ミルワで周囲を照らしつつ、私はいつものように一人でワードナの迷宮地下一階を散策していた。
まず階段から最も近い、東側の小部屋を覗くのがいつもの散策コースだ。
と、通路を歩いていると、ミルワの灯りに照らされて、通路に蹲る小さな人影が浮かび上がった。
遠目に見て、黒っぽい着物を着ていることがわかる。子供と見紛うばかりの小柄さだった。
体格からして種族はホビットかノームで、服装からして職業は忍者か侍だろう。
地下一階に忍者が出現したという話は聞かないから、これは恐らく冒険者だろう。
地下一階とはいえ、単独での探索を行うくらいだから、この忍者もそこそこのレベルなのだろう。
善と悪が擦れ違えば諍いが起こり、善と善が擦れ違えば友好的な挨拶が交わされるが、
悪と悪が擦れ違った時にどうなるかはわからない。諍いになる時もあれば挨拶が交わされる時もあるのだ。
万が一諍いになったとしたら危険だ。僧侶である私が、と言うよりも、後衛職の者が忍者に対抗するのは
どれほどの実力差があったとしても常に危険を伴うものなのだ。
私は無用な諍いを避けるため、通路の端によって道を譲る意志を示した。屈辱的ではあるが、致し方ない。
「あ……あの……」
充分な距離を取っていたにも関わらず、通路の反対側から忍者に声をかけられた。
子供のような高音域の声は、弱々しく、か細いものだった。この忍者、恐らくくノ一は、なぜだか弱っているらしい。
これは好機かもしれない。もし弱っていて助けを求めているのだとしたら、いいカモになるかもしれない。
「私に何か用か?」
不意の襲撃を警戒して距離を取りつつ、私は蹲る忍者に近づいた。
ミルワの光が忍者の姿を、闇の中から完全に浮かび上がらせた。暗視能力のない私にも、これではっきりと見えた。
そこにいたのは予想通りくノ一だった。背丈は恐らく、頭頂部が私の臍に届くかどうかといったところだろう。
剥き出しの足の裏にはびっしりと毛が生えているから、種族はホビットだろう。
幼女のように無垢な顔立ちは人懐こい仔犬のように愛らしく、その円らな瞳は星のように輝いていた。
目を見れば一発でわかる、こいつは忍者のくせにかなりのお人好しで世間知らずだ。
「そ、僧侶、様……お願い、です……解毒を、解毒をお願いします……」
だが、街で見かければ愛くるしいだろうそのホビットくノ一は、見るも無残なほどに憔悴しきっていた。
黒装束は所々が切れ味の悪い刃物で切りつけられたかのように引き裂かれ、その下の白い素肌と
そこに刻まれたまだ塞がっていない痛々しい傷跡を顕わにしている。
顔色も非常に悪く、一目見ただけで猛毒に冒されて死にかけていることがわかる。
私の見立てでは、あとほんの一歩でも歩けば死に至るといったところまで追い詰められている。
しかも、惨状はそれだけに留まらなかった。
ミルワに照らし出されたのは、死にかけたくノ一だけではなかった。
そのくノ一が縄を使って引き摺っている、三人の冒険者達の死体も、その姿を晒していた。
服装から察するに侍、君主、司教といったところだろう。種族は順番にドワーフ、ノーム、エルフか。
鎧や法衣の意匠から察するに、いずれも女のようだった。
こいつは丁度いいカモ達だった。
死を目前にした者はどんなことをしてでも生きたいと思うものだし、仲間を死なせてしまった者は、
それが善人であれば採りうる全ての手段を採って復活させようとするものだからだ。
だが、今はまだ私の本性を見せる時ではない。今は警戒心を失わせ、全てを打ち砕く準備をする時だった。
「よかろう。今治療を施すから、少し待っていろ」
私はラツモフィスとディアルマを詠唱して、息も絶え絶えのくノ一を傷を癒してやった。
「……で、この惨状はどういうことなんだ?」
私は悪の僧侶であることを微塵も悟らせぬほどの演技力で善人を装い、
あたかも親切心と同情心から現状の説明を求めているかのような態度でくノ一に接した。
「はい……それが……」
解毒を行ったばかりか傷の治療までしてやったことで
すっかり私を信頼しきっている世間知らずのくノ一が、ぽつりぽつりと語ったところによると、こういうことだった。
こいつらは最初から上級職に就いたエリートなのだが、上級職は成長が遅いという理由で、
どこのパーティからも加入を求められることがなかった。
後はよくある話で、そういう風な現状を酒場で嘆いていたら、
同じような悩みを持つ者と知り合い、パーティを組むことになったというのだ。
それで今日が初陣だったのだが、最初に探索することが定石となっており、
だからこそ初心者から毟り取れるだけ毟り取ってやるつもりの私が散策コースに入れている東の小部屋の扉を蹴破ったところ、
中にいた二人のブッシュワッカーをローグと誤認して戦いを挑んでしまったのだそうだ。
誤認に気づいた時には既に逃げられなくなっており、背水の陣で戦いを挑んだところ、何とか勝利を収めた。
しかし激しい戦闘によって君主と侍が死亡しており、くノ一も負傷していた。無傷の司教は呪文を使い果たしていた。
全滅しなかっただけ儲けものだと言える結果なのだが、彼女達はそう割り切れなかったらしい。
初陣の冒険者が二人分の蘇生費用など持っているわけがなく、
仲間達を寺院の死体安置所に放り込んで長期間放置せざるを得ないことが気に入らないのだそうだ。
仲間など適当に代わりを探してしまえばいいと思うのだが、やはり善人の考えることは理解はできても納得できない。
中途半端な仲間意識は仇になるだけだというのに。
現に、こいつの場合、仲間意識が仇となっている。せめて蘇生費用の一助に、と解錠を試みた宝箱から毒ガスが噴き出し、
負傷したくノ一と生命力に乏しい司教の生き残りコンビが揃って毒に冒されてしまったのだから。
それで一縷の望みをかけて階段までを這いずってきたのだが、司教が倒れ、次いでくノ一が動けなくなってしまい、
