俺の名はソウコ。盗賊だ。
昔は迷宮に潜って一旗上げてやる!なんて思ってたけど、今じゃ身包み剥がされ酒場で荷物持ちさ。
納得いかねぇ。だがリーダーに逆らったところで首を刎ねられるだけだ。
あいつは半端な強さじゃねぇからな。畜生ッ、マジで人生はクソだ。

まあそんなある日の話だ、珍しくウチのリーダーが酒場に来たんだ。
それも可愛らしいエルフの女の子を連れてな。
「しばらくはここで待機していてくれ」
リーダーに待機を命じられたエルフの少女は俺の方に歩いてきたんだ。
「ここ、空いてますか?」
俺が頷くと、彼女は俺の隣に腰掛けた。そして俺に話掛けてきたんだ。
「ソウコさん、ですよね?」
「ああ」
俺が答えると彼女は嬉しそうに微笑んでこう言った
「私も今日からあなたと同じパーティに加えていただきました。
 司教のカンテイサンといいます。よろしくお願いしますね」
名前と職業を聞いた瞬間に嫌な予感がしたが、取りあえずおれはよろしくと答えた。
それから毎日のようにリーダーは酒場に現れた。
もちろん目的はカンテイサンの鑑定だ。

だが、そんなある日のことだ。
リーダーはカンテイサンに
「新しい装備を用意したから今身に着けている物を外してきてくれ」
と言ったんだ。
嫌な予感がしたんだ。
俺の時と同じ手口だ。
だが彼女がそんな事を知る由もない。
言われたとおりトイレで装備品を外してリーダーから新しい装備を渡されるのを待っている。
だがリーダーは彼女の衣服を受け取ると酒場を出て行った。
どうせ売り払って宿代にでもするつもりだろう。
「リーダーさんまだですか?」
トイレの中からカンテイサンの不安気な声が聞こえてくる。
だがリーダーはもうここにはいない。

しばらくして事態を察した彼女は泣きながら戻って来た。
若い冒険者が多いこの酒場に、少女−それも「裸の」だ。
それが一人で放置されればどうなるかなんてアホでも想像がつく。
彼女のこれから辿るであろう運命を思うと、俺はやりきれない気持ちになったよ。