<あるエルフ姉妹の冒険 外伝T〜新米戦士の受難〜>


「ふんふんふ〜ん…♪」
ここは小さな王国の城下町。
宿屋のロイヤルスイートから、少女の鼻歌が聞こえてくる。
声の主はホビットやノームより少し大きい程度の背丈と、背丈にみあった細い体躯のエルフの少女。

少女はさも嬉しそうに、
くるくる回ったりぴょんぴょん飛び跳ねたりしながら
豪華なテーブルに、これまた豪華な食器を並べている。
喜びを隠そうともしない無邪気なその姿は
迷宮の魔王すら笑顔にしてしまうように思わせた。

「…うるさいわねぇ…エミール、なにはしゃいでんのよ…」
寝室のドアが開き、少女とは対照的な、成人のエルフ女性が現れる。
寝起きながらエルフの名に恥じない、ヴィーナスの彫刻のように美しい顔。
しかし、その下の体は誇り高いエルフには不似合いな服装に包まれていた。
いや、厳密には、異様なまでに包まれていなかった。

彼女の豊満な肉体がまとっているのは
下着にしても過激すぎる、胸の先端すら隠し切れていない小さな布と
前も後ろも紐と間違えるような股間の布きれ…豊満な尻の肉に隠れ、後ろから見れば裸に見える。
サッキュバスクイーンもたじろぎそうな格好で部屋を歩き回る姉を、エミールは睨みつけた。

「ちょっとシグルーンお姉ちゃん!なんて格好してるのよっ!!」
「エミールが裸はダメだっていったんでしょ…で、今日はなんで朝からごちそうなのかしら?」

飽きもせずにいつものやり取りを繰り返す妹の視線をけだるそうに受け流しつつ、
シグルーンはニヤニヤしながら椅子に腰掛ける。
大きな胸がご馳走を期待するかのように"ぶるん"と揺れ、椅子に押し付けられた尻は形を変えた。

「…あのねぇ…おねえちゃん、前々からいってあるでしょ。今日は戦士のプリンくんが遊びに来るのっ!!
 そんな格好してたら恥ずかしいからやめて! ローブとか着て、ちゃんとしててよね!」
まくしたてながら、エミールはドアを開け、外に出る。
そしてドアを閉じながら、姉に向かって
「ここのスリッパかわいくないから、商店でルビーのスリッパ買ってくる。
 プリン君と約束した時間には戻るから、つまみ食いしないでね!」
と釘を刺していった。

「…青春してるわねぇ…」
どうやら約束の時間まではまだ間があるらしい。
シグルーンは椅子の上で大きくあくびをすると、大股開きでうとうととまどろみ始めた。




コン、コン、コンコン…

「…あ、そうそうそこそこ…もっと強くぅ……あうぇ?」
ノックの音がシグルーンを心地よい眠りから現実に引き戻す。
周りを見渡すと、エミールは帰ってきていないようだ。
というより、あれからほとんど時間はたっていない。

出かけていったばかりの妹は鍵を持っているし
万一無くしたとしても転移呪文で部屋に入れるはずだ。
冒険者情報誌の勧誘にきたオークはこっぴどい目にあわせてやったからくるはずがないし、
この部屋を訪ねてくる相手といえば…

「…例の戦士くん、かな?」

ドアを開けようとして、自分が裸よりも過激な服装であることに気付き、
かけてあった豪華な装飾のローブを羽織り、1つ飛ばしでボタンをかける。
それだけでシグルーンは(少なくとも見た目は)城の学者そこのけの理知的な姿に変わっていた。


「あ、あの…ここ、エミールさん…のお部屋です…よね…?」

シグルーンが「余所行きの顔」でドアを開けると、そこに立っていたのは
戦士というには余りに幼い人間の少年。

「ボク…戦士のプリンっていいます。
 今日はエミールさんに冒険者のことを教えてもらいにきたんですけど、
 少し来るのがはやすぎちゃって、その…」

もじもじしながら消え入りそうな声でつぶやくプリン。
くりくりとした青い瞳に、ウェーブのかかった金髪、うっすらと紅い頬。
恥らう姿はまるで少女のようで、一見冒険者にも戦士にも見えない。
安物の、しかしよく手入れされた革鎧と
腰の小剣だけが戦士の証明といったところだろうか。

「話は聞いてるわ。妹は今丁度出かけちゃったのよ。
 少ししたら戻ると思うから、こっちで座って待っててちょうだい。」
シグルーンはプリンを部屋に招き入れ、後ろから観察する。

(女の子みたいに可愛い顔してたけど…後ろからみても女の子みたいなコねぇ…
 ずいぶん華奢だし、ホントに戦士なのかしら。しかしオシリが可愛いわね)