こうして私に出会うに至ったということになる。本当に不運な連中だった。
それだけの才能を持ちながら、ローグとブッシュワッカーを取り違えるという凡ミスをして全滅の危機を迎えたことがではない。
それだけの才能を持ちながら、退き際を弁えられずに更なる被害を受けて犠牲者を増やしてしまったことがではない。
それだけの才能を持ちながら、こうして私に出会ってしまったことが、不運だと私は思っているのだ。
三人が死亡し、生存者も毒で死にかけている状態で私に出会ったことが不運ということではない。
これが別に東の小部屋で全滅して屍を晒していたとしても、そこが私の散策コースに含まれていることに変わりはないからだ。
純粋に、今日のこの時間、私が獲物を求めて散策をしている時に危機に陥ったことが不運なのだ。
もし彼女らが時間なり日なりをずらしていれば、天与の才能だけで上級職に就くほどの資質が無に帰すこともなかったのだから。
「……仲間の蘇生費用がないのだったな?」
表面上の、しかし私を知る者すら時に騙される笑み――慈愛に満ちた聖者の微笑みを浮かべて、私はくノ一を見下ろした。
「はい……あの、心苦しいのですが……その……費用をお借りできないでしょうか……
 あの、少しでもいいんです、必ず返しますから……」
すっかり警戒心をなくして私を頼ろうとするくノ一の、小動物的な愛らしさ――愚かさへの優越感に起因するそれによって、
私は心の底からの笑みが表層の仮面を押し破ろうと込み上げてくるのを押さえるのに苦労した。
苦労して聖者の仮面を維持しつつ、私はこのくノ一を、あわよくばこのパーティを餌食とする策謀の最終段階に入った。
「そうは言ってもだ、お前達はまだ未熟だ。仲間の蘇生費用にも事欠くような実力で、果たして返済が可能だと思っているのか?」
「えっ……それは、その……返します!どんなことをしても絶対に……!」
困った風な色を僅かに滲ませてみて軽く突き放してみたところ、くノ一はそれだけで顔を不安に一杯にし、
目に涙を溜めながら私の法衣の裾に縋り付いてきた。完全に私の掌の上で踊っている。
助けてやるような素振りを見せたかと思えば軽く突き放し、突き放したかと思えば拾い上げる。
たったこれだけのことで、善人という人種は容易く他者を信頼し、無防備な姿を晒すものなのだ。
「待て待て。そのように早合点をするな」
「え?」
私は決め手となる言葉の矢を放った。
「返済などできないだろうから、私が直接蘇生させてやろうというのだ」
「ほ、本当ですか!?」
喜びのあまり涙を零し始めたくノ一が、私の下半身に縋り付くようにして見上げてきた。
かかった。かかったぞ。獲物は私の網にかかったぞ。
「うむ。僧侶の呪文は癒しの呪文だ。傷ついた者を救うためにある」
私は世の誰もが僧侶の理想像とするであろう笑みを浮かべて、くノ一の柔らかい癖毛を撫でた。
「は、はい、ありがとうございます……!」
「気にするな。ところで、蘇生儀式を行うのには静かで人気のない場所がいいのだが……」
これが最後の一手だ。このパーティを暗がりに連れ込めば、それで私の勝利だ。この連中は私の餌食となる。
「……なぜですか?」
くノ一が訝しげに私を見上げてくる。僅かながら警戒心が復活したようだ。
流石にお人好しとはいえ、どこかに連れて行かれることには抵抗があるらしい。馬鹿ではないということか。
だが、私の方もそう問われた場合の返し方くらい、前もって考えてある。
「蘇生には深い集中を必要とする。騒がしい場所ではろくに集中もできんし、頻繁に人が訪れるような
場所では折角の集中が乱れてしまいかねん。ゆえに、静かで人気のない場所が最適なのだ」
呪文を知らない上に低レベルの忍者には、この程度の説明で充分だ。くノ一は呆気なく納得した。
「よい場所を知っている」
「あ、それじゃ、お手数ですけど、そこで……」
「わかった。地下三階なのだが構わないか?」
地下三階が静かで人気がないというのは紛れもない事実だ。あそこは探索する価値のないトラップフロアだから、
その奥まった所ともなれば、筋金入りの探索者か私のように何らかの目的を持っている者以外が訪れることはない。
「あ、その……私達は未熟なので……」
「地下四階くらいまでならば、私一人で事足りる。問題がそれだけならば、もう行くぞ。
時間が経つほどに蘇生確率は下がっていく。よいか、事は一刻を争うのだ」
言い捨てて、私はくノ一の返事も待たずに歩き出した。ついてくるのはわかりきっている。
私に縋る以外に活路はないと理解、もしくは誤解させてしまえば、私の言葉に逆らうことに抵抗感を覚えるようになる。
更にダメ押しとして時間がないなどの脅し文句を口にすれば、それでもう人は抗う意志をなくす。
私は死体を引き摺ってくノ一がついてくる音を聞きながら、エレベーターへと向かった。

           *           *           *

「よし。この辺りでよかろう」
「で、では、お願いします……」
道中、襲撃がなかったわけではなかったが、それほど多勢によるものでなかったことが幸いし、
私がメイスで殴りつけるかロルトで蹴散らすかするだけで事足りた。
既に全てのレベルの呪文を最大限に行使可能な上、いざとなればロクトフェイトなり転移の兜なりで脱出すればいい私にとって、
既に呪文は惜しむべきものではなくなっていた。それはマディが属する第六レベルも例外ではない。
ただ、例外的に惜しむべきはカドルトが属する第七レベルとディアルコが属する第三レベルだったが、
それも第七レベルは四回、死者の数と同じだけ、第三レベルは五回、女と同じ数だけあればいい。
私はディはともかくカドルトをしくじったことは一度もなかった。
「では始める。念のため、扉をしっかりと施錠してくれ。邪魔が入っては困るからな」
「……はい」
私が三人の死体を仰向けにし、軽く状態を整えたのを見たくノ一は緊張に満ちた表情で頷くと、
