海賊の解読指輪を航海日誌の文字の上にかざしてみると、
以下の文章を読めるようになった。



「…相変わらず偵察隊からの連絡は無い。
  ちくしょう! この場所さえ分かれば…
 
  朝、モーガンが消息を絶つ。
  仲間がいなくなり、皆恐れをなしている。

  もしかすると、壁に書かれている絵に関係があるのかもしれない。  
    
 107 今朝、ゴルモン蒸発。ついに生存者は6名。
   
   船長は宝を戻さなければならないと言っている。
   こんな宮殿から抜け出せるなら、なんだってかんげいだ…

 108 ロスコウがモーガンと人間らしき声を聞いたと言っている。
   
   どうも、いかれてるとしか思えない話だ。
   人間の声は全て女性らしい。
   ロスコウは興奮していた…

 109 今日、モーガンの亡骸を見た。
   あんなモーガンを見るなんて、おれの目はいかれたみたいだ。

   あいつは全裸で、何も持たず、恍惚の表情でいやがる。


 110 神よなんたることだ!
   宝箱を戻して神殿から戻る途中、
   紋様を付けた人間にでくわした。

   あれは全員女だったが、とにかく皆美しい。
   ロスコウをつかまえ、身ぐるみをはぎ、
   笑いながら運んでいった……

   がむしゃらに逃げ去り、とにかくここへきた。
   船長は、逃げなければよかったと言っている。

 111 ついにここが“ピラミッド”だと分かった。
   向こうの方には風変わりな頭飾りを付けた少女や女性たちが見える。
   何かを囁いている…

   声をかけてみることにする。もしかすると、助けてくれるかもしれない。」




   後は何も記されていなかった。
   
   この日誌をみつけたところの、鎖で手足を縛られたミイラや
   紐状のもので打たれたと思われるミイラや
   恍惚の表情のミイラを思い出してみるに
   ピラミッドの住人は助けにならなかったようである。
   
   しかし、冒険者の最期としてはあまりに幸せそうな死に方ではないだろうか…