ロイヤルスイートが初めてなのだろう、キョロキョロと部屋を見渡すプリンを椅子に座らせると、
シグルーンは対面の、本来エミールが座る椅子に腰掛けた。
「武器と鎧はそっちに置いて。エミールが帰ってくるまで、お姉さんとお話しましょ。
 あなたとエミールのこと、色々聞かせて頂戴。」




「…なるほどねぇ、それで今日会う約束をしたのね…」
少年の話によると、

 家庭の事情で旅に出た
 →1人で迷宮探索をしたが限界を感じた
 →戦士と信じてもらえず、からかわれながら仲間を探していた
 →エミールに出会った、ということらしい。

仲間になるだけでなく、冒険の基礎を教えてくれる、という約束なのだという。

しかしこの少年、冒険への熱意はともかく、どうみても戦力にはなりそうにない。
エミールは酒場を軽く半壊させるほどの魔力を持っているし、
シグルーンにいたっては、一人で魔界を旅し、魔王たちと交流があると噂されるほどのツワモノなのだ。
おそらくエミールは、ただ同年代の友達がほしかっただけなのだろう。

(まぁ、冒険ばかりで話し相手は私だけだったし…
 ここで変な話をして面倒なことになっても困るから、
 エミールが戻るまでテキトーにまっててもらって…ん?)

そのとき、シグルーンはプリンの様子がおかしいことに気づいた。
入ってきたときよりも頬を赤くして、
足をもじもじと動かしながらシグルーンの体をチラチラと見ている。
「…」
シグルーンはそれとなく視線を自分に移す。

1つ飛ばしでとめていたローブのボタン。
座ったことにより、とめていなかった部分が大きく開き、乳房や腰の一部が露出していた。
下着の面積があまりに狭いため、見える部分だけではローブの下は全裸であるかのように見えるだろう。

シグルーンの中で、(あくまでも彼女からすれば)「ちょっとした悪戯心」が生まれた。

「大体話はわかったわ。…ちょっと、妹が来る前にいくつか質問させて頂戴」
シグルーンはいままでの柔らかな物腰を一変させ、少し厳しい口調で話し始める。
少し雰囲気に慣れてきていたプリンがビクッ、と震え、部屋の空気が一瞬にして張り詰めた。

「まず、キミの踏破した迷宮を教えて」
「え…ま、まだ…冒険者を始めたばかりです。」
聞くまでもない質問である。
いきなり迷宮に1人で入るような、駆け出しの冒険者にすら届いていないプリンが
迷宮を踏破したことなどあるはずもない。

ふぅ、とわざとらしくため息をつきながら、シグルーンは胸のボタンを1つ外す。
1つとばしでとめていたため胸のボタンは3つ外れており、大きな胸が乳首に近い位置まで露出した。

「…!」
プリンの目が、一瞬だけ胸に釘付けになる。
しかしすぐに胸を視界に入れないようにうつむいた。しかし
「今は私と話をしているのでしょう。顔を上げて、ちゃんと私の目を見なさい」
容赦のない追撃。
「…は、はい…」
恥ずかしそうに顔を上げ、出来るだけ胸を見ないようにするプリン。
しかし、胸の上にはグレーターデーモンも縮み上がるような冷たいまなざしがあった。
緊張で唇をふるわせるプリンに対し、シグルーンは内心ニヤニヤしながら話を続ける。

「あなたがエミールに冒険のイロハを教わってパーティを組む。それはわかったわ。」
言いながら長い足を組む。裾のボタンがいくつかはずれ、大きくはだけるローブ。
いまや役目をはたしているボタンは首の部分と胸、そして腰の3箇所だけになっていた。

「…でも、あなたがパーティに入れば、あの子は大きなリスクを背負うのよ。
 冒険の基礎も学ばずに1人で迷宮に踏み込む子供をつれて、
 いつ死ぬかわからない危険な迷宮を探索するんだから。
 足手まといなのにパーティを組むなんて、あなたはどう考えているの?
 まさか、指導してくれる人が見つかってはしゃいでいただけじゃ、ないわよね?」

次々と浴びせられる厳しい言葉と、吹雪の魔法が吹き荒れているかのように張り詰めた空気に
プリンは瞳を潤ませ、唇をかみ締めて完全に下を向いてしまった。

―――沈黙が部屋を支配した。

「――ぼっ、ボクは…っぷ!!」
いまにも落ちそうなほどに涙をため、
おそらく彼の人生最大の決意を持って顔を上げたプリンが硬直する。
彼が下を向いているあいだに、シグルーンは2つの乳房の下で腕を組んで持ち上げていたのだ。
それだけでなく、押さえつけられたローブは形を変え、
大きく開いた隙間から彼女の胸を全て、純真な少年戦士の目前にさらしていた。