それが仲間を見捨てることを意味するとはいえ、たとえ自分一人だけとはいえ、
私からの逃走を成功させることへの最後の望みを断つ行為だとも知らずに、外部から開けるのは
熟練の盗賊以外には不可能だというほど厳重な施錠を行った。
これで誰も逃げられなくなった。
逃げようとしてももう遅い。逃げられたとしても、解錠をしている間に余裕をもって捕らえられる。
愛らしい幼女のようなくノ一も、発育のよすぎる幼女のような侍も、大人の肉体をそのまま幼女サイズに縮めたような君主も、
大人と子供の中間くらいの司教も、誰も私からは逃げられない。獲物は、蜘蛛の巣に捕らわれたのだ。
「くっくく、くはははは……!」
込み上げてくる笑みが、遂に臨界を迎えた。抑えきれなくなった笑みが声帯を震わせ、顔面の筋肉を歪める。
「……あの、儀式は……?」
事態がまるで飲み込めていない様子のくノ一は、若干の怯えと不信感を顔に滲ませながら私の顔を窺ってきた。
「儀式?ああ、儀式か……無論、続けるとも。だが、それには代償が必要だ」
私はこれまでの仮面を脱ぎ捨て、ありのままの笑みを浮かべて見せた。
「そ、それは……?」
くノ一が怯えたように後ずさった。
扉に背中をぶつけ、その音に驚き、更に後ろに下がろうと扉に背中を押し付けている姿がとても滑稽だった。
「お前の身体だ。おっと。別に生贄というわけではない。単に、お前が私の性奴隷になればよいだけのことだ」
「そ、そんな……じょ、冗談……ですよね……?」
見ていて哀れになるくらいに――それと同じくらいに陰茎が昂ぶるくらいに怯えた顔で、
くノ一は自身が信じてもいないだろう極小の可能性に縋りついて私を見上げてきた。そそる。実にそそる表情だ。
「お前だけではない。この娘達も同様だ。助けてはやるが、その代わり、お前達は私の奴隷となるのだ」
一縷の希望を完膚なきまでに打ち砕かれたくノ一の顔が深い絶望に彩られ、表情が暗く沈んだものへと変わっていく。
これだ。これが見たかったのだ。これを見たかったからこそ、わざわざ信頼を得るための演技までしたのだ。
「そ、そん……な……い、嫌です!嫌です!お断りします!自分でお金を稼いで、
 寺院に頼みます……だから返して!私の仲間を返して!」
涙ながらに訴えかけてくるくノ一を見て、私は法衣の下で陰茎がこれ以上ないほどに昂ぶるのを自覚した。
「そう言われて素直に返すと思うのか?仮に返したとして、お前如きが仲間の骸を抱えてここから城に戻れると思うのか?」
答えは言うまでもない。不可能だ。今日が初陣だという忍者が、地下三階を一人で突破できるはずがない。
そのくらいのことはくノ一も百の承知のようで、私に対して返す言葉もなく俯いてしまった。
このくノ一はあと一息で陥落する。私はそう確信し、トドメの言葉を放った。
「本来は助けられるはずの者達をお前一人の我侭で死なせたままとするか、
 全員で同じ苦しみを共有して生きていくか。どちらを選ぶ?」
くノ一がどう答えようと私がこのパーティを解放するはずもないのは敢えて言及するまでもない事実だ。
それはくノ一も理解しているはずだ。だが、そうだからといって強引に犯したのでは意味がない。
そうして手に入れた場合、このくノ一に心の底からの服従は期待できない。
そうして奴隷にしたのでは、全ての責任は私にあると考えることによる逃避が可能となり、いつまでも私を憎み続けることになる。
だからこそ、自らの判断で私の奴隷となることを選んだのだと認識させる必要がある。
悪いのは自分だと、自責の念を抱かせることが必要となる。
そうしてさえおけば、仲間のために出来る限りの手を打とうとしたことからもわかる通り、
強い責任感を持つこのくノ一の憎しみは、私に向くそれよりも多くが決断を下した自らに向き、
深い慙愧の念を抱いて生きていくことになる。
自らの意志によって招いた事態だという認識は長く心に残る棘となり、その精神を蝕み、
抗い意志を挫き、真正の奴隷へと変貌させる。そうでなければ意味がないのだ。
私はこの者の尊厳を打ち砕き、家畜のような奴隷へと造り替えたいのだ。
「どうするのだ?お前の我侭で仲間を見捨てるか?苦しみを共有して生きるのか?早く決めねば、蘇生が間に合わなくなるぞ?」
既に糸に捕らえ、あとは捕食するだけの獲物に対し、私はたった一つの選択肢を突きつけて選択を迫った。
「…かり……した……」
血の気の引いた蒼白な、しかし私への抑えられない殺意と絶望に満ちた顔で懊悩していたくノ一が何かを呟いた。
「何だ?聞こえないぞ?もっとはっきりと述べろ」
その心底からの苦痛に満ちた表情を見ればその呟きの内容は容易に想像できるが、だからと言ってそれで済ませるわけにはいかない。
「……っ…」
「どうした、早くしろ」
「わかり……ました……」
「聞こえんぞ?」
「わかり、ました……!貴方、の、奴隷に、なります、から……!仲間を、助けて、くだ、さい!」
遂には半ば絶叫するような調子になって涙で顔を濡らしながら、くノ一は私への服従を誓った。
これだ。この瞬間を待っていた。こうして一個の尊厳ある存在が自己の尊厳を自ら投げ捨てるのを待っていた。
「よし。では、服を脱げ」
「……え……」
「服を脱げ、と言ったのだ。聞こえなかったか、奴隷?」
「そんな……仲間を助けてくれるんじゃ……」
「助けてやる。お前の身体を愉しんだ後でな」
「そんな、それじゃ、仲間が助からない……」
全ての光を奪われた罪人のような表情を浮かべ、くノ一はがっくりと膝を突いた。
私はこのまま服を剥ぎ取って犯し抜きたい衝動を堪えて、自ら私に身体を開くように仕向けるよう努めた。
全てを自らの選択だと認識させることが、奴隷を作る第一歩なのだ。
「安心しろ。私は腐乱死体でも蘇生させられる。全ては私の気分次第だ。早く満足させればいいのだ。さあ、服を脱げ」
「……わかり、ました……」
