「うおおおおおぉっ!」

俺は絶叫していた。

俺の名は112。生まれた時の名はこの街に来た時捨てた。
番号みたいな名前だ?気にするな。
こんな名前でも、この街で最強と目される連中の一員なんだぜ。
…補欠要員だが…。
まあアレだ。アイテムの鑑定や、転職の宝玉など貴重なアイテムの番人役、というところだな。
迷宮探索?知らないな(煙草を吹かす仕草)
つまりアレだ。「最強のメンバーの最高のサポーター」
それこそが俺ってわけだ。
俺がいるからこそ、奴らは安心して迷宮に潜りモンスターどもを殺し、お宝を持ち帰ってこれる。
つまりは陰の実力者ってえわけよ。

あ、宿の掃除や洗濯もできるんだぜ。
それで飯食ってけるよ、と宿の女将にも太鼓判押されたくらいだ。
自分を騙し続けるのもときどき疲れる。
いっそ本当に転職しようかと真剣に考えたよ。冒険者ギルドなんてもう二度と行かずに。
あ、冒険者登録とやらを抹消しなければならない?

…そこまで考えたあたりで考えを止めた。
考えれば、考えるほど空しくなる。
そう、流されるのが一番だ。
さあ、煙草で一服したら洗濯にでもかかろう。
こんないい天気に迷宮になんか潜ってられっかよ。
俺は快晴の(雪ところどころ晴)空のもと、仲間どもの装備や衣類を洗いはじめた。

……前置きが長くなったな……すまない。
そうだよ。おれは叫んだんだ。
驚くべきものを見つけて。
こんなに感情を発露させたのは何年ぶりだろうか。
俺は、喚起していた。いや、歓喜していた。

「あいつら…やるじゃねぇかよ…」
こんなお宝を見たのは久しぶりだった。