「ボクは………なぁに?」
組んでいた足を解き、両足を大きく開くシグルーン。
プツン、と音を立てて胸と腰のボタンが外れる。
首だけを隠して、ローブが大きくはだけた数秒後、
プリンは椅子を倒して立ち上がり、中腰でトイレに逃げ込んだ。

豪華なロイヤルスイートの、これまた豪華なトイレで
駆け出しの戦士プリンは途方に暮れていた。
「うう…どうしよう…」
右も左もわからなかった自分に声をかけてくれたのは、同じくらいの年に見えるエルフの少女。
しかもその少女が歴戦の冒険者をも震え上がらせる人であったことは、プリンにとって恐れよりも励みになった。
『自分も、あのように強くなれるかもしれない。』
今日は本当の意味での冒険の始まり…に、なるはずだったのだ。

ところが。

冒険の基礎を教わるはずが、そこにいたのは少女の姉…
それも妹を思ってか、どうみても友好的ではない。
厳しいことを言われるだけでも心細くて涙がこぼれそうだというのに、
なぜか相手は目の前で裸同然の身体をさらして、自分を混乱させる。

これが今までの日常生活での出来事なら、
からかわれているか、相手がおかしい人間である、という結論に達しただろう。
しかし、今まさに飛び込もうとしている世界は、パーティを組むという常識すら知らなかった冒険の世界。
もしかしたらあれくらいは恥ずかしいうちに入らないのかもしれない。

万一はだけたローブを指摘して、
「このくらいは命がけの冒険の世界ではあたりまえなの、そんな常識も知らないで妹とパーティを組むなんて…」
などと言われて追い出されでもしたら。
「ボクの冒険が、始まる前に終わっちゃうよ…ぐすん」
涙を瞳いっぱいにうるませるプリン…しかし、いつまでもここにいるわけにはいかない。
非礼をわびて、毅然とした態度で自分を認めてもらおう、と決心し、プリンはトイレから出
…ようとして、はたと動きを止めた。
「…ど、どうしよう…おちんちんが…」
またも目を伏せたその先には、ズボンを持ち上げる、小さな身体に見合った小さなテントが自己主張している。

「うう…これじゃ外にでられないよ…」
プリンは途方にくれた。このまま外に出たら、何を言われるかわからない。
先ほどのシグルーンの様子から考えれば、もしかしたら冒険者の間ではこれくらい普通なのかもしれない。
しかし、たとえ普通のことであったとしても(実際はそんなことはないのだが)
尊敬と、ほのかな好意を持っているエミールにこんな姿を見せるのは嫌だった。

「なんとかしなくちゃ…」
一度抜いてしまえばすっきりするのだろうが、純真な彼にそんな選択肢は存在しない。
プリンはおもむろに目を閉じて、瞑想を始めた。
「ボクは冒険者になるんだ、強くなって、手柄を立てて、いつかふるさとに帰るんだ…」
冒険への思い、ふるさとへの思い、確固たる意思の力。
たった今、サキュバスよりも魅惑的な裸身がまぶたに焼きついたばかりであるにもかかわらず、
肥大しつつあった性欲は一瞬にして淘汰されていく。

「…よし!」
もう迷いはない。冒険の旅が、いま始まるのだ。トイレから。
決意のまなざしで、カッと目を開くプリン。

しかし、その目の前の洋式便座には、何も身につけていないシグルーンが座っていた。

「うわっ、うわ、うわあふぐっ!…」
寺院のドアを開けたらマイルフィックが「コンニチハ」と
挨拶してきたかのように驚くプリンの口を、シグルーンの柔らかな左手がふさぐ。
「転移呪文って知ってる?あんまり遅いから、お姉さん入ってきちゃった。」
プリンは、裸である理由は一つも無い、と言おうとしたが、声は出せない。
「話の途中で逃げるなんて、失礼もいいところだわ…でも、
ちっちゃいチンチンがしぼんでいくところは、なかなか見ごたえがあったわよ」
シグルーンの右手が、真っ赤な顔で混乱するプリンの股間に伸ばされ、手馴れた手つきでベルトが外される。
ほどなくして、プリンの一物…と呼ぶには可愛らしさの残るソレは、シグルーンの掌におさまった。

「…!…!!……!!!」
羞恥と恐怖に目を見開くプリン。
しかしシグルーンの手は容赦なく、プリンの一物ゆっくりとしごき始めた。
「さっきはおさまっていたのに、もうカチンカチンね…どう…お姉さんの裸見て興奮した?」
口をふさいでいた手が離れる。
しかしプリンは返事はおろか目の前の裸体から目をそらすことすら出来ず、
股間から湧き上がる快感を必死に耐えていた。