屈辱と憤怒に小さな身体を震わせて、くノ一は亀のように鈍い動作で黒装束を脱ぎ始めた。
震える手で帯を解き、震える手で着物を一枚一枚脱ぎ捨てていく。忍者のくせに、裸を恥じているのだ。
遅々とした動作ではあったが、確実にその肌は顕わになっていく。それは非常に欲望を煽る情景だった。
陰茎がはちきれんばかりに昂ぶり、先端から滴る先走りで下着が汚れていくのがわかった。
「まだか?仕事をしない奴隷の仲間など、助ける価値がないかもしれんな」
美しい女であるというだけで蘇生させる価値があるのだが、真実のみを語るのは愚者の業だ。
人の精神を蝕むのは真実と等量の虚偽、そして圧倒的な力量差である。
「ま、待って、待ってください……!脱ぎますから……!」
私がわざとらしい溜息をついてみると効果は覿面で、くノ一が勢いよく装束を脱ぎ捨てた。
まるで幼女のように起伏に乏しい流線型の矮躯を守るのは下着だけとなった。
なだらかな曲線を描く胸部を守るのは、包帯にも似たサラシという白い布だった。
本来ならば愛しい相手に捧げられるはずだった陰門を守るのは、東洋を発祥の地とする褌だった。
全て、私のものだ。私の所有物だ。これから私が奪うのだ。そう思うだけで全身が昂ぶる。
幼女と見紛うような少女が恐怖と羞恥と憤怒の入り混じった表情を浮かべ、
下着だけに守られて立っているというのは、酷く心が躍る情景だった。
だが、いつまでも同じような姿ばかり見ていてもつまらないのもまた事実だ。
鑑賞はもう充分だ。あとは、その肉体を堪能するだけだ。
「それも脱げ。それとも、私が脱がせなければならないか?いや、それとも、下着のままが好みか?」
私は下着に手をかけたまま動かないくノ一に向かって一歩踏み出してみせた。
「……っ……」
くノ一は大粒の涙を何滴も滴らせ、まるで自害でもするような表情でサラシを解き、褌を解いた。
身に寸鉄一つ帯びない、忍者として最も自然な姿となった途端、くノ一の顔から一切の表情が消えた。
下着姿の時は自らを抱き締めるようにして肌を隠していたのが、更に羞恥心を刺激するだろう今の状態にも関わらず、
両手を左右に垂らし、脚を肩幅に開き、全てを曝け出している。
おかしい。心が壊れるにしても、まだ早すぎる。壊れるならば、犯し抜いた後であるはずだ。
私は心中に疑念が生じていくのを自覚しながら、くノ一の肉体を鑑賞した。
引き締まった白磁の肢体。ささやかな膨らみの先端をやや赤味の強い乳首が飾る胸部。
幼児体型に見えてそうではない、引き締まった腹部。隙間なく閉じた陰門の周囲を彩るように薄らと陰毛が萌えた股間。
ホビットとしては成人に近いが、体型そのものは人間の幼女に過ぎない。
しばらく幼い少女を愉しんでいなかったせいか、陰茎が過剰なまでに――痛みを覚えるほどに反応している。
「私はどうすればいい?」
くノ一は無感情な声で私に問いかけてくる。この声の響きは、精神を砕かれた者のそれではない。
むしろ、この声の響きは――。
このほとんど別人とすら思える変わり様から、私はある結論に達した。
今すぐにでも脚を開かせて貫きたい衝動を必死で堪えつつ、私はその結論を口にした。
「……そうか。お前、殺戮機械と化したな?」
「ああ」
先ほどまでの怯え様とは打って変わった平静さでくノ一が答える。
これで私の結論は実証された。このくノ一は、忍者として最も自然な姿になることによって、
その心身を殺戮機械のそれへと変じたのだ。
これは驚くべきことだった。
心身を殺戮機械へと、戦闘のための道具へと変じるのは高位の忍者にしか適わないことなのだ。
それを成し遂げるとは、このくノ一が秘める資質は尋常なものではない。
一般に、忍者が最も高い実力を発揮するのが全裸の時である、という事実は、
身が軽くなるということに起因するものだと認識されているのだが、実はそれだけではない。
忍者がその装束を脱ぎ捨てるという行為は、その本来の意味だけではなく、人間が心の奥底に秘めている
もう一つの自分を解き放つ意味も秘めた儀式的なものなのだ。
心の奥底に眠る冷徹非情の殺戮機械――どのような行為も眉一つ動かさずに実行する無感情の存在を解き放つための儀式なのだ。
そのため、忍者はその精神の深奥に眠る、戦闘のための人格とも言える存在をより強力なものとするべく、心を悪のそれに保つ必要があるのだ。
これはまさに二重の驚愕であった。悪の心を持つ上忍でさえ困難なことを、善の心を持つ下忍風情が成し遂げたのだ。
まさにこのくノ一が秘める資質は並ならぬものだった。俄然、私はこのくノ一が欲しくなった。
これほどの資質を秘めた性奴隷を飼っておくのは悪くない。護衛と夜伽をこなす上質の性奴隷になり得る存在がここにいる。
「仰向けになれ」
殺戮機械に――精神の最も強き部分を屈服させることこそが、その上質の性奴隷を手に入れる手段なのだ。
私は逸る欲情を気取られぬため、わざとゆっくりと法衣と下着を脱ぎ捨て、くノ一に向き直った。
「ひっ……」
無感動な表情で私の言葉に従っていたくノ一が、私の股間に目を遣った瞬間に息を呑んだ。
私の肉体は、治療呪文を応用した肉体強化呪文の効力によって、もともとが頑健であったものが
更に逞しいものへと変貌している。それはくノ一の恐怖に満ちた視線が向けられている陰茎も例外ではない。
我が身の一部ではありながら、私自身も醜悪でおぞましく、禍々しいと思うそれは急角度で屹立し、
先端からは床に滴るほどの先走りの液が溢れ出ている。
この呪文はもともとが前衛職の身体能力を高めることを目的に研究されていたのだが、
性的機能をも強化できることが判明し、その研究趣旨が変わり、私がこうして用いるに至った。
「どうした、恐ろしいか、くノ一よ?」
所詮は下忍だ。心の深奥を解き放つことができることそれ自体は上忍に匹敵する技能ではあるが、
所詮、その深奥に秘められたものは下忍らしく脆弱なものだった。決壊こそしなかったが、大分揺らいでいる。
