽に、少女は半ば狂乱しているような嬌声をあげる。
だがまだ回数をこなしていない彼らが長くもつ筈はなかった。
「ぐっ、うぅ…ごめん…もう、限界…」
「あ、私もぉ、お願い…一緒にぃ」
少女の願いを叶えるために、少年は襲い来る快楽に堪えながら、最後の力で腰を振る。
また少女も、自ら腰を振り、共に快楽を生み出す。
「う、ぐあああぁぁぁっっ!!」
「あ、ふあ、ああぁぁぁぁっっ!! あ、熱い、熱いぃぃ!!」
そして数秒の後、二人は絶頂を迎え、少年は少女の膣内に、灼熱の白濁液を解き放った。
少年の肉棒が脈打つ度に、多量の粘液が少女の膣内を満たしていった。
その後、行為の疲労からか、彼らは繋がったままの状態で、意識を手放した。



(ここは…いったいどこだ…?)
少年は暗闇に立っていた。自分の目には自分自身と無限に広がる闇のみである。
やがて少年はその闇から抜け出すために、歩きだした。
しかし、その歩みはすぐに止まった。何かが自分の目の前にある。それが何であるかを知った時、少年は絶句した。
(な、何で…みんなが…)
それは骸であった。少年の仲間である五つの骸が存在していた。
その中には、少年が恋い慕う天族の少女の骸もあった。
『同じだ』
頭の中で声が響く。
『あの者を殺した時と同じように、お前がそいつらを殺した』
(嘘だ! そんなことがあるわけ…)
謎の声に少年は反論するが、声は意を介さず、
『ならば貴様の手にある物は何だ?』
声に導かれるまま、自分の手を見た時、少年は戦慄した。
あろうことか少年の手には、血塗られた二本の刀が握られていた。
『同じだ』『同じだ!』『同じだ!』『同じだ!!』
複数の声が頭の中で何度も響く。
(嘘だ…嘘だぁぁぁぁ!!)



「うあぁっ!! はあ…はあ…」
悪夢から少年は目覚め、自分の周りを確認する。
すると少年のすぐ横には、見慣れた天族の少女が、静かな寝息を立てて眠っていた。
その姿に、少年は安堵し、少女の髪を掬う。
「う…ん、ぁ…おはよう」
そのことが気付けとなったのか、少女もまた目覚めた。
「また…あの夢を見たの?」
少年の様子を見て、少女は悲しそうに聞いたが、少年は黙ったままであった。
「私たちは…死なないから…」
「え?」
少女の言ったことがわからず、少年は声をあげた。
そんな少年の手を優しく握り、少女は話す。
「私たち、仲間でしょ。 だからあなたがそんなことしないって、みんな信じてるから。 ね?」
「…そうだね。 俺にはお前が…みんながいるんだ」
少女の暖かい言葉に、少年は強い安堵感を抱くと共に、改めて少女を、仲間と恋人を守るという気持ちを強めた。
そして夜明けの朝日が、愛し合う二人を眩しく照らしていた。