「…返事がないわよ〜?どうしたのかなぁ?」
口から離れた左手が下に移動し、プリンの玉をサワサワと刺激しはじめる。
しかし、搾り出すように発せられたプリンの返事は、シグルーンを満足させるものではなかった。

「ボクは…ボクは、エミールさんと一緒に冒険にでるんだ…この変態っ…!」

「へっ…!」
可愛い顔から吐き出された言葉に、シグルーンの手が一瞬止まる。
しかし、呆気にとられた表情がゆっくりと邪悪な笑みに変わった次の瞬間、怒りをこめた復讐が開始された。
小さな竿をジャイアントのような握力で握り、容赦のない上下運動を行う、という形で。

「そ、ん、な、こ、と、い、う、子、は、か、ん、し、ん、し、な、い、ぞ?」
「う、うあ、うあああああぁぁぁっにゃぁぁぁぁぁあぁああ!!」
しゅっ、しゅっ、しゅっ、という音とともにプリンの悲鳴が響き渡る。

一物を握る腕をつかみ、なんとか引き剥がそうとあがく両腕。
あまりの刺激に、つま先だけで立っている細く長い足。
半分白目になってしまった瞳と、大きく開かれた口、虚空に突き出された舌。
「ん〜そろそろでるかな〜…じゃ、お姉さんからプリン君のさきっちょに…ちゅっ♪」
シグルーンの唇がプリンの鈴口に触れた瞬間、
プリンの冒険への夢、望郷の思い、そしてエミールへの淡い憧れが、パリンと音を立てて砕け散った。
家を飛び出してからモンスターに囲まれたときも、宝箱の罠で毒をうけたときも、
酒場で何日も仲間を探しまわっていたときも流すことのなかった涙が
ぽろり、とプリンの頬をつたって流れ落ちる。

ぶびゅ、びゅっ、びゅるるるるっ
白い液体がプリンの股間から飛び散り、シグルーンの唇に当たる。

「………!!………………!!!!」

完全に白目を剥いて、爪先立ちで口をパクパクさせながらプリンは精通を迎えた。
一物をしごく右手は運動を止めず、いつの間にか左手はプリンの尻に伸び、指がアナルを貫いていた。
止まることのない性の奔流に、シグルーンの唇、顎、胸、乳首、そして腰の茂みがどんどん白く汚れていく。

「ふふふ…なによコレ。すごく濃いわよ?どっちが変態だかわからないわねぇ」
精液の噴出が止まるのと、プリンの身体がシグルーンの胸に倒れこむのはほぼ同時だった。

「うふふ…どう?きもちよかったでしょ…?」
両手でプリンの尻をもみしだきながら、シグルーンが優しく語り掛ける。
紅く染まった頬、大きく張った乳首、濡れる内股…幼い美少年が目の前で果てる様に、彼女も少なからず興奮していた。
しかし、プリンは胸に顔をうずめたまま、小刻みに震えているだけで返事はない。
「……る………」
「え?もう一回してほしいのかな〜?」
「もう帰る!!ボク冒険者なんてやめて、国へ帰ります!!」
プリンは、完全に泣いていた。
これにはシグルーンもやりすぎた、と少しだけ後悔する。
無論プリンに対する懺悔ではなく、プリンが帰った場合のエミールの怒りを考えてのことである。

「ちょ、ちょっと…まぁ落ち着きなさい。ね?」
「やだ、もう嫌だ!!離してください!」
完全に錯乱してぼろぼろと涙を流しながら暴れるプリンを必死に押さえつけながら、シグルーンはどうしたものか思考をめぐらせた。

1.このまま帰す→プリンがこないのでエミールが怪しむ→たぶんばれて怒られる
2・無理やり残す→プリンがエミールにこの話を話す→怒られる
3.いろいろして、こっそり奴隷にしちゃう→たぶん時間が足りないし、妹の幸せを考えたらそんなことはできない
(妹の幸せを考えれば、そもそもちょっかいなど出さないのが普通だが、そんな思考を彼女は持ち合わせていない。)

「…そうだ、プリン君、おちつきなさい。これはあなたと、そして『エミールのため』にしていることなのよ」
シグルーンは頭の中で続きを考えながら、とりあえず口から言葉をつむぎだした。

「…エミール…さん…」
エミールの名を聞いたとたん、もがいていたプリンの動きがぴたり、と止まる。
すこし間をおいて、涙を流し続けてはいるものの正気を取り戻した目がシグルーンを見上げた。