「っ……!」
その先ほどまでの平静さが幻であったかのように怯えを顕わにして、仰向けになったまま後ずさっていく
くノ一の様子を楽しみながら、私は身動きのできない獲物を捕らえる蜘蛛の如く、ゆっくりとその矮躯に圧し掛かった。
小さく震える滑らかな肌を通して、くノ一の体温が伝わってくる。
「ひ…や……」
これからすることを強調して怯えさせるために舌なめずりをして、全ての防備を失った肌に顔を近づけていくと、
怯えたような声を漏らして身を逸らせようとする。だが、果たせない。虚しく身を捩じらせるばかりだ。
僧侶と忍者では本来勝負にならないくらいの近接戦闘力の格差が存在するのだが、
その気になればワードナと吸血鬼部隊を単身で撃破可能なほどの修練を重ねた僧侶と
今日が初陣のにわか忍者の場合は、その格差が逆転する。
身体能力だけを捉えればちょっとした差でしかないのだが、その身体能力を使いこなす経験が違うのだ。
「や、やめ……」
「安心しろ。すぐにお前から求めてくるようになる」
押し退けようと伸びてくる手を押さえつけ、私はくノ一の薄い胸へと顔を寄せた。
先ほど戦闘を経験したばかりの冒険者なのだから当然だが、その肌からは女の体臭に混じって汗と血の匂いがする。
肌から立ち上る薫りをくノ一にも聞こえるように鼻を鳴らして堪能しつつ、密かに呪文を詠唱した。
その呪文はディアルコを応用したもので、神経を活性化させ、感覚を鋭敏にする効能を持っている。
本来は前衛職や盗賊などの五感を鋭敏にして戦闘や宝箱の解錠を円滑に進めるためのものとして研究されていたのだが、
性感も同時に鋭敏なものへと変わることが判明し、風紀が乱れきっている腐敗しきった教団内部で司祭が尼僧との情事に用いるようになった。
「ぅ…ん…?」
下忍如きに呪文無効化能力などあるはずもなく、詠唱が終了した途端に呪文は効力を発揮した。
怯えた様子の中に戸惑うようなそれを交え、くノ一は肌と肌が触れ合っている部分を微かにではあるが、
逃げようとするのではなく擦り寄らせるように動かし始めた。触れ合っている部分から伝わる快感に戸惑いつつも、
身体の方は無意識の内にそれを求め始めているのだ。
「あっ、くっ、ゃめ…っ…!」
まだ触れてもいないというのに勃起している赤味がかった乳首に舌を這わせると、身体が大きく跳ねた。
背筋が反り返り、やや上方にある私に胸部を差し出しているような体勢になる。
「何だ?もっと舐めて欲しいのか?」
声に嘲るような響きを持たせつつ、私は高々と掲げられた胸に舌を這わせた。
女の肌の柔らかさと共に血と汗の味が舌中に広がっていく。やや硬めの乳首を押し潰すように舌を押し付けて
その若々しい硬さを楽しみ、飴を舐めるように舌の上で転がしてよく味わった。
「や、やだっ、やめっ、ひぁっ……っくぅっ…」
舌が動くたび、快楽の声と共にくノ一の矮躯が跳ね上がる。
まだ抗いが混じってはいるが、どちらが主でどちらが従かは言うまでもない。
次第にくノ一の身体の動きが私から逃れようとするものから、私に身を絡めるようなそれへと変化し始めた。
「自ら求めてくるとはな」
「あっ、そ、そんな、こと、あぁっ…ひっ……やぁ……」
乳首を舌先で責めつつ、それと並行してもう片方の乳首を指先で責めてやる。
効果は覿面だった。口では拒絶の言葉を口にしながらも、くノ一の身体はより強く私に押し付けられてくる。
「ならばなぜ私に身体を押し付けてくる?」
胸元から首筋までを舐め上げ、腿から脇腹までを何度も何度も撫で上げる。
舌が首筋に触れるとくすぐったそうに首を竦め、手が滑らかな肌を滑ると嬌声を上げて身を捩る。
「だ、だからぁ、そんな、ことぉ、くぁっ…そ、そこはやめろぉっ……!」
「身体は歓んでいるぞ?」
否定の言葉を吐き続けるくノ一だったが、その陰門に手を這わせればもうそこは潤いきっていた。
溢れる愛液は会陰を伝わって床を湿らせ、またささやかな腿の膨らみを伝って肛門へと至り、床に滴っている。
「見ろ、溢れている」
「やっ、やぁ……」
「ふん、淫乱だな。無理矢理身体を奪われようとしているのに、また溢れてきたではないか?」
蜜を吐き出す陰門を指先で擦り、そこに付着したものを顔の前まで持っていって見せてやると、それだけのことでまた新たな蜜が吐き出されてくる。
既に陥落寸前だ。あと一押しで、堕ちる。
「どれ、私が拭ってやろう」
「えっ……だ、駄目だっ、やめっ、やめろっ、あっ、ひぃっ、駄目ぇっ……!」
すっかり脱力しきった脚に手をかけて開かせ、私は甘い蜜の水源へと顔を近づけた。
それを見て私が何を目的としているかを悟ったくノ一は、脚を閉じようとするものの、
快楽の虜となって力の抜けた身体では私の腕力に打ち勝つことなどできない。
柔らかな陰毛が萌えるそこへと舌を這わせると、そこはやはり成人間際の女というべきか、
舌に生まれたのは幼女の無垢な味ではなく、成熟した女の濃密な味だった。
小さな入り口に舌を潜り込ませてみると、舌先に内壁とはまた違った趣のものが当たった。
このくノ一はホビットとしては成人に近いというのに、まだ処女を守り続けているようだ。
愛しい男に捧げたいと願うからこそなのだろうが、
大切に守り続けてきたものをこれから奪い取るのかと思うと、知らず知らずの内に笑みが込み上げてくる。
「淫らな女だ。拭っても拭っても溢れてくる」
「やっ、あっ、ひぃぃっ……!」
音を立てて啜ってやると、全身を痙攣させてでもいるかのように身を捩り、
まるで更に多くを求めるかのように細い脚を私の首に絡めて腰を動かし、陰門を押し付けてくる。
「やぁぁぁっ、やめっ、あぁっ、ひぃぁああっ、あ……っ…!」
そこを更に舌と指先を使って責め立ててやると、悲鳴のような嬌声を上げて大量の蜜を溢れさせ、私の口元を濡らしてくる。
まるで犬のように陰門を舐めていたところ、大きく膨れ上がって快感を覚えていることを示す陰核が目に映った。