「え、ええ、そのとおりなのよ…あの子は生まれたときから私と2人きりで冒険をしていて、
 今まで同世代の男の子と一緒に遊んだこともないの。
 あなたをパーティーメンバーに選んだのも、ただの仲間だけじゃなくて友達にもなれる仲間がほしかったのよ。
 年頃の男の子と一緒に冒険すれば、きっとあの子はあなたに恋をするわ。いいえ、もう恋をしているかもしれないのよ」
「え、エミールさんが…」

純真すぎるプリンは、エミールが友達と呼べる仲間を求めている、
しかも自分に恋をするかもしれないと聞いてすっかり話に聞き入っている。
(この子どんな育ちかたしてきたのかしら…)
すこし心配になるが、今はそのバカ正直さが好都合。シグルーンは話を続けた。

「もしキミがエミールと愛し合うようになれば、いつかは体も結ばれるわ。
 でも、エミールはそんな経験1度も無いし、キミだってそうだったのでしょう?」
こくり、とうなずくプリン。
「あの子は昔から、おとぎ話や物語を読んでばかりだから、愛し合うことに夢を見ているのよ。
 なのに、はじめて結ばれようとしたときにうまくいかなかったり、乱暴にされたりしたら、きっと悲しむわ…
 あの子は親の愛を知らない。だからせめて、愛する人と結ばれるそのときは、素敵な思い出をのこしてあげたいのよ」
「ま、まさか、それでお姉さんはボクに…」
「そう、キミに性のありかたを教えて、もしその時がきたらエミールをやさしく導いてあげてほしかったのよ…
 でも、初めてのキミにこんなこと、頼めないわよね…ごめんなさい…」
そんなワケないでしょ!と心の中でツッコみながら、シグルーンは目の端をこする。

「そんな…すこしも気づかなかった…ボク…」
(いまだわ、今しかない…ふんっ!)
こめかみに渾身の力を込め、涙腺を総動員して溜めた涙がほろりとシグルーンの頬を伝ったとき、プリンがまっすぐな瞳で叫んだ。

「お、おねがいします、ボクに女性の…エミールさんの、あ、愛し方を、おしえてください!!」

興奮と愛と使命感の混ざった瞳でシグルーンを見つめるプリン。
次に自分が取れる行動を考えつつ、シグルーンはほくそ笑んだ。

(とりあえず、これでやりたい放題ね…可愛い子だし、壊れないようにおもちゃにしてあげなくちゃ)

「…あの…やっぱりボクじゃ、だめですか…?」
不安そうに、上目使いで見上げてくるプリン。
シグルーンはそんなことはない、とにっこりと天使のように微笑み、「訓練メニュー」を言い渡した。
「まずはそこでオナニーしなさい」

「…じ、自慰行為ですか」
「そうよ。迷宮探索は命がけの緊張と常に隣り合わせなの。
 緊張感は時として人の理性を狂わせるわ。それが瘴気に満ちた迷宮の下層ならなおさら。
 あなたがキャンプ中にエミールを襲ったり、エミールの目の前で迷宮のモンスターに発情したりしたら…」
「彼女の夢や理想が…」
シグルーンのでたらめな説明。しかし純粋すぎるプリンは、簡単な嘘すらも見抜けずに衝撃をうける。
恥ずかしがっていたプリンの表情が真剣なものになったのを見て、シグルーンはうなずいて話を続けた。

「そうよ。だからあなたは、どうしても我慢できなくなったらこっそりと一人で処理しなくてはいけないの。
 さあ、ゆっくりでいいから、さっき私がしてあげたみたいに自分でこすってごらんなさい」
プリンの細い手と白魚のような指が、ゆっくりと彼自身の精液まみれの股間に向かって伸びる。
ビクン、と一瞬震えた後に、ニチャニチャという音と、かすかな吐息が淫靡な旋律を奏ではじめた。
「そうそう、その調子よ…でもさすがに一杯出した直後じゃ、立ちが悪いわね…
 もしよかったら、私の体をよーく見て。キミだけのオカズにしていいわよ。」
シグルーンは便座に腰掛けたまま、両足を大きく開いて陰部をさらけ出した。
左右の手は大きな乳房の先端をこね回し、サキュバスのような悩ましい吐息を唇から漏らす。
「…!…!!」
プリンの手が速度を増し、股間が張り裂けそうなほどに硬くなるのを見て、シグルーンは満足げに微笑んだ。

「一人で処理する方法はわかったみたいね…
 さあ、こすりながらよーく見なさい。この割れ目の下のほう…
 このトロトロになっているところに、男の子が入るのよ…」
シグルーンはプリンの目の前で、左手の指で割れ目を開き、膣穴の周りをクリクリと撫で回す。