これまで目に入らなかったのは、無意識の内に快楽を貪っていたくノ一が私の鼻先にそれを擦り付けていて、死角にあったせいだった。
「まだ刺激が欲しいのか、浅ましい女だ」
私はくノ一の身体が発する求めに応じ、陰門と共に突き出された陰核に歯を立てた。
「……ん、ぁぁぁぁっ……!」
反応は劇的だった。
軽く歯を立てて引っ張った瞬間、モリトを受けたかのように身を仰け反らせたくノ一は、
大量の蜜を溢れさせながら絶叫すると、まるで糸が切れた人形のように床にくずおれた。
まだ交わってもいないというのに本格的な快楽の絶頂に達してしまったらしい。
仰向けになって両手足を力なく投げ出したまま、どことなく空ろな瞳のまま全身を小刻みに痙攣させている。
「頃合だな」
いささか過剰なまでに潤い、絶頂に達したことで僅かに弛緩している陰門を見て、私は笑みが浮かぶのを堪え切れなかった。
この体格差があり、しかも相手が処女だからこそ、これほどまでに手間をかけた。
充分に湿らせ、解さずに私の陰茎で貫けば、たった一度の結合で陰門や肛門を破壊してしまうことになる。
それでは駄目だ。私はこの女達から一時の快楽を得るだけで満足するつもりはない。
これまでに見つけた女達は適当に味わってから娼館に売り飛ばしていたが、この女達をそうするつもりはない。
類稀な資質を持つこの女達を簡単に手放す予定はない。
私は、この女達が女としての魅力を失うまで身体を味わい続けるつもりなのだ。
「見ろ。これがお前を犯すものだ」
「え……あっ……ゃ…やめ……」
いきり立った陰茎の先端を繊細な陰門に押し当てると、それと気づいて視線を向けたくノ一が表情を引き攣らせた。
陰門から雌の本能として愛液を滴らせている状態で、説得力のないこと甚だしい拒否の言葉を吐いている。
先端を、滴る先走りと陰門から湧き出す蜜とを混ぜ合わせるように入り口に擦りつけてやると、
くノ一はそのたびに雄を誘う雌の喘ぎ声を出して身体を震わせる。
「やめてよいのか?お前の陰門は私を求めているではないか」
「そ、そんなっ、ことは、ぁっ……」
角度と速さと押しつける力を変えて擦ればそれだけで拒絶の言葉が飲み込まれていき、代わって嬌声が吐き出される。
「そら、気持ちよかろう?お前の肉体が更に強い快楽を求めている、これはその証だ」
私は再び覆い被さって顔をくノ一の耳元に寄せ、耳たぶへの舌先による愛撫を加えながら囁いた。
「私がお前の陰門を指と舌で解した時は心地よかっただろう?」
囁く間も、陰門への摩擦を休めることはなかった。囁く間も腰は動かし続ける。
正直なところを言えば、このまま突き入れてしまいたいほどに昂ぶるだけ昂ぶった今の私には、貫かずに摩擦しているだけでも大きな快楽だった。
「どうだ、これを受け入れれば、その快楽は指と舌の比ではないぞ?」
早く突き入れたいが、この娘の方から求めてこなければ完璧な性奴隷は作れない。これは根競べだった。
しかし、私が一方的に有利な根競べだった。
快楽の虜になっているこのホビットのくノ一は、既に自分から腰を動かして私に合わせ始めている。
もう陥落したも同然だった。
「指も舌も届かない場所も、これならば犯し尽くせるぞ?それはこれまでの快楽の比ではない」
「あっ、ひぁ……は、ぁ…お、願い……」
熱く濡れたような吐息に混じって懇願の言葉が聞こえてきた。この女は堕ちた。
「犯してくださいと言え」
これが最終段階だ。自分から求めさせ、それを犯す。それがこのタイプの女を屈服させる手段なのである。
「そ、そん、な、んぁっぁっ……!」
「言わねば、このままだ」
「ひ、ぁ……お、犯して、ん、ふぁ…犯してぇ、く、くださ、いぃっ…」
「よかろう」
この瞬間、ホビットのくノ一は冒険者から私の性奴隷へと堕ちた。

「見ていろ、お前が女になる瞬間を!」
「くっ、あぁぁぁっ……!」
私は膝立ちになり、大きく割り開いた両脚を脇に抱え込むようにしてくノ一の下半身を持ち上げた。
体格の関係上、くノ一の身体は大きく持ち上がって背中が浮いてしまっている。
もう少し持ち上げれば宙吊りになってしまうことだろう。
私は怒張しきった陰茎を潤って口を開けた陰門へと無造作に突き入れた。結合部からはやや赤味がかった
蜜が滴り、陰茎の先端からは肉を引き裂いていくような感触と共に激烈を極める締め付けが伝わってくる。
それらを強引に押し広げるようにして突き進むと、そこはやはり浅い陰門であり、最奥まで突き込んでも根元が余った。
根元の辺りが非常に寂しく物足りないが、その物足りなさが逆に幼い少女を犯しているようで快感でもある。
「あっ、あぁっ、あぁぁぁっ!」
同時にディオスを詠唱することによって痛みはほぼ完全に抑えているため、くノ一を襲うのはただ快感のみだ。
特に痛みを抑えるべく配慮をする必要もないため、私は両の腿を掴んでくノ一の身体を激しく前後運動させた。
「ひぁっ、す、すごっ、くぁっ、こ、壊れっ、あぁっ!」
最早、意味のある言葉を吐くこともできず、くノ一はただ嬌声を上げながら人形のように私に振り回されている。
既に何度も何度も達しているようで、時たま背筋を反り返らせて震えたかと思うと凄まじい力で締め上げてきて、
次の瞬間には脱力し、また更に高らかな嬌声を上げて締め付けを始めるということを何度も繰り返している。
窮屈な内部を拡張するように貫きつつ、私は私の快楽を追求すべく、正上位へと移行した。
矮躯を包み込むように覆い被さって小刻みに腰を動かし、最奥を突き破るような勢いで陰茎を押し込む。
四つん這いになるようにして覆い被さり、矮躯の全てを押さえ込んで腰を突き出し続ける。
矮躯の女を犯す時の醍醐味とは、やはり体格差を強調するような体位を取ることだった。
「もぉっもっとぉっ、もっとぉっ……!」
既に意識も朦朧としているのか、くノ一は熱に浮かされたような調子で私を求めてしがみついてくる。
四つん這いになるようにして覆い被さる私の背中に手足を回してしがみついているため、身体が完全に床から離れてしまっている。
忍者として鍛えられた体術なのか、その状態のまま腰だけを動かし、私をより深くより強く誘い込もうと陰門を蠢動させてくる。
「ふっ、ぁっ、あぁっ、ぁぁぁっ……」
そうしてしばらく貫き続けたところ、遂に私にも絶頂が到来した。
「あぁぁっ……ひぁぁぁぁっ!」
「だ、出すぞ……!」
最早力ない嬌声を上げるのみとなったくノ一が突然達し、一際強く締め付けてきたのに合わせて、
私はこれまでに我慢を重ねてきた灼熱の溶岩ような精を大量に吐き出した。
「あっ、出て、出てるぅっ、熱いのがっぁっ、ふぁぁぁっ……!」
狭く浅い陰門とその奥にある小さな子宮では到底収まりきらない量の精が迸った。
結合部が隙間なく塞がれているために出口を求めることもできず、
人間同士ならば確実に妊娠するだろう濃度と量の精は子宮を――子宮を収めている下腹部を水風船のように膨らませていった。
「む、無理ぃっ、も、入らな、ぁぁっ……」
これも強化された性機能の賜物だが、私は一分ほどもペースを落とさずに精を吐き出し続けていた。
その間、くノ一はほとんど夢うつつの状態で私に組み敷かれ、精を胎内に飲み干していた。
「これではまだまだ満足できんな」
「ふぁぁっ……」
長い射精を終えても、私の陰茎の昂ぶりは収まることがなかった。収まったとしてもまた昂ぶらせるだけ
なのだから話は変わらないのだが、手間が省けたことと雄としての優秀さを示せたことは誇るべきことだ。

「くぁ…ふぁ…」
身体を繋げたまま身体を引っくり返すと、膨れた腹が苦しいのか、くノ一はくぐもった悲鳴を上げた。
その状態で中に溜まった精が結合部に集中してくる感覚もなかなかに心地よいものだったが、
この状態では新たな快楽を与えるは難しく、仕方がないので私は硬度を保った陰茎を引き抜いた。
「ぅ、ぁ……」
キスをするような粘着質な音を立てて陰茎が抜けると、その大きさに合わせて広がったままの陰門から、
バブリースライムか何かのように粘度の高い大量の白濁液が噴き出し、床を汚していった。
私はそれを満足感と共に見つつ、次に狙うべき対象――その小ぶりな尻へと手を伸ばした。
肉付きの薄い尻を鷲掴みにし、パン生地を捏ねるように感触を愉しんだ後、押し開いた。
白い尻の谷間に埋没していた小さなやや色素の沈着した蕾は、これまでの責めの中、
唯一未だに手を触れていないにも関わらず、すっかり力が抜けてだらしなく口を開けていた。
もっとも、開けていたとは言っても中心部分が少し緩んでいるだけだが。
「次はこちらを愛でてやる」
私は尻に顔を埋め、人体で最も強く異物を締め付ける穴に舌を伸ばした。
「ひぁっ、そこ、はぁ……」
舌先が穴に触れ、やや苦味のある独特の味が広がったかと思った瞬間、刺激に反応したくノ一が僅かに身じろぎし、
それと同時に括約筋が小さな穴を閉ざそうと収縮し始めた。しかし、最早力の入らない身体に、それが叶うはずもない。
括約筋の抵抗などまるで意味をなさず、私の舌先は小さな入り口へと潜り込んだ。
「んっ、ぁっ、ぁぁ……そんな、ぁ、だ、めぇ……」
引き攣るような吐息を漏らして震えるくノ一の尻に顔を擦り付けるようにして、私は舌を奥へと潜り込ませた。
腸内特有の苦味が舌を襲うが、そのようなことは意に介さずに舌を蠢かせ、内部を吸う。
「ひぃぃっ、駄目、吸っちゃ、駄目ぇ……」
恐らくは経験したこともないだろう感覚に震え、力の入らない身を捩るくノ一を押さえ込み、
私は肛門を舐り回し、吸うと同時に尻を揉み、そのたびにすすり泣くような喘ぎ声を上げるくノ一の様子を愉しんだ。
「口では拒絶し、身体で誘うか。娼婦の業だな」
私は愛液と精液の混合液を潤滑液代わりにして指で入り口を捏ね回し、内部を探り回し、
陰茎を受け入れられる程度の柔軟性が備わるまでしつこく拡張を続けた。
「そら、指が三本も入ったぞ」
指を三本入れ、それぞれに別々の動きをさせた途端、狂ったような嬌声を上げて身を逸らし、捩じらせ始めた。
「んぁぁぁっ、あぁんっ、嫌ぁぁっ……!」
私はそれを力で抑え込み、くノ一の肛内の性感を開発していった。段々と反応が大人しいものへと変わっていき、
最終的には時折小刻みに震えるような、まるでマッサージを受けている時にも似た反応を示すようになった。
「頃合か。またたっぷりと犯してやるぞ」
「ふぁ、ふぁぃぃ……お願い、しまふぅ……」
指を抜き、だらしなく口を開けた肛門を更に開くかのように尻たぶを割り開いてそう囁くと、
身も心もすっかり私の性奴隷と化したくノ一が、呂律の回らない口調で懇願してくる。
「尻を掲げろ」
「ふぁぁい……」
蕩けきった表情のまま、くノ一が脱力した身体に精一杯の力を込めて尻を掲げた。
上半身を床につけたまま膝を立て、尻だけを掲げている。酷く卑猥な体勢だった。
「不浄の穴を使う快楽を教えてやるぞ」
小さな尻を鷲掴みにして割り開き、私の唾液や諸々の体液を滴らせる小さな穴を露出させ、
愛らしい様子のそことはまるで不釣合いなほど醜悪でおぞましく、その慎ましやかな様子のそこに
果たして入るのかというほど大きく硬い陰茎をあてがった。
「あっ……っ…」
触れただけでも期待するように尻が震え、開ききった陰門からは精液混じりの愛液が滴った。
「あっぁっ、あぁぁっ、ひぁぁっ……!」
私を受け入れられるほどに緩んだそこへと一息に押し込んでやるとそれだけで達したらしく、
瞬時に括約筋が収縮し、食い千切られてしまいそうなほどの締め付けに襲われた。
「入れただけで達したか。この淫婦めが」
「あっ、すご、っ、おっき、く、なっ…ひぅんっ!」
絶頂に達しながらも自ら尻を揺すって快楽を貪るその浅ましくも扇情的な姿に更なる昂ぶりを覚え、
私は尻肉に指が食い込むほどの力を手に込めて腰を前後させた。