「こ、ここに、ここにボクが…!」
獣のように血走った目で、一物を膣穴にあてがおうとするプリン。
その腰が突き出されようとした瞬間、すっ、とシグルーンが立ち上がった。
プリンのペニスが行き場を失い、ぷるんと跳ねる。
「あっ…!」
情けない声を上げて、シグルーンを見るプリン。
しかしシグルーンは微笑んだまま、プリンの鼻先をツン、とつついた。

「だめよ…これはあくまでも練習。キミのはじめては、エミールにあげて頂戴。」
「そ、そんなぁ〜」
散々もてあそばれて御預けをくらったプリンの股間がヒクヒクと上下に揺れるのを見て、シグルーンはにっこり笑った。
「わかってるわ。そのままエミールの前にでていくわけにはいかないものね。
 …入れさせるわけにはいかないけれど、腰を振る練習はさせてあげる…」
シグルーンはプリンに背を向け、プリンの一物を股の間に挟む。
「あぅ…」
ぬるりとした感触にプリンが吐息を漏らした。

そのままシグルーンが上半身を前に倒すと、尻をプリンに向けて突き出す格好になる。
振り返ってプリンを見つめると、シグルーンは艶かしくチロリと舌なめずりをして微笑んだ。
「さ、今度は腰を前後に振って…アタシを貫いていると思っていいわよ」
言い終わる前に、プリンは腰を振り始めていた。

「はぅ、はぅ、はぅ、はぅ…」
興奮した子犬のような可愛らしい声を上げながら、プリンはリズミカルに腰を前後させている。
その吐息を耳の後ろに感じながら、シグルーンも快楽を貪っていた。

「あれだけ出したのにまだ元気いっぱい…基礎体力はあるみたいね…
 もっとよ、もっと激しく動いていいのよ」
陰部全体がこすり上げられる快感に酔いしれるシグルーン。
ふと気がつくと、プリンの顔はシグルーンの首よりもやや下にうずめられていた。

「はっ、はっ、はっ、はっ…」
「…プリン君…ワキのにおいが好きなの?」

ビクッ!!と動きを止めたプリン。しかし我慢できないかのように腰の動きが再開される。
その動きは心なしか、前よりも早い。
「…おねえさんのワキの下が気になるのね。変態君ねぇ」
プリンは両目をギュッと閉じて、腰をいっそう早く振りたてた。

「あン……うふふ。いいわよ、思いっきり興奮しなさい。」
ワキを少し開くとプリンの一物は限界まで膨れ上がる。
限界を超えた興奮に、プリンは絶頂を迎えようとしていた。

「イキそうなの?いいわよ、思いっきり出しなさい!変態戦士君の熱い精液を、思いっきり出しなさい!!」
「うっ、うっ、ううにゃぁーーーっ!!」

びゅ、びゅ、びゅるるる、びゅ、びゅるるるぅっ…
一度目の射精よりもさらに激しく、プリンの一物から精液がほとばしる。
びゅるっ、びゅるっ…
床だけでなくシグルーンの股間を、体を白く染めるそれを感じながらシグルーンも絶頂を迎える。

「素敵よプリン君…すごくいっぱい出たわね…
 でも…エミールと初めてするときは、ワキに興奮しちゃ駄目よ…」
微笑むシグルーンの胸に、プリンは笑顔で顔をうずめた。




「たっだいま〜!」
底抜けに明るい声が、余韻に浸る2人を現実に引き戻す。
ドアを勢いよく開けて、エミールがかえってきたのだ。

「ど、どどどどどうしようどうしよう!!」
慌てるプリンを尻目に、シグルーンはてきぱきと周囲を片付ける。
「じゃ、周りは片付けておいたから、キミは体拭いたらトイレから出なさい」
そういい残すと一通り身支度を整えたシグルーンは転移魔法を唱え、トイレから姿を消した。
しばし呆気にとられていたプリンも、あわてて体を拭き始めた。


「商店でスリッパ売り切れてたから、迷宮でとってきたの〜。
 ちょっと時間かかったけど、丁度いいくらいかな。そろそろプリン君くるから…」
「もうきてるわよ。たった今トイレにはいったところ。…それよりそこ、ルビーに血糊がついてるわよ」
ローブをきちんと着て、何食わぬ顔で寝室から出てきたシグルーンは、妹にプリンの来訪を知らせた。
「も、もう…来てるなら来てるって早く言ってよ!はずかしいなぁ」
あわててルビーのスリッパを拭きつつ、小声になったエミールは口をとがらせる。
「ま、彼氏がトイレから出てきたら、あとはがんばりなさい。
 そうそう、殿方が出てきた直後のトイレに入ったりして、彼に恥かかせちゃ駄目よ」
「うん、おねえちゃんありがとう!」
精液のニオイが染み付いていたら、怪しまれるかもしれないというだけの話なのだが、
そんな事を知らないエミールは満面の笑みを浮かべた。