柔軟な腸は陰茎の動きに合わせてよく伸び縮みし、
小さな穴は皺が消えるほどに拡がって陰茎を受け入れて隙間なく張り付き、時には射精を促すように収縮する。
最早排泄器官ではなく、生殖器官だった。
欲情を滾らせた私は堪えきれずに背後から覆い被さって手をくノ一の胸に回し、
半ば引き起こすようにして全身を密着させ、
肛内の最奥を目指すかのように腰を小刻みに動かし、より深くへと沈めていった。
腰が動くたびに嬌声を上げ、少し速度や角度を変化させればそのたびに絶頂へとくノ一は達した。
ほとんど理性も残っていないような快楽の虜となった状態で私の陰茎を貪り、吸い付いてくる。
覆い被さるような状態で小刻みに突き続けている内に、次第に私は物足りなさを覚えるようになった。
締め付けも充分ならば蠢動も充分であり、更には熱や肉の感触も完璧なのだが、ただ深さが不満だった。
この後背位では今一つ深さが足りないのだ。そろそろ絶頂が近づいていることを自覚した私は、
最後により強烈な快感を味わうべく決意し、抱えたくノ一をそのままに身体を持ち上げ、立ち上がった。
「ひっ、ひぁぁぁぁっ!あっ、な、ぁっ、く、はぁっ…き、つ、ぁっ!」
丁度、くノ一を羽交い絞めにして貫き、深く突き上げているような体位となった。身長差の関係で、
陰茎と肛門の位置を合わせて抱えると、それだけで大分くノ一の足が床から離れてしまう。
結果、くノ一の全体重が結合部分にかかり、私が抱える腕の力を緩めれば緩めるほどに深く貫くことになる。
「あっ、すご、いひぃっぃっ……!」
ともすれば苦痛になりかねない体位だが、私はその限界点を見極めて貫き、思う様突き上げていった。
この体位がもたらす快楽は凄まじいもので、一突きごとにくノ一は全身を痙攣させて達し、
深い挿入感とそのたびに訪れる締め付けとによって私自身も即座に精を吐き出しかねないほどの快感を得た。
射精を堪えるのやめ、いつ精を吐き出しても構わないという心積もりでより一層の激しい突き上げを行った結果、
遂に私は絶頂へと至ろうとしていた。射精の前兆として陰茎が膨れ上がる。
それが引き金となったのかもう幾度目になるのかわからない絶頂にくノ一が達し、一層の締め付けに襲われた。
絶頂時にのみ発揮される強力な食いつきと蠢動がもたらす快感が陰茎に発生し、背筋を通じて脳を襲った。
私もくノ一とほぼ同時に絶頂に達し、眩暈がするような快感と共に先ほどに劣らぬ量の精を吐き出した。
「くっ、ぉぉっ……!」
「ひゃぁぁぁぁぁぁっ、あひぃっ、熱いひぃっ……あぁぁんっ、ん、ぁぁうひぃ……」
くノ一は高らかな嬌声を上げて痙攣しつつ、精を吐き出す陰茎に肛内を絡みつかせ、尻を振りたくっている。
その射精を誘引する動きによって、私は想定したよりも大量の精をくノ一の肛内に放つこととなった。
再び下腹部が膨れていき、くノ一が苦しそうな吐息を漏らした。

「あっ、やっ、駄目ぇ、で、出るぅっ、嫌ぁぁぁっ」
床に下ろし、尻を高く掲げさせた状態で陰茎を引き抜いた途端、無残なまでに大きく口を開けた肛門は、
噴水のように――まるで浣腸をした時のような勢いで糞便混じりの白濁液を噴き出し始めた。
排便を他者に見られるような羞恥心を感じてくノ一が咽び泣くが、噴出は停まらない。
排出が治まったのは、比喩ではなく腸内に存在する全てが流れ出た後だった。
「いい眺めだな。奴隷には相応しい」
「ひぃ、っく……えぐぅ……」
突っ伏したまま半ば放心状態ですすり泣くくノ一の背中に嘲弄を浴びせつつ、
私は傍らに脱ぎ捨てられていたくノ一の装束で汚れた互いの結合部分を拭った。
「あっ……そ、それは、私の……そ、そんなことに、使わない、で……」
諸々の体液や糞便が何によって清められているかを悟った途端、くノ一が怒りの視線を向けてきた。
どうやら教育が足りなかったようだ。主に逆らう権利など、奴隷にはありはしないのだから。
「再教育してやる」
「へ……あっ、やっ、嫌ぁぁぁっ……!」
私は咄嗟に腰を浮かせて逃げようとしたくノ一を押さえつけ、脚を大きく開かせた。

           *           *           *

「ふぁふっ、はふぁ……」
くノ一がその小さな口を一杯に開いて陰茎を頬張り、入りきらない大部分を小さな手で扱き、
もう片方の手で手に余るほどに巨大な陰嚢を掌の上で転がすように撫でている。
「どうだ、美味いか」
「ふぁ、ふぁぃ、ふぉっへも、おいひぃれふ……」
あれから三回ずつ陰門と肛門を犯してやったところ、ようやくこのくノ一にも奴隷としての自覚が芽生えた。
呪文を駆使した愛撫が必要だった当初とは違い、今では私の姿を見ただけで陰門が潤い、
私の陰茎を見ただけでしゃぶりつこうとするまでに忠実な性奴隷へと変貌した。
「くっ、出るぞ。飲み干せ」
「ふぁぃ……ん、むぅ……」
流石は天性の忍者と言うべきか学習能力が高く、一度でも教えたことは忘れず、それどころか
より高いレベルへと向上させていく。口による愛撫を本格的に仕込んだところ、少しでも油断すれば
即座に絶頂に達してしまいかねないレベルの技巧を備えるに至った。
「あふぁぁっ……んむぅ…む、ん……おいひいれふぅ……」
凄まじい強さで吸い付きつつも頭をあらゆる方向に動かし、舌を的確に絡め、扱き、撫でる手を
休めずに私の精を吸い上げては放出のたびに喉を鳴らして飲み干していく様子に更なる快楽を
刺激されつつ、私は部屋に転がる三つの屍を眺めた。
このくノ一は最高の性奴隷となったが、残りの三人はどうなのだろうか。
誰も彼も生まれ持った才能だけで上級職についた天才達だが、このくノ一と同じように
その才能を性戯に生かすことができる者達なのだろうか。
――まあいい。実際に使ってみればわかることだ。具合がよければ長く使ってやればいいし、
使い物にならなければ娼館にでも売り飛ばせばいいだけのことだ。
さて、次は誰を愉しもうか。