ガチャリ…

トイレのドアが開き、プリンがはにかみながら姿を現した。
「お、おじゃましてます…」

「今日は、冒険の基礎を教えて…」
しかしプリンの言葉は途中でさえぎられる。
「そうね!でもその前にプリン君、今日わたしたまたまご飯を作りすぎちゃったの。
 もしよかったら食べて!クッキーと紅茶もあるのよ♪
 ほら、ボーパルバニーの形につくったの!目と口のまわりはストロベリーシロップのトッピングつき!」
「え、あ、う、うん、じゃあ、いただきます…」
「おいしい?ねえおいしい?こっちは豚肉をキャベツで包んでコンソメスープで煮たの!
 豚肉っていってもオークの肉じゃないから安心してね♪」

作りすぎちゃった割に私の分のご飯はないのかしら、という言葉を飲み込んでシグルーンは寝室に戻った。
もう自分の出る幕はない。なにせ普段は大人しい妹が、あれほどにはしゃぐ姿を見たのは初めてなのだから。
少し嫉ましいような気持ちを感じながらも、シグルーンはにっこりと微笑んだ。

となりの部屋からは、はしゃぐエミールの声が絶え間なく聞こえてくる。
あの様子では、プリンが冒険の基礎を学ぶには今日一日かかりそうである…


――――――――


目が覚めると、すでに日が暮れ始めていた。
エミールはプリンとのデート(ついでに冒険の基礎の講義)を終え、路地ですこし恥ずかしげにはにかむプリンを見送っている。
迷宮探索とはまったく異なる、平和な風景。
しかし、見送りを終えてもどってきた妹をからかおうとしたシグルーンの顔は凍りついた。
さっきまで幸せそうにしていたエミールの笑顔が、凍てつくような冷たさをたたえていたのだ。

「(ばっ、ばばば、ばれたのかしら)…どうしたのエミール?怖い顔して…」
張り付いたような冷たい笑顔を崩さず、エミールが答える。
「…プリン君、酒場で会ったときよりもLVが1つ下がってた」
「へ!?」
呆気に取られるシグルーンを気にする様子も無く、話は続く。
「酒場であったときはLV5だったのよ。
 プリン君はとてもかわいいから、きっと汚らしいサッキュバスあたりがプリン君を襲ったんだわ。
 なんだか少し様子もおかしかったし、疲れていたみたいだったもの」
「え、あ、う、うん、そうね、なんだかつかれていたようだわね」
「お姉ちゃんもそう思うでしょう?許せないわ…うふふふ」

「LV5の戦士が一人でサッキュバスに出会えば生きては帰れないと思う」
というと墓穴を掘りそうだったので、シグルーンは妹に同意した。

「お姉ちゃん、あたしちょっと迷宮にいってくる」
なにやら物騒な装備と金貨を持って出て行った妹を見て、シグルーンはホッとため息をついた。
「やれやれ…私がやりすぎたのか、それとも彼が特異体質なのか…おっ、食事こんなにいっぱいつくったのね〜」
バンシーなどのモンスターに吸われたかもしれない、そうでなければ調べてみたら新しい発見が…
などと続くはずだった思考は目の前のごちそうによって吹き飛ばされた。
シグルーンはこれからサッキュバスに降りかかるであろう災難を想像しながら、食事を適当に盛り付け始めた。

―――迷宮中層―――

薄暗い迷宮の中層。普段ならば魔物が闊歩しているはずのこのフロアだが、なぜか今はその姿が無い。
まるで魔物たちが何かに恐れをなして逃げ去ったかのようであり、一見平和ともとれる。
しかし、通路や玄室に倒れてヒクヒクと痙攣する淫魔サッキュバスたちのエロティックな姿が
このフロアが平和ではなく、異常事態のさなかにある、ということを表していた。

「た、たすけてください…本当にそんな少年のことはしらないんです」
サッキュバスが2匹、床に這いつくばるようにして命乞いをしていた。
その前に立ち、頬を紅く染めながら2匹を見下ろしているのはエルフの少女、エミールである。
普段ならば羞恥心でパニックに陥るような状況にあって、
静かな、しかし激しい怒りが彼女を悪魔以上に残酷な存在たらしめていた。

「うそよ!プリン君のLVが5から4に下がっていたのは間違いないの。あなたたちの誰かがやったんでしょう?
 正直に言えば許してあげるけれど、言わないのなら…コレをねじ込んであげる!」
言いながら取り出したのは、男根を模した大きな木の杖。
表面にはルーン文字が刻まれている。
「ちょっと形が下品だけど、神木からけずりだした杖。
 表面のルーンは聖なる力をもっているから、あなたたち悪魔にもきっと気に入ってもらえると思うの♪」
「ひ、ひいい、いや、いや…」
エミールは、這いずって逃げようとするサッキュバスの背中を踏みつけると
その股間に慣れない手つきで杖をねじこんだ。
「い、ぃぎゃあああああああああ!!」
失禁しながらサッキュバスがビクビクと跳ねる。
両足がつま先までぴんと伸び、数回痙攣したあとで床に落ち、哀れな淫魔はぐったりと動かなくなった。

「あなたでもなかったみたいね。ごめんなさいね。」
エミールは冷たく言い放ちながら倒れたサッキュバスを蹴り飛ばし、必死に逃げようとする1匹に向き直った。
「…となると、残っているのはあなただけね」
「ち、ちがいます!ちがいますちがいます私じゃありません!!」
ビクッ、と振り向いたサッキュバスは必死の弁解を試みる。

「そ、その子はLV5だったのでしょう?ならばもっと浅い階層にいたはずです!
 きっとマミーやバンシーのようなモンスターに遭遇したにちがいありません!
 そ、それにもう他の冒険者に倒されているのかもしれませんし!
 信じてください!本当に私たちじゃないんです!!」
命乞いをするその姿には、淫魔としての尊厳は欠片も存在していない。

「…そういえばそうかもしれないわね…プリン君なら、ドレインされてもきっと倒しているわね」
「そ、そうです!だからもう」
「でも、そのうちあなたたちがプリン君にちょっかい出すといけないから先に釘を刺しておかないとね」
開きかけていた希望の扉が、バタンと閉じる音がサキュバスには確かに聞こえた。
絶望の表情を満足げにみつめると、エミールは微笑んだ。

「でも、あなたは従順だったから、この杖はつかわないでおいてあげる。コレを入れるだけでいいわ」
言いながら取り出されたのは、針の無い大きな注射器。中は液体で満たされている。
サキュバスは、しめた、と心の中で舌を出した。

見たところ浣腸液のようだが、人間であればもがき苦しむ薬液も
淫魔にしてみればどうということはない。
この程度の量を腸内、あるいは膣内に入れられたところで、
すこし苦しがって見せればこの少女は満足するだろう。
荒くなった息と、真っ赤になった表情を見れば、この少女が本来このような行為になれていないことは予想できた。

「わ、わかりました…おねがいします…」
言いながらサキュバスはよつんばいになり、エミールに向けて尻を持ち上げた。
「あら素直ね…他のみんなも最初からそうやってくれればよかったのよ…」
つぷり、と汚れ一つ無い肛門に注射器が差し込まれる。
直腸内に感じた、水や薬液ではない痺れるような痛みに、サキュバスが眉をひそめた。
「あ、あの、この液は…?」
ややあって、エミールがにっこりと微笑む。

「聖水♪」

サッキュバスが叫ぶよりも先に、エミールの細い腕は注射器のピストンを一杯に押し込んだ。




〜冒険者タイムス○月×日号〜

数日前、迷宮で陵辱しつくされた姿のサッキュバスを発見した、との通報が当社によせられた。
当社では早速冒険者による探索を実行したが、その姿を発見することはできなかった。

通報者によると、サッキュバスは皆一様に嬲りつくされており、
あるものは股間に巨大な張り方をねじ込まれたまま放置され、
またあるものは聖水を尻から噴出しながらもだえていたという。
当社調査団も聖水などの跡を発見しているが、弱りきったサッキュバスがどうなったかは不明。

なお、通報者によれば、サッキュバスに
「ごめんねーあの子キレるとこわいのよー私のせいじゃないからねー」
などといいながら治癒魔法をかけてまわる背の高いエルフらしき影を見た、との話もあるが、
あまりの惨状と、迷宮の瘴気に当てられたことによる幻覚だろう、というのが高名な冒険者シグルーン氏の結論である。

屈強な冒険者でもエナジードレインの危険に晒される相手を嬲りつくす存在が迷宮に出現したかもしれない、と
冒険者たちは色めき立っているが、王宮の調査隊は「そのような事実はない」と一蹴しており、
王宮とのつながりを勘繰る声もあがっている。


 <あるエルフ姉妹の冒険 外伝T〜新米戦士の受難〜 終>